【獣医師監修】猫はさつまいもを食べても大丈夫?与えてもいい量や与えるときの注意点を解説

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はじめに

さつまいもは、人間が食べるとお通じに良いと言われ古くから親しまれている食材です。

最近ではペットのおやつとしてもよく見かけるさつまいもですが「猫が食べても問題ないのか?」「1日にどのくらいの量なら食べてもいいのか?」など猫にとってさつまいもは安全なのかを詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、猫にとってさつまいもは安心して食べれる食材なのか、どんな注意点に気を付けて与えるべきなのかを徹底的に紹介します。

愛猫にさつまいもを栄養のために与えているという方も、今の与え方で合っているのか確認してみてください。

どんなに栄養価の高い食材も正しい食べ方・適量があるので、ぜひ最後までチェックして愛猫の健康を守りましょう。

猫はさつまいもを食べても大丈夫?

基本的に猫がさつまいもを食べても成分的には問題ありません。

猫にとってさつまいもとはどんな食材なのか、詳しく解説していきます。

さつまいもを食べても問題ない

さつまいもを含む芋類の野菜は、猫にとって害のある食べ物ではないので食べても問題はありません。

しかし元々猫は肉食動物なので、さつまいもを好んで食べない可能性があります。

個体によって好き嫌いがあるので無理にさつまいもを食べさせる必要はなく、欲しがるようなら少量を与えるようにしましょう。

さつまいもに含まれる栄養素

エネルギー140カロリー
水分64.6g
タンパク質0.9g
炭水化物33.1g
ナトリウム23mg
カリウム380mg
カルシウム40mg
マグネシウム24mg
0.5mg
0.13mg
マンガン0.37mg
ビタミンA28μg
ビタミンB10.10mg
ビタミンB20.02mg
ビタミンE1.0mg
ビタミンC25mg
食物繊維皮付き2.8mg、皮無し2.3mg

さつまいもには、猫の身体を作る上で必要な栄養素が豊富に含まれています。

その中でも特におすすめな栄養素を紹介するので参考にしてください。

ビタミンC

さつまいもには、100gあたり25〜29mgのビタミンCが含まれています。

その量は、ビタミンCが豊富なイメージのあるりんごの10倍です。

ビタミンCの働きと猫の身体に与える影響はこちらの表を参考にしてください。

抗酸化作用
  • 老化・加齢を防ぐ
コラーゲンの生成
  • 皮膚や粘膜の健康維持
  • 関節や怪我のの治癒
  • 歯肉炎の予防
白血球の活動強化
  • ウイルスの排除
  • 免疫機能の強化

ビタミンCは、猫の健康維持に必要不可欠な栄養素です。

加齢とともに悩みが増える関節痛や歯肉炎などが予防でき、老化現象を防いでくれます。

免疫機能を強化し、ウイルスの排除も期待できるため病気にかかりにくくするためにも適切な量のビタミンCを摂取することが大事です。

猫は肝臓でビタミンCを合成できる動物ですが、1日で自分自身で作れる量は60mg程になります。

1日に猫が必要とするビタミンCの量が500mgなので、自分自身で必要量を作るのは不可能なため、口から摂取しないとビタミンC不足に陥っている状態です。

さつまいもだけで必要な分のビタミンCを摂取するのは難しいですが、おやつとして与えるにはおすすめな食材になります。

通常ビタミンCは熱に弱いと言われていますが、さつまいもに含まれるビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱調理しても成分が壊れにくいので食べやすい状態にしてから与えましょう。

ビタミンA

さつまいもには100gあたり28μgのビタミンAが含まれています。

ビタミンAの働きと猫の身体に与える影響はこちらです。

視力
  • 網膜色素の構成成分となる
  • 暗順応を正常に保つ
皮膚
  • 皮膚のターンオーバーや皮脂の生産の調整
  • フケを抑える
  • 脂漏症の解消を助ける
妊娠期
  • 胎仔の胚の成長のために必要

猫は体内でβ-カロテンをビタミンAに変換する酵素を持っていないので、ビタミンAを食事から摂取しないといけません。

ビタミンAには視力を正常に保ったり、皮膚や粘膜の維持などの役割があります。

免疫機能の強化や成長促進にも期待できるため、猫にとっても必要不可欠な成分です。

また、ビタミンはA・C・Eを一緒に摂取すると抗酸化力が上がると言われています。

さつまいもにはビタミンA・C・E全ての栄養素が含まれているので、いつまでも愛猫が元気で健康でいて欲しいと思う飼い主さんにはおすすめな食材です。

食物繊維

猫のお腹の調子を整えるためには、食物繊維が重要な役割をもっています。

さつまいも100gに含まれている食物繊維はイモ類の中で最も豊富で、皮を剥いた状態で2.3mgです。

そのうち水溶性食物繊維が0.6g、不溶性食物繊維が1.7g含まれています。

2つの食物繊維の性質と体内での働きはこちらの表を参考にしてください。

食物繊維の種類性質体内での働き
水溶性食物繊維水に溶ける
  • 腸内環境の改善
不溶性食物繊維水に溶けない
  • 便通の改善

水溶性食物繊維は、粘性があるので腸内の毛玉を絡め取り、腸内の動きを活発にします。

不溶性食物繊維は、便に水分を含ませカサ増しする事で便通の改善が期待でき、有害物質の排出も促します。

そもそも食物繊維は、消化吸収されずに大腸まで到達するのが特徴の栄養素です。

カロリーを抑える目的と整腸作用が主な役割になります。

他にも血中コレステロール値を下げてくれる働きや、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることで、糖尿病・虚血性心疾患などの生活習慣病に対しての予防効果もあります。

食物繊維は噛み応えもあり満腹感が得られるので、食物繊維が豊富な食材は体重管理がしたい猫や糖尿病の猫にもおすすめです。

積極的に食べさせる食べ物ではない

さつまいもは多くの栄養成分が含まれていますが、猫は肉食動物なので動物性のたんぱく質を必要としており、さつまいもから身体に必要な成分を十分に摂取することができません。

主食は、キャットフードが1番適しています。

さつまいもはビタミンが豊富ですが、カロリーが高くたくさんの量を食べることはできないため効果を感じるまで与えることはできません。

また、食物繊維も確かにお通じが良くなるなどの効果もありますが、効果が出るまで食べさせてしまうと消化不良や健康を損なう危険があります。

肉食動物の猫がさつまいもを好んで食べているということも考えづらく、栄養補給に向いている食材でもないので積極的に与える必要はないです。

猫が欲しがるようなら適量を餌の+αやおやつとして与えましょう。

猫に与えてもいいさつまいもの量は?

1日に猫に与えて良いさつまいもの量は8g程度です。

栄養があるからと言って与えすぎるのは体に良くないので、与える際は一切れ分にしてください。

猫にとってさつまいもは消化しにくい食べ物

肉食動物の猫にとって、さつまいもは消化のしにくい食べ物です。

さつまいもはお腹の中の水分を吸収し膨張してしまうので、お腹の中にとどまる時間が長くなります。

他の野菜と比べても消化するスピードが遅く、特に加熟していないさつまいもはなかなか消化しないので注意が必要です。

一度に多くの量を与えてしまうと消化不良を起こして吐いてしまったり、便秘・下痢になる危険もあります。

与える頻度や量に注意をして、細かくしたりペースト状にするなど消化しやすい状態で与えるようにしてください。

一日に必要なカロリーの5%以下が目安

猫にさつまいもを与える際、1日に与えても良い量の目安は必要カロリーの5%以下です。

これ以上摂取してしまうと、フードを食べた際にカロリーオーバーする可能性があります。

毎日与える必要はありませんが、欲しがるようなら猫の体重に対して適正な量を与え、与えすぎには注意してください。

体重4kgの成猫なら10kcal以下

猫が1日に必要なカロリーは、体重×70で算出できます。

体重4kgの成猫なら280カロリーなので、1日に摂取して良いさつまいもは14カロリー分です。

必要カロリーの5%以下になるように、10カロリー以下を目安にして与えるようにしましょう。

さつまいものカロリーは100gあたり約126kcal

さつまいもは100gあたり126カロリーなので、8g程度の量を与えるのが理想的です。

適切な量以上に与えすぎると肥満や体調不良の原因になるので、適量を守って与えてください。

猫にさつまいもを与える頻度はどれくらい?

猫は肉食動物なので、健康を維持するためには動物性タンパク質が必要不可欠です。

動物性タンパク質は肉やキャットフードから摂取しますが、さつまいもを食べ過ぎてお腹がいっぱいになってしまうと、身体に必要な栄養素を十分に摂取できなくなります。

特にさつまいもはお腹が膨らむ食材なので、他の食べ物を食べなくなってしまう可能性があります。

猫の健康にとって、さつまいもを主食や常食として考えるのはやめましょう。

毎日は与えない

さつまいもはカロリーが高く、毎日与える食材として適していません。

愛猫に必要な栄養素を与えたいのなら、猫用のキャットフードが1番です。

栄養バランスが整っており、年齢や体調によって最適なものが選べます。

さつまいもは栄養面を見ると良い食材ですが、高カロリーな点を考えると肥満や病気につながる可能性があるので、さつまいとから栄養を摂ることを目的として考えるのはやめましょう。

週に1回程度にしておく

さつまいもを猫に与えたいのなら、週に1回程度で十分です。

猫は肉食動物なのでさつまいもを好んで食べるとは考えづらく、無理に与える必要はありません。

食事の飽き防止や気分を変えたり、何か頑張ったご褒美などで与える程度で良いです。

猫にさつまいもを与えるときの注意点

猫にさつまいもを与える時は、生のまま与えるのは避けましょう。

さつまいも自体は猫の身体に悪影響を与える食材ではありませんが、与え方を間違えると体調を崩す可能性があります。

猫にとって適切な調理法と食べ方を紹介するので、注意点をしっかり確認してください。

皮は消化しにくいため与えない

さつまいもの皮には栄養素が豊富に含まれていますが、皮部分は特に消化不良を起こしやすいです。

猫がさつまいもの皮を食べてしまっても健康上の問題はありませんが、なるべく与えないようにしましょう。

ミキサーで潰したり細かく刻んだりすれば与えてもOK

どうしても皮を与えたい場合は、消化不良を起こさないようにミキサーで潰したり細かくしてから与えましょう。

手間にはなりますが、愛猫が消化不良で苦しまないように必ず下処理をしてください。

必ず加熱する

生のさつまいもは、猫の消化不良に繋がるので必ず加熱してから与えてください。

加熱する方法も油などを使った調理を避けて、茹でるか蒸すのみが良いです。

味付けも必要ないので、素材のまま加熱するのみにしてください。

冷ましてから与える

さつまいもを与える際に加熱調理をしたまま熱い状態で与えると、口の中を火傷する危険があります。

口の中を火傷してしまうと、食べるのを嫌がって食欲不振につながる可能性があるので、必ず冷まして危険のない状態にしてから与えてください。

小さく切っておく

猫がさつまいもを勢いよく食べてしまうと、喉に詰まらせてしまう危険があります。

特に餌を食べるスピードが早い子は注意が必要です。

サイコロ程度の小さいサイズに切っておくか、すり潰すなどの処理をしてから与えましょう。

ごく少量から与えてアレルギーが起きないか確認

猫によってはさつまいもが原因でアレルギー症状を引き起こしてしまう可能性もあります。

アレルギー症状の例
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 鼻水
  • 湿疹

はじめての食材を与える際は、アレルギー症状が出ないかの確認が必要です。

さつまいもを初めて与える時は、少量を少しずつ与えて上記の症状が出ないか確認しましょう。

もしも、急に元気がなくなって明らかに様子が違う・具合が悪そうな時は動物病院へ連れて行ってください。

食物アレルギーはすぐに症状が出ず、長いと1ヶ月後に発症することもあります。

少量で出なかったからと言って、急に与える量を増やしたりせずに様子を見ながら徐々に進めてください。

さつまいもの加工食品は与えない

さつまいもは元々糖質が高いので、調味料を使ったものは与えるべきではありません。

人が食べるような市販の惣菜などは絶対に避けてください。

砂糖や添加物などが多く含まれているためNG

大学芋やスイートポテトなどの砂糖を使った糖質の多い加工品を食べさせるのは危険です。

猫は甘味を感じないので、砂糖などで甘くしたからと言って食いつきが良くなることはありません。

砂糖を多く摂り過ぎてしまうと血糖値が急激に上がる危険や最悪の場合糖尿病を引き起こす原因になってしまいます。

下痢や嘔吐する事もあるので、無駄に砂糖が含まれているさつまいもを与えるのはやめてください。

添加物は、全てが悪いものというわけではありませんが猫にとって危険な場合があります。

注意するべき添加物
  • 亜硝酸ナトリウム
  • フルビル酸カリウム
  • 増粘剤・増粘多糖類
  • BHA・BHT

上記の添加物は、酸化防止剤や保存料に使われていたり発色剤として使われることがありますが、発癌性や肝障害を引き起こす危険があるので避けることが望ましいです。

市販で売られている加工・調理されたさつまいもは砂糖や添加物が含まれていることが考えられるのでわざわざ与える必要がありません。

さつまいもを与える場合は、加工食品ではなく飼い主さんが加熱処理をしたものを与えるようにしましょう。

まとめ

猫にさつまいもを与える際の良い点、注意点を紹介しました。

さつまいもは人間にとって便通を良くしたり、豊富な栄養素を摂るために良い食材ですが、猫にとっては最適とは言えません。

しかし、容量と与え方を間違えなければ体に問題があるわけではないので、おやつやごはんの+αとして上手に与えてください。

さつまいもを好んで食べたがる場合も、健康的だから大丈夫と思わず容量を守ってあげましょう。

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