【獣医師監修】猫はあたりめやスルメを食べられる?危険性や食べてしまっ時の対処法を解説

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はじめに

猫があたりめやスルメを食べられるか気になる方は多いと思います。

しかし、スルメを食べると猫は腰をぬかすと言われる通り、猫に与えるのはお勧めしません。

猫にスルメを与えてしまうと、病気や体調不良になる恐れがあるからです。

今回は、猫がスルメを食べるとどうなるかについて詳しく紹介します。

危険性や食べてしまった時の対処法も詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてください。

猫にあたりめやスルメを与えるのは危険?

まず、猫にあたりめやスルメを与えるのが危険な理由を紹介します。

  • 消化不良の原因になる
  • 塩分過多で腎臓に負担がかかる
  • 尿路結石のリスクが高まる
  • 急性胃拡張や腸閉塞になることも

それぞれ詳しく紹介するので、あたりめやスルメの危険性を理解しましょう。

消化不良の原因になる

まず、猫にあたりめやスルメを与えると危険な理由は消化不良の原因になるからです。

スルメやあたりめは非常に硬い食品であり、猫が噛むのに適していません。

猫の歯は肉を裂くために適応しているため、硬い食べ物を噛み砕くのは困難です。

また、猫はあまり考えずにそのまま飲み込んでしまう恐れもあります。

そうすると、スルメやあたりめを飲み込むことで消化器官に負担がかかり、消化不良を引き起こす原因になるのです。

さらに、猫が消化不良になると病気になる可能性も高まります。

特に、未消化のまま胃や腸に留まると、胃腸閉塞の原因となる恐れがあるのです。

また、お腹を壊して下痢になったり嘔吐になったりします。

塩分過多で腎臓に負担がかかる

次に、猫にあたりめやスルメを与えると危険な理由は、塩分過多で腎臓に負担がかかるからです。

猫に塩分を与えすぎると健康に深刻な影響を及ぼします。

具体的には、猫の体は塩分を処理する能力が低いため、過剰な塩分摂取は腎臓にとって大きな負担になるのです。

腎臓は体内の老廃物や余分な塩分を排出する役割を担っていますが、過度の塩分はこの機能を著しく低下させる可能性があります。

また、長期的に塩分過多の食事を続けると、腎臓病になる可能性が高いです。

さらに、スルメやあたりめは非常に乾燥した食品であり、猫が摂取すると水分不足を引き起こす可能性があります。

猫はもともとあまり水を飲まない動物ですが、塩分の多い食品を食べるとさらに脱水状態になりやすくなるのです。

脱水状態が続くと、腎臓の負担はさらに増し、深刻な健康問題を引き起こす恐れがあります。

他にも、スルメやあたりめには防腐剤や調味料などの添加物が含まれている場合が多く、猫の健康にとって有害です。

添加物によって肝臓に負担がかかるだけでなく、アレルギー反応や消化不良の原因にもなります。

尿路結石のリスクが高まる

3つ目に、猫にあたりめやスルメを与えると危険な理由は、尿路結石のリスクが高まるからです。

尿路結石は猫にとって痛みを伴うだけでなく、治療が必要な深刻な状態を引き起こす可能性があります。

スルメやあたりめにはリンなどのミネラルが豊富に含まれており、結石の原因となることがあります。

尿が濃縮されると、ミネラルが結晶化しやすくなり、尿路結石の形成につながるのです。

尿路結石が形成されると、尿道が詰まりやすくなり、排尿困難や血尿、痛みを伴う症状が現れます。

さらに、スルメやあたりめは非常に乾燥しており、水分が少ない食品です。

猫はもともとあまり水を飲まない傾向がありますが、乾燥食品を摂取するとさらに水分不足に陥りやすくなります。

水分不足で尿の濃度はより濃くなり、尿路結石になるリスクを高めるのです。

また、スルメやあたりめには添加物や防腐剤が含まれている場合が多く、猫の尿のpHバランスを崩し、結石の形成を助長する場合もあります。

急性胃拡張や腸閉塞になることも

最後に、猫にあたりめやスルメを与えると危険な理由は、急性胃拡張や腸閉塞を引き起こす可能性があるからです。

スルメやあたりめは硬く乾燥しているので、猫はうまく噛み砕けず、丸呑みしてしまう場合があります。

その結果、胃の中で急激に膨張する恐れがあるのです。これは急性胃拡張の原因となり、胃が過度に膨らむ時に激しい痛みを引き起こすケースがあります。

最悪の場合、周囲の血管が圧迫され、内臓の血行不良から壊死を起こし死亡する場合もあります。

また、未消化のスルメやあたりめが腸に達すると、腸閉塞のリスクが高まります。

腸閉塞は腸の中で異物が詰まり、食物や消化液の流れを阻害する状態です。

腸閉塞になると猫は強い腹痛を感じ、食欲不振や嘔吐、便秘などの症状が現れます。

腸閉塞は放置すると、腸の一部が壊死する危険性があり、緊急手術が必要になる場合もあり危険です。

猫があたりめやスルメを食べてしまった時はどうする?

次に、猫があたりめやスルメを食べてしまった時の対処法を紹介します。

  • 食べてしまった量を把握する
  • 少量であれば少し様子を見る
  • 大量または食べた量が分からない場合は病院へ相談
  • 食欲低下や嘔吐がないか観察
  • 少しでも異変を感じたらすぐに病院へ

それぞれ詳しく紹介しますので、スルメを食べた際にすぐ対処できるようにチェックしてください。

食べてしまった量を把握する

まず、猫があたりめやスルメを食べてしまった時は、食べてしまった量を把握するのが重要です。

パニックに陥ると正確な判断ができなくなるので、冷静に対処してください。

可能であれば、元の量からどれだけ減っているかを確認しましょう。

量が少ない場合は、大きな問題を避けられる場合が多いですが、大量に食べてしまった場合は注意が必要です。

少量であれば少し様子を見る

次に、猫があたりめやスルメを食べてしまった場合、少量であれば少し様子をみてみましょう。

特に、猫は喉に詰まらせる可能性があるので、苦しんでいないか注意深く観察してください。

また、嘔吐や下痢などの症状がないか確認するのが大切です。

そして、スルメやあたりめは塩分が高いため、猫に水を十分に飲ませましょう。

少量のスルメやあたりめを食べた場合、大きな問題が発生しないケースも多いです。

猫の様子を観察しながら、異常がないか確認し、症状が現れなければそのまま様子を見守りましょう。

大量または食べた量が分からない場合は病院へ相談

猫があたりめやスルメを食べてしまった場合、食べた量が多かったり食べた量が分からかったりする場合はすぐに病院に相談しましょう。

迅速に行動して適切な対応を取ると、猫の健康を守ることができます。

可能であれば、猫が食べたスルメやあたりめの量を確認してください。病院に連れていく際にどのくらいの量を食べたか獣医師に伝えられるようにしましょう。

また、猫の状態を注意深く観察し、他の症状が現れていないか確認してください。

症状を細かく伝えられると、獣医師が猫の状況を判断するのに役立ちます。

他にも、あたりめやスルメの種類や猫の体重をあらかじめ確認しておくと良いです。

迅速に行動して、獣医師がスムーズに対応できるように情報を集めて伝えましょう。

吐かせようとするのはNG

猫があたりめやスルメを食べてしまった場合、吐かせようとしてはいけません。

人間や犬と異なり、猫にあたりめやスルメを吐かせることは難しいです。

また、強制的に吐かせようとすると、喉や食道に傷をつけるリスクがあります。

さらに、異物が逆流してさらに深刻な問題を引き起こす可能性もあるのです。

猫の状態に異常が見られたり、食べた量が多かったりする場合は、吐かせるのではなくすぐに獣医に相談しましょう。

また、異物を除去するのではなく、塩分を軽減するために、猫に十分な水を与えるのが重要です。

食欲低下や嘔吐がないか観察

猫があたりめやスルメを食べてしまった場合、食欲低下や嘔吐がないか観察しましょう。

普段より食欲がないかや食事を拒否するなどの行動が見られるか確認するのが重要です。

また、何度も嘔吐する、嘔吐物に異物が含まれているなどの兆候があるか確認してください。

これらの症状が見られる場合は、猫の健康状態が危険な状態の可能性が高いため、速やかに獣医に相談しましょう。

そして、食欲低下や嘔吐などの明らかな症状が見られない場合でも、猫の様子をしばらく見守ってください。

体調が安定しているようであれば、そのまま様子を見守りましょう。

少しでも異変を感じたらすぐに病院へ

猫があたりめやスルメを誤って食べてしまった場合、少しでも異変を感じたら、直ちに獣医に相談することが重要です。

猫が食べたあたりめやスルメが少量だからといって軽視してはいけません。

食べた量が少なくても病気になる危険性はあるのです。

そのため、少しでも異変を感じた場合は、ためらわずに病院へ連れて行きましょう。

獣医は適切な診断と処置を行い、猫の健康を守るためのサポートをしてくれます。

診察の結果が問題なかったとしても、猫が健康であるのを再確認できるので、ほんの少しの異変でも病院に連れて行ってください。

猫があたりめやスルメを食べると腰を抜かす?

猫があたりめやスルメを食べると腰を抜かすと言われています。

しかし、腰を抜かすと言われているのは、生のイカに含まれる成分が原因です。

詳しく紹介しますので、猫が生のイカを食べると危険な理由を成分から理解しましょう。

生のイカにはビタミンB1を破壊する成分が含まれる

まず、生のイカには、チアミナーゼという成分が含まれています。

チアミナーゼの働きは体内にあるビタミンB1の分解です。ビタミンB1は神経系や筋肉の正常な機能に必要な栄養素であり、欠乏すると神経障害などを引き起こす可能性があります。

そのため、猫が生のイカを食べた場合は、よだれが多くなったりふらついたり食欲低下がみられたりするのです。

そのような症状をみて、猫が腰を抜かすと言われるようになったと考えられます。

チアミナーゼは、ハマグリやタコなどにも含まれているので注意が必要です。

生のイカの摂取は控えるようにし、ビタミンB1欠乏症を防ぎましょう。

加熱調理されたイカならビタミンB1欠乏症にならない

生のイカは加熱調理することで、生の状態とは異なる栄養価になります。

特に、加熱によってビタミンB1を破壊するチアミナーゼがなくなるため、ビタミンB1欠乏症にならないのです。

スルメやあたりめを食べた場合も、加工されているのでビタミンB1欠乏症の心配はありません。

ただし、スルメやあたりめは病気のリスクを高めるため与えるのはやめましょう。

スルメとスルメイカは同じ?

スルメとスルメイカは同じものと認識している方が多いと思います。

しかし、スルメは加工食品の名称であり、スルメイカはイカの種類です。

それぞれの違いを詳しく紹介するので、参考にしてください。

スルメはイカの内臓を取り出して乾燥させたもの

まず、スルメはイカの内臓を取り出して乾燥させたものです。

内臓を取り除くと、スルメの風味がより引き立ち、食感が改善されます。

そして、イカの身を細かく切って乾燥させたものがスルメです。

乾燥させると、スルメは軽くなり保存性が向上します。また、乾燥させると旨味が凝縮され、独特の風味が生まれるのです。

スルメは、昔ながらの製法を用いて手作りされるケースもありますが、近年では工業的に生産されています。

スーパーで手軽に購入でき、日本国内だけでなく海外でも人気です。

また、おやつとして手軽に食べられることから、幅広い年齢層に親しまれています。

スルメイカはイカの種類の1つ

スルメイカは、イカの種類の1つです。スルメイカは、北西太平洋に分布する外洋性のイカであり、北海道周辺で多くみられます。

体長が比較的大きく、胴の長さが最大で約30cmであり、体は茶色や赤みがかった色合いをしているのが特徴的です。

スルメイカは食用として広く利用されており、特に日本ではさまざまな料理に使われます。

刺身や寿司のネタとしてはもちろん、フライや煮物など、さまざまな調理が可能です。

ただし、寄生虫のアニサキスがいる場合があるので生食の際は注意しましょう。

スルメの原料になるイカは?

スルメの主な原料となるイカはスルメイカです。スルメイカはさまざまな料理に使用されていますが、スルメ製品の原料として利用されています。

製造工程では、まずイカの内臓を取り除き、身を乾燥させることが必要です。

乾燥工程によって、スルメは軽くなって、保存性が向上し、独特の風味と歯ごたえが生まれます。

スルメは、日本を代表するおつまみとして広く親しまれており、居酒屋や家庭でも人気です。

風味豊かな味わいと歯ごたえが、お酒との相性を引き立てます。

スルメイカがスルメの原料として利用されて、さまざまな料理やおつまみの楽しみが広がっているのです。

猫がスルメを食べたがったらどうする?

次に、猫がスルメを食べたがった時の対処法を紹介します。

  • 魚系の香りが好きなら似たようなおやつを与える
  • 猫用ジャーキーを与える

それぞれ詳しく紹介しますので、猫がスルメを食べたがる時に対処できるようあらかじめ準備しましょう。

​​魚系の香りが好きなら似たようなおやつを与える

まず、猫がスルメを食べたがる場合、似たようなおやつを与えましょう。

猫は魚系の香りが好きなために、スルメに興味を示している可能性があります。

そのため、魚を原料としたおやつやキャットフードを与えるのがおすすめです。

例えば、鮭やマグロを使用したおやつなどが適しています。

与える際はおやつの量には注意しましょう。過剰な摂取は消化器官に負担をかける恐れがあります。

また、魚系のおやつはおいしいですが、猫の健康を考えるとバランスの取れた食事が重要です。

魚系のおやつを与える際は、主食のキャットフードと合わせて栄養バランスを考えてください。

猫用ジャーキーを与える

次に、猫がスルメを食べたがる場合、猫用のジャーキーを与えましょう。

猫用ジャーキーはスルメに似た風味や食感を持つおやつです。

猫用ジャーキーには魚や鶏肉などを原料としたものがあるので、食べると満足してくれる可能性があります。

ただ、与えるジャーキーの量には注意しましょう。また、 ジャーキーはおいしいですが、猫の健康を考えるとバランスの取れた食事を与える必要があります。

猫がスルメを食べたがる場合、似た風味や食感をもつ猫用ジャーキーで欲求を満たしてあげましょう。

まとめ

猫にはあたりめやスルメを与えてはいけません。

なぜなら、消化不良の原因になったり、塩分過多で腎臓に負担がかかったりして病気のリスクを高めるからです。

もし、猫にあたりめやスルメを与えてしまった場合は、食べた量を把握して少量の場合は食欲低下や嘔吐がないか様子を見ましょう。

食べた量が多かったり異変が見られたりする場合はすぐに病院に連れていくのが重要です。

猫がスルメを食べたがる場合は、魚系の香りのおやつか猫用ジャーキーを与えてください。

スルメやあたりめの危険性を理解して与えるのを避け、猫の健康を維持しましょう。

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