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はじめに
色々な食事で取り入れられているきゅうりに、愛猫が興味を示している姿をみたことがありますか。あまりにも食べたそうにしている場合「猫にきゅうりを与えても大丈夫なのだろうか」と疑問に思ったこともあるかと思います。
猫に与えても良い食べ物と、そうでない食べ物については、判断が難しかったり、混乱しやすかったりするものです。この記事では、猫にきゅうりを与えることが安全かどうか、適量や注意点について獣医師監修のもと、詳しく解説します。
まずは基本的な知識から確認していき、きゅうりを食べさせるかどうかの判断をしてみましょう。
猫にきゅうりを与えても大丈夫?
猫にきゅうりを与えても大丈夫かどうかについては、飼い主なら気になるポイントです。
きゅうりは95%以上が水分でできており、基本的には猫に与えても問題のない食材といわれています。
しかし、完全に肉食動物の猫にとってはどうしても摂取しなければならない食材ではないため、きゅうりの持つ特性や、猫に与える際の注意点をしっかり理解した上で、与えるか否かの判断をしなければいけません。
特に危険な成分は含まれていない
きゅうりは95%以上が水分でできており、基本的に猫に与えても問題ないとされています。
きゅうりには猫に有害な成分は含まれていません。実際、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)の「猫に安全な植物リスト」にも記載されています。しかし、猫の持病やアレルギーなどによっては注意が必要な場合もあります。
完全に肉食動物である猫にとって、野菜は必ずしも摂取しなければいけないものではありません。そのため、きゅうりを与える際には少量にとどめ、猫の反応をよく観察することが重要です。
きゅうりの青臭い匂いは、通常猫が食欲をそそられるものではないため、あえて積極的に与える必要はないでしょう。
生で食べられる
きゅうりは低カロリーであり、肥満気味の猫や夏場の水分補給に役立つ場合もあります。
きゅうりの水分量は95%と非常に高く、水分をあまり摂らない習性を持つ猫にとって、水分補給にうってつけの食材です。年中手に入るため、猫が水分を摂る量が減っていると感じたときには、少量与えてみるのも良いでしょう。
ここで重要となってくることは、きゅうりを与える際には「生のきゅうりをそのまま与える」ということです。
人間用に塩やドレッシングで味付けしたきゅうりは、猫にとって塩分過剰や有害な成分を含むことがあるため、絶対に避けるべきです。特にドレッシングには玉ねぎが含まれている場合があり、猫が摂取すると「溶血性貧血(玉ねぎ中毒)」を引き起こす恐れがあります。
また、味の濃いものを与え続けると猫がその味に慣れてしまい、健康を損なうリスクが高まります。キャットフードが基本的に必要な栄養を全て与えてくれるため、きゅうりはあくまで補助食として与えるようにしましょう。猫が飲水量や食欲が落ちた時などに、生のきゅうりを少し与えるのは適していますが、必ず無添加の生のきゅうりを選びましょう。
きゅうりに含まれる栄養素
きゅうりの95%以上が水分ではありますが、他の栄養素も含まれています。主に、カリウム・βカロテン・ビタミンK・ビタミンC・食物繊維です。低カロリーなため、猫が口にしても安全な食材と考えられています。
これらの栄養素について詳しくみていきましょう。
カリウム・βカロテン・ビタミンK・ビタミンC・食物繊維
カリウム
きゅうりにはカリウムが含まれており、腎臓や心臓の働きをサポートする役割があります。カリウムは体内に溜まった塩分を排出し、高血圧の防止に役立つものです。猫にとっても適量のカリウムは代謝もよくなり、健康維持に役立ちます。
ただし、高齢で腎臓が弱っていたり、なんらかの疾患を患っていたりする猫は、摂取量に注意しなければいけません。
βカロテン
βカロテンは、体内でビタミンAに変わり、免疫力を高める効果があります。ビタミンAは老化防止、視力維持、健康な被毛を保ちます。きゅうりに含まれる量は多くはありませんが、少量でも健康に良い影響を与えるでしょう。
ビタミンK
ビタミンKは、タンパク質や酵素の生成に関わり、骨や筋肉の健康をサポートします。健康な体作りには欠かせない栄養素です。猫は体内でビタミンKを生成するのが難しいため、食べ物で補う必要があり、きゅうりはビタミンKの補給に役立つ野菜の一つといえます。
ビタミンC
ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、免疫機能を向上させる効果があります。がん予防やアンチエイジングの効果も期待されるため、猫がきゅうりを食べることは健康のサポートにつながります。
食物繊維
きゅうりには食物繊維が含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。水溶性食物繊維は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性食物繊維は便秘の改善に効果的です。
95%が水分でできている
きゅうりは95%以上が水分で構成されており、特に暑い時期の水分補給に適しています。猫はあまり水を飲まない習性があるため、きゅうりを与えることで効率的に水分補給ができます。ただし、無理に食べさせるようなものでもありません。
カロリーも含まれる栄養素も少ない
きゅうりは低カロリーであり、1本あたり14Kcalほどと低い分、水分量が多くて体を冷やしてしまう食材です。「世界一栄養のない野菜」と呼ばれることもあります。
そのため、含まれる栄養素も非常に少ないです。その分、猫が摂取してはいけない栄養素は入っていないため安心して与えられる食材でもあります。
栄養素を過剰摂取する心配がない
きゅうりに含まれる栄養素は少量であるため、過剰摂取の心配がありません。しかし、猫にとって1日に必要な栄養素は、基本的にキャットフードで賄われています。過剰摂取の心配はないとはいえ、きゅうりはあくまで補食的な役割で与えると良いでしょう。
猫にきゅうりを与える際の適量は?
猫にきゅうりを与える際には、適量を守ることが大切です。
きゅうりは基本的に安全な食材ですが、過剰に与えると猫の消化器官に負担がかかる可能性があります。適量や注意点をまとめていきます。
適量の目安
猫におやつとしてきゅうりを与える場合、1日の総カロリーの10%以内に抑える必要があります。きゅうりは100gで約14Kcalと低カロリーですが、水分量が多く、体を冷やすため、与えすぎると下痢を引き起こす可能性があります。
体重4kgの猫の場合、最大で約15gを目安に少しずつ与えるのが理想です。
個体差があるため排便の様子などを観察
適量には個体差があるため、猫にきゅうりを与える際は、少量から始めて様子を観察することが重要です。特に初めてきゅうりを与える場合は、少しずつ与え、排泄の様子や嘔吐の有無など注意深く見守りましょう。きゅうりはウリ科の野菜であり、アレルギーを持つ猫もいることを認識しておかなくてはいけません。
初めて与える際には、動物病院が診察している時間帯に与え、異常があればすぐに受診できるようにするのが望ましいです。下痢や嘔吐、皮膚の痒みなどの症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
きゅうりの成分のほとんどが水分であるため、与えすぎると健康な猫であっても下痢を引き起こす可能性があるほか、きゅうりの過剰摂取は高カリウム血症のリスクがあるため、適量を守ることが大切です。
猫が初めてきゅうりを食べる際には、飼い主が注意深く観察し、問題がないことを確認してから少しずつ量を増やして、個体それぞれに合った「適量」を見つけてあげましょう。
猫にきゅうりを与えるときの注意点
猫にきゅうりを与える際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。きゅうりは基本的に安全な食材ですが、与え方や量によっては健康に悪影響を及ぼすことがあります。どのようなことに注意して与えなければいけないのか、細かくみていきましょう。
皮を厚めにむいて与える
猫にきゅうりを与える際には、皮を厚めにむいてから与えることが重要です。きゅうりの皮は固く、消化器に負担をかける可能性があります。また、皮に付着している細菌や農薬のリスクを避けるためにも、必ず皮を厚くむくことは守らなければいけません。
新鮮なきゅうりは棘状の突起が鋭い
新鮮なきゅうりの皮には鋭い棘状の突起があり、猫の消化器官に傷をつける恐れがあります。猫は食べ物をほとんど丸呑みすることが多いため、きゅうりのような固い皮は消化器官にダメージを与えるリスクが高いです。そのため、きゅうりを与える際には、皮をむいてから与えましょう。
農薬や汚れがついている可能性
きゅうりは農薬や配送中の汚れが付着していることがあります。水やお湯で洗った程度ではこれらの成分が完全に除去されない場合があるため、少し厚めに皮をむいて与えることが安全です。これにより、猫の健康に悪影響を及ぼす可能性を減らせます。
消化しやすいように小さく切る
猫にきゅうりを与える際は、消化しやすいように小さく切って薄くスライスすることをおすすめします。少量ずつ与えることで、消化の負担が軽減できるからです。
猫は野菜を消化しづらい
猫は完全に肉食動物であり、野菜を消化するのが苦手です。きゅうりなどの野菜は猫にとって消化しづらい食べ物となるため、消化器官に負担をかけてしまいます。また、大きすぎるまま与えると、勢いよく食べた時に喉に詰まったり、胃腸の負担になったりすることもあります。
与える際は薄くスライスしたり、小さくダイズ状に切ったりして、食べやすく消化しやすい形にしてあげましょう。
きゅうりは水分がたくさん含まれています。与えすぎると下痢になってしまうこともあるため、少量から始めて、猫の様子をみながら与える量を調節することが大切です。
常温のきゅうりを与える
猫にきゅうりを与える際は、常温にしてから与えることが大切です。きゅうりは通常冷蔵庫で保管されており、冷たい状態で与えると猫の体温を下げる可能性があります。
常温で保管するか、与える前にお湯にさらして温めてから与えると良いでしょう。
冷たいきゅうりは消化器に負担がかかる
きゅうりは95%以上が水分です。冷たい状態で与えると冷水を飲むのと同じ効果があり、猫の消化器管に負担がかかる可能性があります。冷たいきゅうりを与えると消化器官が冷えて下痢を引き起こすこともあるため、きゅうりは常温にしてから与えるようにしましょう。
腎臓が弱っている猫には与えない
猫にきゅうりを与える際には、腎臓が弱っている猫には特に注意が必要です。
健康な猫であれば問題ありませんが、腎臓の機能が低下している猫にきゅうりを与えると、カリウムの排出がうまくいかず、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
高カリウム血症になる恐れ
きゅうりにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは腎臓でろ過されて排出されるため、高齢が原因であったり、何らかの疾患を患っていたりして腎臓の機能が低下している猫には注意が必要です。
腎臓病の猫にきゅうりを与えると、カリウムが血液中に蓄積し、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。
高カリウム血症になると、筋肉の収縮がうまくいかなくなり、足に力が入らない、嘔吐、ぐったりするなどの症状がみられます。また、心臓の機能にも影響を及ぼし、不整脈が発生することもあるほどです。治療が遅れると、最悪の場合は命に関わる危険性があります。
健康な猫であればカリウムはナトリウムと共に細胞内の浸透圧を一定に保つ役割を果たし、血圧を安定させる効果があります。しかし、腎臓機能が低下している猫にとっては致命的なリスクとなるため、きゅうりを与えるのは避けるべきです。
腎臓病の猫には、カリウムの多い食材を控え、獣医師と相談の上で適切な食事を与えるように心がけましょう。
猫がきゅうりに驚くのはなぜ?
猫がきゅうりに驚いて飛び上がる動画をみたことがあるかもしれません。
猫がきゅうりに驚く大きな理由の一つは、きゅうりが蛇に似ているためです。細長くて緑色のきゅうりは、蛇を連想させます。猫は本能的に蛇を恐れているため、急にあらわれたきゅうりをみて驚き、逃げる行動をとるのです。
もう一つの理由は、初めて見るものに対する自然な驚愕反応です。
猫は警戒心が強く、見知らぬものに対して強い恐怖心を抱きます。突然現れたきゅうりに対して「これは何だ」とびっくりするのは自然な反応です。特に日常生活で見慣れていないものに対しては、警戒心が働きやすいです。
きゅうりで猫を驚かせる行為は、猫にとって強いストレスとなります。驚いた猫は、ジャンプして逃げる際に家具や壁にぶつかり、怪我をすることもあるかもしれません。また、飼い主に対して不信感を抱き、攻撃的な態度をとるようになることもあります。
もちろん全ての猫がきゅうりに驚くわけではなく、中には全く驚かない猫もいますが、飼い主として、愛猫にイタズラをするのではなく、安心して暮らせる環境を提供することが大切です。
まとめ
この記事では、猫にきゅうりを与える際の安全性や適量、注意点について詳しく解説しました。
猫にとってきゅうりは基本的に安全な食材ですが、適切な方法で与えることが重要です。きゅうりを与える際は、少量ずつ与え、皮を厚くむいてからにしましょう。
また、腎臓が弱っている猫は、カリウムが高カリウム血症を引き起こす可能性があるので、与えるのは避けなければいけません。
そして、猫が驚く姿が可愛いからといって、きゅうりを見せることは、猫にとってストレスにつながったり、飼い主に対して不信感を抱くことにつながったりすることを理解しておきましょう。
この記事を通じて、きゅうりを与える際のポイントを理解し、愛猫が健康で快適に過ごせるようになれば幸いです。