【獣医師監修】猫にいちごを与えても大丈夫?猫の健康に良い成分や与える際の注意点を解説

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はじめに

猫にいちごを与えても大丈夫なのか気になる方は多いと思います。猫にいちごを与えるのは問題ありませんが、与えすぎは猫の体によくありません。

そのため、飼い主はいちごの適量を管理し、猫の健康を維持することが大切です。

今回は、猫へのいちごの与え方について紹介します。いちごが猫の健康にいいとされる成分や与える際の注意点を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

猫にいちごを与えても大丈夫?

猫にいちごを与えても健康上は問題ありません。大丈夫な理由はいちごの栄養成分にあるので詳しくみていきましょう。

少量なら基本的に問題になることはない

猫にいちごを与えても、少量であれば基本的に問題になることはありません。いちごは、猫にとって毒性のある食材ではなく、適量であれば楽しむことができる果物です。

いちごにはビタミンや抗酸化物質が含まれており、人間にとって健康に良いものですが、猫は人間と異なる栄養素を必要としています。

猫は肉食動物であり、基本的には動物性タンパク質から栄養を摂取するため、果物を積極的に与える必要はありません。

ただし、いちごを与える際はいくつか注意が必要です。例えば、糖分が多すぎる食事は健康に悪影響を与える可能性があり、肥満や糖尿病のリスクを高める要因になります。

いちごには自然な糖分が含まれているため、大量に与えることは避けましょう。猫に与える際は、いちごの大きさや量をコントロールし、おやつ程度に留めることが大切です。

いちごに含まれる猫の健康に良い成分

いちごには猫の健康に良い成分がいくつか含まれています。

  • ビタミンC
  • アントシアニン
  • 葉酸
  • 食物繊維

それぞれ詳しく紹介するので、いちごが猫にどのような効果をもたらすのか詳しくみていきましょう。

ビタミンC

まず、いちごに含まれる猫の健康にいい成分はビタミンCです。いちごにはビタミンCが豊富に含まれていますが、猫にとってビタミンCは人間とは異なる役割を持っています。

人間は体内でビタミンCを生成できないため、外部からの摂取が不可欠です。

一方で猫は肝臓でビタミンCを合成できる能力を持っているため、必須栄養素として外部から摂取する必要はありません。

ただ、ビタミンCは抗酸化作用を持っており、細胞の保護や免疫力の維持に役立つため、少量であれば猫にとって健康をサポートできます。

ビタミンCは免疫システムの強化に貢献し、感染症や病気から体を守ることが可能です。また、抗酸化作用で有害な分子から体を守り、老化の進行を抑制する効果が期待できます。

ただし、猫のビタミンCの必要量は少なく、通常の食事から十分に摂取できるため、いちごなどを通じて過剰に与える必要はありません。

アントシアニン

次に、いちごに含まれる猫の健康に良い成分はアントシアニンです。アントシアニンは、いちごやブルーベリーなどの赤や青紫の色を作る色素で、抗酸化物質として知られています。

猫にとって必須の栄養素ではありませんが、抗酸化作用により細胞の酸化ダメージを軽減し、健康維持に寄与することが可能です。

アントシアニンは目の健康を保つためにも効果的で、猫にとっても視覚の健康を守る可能性があります。

また、アントシアニンには炎症を抑える作用があり、慢性的な炎症に関連する疾患の予防にも効果的です。

老化の進行を抑え、免疫機能を高める効果も期待できるため、少量のいちごを与えるとアントシアニンの恩恵を受けられます。

ただし、猫はアントシアニンを含む植物由来の栄養素を積極的に必要とするわけではありません。

葉酸

3つ目に、いちごに含まれる猫の健康に良い成分は葉酸です。葉酸は、細胞の生成や修復に必要なビタミンB群の一種で、特に胎児の発育に重要な役割を果たしています。

いちごには葉酸が含まれており、猫にとっても必要なビタミンではありますが、通常の食事から十分に摂取できるため、いちごからの補給が特に必要というわけではありません。

葉酸は猫の体内で赤血球の生成をサポートし、貧血予防や健康な細胞の維持に役立ちます。

また、免疫機能の向上や神経系の健康にも関わっているため、成長期の猫や妊娠中の猫にとっては重要な栄養素です。

いちごに含まれる葉酸は、特に妊娠中や授乳中の猫にとって、わずかではあるものの有益な栄養源となる可能性があります。

食物繊維

最後に、いちごに含まれる猫の健康に良い成分は食物繊維です。いちごには水溶性の食物繊維が含まれており、消化を助ける役割を果たします。

植物由来の食物繊維の摂取は必須ではありませんが、適量であれば腸内環境の改善に役立つ可能性が高いです。

また、食物繊維は腸内の水分を吸収し、便通をスムーズにする働きを持っています。便秘気味の猫に少量の食物繊維を与えると、腸の働きを助け、便秘の解消につながるでしょう。

しかし、いちごを含む果物の食物繊維は猫にとって消化しにくい場合もあり、過剰に摂取すると下痢や消化不良の原因となることがあります。

特にいちごには水溶性の食物繊維が豊富に含まれており、猫の腸に負担をかける可能性があるため、与える量には十分に注意が必要です。

猫がいちごを食べることでリスクが高くなる病気

次に、猫がいちごを食べるとリスクが高くなる病気を紹介します。

  • 糖尿病や肥満
  • 消化不良
  • キシリトール中毒
  • 高カリウム血症
  • 食物アレルギー

それぞれ詳しく紹介するので、どのようなリスクがあるのか理解した上で猫にいちごを与えるべきか判断しましょう。

糖尿病や肥満

まず、猫がいちごを食べるとリスクが高くなる病気は糖尿病や肥満です。いちごに含まれる糖分が影響しているので、詳しくみていきましょう。

いちごは糖質が多い

いちごはフルーツであるため、糖質を多く含んでいます。一般的に猫は肉食動物であり、体は主に動物性タンパク質や脂肪からエネルギーを得る仕組みになっています。

そのため、果物などに含まれる糖質を効率的に利用する能力が低く、過剰な糖分の摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

特にいちごのような甘い果物を頻繁に与えると、猫の血糖値が急激に上昇し、糖尿病や肥満のリスクが高まる恐れがあります。

糖質が多い食べ物を与え続けると、猫の体重が増加し、肥満につながる可能性が高いです。

肥満は猫にとって深刻な健康問題であり、心臓病や関節の負担、さらには寿命の短縮などのリスクを引き起こすことが知られています。

また、糖尿病は特に中高年の猫に多く見られる病気で、適切な治療を受けないと命に関わる恐れもあります。いちごを猫に与える際は、少量に留めましょう。

消化不良

次に、猫がいちごを食べるとリスクが高くなる病気は消化不良です。消化不良は食物繊維が関連しているので、詳しくみていきましょう。

水溶性の食物繊維が豊富なため下痢になることも

いちごには水溶性の食物繊維が含まれており、人間にとっては便通を整える効果があります。しかし、猫にとっては食物繊維が消化不良を引き起こす原因になる場合があります。

猫の消化器官は肉を中心とした食事に適応しており、植物由来の繊維質を大量に摂取することは自然な食生活ではありません。

したがって、いちごなどの果物を猫に与えすぎると、消化器官が負担を感じ、下痢や嘔吐を引き起こす可能性が高くなります。

特にいちごには水溶性の食物繊維が豊富に含まれているため、猫が過剰に摂取すると腸内での水分吸収が増加し、結果的に柔らかい便や下痢を引き起こしやすいです。

また、腸の働きが過度に活発になると、猫が不快感を感じ、トイレの頻度が増えることにもつながります。

症状が長引く場合、脱水症状などさらなるリスクも発生する可能性があるため注意が必要です。

キシリトール中毒

3つ目に、猫がいちごを食べるとリスクが高くなる病気はキシリトール中毒です。

いちごの加工食品には人工甘味料としてキシリトールが入っている恐れがあるので、影響を詳しくみていきましょう。

食べすぎると低血糖を起こす可能性

キシリトールは人工甘味料として多くの加工食品に使用されていますが、猫にとっては有害な成分です。

キシリトールを含む食べ物を摂取すると、猫の体内でインスリンの分泌が急激に増加し、血糖値が急降下してしまう可能性があります。

この状態は「低血糖症」と呼ばれ、放置すると命に関わる危険な状態です。低血糖の症状にはけいれんやふらつき、極度の疲労感、さらには昏睡状態などがあります。

いちご自体にはキシリトールが含まれていませんが、市販のいちご製品やジャムなどにはキシリトールや他の甘味料が添加されている場合があるので注意が必要です。

そのため、加工食品を猫に与えることは避け、必ず新鮮な状態のいちごを少量だけ与えるように注意しましょう。

また、万が一キシリトールを含む食品を猫が誤って摂取してしまった場合、速やかに獣医師に相談することが重要です。

高カリウム血症

4つ目に、猫がいちごを食べるとリスクが高くなる病気は高カリウム血症です。いちごに含まれるカリウムが影響を及ぼしているので、詳しくみていきましょう。

過剰摂取によって血中のカリウム濃度が上がる

いちごにはカリウムが含まれており、少量であれば猫の健康に問題を引き起こすケースはありません。

しかし、過剰に摂取すると、カリウムの過剰摂取によって高カリウム血症が発生する可能性があります。

高カリウム血症とは、血中のカリウム濃度が異常に高くなることで、心臓や筋肉に影響を及ぼす症状です。

特に心拍の異常や不整脈、筋肉のけいれんや麻痺などが見られる場合があり、重症化すると命に関わる危険な状態になります。

カリウムは猫にとって重要なミネラルですが、通常の食事から十分に摂取できるため、果物などから過剰に摂取する必要はありません。

特に腎臓に問題を抱えている猫の場合、体内のカリウム濃度のバランスが崩れやすいので、いちごなどのカリウムを含む食品を与える際は注意が必要です。

食物アレルギー

最後に、いちごを食べるとリスクが高くなる病気は食物アレルギーです。普段アレルギーを抱えていない猫でも食べると症状を引き起こす恐れがあるので詳しくみていきましょう。

アレルギー体質の猫は特に注意

アレルギー体質の猫には特に注意が必要です。猫は人間と同じように、食物アレルギーを発症する場合があり、果物や他の新しい食材も原因となり得ます。

いちごは比較的安全な食材として知られていますが、アレルギー体質の猫にはアレルゲンとなる可能性があるのです。

アレルギー反応が現れると、皮膚のかゆみや赤み、発疹、さらには嘔吐や下痢などの消化器系の症状が現れる場合があります。

さらに、重度のアレルギーでは呼吸困難やアナフィラキシーショックといった命に関わる深刻な反応を引き起こす恐れもあり危険です。

過去に何らかのアレルギーを持っていたり、皮膚炎を経験したことがある猫には、果物や新しい食材を与える際に慎重な対応が求められます。

猫にいちごを与える際は、最初に少量を試し、その後猫の体調を注意深く観察しましょう。

初めて与える時は少量ずつ与える

猫にいちごを初めて与える際は、少量から始めることが非常に重要です。猫は基本的に肉食動物であり、果物のような植物由来の食材を消化する能力が限られています。

そのため、いきなり大量のいちごを与えると、消化不良を引き起こしたり、下痢や嘔吐といった消化器系の問題が生じる可能性が高いです。

猫の体が新しい食材にどのように反応するかを慎重に見極めるためには、まず少量を与え、数時間から1日の間、猫の体調や便の状態を観察しましょう。

また、いちごにはアレルギーを引き起こす可能性もあるため、アレルギー反応がないかも注意深く確認する必要があります。

初めてのいちごの摂取後に、皮膚のかゆみや赤み、嘔吐、下痢などの症状が現れた場合は、すぐに摂取を中止し、獣医師に相談してください。

アレルギーの症状は?

猫が食物アレルギーを発症した場合、症状は皮膚や消化器系、さらには呼吸器にまで及ぶ場合があります。最も一般的な症状は、皮膚に現れるかゆみや赤み、発疹などです。

猫はしきりに体を掻いたり舐めたりするようになり、場合によっては自分の皮膚を傷つけてしまうケースもあります。

また、アレルギー反応が原因で猫の毛が抜け落ち、局部的な脱毛が見られる場合も多いです。抜け毛の症状は特に顔や耳、腹部、足の裏などに現れます。

消化器系のアレルギー症状も一般的で、嘔吐や下痢、食欲不振などが多いです。特に新しい食材を食べた直後に症状が現れた場合は、食物アレルギーの可能性があります。

さらに、呼吸器に影響が及ぶ場合もあり、喘鳴や咳、さらには呼吸困難に注意が必要です。これらの呼吸器系の症状は非常に危険で、早急な対応が求められます。

猫に与えても良いいちごの量は?

猫にいちごを与える際の適切な量については、猫の体重や健康状態に応じて異なりますが、一粒程度のいちごにして少量に留めましょう。

少量であれば、猫の消化器系にも負担がかからず、アレルギー反応や消化不良のリスクを最小限に抑えることができます。

猫は肉食動物であり、果物を大量に摂取することは自然な食生活とは言えません。そのため、いちごはあくまでおやつとして与えましょう。

猫に適しているのは高タンパク質の食事であり、果物はあくまで補助的な役割にすべきです。いちごを与える場合は、全体の食事の10%以下の割合に留めることが推奨されます。

また、いちごの摂取頻度についても注意が必要です。頻繁に与えるのではなく、週に1回程度を目安に与えましょう。

猫にいちごを与える際の注意点

最後に、猫にいちごを与える際の注意点を紹介します。

  • いちごの葉やへたは取り除く
  • いちごの加工品は与えない

それぞれ行わないとどのような影響が出るか詳しく紹介しているので、ぜひ日頃から実践してください。

いちごの葉やへたは取り除く

まず、猫にいちごを与える際には、いちごの葉やへたをしっかりと取り除きましょう。いちごの葉は猫にとって消化が難しく、農薬などの化学物質を含んでいる可能性があります。

化学物質は猫にとって有害で、嘔吐や下痢などのトラブルを引き起こしやすいです。特に猫は肉食動物であり、植物由来の食材を消化する能力が限られています。

葉やへたを取り除くと、消化できないリスクを減少させられます。さらに、いちごのへたには、時折、農薬や化学肥料の残留物が含まれることがあります。

残留物は猫の健康に悪影響を及ぼすことも考えられるので、慎重に取り扱いましょう。いちごを猫に与える前に、しっかりと水で洗浄し、外部の汚れを取り除くことが大切です。

また、いちごを切る際にも注意が必要です。細かくカットすると猫が食べやすくなる一方で、葉やへたが混ざってしまう場合があります。

いちごの加工食品は与えない

次に、猫にいちごを与える際は加工食品を与えないようにしましょう。加工食品には体に悪影響を及ぼす物質が含まれている恐れがあるので、詳しくみていきましょう。

砂糖や添加物が含まれていることが多い

猫にいちごを与える際には、いちごそのものだけでなく、加工されたいちご製品についても注意が必要です。

いちごを使ったジャムやゼリー、いちごフレーバーのデザートなど、加工食品には猫にとって有害な成分が多く含まれている場合があります。

特に注意すべきは、砂糖や添加物です。猫は甘味を感じられないため、甘いものを好むことはありませんが、砂糖を含む食品を摂取すると肥満や糖尿病のリスクが高まります。

さらに、いちごジャムやゼリーなどは果物の栄養素が減少しているだけでなく、砂糖の過剰摂取が問題となるため避けるべきです。

また、加工食品には、保存料や着色料、香料などの添加物が含まれています。

化学物質は猫の健康に悪影響を与える可能性が高く、消化器系のトラブルやアレルギー反応を引き起こす可能性が高いです。

まとめ

今回は、猫へのいちごの与え方を紹介しました。いちごは健康に良い栄養素を含んでいるので与えても問題ありません。

ただ、過剰に与えすぎると糖尿病や肥満、消化不良、中毒症状、高カリウム血症などのリスクが高まります。

猫にいちごを与える際は、加工食品は避け、葉やへたは取り除いて与えましょう。また、アレルギーの恐れがあるので少量ずつ与えることが大切です。

いちごの適量を守り、猫の健康をサポートしましょう。

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