【獣医師監修】猫にトマトを与える時は中毒症状に注意!トマトの与え方と注意点を解説

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はじめに

猫との生活は楽しいことがたくさんあり、癒しも与えてくれます。その一方で「これを食べさせても大丈夫かな」と悩む瞬間もあることでしょう。

人間にとって健康的な食材であっても、猫にとっては必ずしも安全とは限りません。その中で、私たちの食卓によくあがるトマトは猫にとって安全なのでしょうか。

この記事では、猫とトマトの関係について獣医師監修のもと詳しく解説します。

猫はトマトを食べても大丈夫?

トマトは基本的に猫が食べても大丈夫な野菜ですが、食べても大丈夫なものと危険なトマトがあります。

この章では、猫にとって安全なトマトの選び方と、避けるべき危険な部分について詳しく解説します。

真っ赤に熟したトマトなら大丈夫

猫にトマトを安全に与えたい場合、真っ赤に熟したトマトが最適です。

トマトは熟成する過程で、有毒な成分のトマチンが減少し、猫が安心して食べられる状態になります。熟成したトマトは水分も豊富で、夏場の水分補給にも役立ちます。

しかし、まだ熟していないトマトや葉、茎にはトマチンが多く含まれているため、絶対に与えないように注意が必要です。

未成熟の青いトマトや葉・茎は要注意!

未成熟な青いトマトや葉・茎が猫にとってどれほど危険かご存知ですか。

これらの部分にはトマチンという有毒な成分が含まれており、猫が摂取すると健康を害する恐れがあります。どのような危険が潜んでいるか見ていきましょう。

有毒成分トマチン

トマトに含まれるトマチンは、特に未熟な青いトマトや葉、茎に多く存在しています。

この部分は昆虫を寄せ付けないために自然とトマトに備わっており、猫にとっては有害な物質です。

熟したトマトの実にはトマチンが少なくなりますが、それでも完全に無害とは言えません。赤く熟したトマトを与える場合でも、適量を守ることが大切です。

トマチンの中毒症状

トマチンは、未成熟な青いトマトや葉、茎に多く含まれる有毒物質で、猫がこれらを摂取すると中毒症状を引き起こすことがあります。

症状は、下痢や嘔吐のような消化器系の問題が起こることが多く、場合によっては腹痛や呼吸困難を伴います。さらに深刻な場合、血便がみられることもあります。

これらの症状は、トマチンが赤血球を破壊する作用で起こる症状です。トマチンの毒性は非常に強力で、猫の健康に対して深刻な影響を与える可能性があるため、未成熟なトマトやその他の部位は絶対に与えないようにしてください。

また、家庭菜園で栽培されるカラートマトも、完熟しているかの判断が難しいため、安全を考えて猫に与える際は慎重に行いましょう。

トマトが熟すとトマチンが減る

熟成に伴い、トマト内のトマチン量が減少するため、赤く熟したトマトは猫が食べても比較的安全です。

トマチンは未成熟な青いトマトに多く含まれており、猫にとって危険なレベルですが、トマトが完全に熟して赤くなるにつれて、有害物質の量は大幅に減少します。その結果、熟したトマトの果実は、トマチンが少ないため、猫が少量なら安全に食べられます。

ただし、食べ過ぎは他の健康問題を引き起こす可能性があるため、量には注意が必要です。

猫がトマトを食べるメリット

猫がトマトを食べることには、実はメリットも存在します。熟したトマトには、猫の健康をサポートするさまざまな栄養素が含まれています。これらの栄養素が猫の健康にどのように役立つのか見ていきましょう。

リコピン

猫がトマトを食べるメリットの一つに、リコピンの摂取が挙げられます。

リコピンは、特に赤いトマトに多く含まれるカロテノイドの一種で、強力な抗酸化作用を持っています。この成分は体内の過剰な活性酸素を減少させ、細胞の損傷や老化の予防になるため、猫の健康維持に役立つものです。

活性酸素は過剰になるとさまざまな健康のリスクを高めるとされており、リコピンの抗酸化効果はリスクを防ぐ助けとなります。

また、リコピンは免疫力を向上させることも知られており、猫の体調を整えるのに役立ちます。しかし、猫は本来肉食でトマトを特に好むわけではありません。そのため、無理に与える必要はないでしょう。

ビタミンC

トマトはビタミンCを豊富に含んでおり、猫の健康に多くのメリットがあります。

ビタミンCは強力な抗酸化物質として活性酸素の除去に役立ち、猫の老化防止に役立ちます。さらに、コラーゲンの生成を助けるため、皮膚の健康維持にも重要です。皮膚が丈夫に保たれ、外部からのウイルスや細菌に対する抵抗力が強化されます。

また、猫は自分の体内でビタミンCを合成できますが、シニア期には合成能力が衰えることがあります。高齢の猫や肝機能が落ちている猫にとって、食事からビタミンCを補うことが重要となってくるのです。

猫がビタミンCを食品から摂取しても、このビタミンは水溶性で余分な分は尿として排出されるため、過剰摂取の心配がいらないことも大きなメリットといえます。

ただし、腎機能の低下している猫では、排泄過程がうまく機能しない場合があるので、注意しなければいけません。

カリウム

トマトに含まれるカリウムは、猫の健康維持に役立つ重要なミネラルです。

カリウムには体内の水分バランスを整える効果があり、これにより細胞内のナトリウムの排出を助け、利尿作用を促進します。

利尿作用は、特に猫の腎臓機能に効果があり、ナトリウムが多く蓄積すると腎臓に負担がかかり腎不全などの健康問題につながるものです。そのためカリウムの摂取は、腎臓の健康を直接支えるものになります。

さらに、カリウムは心機能の正常な働きや神経刺激の伝達、エネルギー代謝にも重要な役割を果たします。しかし、猫が総合栄養食を摂取している場合は、フードの中に含まれているため、カリウムが不足することは少なくいため、それ以上の過剰摂取は避けるべきです。

カリウムの過剰摂取は、高カリウム血症を引き起こす可能性があり、特に腎機能が低下している猫には危険です。

猫にトマトを与える際は、カリウムが過剰摂取にならないかどうか、腎機能が低下している猫ではないかを考えることが重要となってきます。

猫にトマトを与える時の調理方法

猫にトマトを安全に美味しく与えるための調理方法はいくつかあります。適切な下処理や、どのような形で猫に与えるのが良いのか理解した上で、猫にトマトを与えるようにしましょう。

葉や茎・ヘタは取り除く

猫にトマトを与える際は、葉や茎・ヘタ部分を取り除くことが重要です。

これらの部分にはトマチンが含まれており、猫にとっては危険な中毒症状を引き起こす可能性があります。特にヘタは見落としがちですが、トマチンが多く含まれているため、与える前にはしっかりと取り除きましょう。

家庭菜園で栽培されたトマトの場合、ミニトマトなどの小さいものでもヘタの部分が黒くなっているものはカビが発生している可能性があるので避けるべきです。

トマトを猫に与える際は、果肉のみを安全に食べさせましょう。

皮や種も取り除く

猫にトマトを与える際は、消化しにくい皮や種を取り除くことが大切です。

猫は本来肉食であるため、トマトのような植物性の食品を消化するのが苦手です。特にトマトの皮は消化に悪影響を及ぼす可能性があるため、皮を湯むきするなどして丁寧に取り除きましょう。また、種も同じように取り除いた方が安全です。

細かくカットする

猫にトマトを与える際は、トマトを細かくカットすることで食べやすくなり、丸呑みによる誤飲やのどの詰まりのリスクを防げます。特に、ミニトマトのような小型のトマトは、そのまま与えると詰まる恐れがあるため、必ず小さく切ってから与えましょう。

また、トマトをミキサーで細かくしたり、すりつぶしてペースト状にしたりする方法もおすすめです。これにより、トマトがさらに消化しやすくなり、猫の体への負担を減らせます。

トマトペーストはキャットフードに混ぜたり、チキンなどのソースとして活用でき、猫の食事のバリエーションを増やす効果も期待できます。

このようにトマトを小さくカットすることは、猫にとってより安全で楽しい食事につながります。

加熱するのがおすすめ

猫にトマトを与える際は、加熱するのがおすすめです。加熱によりトマトを消化しやすくなるだけでなく、リコピンの吸収率も上がります。リコピンは油に溶けやすい性質のため、炒めたり煮込んだりすることで、さらに体に吸収されやすくなるのが特徴です。

また、トマト特有の酸味も加熱することで和らぎ、猫が食べやすくなる効果が期待できます。

加熱後は消化を助けるため、皮を剥き、種を取り除き、小さくカットして猫が食べやすいようにしてあげましょう。このように猫が安全に美味しく食べられるように調理したトマトは、消化の負担を減らし、栄養素の吸収を助けるため、生のトマトより適しています。

猫が食べてよいトマトの量は?

猫にトマトを与える場合、量を適切に管理することが重要です。過剰に与えると消化器症状や他の健康問題を引き起こす可能性があります。

一般的な目安として、猫の体重が4〜5kgであれば、1日あたり119g〜141gが目安です。

大きなトマトの場合は1/16個、ミニトマトは1個が目安といえそうです。

しかし、実際には上記の量よりも少ない量から始め、猫の反応を見て調節することが大切となってきます。特におやつとして与える場合は、1日の全体のカロリー摂取量の10%以内に抑えましょう。

トマトは栄養価が高いため、猫にとっては魅力的な食材かもしれませんが、猫の主食は総合栄養食であるキャットフードが適しています。トマトは補助的な食材として、数日に一度程度の頻度で少量与えることが、猫の健康を守る上で最適です。

猫にトマトを与える際の注意点

猫にトマトを与える際にはいくつかの注意点があります。トマトを安全に楽しみ、もし異常が見られたらしっかりとした対処を行う必要があります。

熟したトマトの実だけを与える

猫にトマトを与える際の最も重要な注意点は、完熟したトマトの実のみを選ぶことです。熟していないトマトや葉、茎、ヘタにはトマチンという有毒物質が多く含まれており、これが猫に中毒症状を引き起こす可能性があります。

トマチンは果実が赤く完全に熟すると減少するため、完熟したトマトは猫が安全に食べられます。

さらに、完熟トマトは酸味が減少し、猫が食べやすい味になるのと水分が豊富になるため、水分補給にも役立ちます。トマトを猫に与えるうえでメリットもありますが、与える量は控えめにして、種もできるだけ取り除いて与えましょう。

上記を守ることで、猫にとってトマトは安全に食べられるものとなります。

異変が見られたらすぐに動物病院へ

猫にトマトを与える際は、リスクが伴うことを頭に入れておきましょう。

トマトに含まれるトマチンなどの成分が原因で中毒症状を起こしたり、まれにアレルギーや他の症状を引き起こすことしたりすることがあります。

初めてトマトを与える場合は、ごく少量から始め、その後猫の反応を注意深く観察しておきましょう。

もし猫がトマトを食べた後に嘔吐や下痢、皮膚の赤みやかゆみ、活動性の低下などの異常が見られた場合は、すぐにトマトを与えるのをやめて動物病院に連絡してください。これらの症状はアレルギーの反応の可能性があります。

症状が出た場合は、獣医師への正確な情報提供が役立ちます。猫がどれくらいの量のトマトを食べたか、症状があらわれた時間などを正確に伝えましょう。これにより、獣医師は状況を正しく判断し、適切な対応を取れるでしょう。

トマトの加工品は与えてもいい?

トマトの加工品は猫に与えても安全なのでしょうか。この章ではさまざまなトマト製品を例にあげながら、猫への安全性について詳しくまとめます。

トマトジュース

猫にトマトジュースを与える場合、注意しなければいけないことがあります。

市販のトマトジュースには、塩分や保存料などの添加物が含まれていることが多く、これらの成分は猫の健康に悪影響を与える可能性があるものです。

特に塩分が入っているトマトジュースは、猫にとって塩分過多となり、腎臓や心臓に負担をかける恐れがあるため避けましょう。

しかし、無塩のトマト100%のジュースであれば、猫にとって比較的安全です。どのような形であれ、加工品を与える際は、成分をよく確認して、猫の健康状態を見ながら慎重に扱うことが肝心です。

トマト缶

猫にトマト缶を与える場合には、添加物が含まれていないピュアな形のホールトマトやダイストマトの缶詰なら猫に与えても安全です。

これらの製品には食塩やクエン酸などの添加物が加えられていないため、猫の健康に悪影響を与えるリスクが減少されます。

トマトケチャップ

トマトケチャップは猫に与えるべきではありません。

トマトケチャップには、猫に有害な成分が多く含まれているものです。食塩や砂糖、タマネギ、ニンニク、香辛料、醸造酢など、猫の健康に悪影響を及ぼす可能性のある調味料や食材で味が調節されていて、特にタマネギとニンニクには、猫に対して毒性があるとされ、健康問題を引き起こすリスクがあります。

これらの成分は、猫の腎臓に負担をかけるため、腎不全などのリスクを高める恐れのあるものです。

また、トマトケチャップに含まれるタマネギのエキスは濃縮されており、料理に使用された場合でも猫が摂取するとタマネギ中毒を引き起こす可能性があります。そのため、トマトケチャップを使った料理も、猫が食べないように気をつけましょう。

まとめ

猫にトマトを与える際は、いくつかの重要な注意点を守ることが必要です。

与えるトマトは完熟した赤いトマトを選び、葉や茎、ヘタは避けましょう。トマトの加工品も添加物が含まれているものが多いので避けた方が賢明です。

トマトを好む猫の場合、上記を守れば無理に止める必要はありませんが、反対に好まない場合に無理に食べさせるものでもありません。

適切に管理できれば、トマトは猫の健康に役立つものとなります。

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