【獣医師監修】猫は牛肉食べても大丈夫?与えるときに注意すべきこと7つ

ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。

はじめに

愛猫がじっと牛肉をみて欲しがる仕草をしてきた時、飼い主としては与えたくなるものです。しかし、牛肉を猫に与えても大丈夫なのかと頭によぎるのではないでしょうか。愛猫が喜ぶ姿は見たいけれど、健康に悪影響がないかは心配です。

この記事では獣医師監修のもと、牛肉を猫に与える際のメリットやデメリット、そして注意すべき7つのポイントを詳しく解説します。

愛猫の健康を第一に考えた上で、牛肉を安全に楽しませる方法をみていきましょう。

猫に牛肉をあげてもいい?

猫に牛肉をあげることは安全なのでしょうか。肉食の猫が牛肉を好むことは自然なことかもしれませんが、実際に与える前に知っておくべきことがあります。

猫に牛肉を与えても大丈夫

多くの猫が牛肉に興味を示すと思いますが、実は適量なら牛肉は猫にとって安全な食材の一つで、与えても問題ありません。

牛肉には動物の体を作る上で必要な栄養素が多く含まれているので、猫にとっては良い食材です。

また、牛肉は猫がアレルギー反応を起こしにくい食材といわれていることも、与えても問題ない理由の一つです。ただし、個体差があるため、初めて牛肉を与える場合は少量からはじめましょう。そして、猫の体調をしっかり観察する必要があります。

猫に牛肉を与えるメリット

牛肉を猫の食事に取り入れることには多くのメリットがあります。

猫の健康を支え、生活の質を向上させるために、牛肉がどのように役立つのか見ていきましょう。

たんぱく質が豊富

牛肉は高品質のタンパク質を豊富に含んでおり、これが猫にとって大きなメリットです。

タンパク質は猫の健康維持に不可欠で、特に筋肉を作ったり、酵素やホルモンに重要な役割を果たしたりします。犬や人間と比べてもタンパク質を必要とする量が多いほどです。

また、タンパク質は体内でエネルギー源としても利用されるため、活動的な猫のエネルギー要求を満たすのに役立つほか、猫が必要とするアミノ酸も効率よく体内に吸収できます。

ビタミンAを摂取できる

ビタミンAが不足してしまうと、目の病気や皮膚病になるリスクが高まります。

牛肉にはビタミンAも多く含まれます。猫にとってビタミンAは皮膚や目の調子を整えるためには欠かせません。

猫に生の牛肉を与えても問題ない?

牛肉を与えることに問題はないことが分かりましたが、生の牛肉はどうなのでしょうか。野生の猫は生肉のイメージがあるため、大丈夫と考える人が多いと思います。

詳しく見ていきましょう。

新鮮なら生肉でも大丈夫

新鮮な生の牛肉ならば、猫に与えることは問題ないといわれています。その理由は、新鮮な生の肉の場合、牛肉本来の味と栄養価が摂取できると考えられているからです。

しかし、生の牛肉はサルモネラ菌や大腸菌などが繁殖しているリスクも否めません。生の肉を扱う場合、細菌の感染リスクを避けるために衛生的な管理が必要です。新鮮な肉を選び、購入後はすぐに適切に冷蔵または冷凍保存しましょう。

牛肉の加工品はNG

猫に牛肉の加工品(ハンバーグやローストビーフなど)を与えてはいけません。

加工品には多くの添加物や調味料が入っており、猫の健康に悪影響を与える可能性があります。

加工品には塩分、砂糖、保存料、香辛料などが加えられており、これらの成分は猫の消化器系に負担をかけたり、塩分過多になると腎臓病などのリスクも高めます。

猫用に作られているおやつやキャットフードなら大丈夫です。

生の牛肉を与えるメリットとデメリット

生の牛肉を猫に与えることは、多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。生肉が持つ栄養の利点と、それに伴うリスクをきちんと理解することが大切です。

生の牛肉を与えるメリット

生の牛肉は栄養が豊富で、高品質のタンパク質を含んでいます。タンパク質は猫の筋肉の発達や、体の健康を支えるのに役立つ大切な栄養素です。

また生の牛肉の場合、加熱処理によって失われがちな栄養素も保たれたままで、豊富に摂取できます。

さらに、生の牛肉は自然のまま猫に与えられるため、人工的な添加物や保存料が含まれていない点も大きなメリットです。

そして肉食動物である猫は、本来の力を取り戻して、不調から復活しやすいともいわれています。

生の牛肉を与えるデメリット

生の牛肉を猫に与えるデメリットもしっかり頭に入れておきましょう。

最も重要なリスクの一つは、生肉が細菌や寄生虫に汚染されている可能性があることです。サルモネラ菌や大腸菌などの細菌は、生の肉に存在し、猫だけでなく人間にも感染します。

また、生肉は消化が難しい場合があり、脂肪分の多い肉の場合には猫の消化機能に負担をかけ、下痢や嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。

また、生肉の与えすぎは栄養バランスを崩す原因になりかねません。

これらの点を考慮して、生の牛肉を猫の食事に取り入れる際は、適切な処理と量を守りましょう。

猫に牛肉を与えるときの注意点7つ

猫に牛肉を与える際にはいくつかの重要な注意点があります。この章では猫の健康を守りつつ、牛肉を安全に与えるために知っておくべき7つのポイントを詳しく解説します。

基本的には加熱した方が安心

牛肉を猫に与える際には、基本的に加熱しましょう。加熱処理をすることによって、肉に存在する可能性がある細菌や寄生虫を殺せます。特にサルモネラ菌や大腸菌などは、生の肉に含まれていることがあるからです。

加熱し危険を減らすことで、猫は安全に肉を食べられます。

日常生活で、新鮮な牛肉を手に入れられることは珍しく、加熱した方がいい牛肉が多いです。新鮮ならそのまま与えても問題ありませんが、基本的には加熱してから与えるようにしましょう。

脂身は与えない

牛肉はほかの肉と比べて脂身が多い肉です。

脂肪が豊富な食事は、猫にとって消化不良を引き起こしやすく、下痢や嘔吐などの消化器系の問題を招くことがあります。

また、脂肪分が高い食事は猫の肥満のリスクを高めます。肥満はただ体重が増加するだけでなく、糖尿病や関節病、心臓病などさまざまな健康問題を引き起こしかねません。

そのため、猫に牛肉を与える際は、脂肪分を取り除いたり、低脂肪の部位を選ぶようにしてください。

味付けはしない

猫に牛肉を与える際は、味付けはしないようにしましょう。

味付けに使用される塩分やニンニク、玉ねぎ、香辛料などは猫にとって有害なものや危険な成分を含んでいるものが多いです。例えば、玉ねぎやニンニクは猫に関して毒性があり、赤血球にダメージを与えて健康問題を引き起こす可能性があります。

塩分の取りすぎは塩分中毒になり、腎臓に負担をかけてしまいます。そのほかの香辛料も、害はなくても消化不良や下痢などを引き起こしかねません。

味付けをすると、猫の食いつきは良くなるかもしれませんが、自然な味のままシンプルに調理して与えましょう。

小さくカットしてから与える

大きな肉をそのまま食べる方がおいしそうに見えるかもしれませんが、猫に牛肉を与える際は、安全性と食べやすさを考えて肉を小さくカットしてから与えましょう。小さく切ることで、猫が食べる際に喉に詰まらせることを防げます。大きさは1cm角のサイコロくらいがいいでしょう。

そうすることで、肉が固い場合や高齢の猫、歯が弱い猫でも安全です。薄い肉も小さめにカットしてあげましょう。

カロリーや過剰摂取に気をつける

猫に牛肉を与える際には、カロリーや過剰摂取になっていないかを気をつけましょう。

牛肉は高カロリーで高脂肪な食品です。適切な量を管理しなければ、猫が肥満になるリスクが高まります。肥満は、糖尿病や心臓病、関節疾患など、さまざまな健康問題を引き起こす原因となるため、注意が必要です。

また、牛肉の過剰摂取は食餌の栄養バランスを崩すこともあります。猫にはバランスの取れた食事が必要で、タンパク質だけでなくビタミン、ミネラル、脂肪などさまざまな栄養素を適切に摂取することが必要です。

牛肉ばかり与え、そのほかの栄養素が不足することがないよう、猫の健康状態を定期的にチェックしてあげましょう。

キャットフードは猫に必要な栄養素がバランスよく摂取できるように作られています。

基本的なフードはキャットフードを与え、たまに牛肉をあげるようにすれば、栄養バランスを考えることも難しくないでしょう。

体調に配慮しながら与える

猫に牛肉を与える際は、猫の健康状態に配慮しながら行う必要があります。

消化器系の問題を抱えている猫や、特定の病気にかかっている猫、シニア猫などは特別な食事管理が必要なことが多いです。健康な猫であれば消化できる量でも、消化がうまくできない場合があります。

また、体調がすぐれないときには猫の消化機能が通常より敏感になっている可能性があるため注意が必要です。

そのため、猫に牛肉を与える際は、その日の体調や持病を考慮し、必要であれば獣医師と相談しましょう。

アレルギーに注意

牛肉はアレルギーが出にくい食材ではありますが、猫も人間と同じように特定の食品に対してアレルギー反応を示す個体もいます。

牛肉アレルギーの猫は、牛肉を食べてしまうと皮膚の痒みや湿疹、消化不良、嘔吐や下痢などの症状があらわれます。

そのため、猫に初めて牛肉を与える場合は、少量から初めて、反応を観察しましょう。

万が一アレルギー反応が見られた場合には、すぐに食べさせるのをやめて必要に応じて獣医師の診察を受けましょう。

猫に与えてはいけない食べ物

猫が安全で健康的な生活をするためには、与えてはいけない食べ物を飼い主がしっかり把握しておく必要があります。

この章では、猫にとっては危険で与えてはいけない食べ物について詳しく解説します。

玉ネギ、ニンニク

赤血球にダメージを与えて貧血を起こす可能性のある玉ネギやニンニクは、猫にとって危険です。

少量であっても、影響の出る量には個体差があるため、猫の体に有害な場合があります。見落としがちですが、濃縮された粉末などはたくさんの量が入っているのと同じなので注意しましょう。

玉ネギやニンニクを大量に摂取した場合、無気力、衰弱、食欲低下、オレンジから濃い赤色の尿として症状にあらわれます。

症状に気づいた時や食べてしまったと気づいた時には、すぐに獣医師に相談しましょう。

生卵、生肉、骨

生卵や生肉は、人間と同じでサルモネラ中毒や大腸菌中毒などの症状を引き起こす可能性があります。これらの菌は人間にも感染してしまうため注意が必要です。

嘔吐や下痢、無気力などの症状に注意しましょう。その他生卵は、皮膚や被毛のトラブルも起こる場合があります。

料理中など猫が近づかないように注意し、料理後は手洗いを徹底してください。

骨は噛み砕くと鋭利な破片になってしまい、猫の口内や消化器官を傷つける可能性があるものです。消化不良も引き起こすことがあり、腸閉塞などの健康問題のリスクも高くなるので注意しましょう。

チョコレート

チョコレートは猫にとってとても危険な食べ物です。人間にとっては安全なテオブロミンと呼ばれる物質がチョコレートには含まれており、摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。これは猫の体ではテオブロミンが代謝されにくいことが原因です。

嘔吐や下痢、不整脈、痙攣、高体温などの症状がおこり、最悪の場合には死に至ることもあります。

高濃度のテオブロミンが含まれているダークチョコレートは、ホワイトチョコレートやミルクチョコレートよりも危険です。また、チョコレートに含まれているカフェインも、テオブロミンと同じグループの物質のため、猫には害があります。

生のパン生地

生のパン生地も猫にとっては危険な食べ物です。

生のパン生地を食べてしまうと、胃の中で膨張してアルコールが発生します。これは猫がアルコールを摂取したことと同じ状況です。

その結果、嘔吐や下痢、呼吸困難や震え、運動失調を引き起こす可能性があり、重度の場合は昏睡や死に至ることもあります。

猫が生のパン生地に触れないように厳重な注意をして料理をしましょう。

牛乳、乳製品

牛乳には乳糖が含まれています。肉食動物の猫は乳糖を分解する酵素がほとんどありません。子猫の時期は分解する酵素が体内に多く存在していたため、母乳を飲んでも大丈夫でしたが、成長するとともに酵素が減少してくるため、成猫は乳糖を分解できず消化不良を起こしてしまいます。

その結果、お腹の調子が悪くなったり、下痢の症状が出てしまったりすることがあります。

個体差もあり、牛乳を飲んでも問題ない猫もいますが、あまりおすすめできません。

ブドウ、レーズン

少量のブドウやレーズンでも猫にとっては腎臓へのダメージがあり、腎機能障害が進むことがあります。

食欲不振、嘔吐や下痢、無気力、腹痛などの症状があり、ブドウやレーズンを食べた可能性がある場合、腎臓へのダメージを疑いましょう。

症状が重くなると、尿の量が減少し、最悪死に至ることもあります。初期の症状は、嘔吐や下痢、元気消失、尿量の減少などなので覚えておいてください。

ブドウやレーズンなどの果物は、猫の手の届かないところに保管し、決して与えないようにしましょう。もしも食べてしまった可能性がある場合には、早めに獣医師に連絡してください。

ドッグフード

猫と犬は必要とする栄養素が違います。

猫はタンパク質やビタミンを犬より多く必要とするため、ドッグフードで必要な栄養素を満たすことができません。

また、タウリンやアラキドン酸は犬の場合体内で合成できますが、猫は食べ物から摂取しなければいけません。

猫がドッグフードを食べると栄養素が不足してしまうため、犬用に作られているドッグフードは猫に適していません。

まとめ

猫に牛肉を与えるときには、いくつかのポイントを守ることが大切になってきます。牛肉は加熱し、脂肪や調味料を避けて与え、飼い主には量の管理やアレルギーなどのチェックが求められます。

これらの注意点を守れば、猫は牛肉の栄養を安全に楽しめます。

RANKING
人気記事ランキング