【獣医師監修】猫に麦茶をあげても大丈夫?注意点や猫が麦茶を好む理由も解説

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はじめに

猫に、麦茶を与えても問題はありません。

飼い主さんが麦茶を飲んでいると、匂いを嗅いできて、欲しがることがありませんか?

猫にとって麦茶の香りは好む香りであり、大好きな猫草に似ている植物なので好まれています。

しかし、好きなだけ与えたり、間違った与え方をしてしまうと、危険な場合があるので注意が必要です。

今回は、猫に麦茶を与える時に、知っておいてほしい注意点や与える方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

猫に麦茶を与えても大丈夫?

猫に麦茶を与えても問題ありません。

健康上影響が出ることも特にないので、安心してください。

しかし、どれだけ問題のない飲み物だとしても過剰摂取は危険なのでやめましょう。

麦茶に含まれるミネラルの量

麦茶に含まれるミネラル成分は、カルシウムやマグネシウムがあります。

麦茶100mlあたりの、ミネラル量はこちらです。

カルシウム0.32mg
マグネシウム0.5mg

どちらの成分も、身体に害がない程度のごく少量しか含まれていません。

カルシウムやマグネシウムを摂り過ぎると、尿路結石症になるのではと不安になる方も多いと思いますが、この程度の量では飲み過ぎない限り問題ないので安心してください。

最近では、ペットボトルの麦茶が多く販売されており、それらの中には熱中症対策でミネラルが多く含まれているものがあります。

麦茶に後から添加物としてミネラルを足しているものになるので、無添加のもの以外は絶対に選ばないでください。

猫が通常飲む量なら心配ない

3〜4kgの猫が1日に接種して良い量は、カルシウム約1g、マグネシウムが約70mgです。

上記の表でも紹介したように、麦茶に含まれているミネラルの量は少量だし、猫が1日に100ml以上の麦茶を飲むことはあまり考えられません。

通常時に少量の飲む量なら、特に心配はいらないでしょう。

水の代わりに麦茶を与えるのではなく、おやつやご褒美のような感覚で、麦茶を与えるのがおすすめです。

猫はなぜ麦茶が好きなの?

飼い主さんが麦茶を飲んでいると、目を話した隙にコップに顔を突っ込んでしまう猫がいるほど、猫は麦茶が好きです。

なぜ麦茶が好きなのか、確実なことはわかっていませんが、匂いを好んでいると考えられています。

麦茶は猫草と成分が近い

猫にとって嗜好品の存在の猫草は、イネ科の植物です。

麦茶の元となる麦も、同じイネ科の植物なので成分が似ているから猫が好むのではと考えられています。

猫草は、猫の消化を助けたり、毛玉を吐き出す時に役立つのですが、麦茶にも胃の粘膜を保護したり、炎症を抑える効果があります。

猫は、本能的に自分にとって良いものを見分けられると言われているので、麦茶も自分の身体にとって良いものと判断しているのかもしれません。

麦茶のニオイが猫に好まれる

麦茶の香ばしい匂いは、猫が大変好む香りです。

酸化しにくく、常に新鮮な匂いがする麦茶は、一度嗅いだら止まらなくなってしまうので、飼い主さんが飲んでいる麦茶を欲しがったり、置いておいたコップに頭を突っ込んで飲もうする姿が良く見られます。

可愛い姿ではありますが、危険なので飲んでいる麦茶の置きっぱなしには気を付けましょう。

猫は嗅覚が優れており、好き嫌いは味覚よりも匂いで判断することがあるので、好みの香りがすると自然と惹かれてしまうようです。

猫に麦茶を与える方法

猫に麦茶を与えるのは問題ありませんが、与える時は以下の方法で試してみてください。

一度に大量に与えるのは良くないので、注意してください。

少量だけあげる

まずは、少量の麦茶をあげるようにしましょう。

猫は、そもそも水分をあまり飲まない動物です。

なので、麦茶を与えても大量に飲んでしまうと言うことは考えづらいですが、もしも勢いよく飲んでしまった時に身体に異変が起きる可能性があります。

どうしても与えなければいけない飲み物ではないので、欲しがった時に少量だけ与えるようにしてください。

普段水をあまり飲まない子でも、麦茶の匂いに誘われて過剰摂取してしまう危険があるので、必ず飼い主が管理し、好きなだけ飲まないようにしましょう。

水で薄めてから与える

猫に麦茶を与える時は、匂いが残る程度に水で薄めてから与えてください。

そのまま与えても少量なら身体への影響はほとんどないと言われていますが、水で割ることでより成分を薄められます。

麦茶の濃い味を覚えてしまうと、普段飲んでいる水を嫌がってしまう可能性もあるので、少し匂いが残る程度で与えれば十分です。

猫が普段からよく水を飲んでくれる場合は、わざわざ麦茶を与える必要はありません。

夏場の熱中症が危険な時期や、体調不良などで十分に水分を摂れていない時に、与える程度にしましょう。

猫に麦茶をあげる時の注意点

猫に麦茶を与える時の注意点を紹介するので、与える前に必ず確認してください。

どんなに安全な成分でできていても、人間のために作られた飲み物なので、猫の体の大きさと人間の体の大きさの違いだけでもわかるように、与え方によっては危険があります。

日常的に飲み物の代わりとして与えることは避ける

猫に麦茶を飲ませても大丈夫とはいえ、日常的に飲み水として与えるのはやめましょう。

あまり水を飲まない猫にとっては、好きな匂いの麦茶をあげれば水分不足の防止になりますが、飲み過ぎれば成分の過剰摂取の危険があります。

熱中症対策や水分不足の時など、どうしても水分をとってほしい時だけ与えるようにしてください。

あまり日常的に与えすぎると、麦茶じゃなければ飲まなくなってしまうこともあります。

可愛いからと言って好き放題与えずに、タイミングや量を飼い主がしっかり管理してください。

添加物が入っていない麦茶を選ぶ

最近、市販で販売されているペットボトルがありますが、その中には熱中症対策のためにミネラル添加物が多く含まれているものがあります。

人間にとってはありがたい成分ですが、猫にとっては過剰摂取に繋がってしまうため注意が必要です。

猫にペットボトルの麦茶を与える時は、添加物が入っていないかをしっかり確認しましょう。

パックで作る麦茶もペットボトルの麦茶も、添加物が入っていないか、入っている成分は安全かを、与える前に必ずパッケージなどで確認してください。

成分がわからない方は、無添加と書かれている麦茶を選ぶと安全です。

麦茶パックは取り除いておく

家庭で麦茶を作る時は、麦茶パックを使うという方がほとんどです。

猫は、麦茶の匂いに反応してしまうので、麦茶パックをそのままにしていると、パックを破って口にしてしまう可能性があります。

麦茶が安全とは言え、中の茶葉を直接飲み込んでしまえば消化不良で体調を崩す可能性があります。

麦茶パックを使用する場合は、必ず猫の手に届かない場所に置いてください。

また、ボトルなどで作る時は、出来上がり次第麦茶パックを取り除いておきましょう。

もしも食べてしまった時は、無理やり吐かせたりせず、すぐに動物病院に連れて行ってください。

アレルギー反応を起こす猫もいる

猫が麦茶を飲んだ場合、アレルギー反応を起こしてしまう可能性があります。

食物アレルギーは身体の中の免疫機能がタンパク質に反応すると、様々な症状を引き起こすので、少量のタンパク質が含まれている麦茶でも注意が必要です。

カフェインが含まれていないので、カフェイン中毒になる事はありませんが、アレルギーが起こることは稀にあるので注意してください。

特に、元々食物アレルギーを持っている猫は、麦茶を与えるのは避けたほうが良いです。

考えられるアレルギー症状を紹介します。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 目が充血する

麦茶を飲んだ後に、以上の症状が見られた場合は、すぐに動物病院に連れて行ってください。

その際に、何時頃に麦茶を飲んだか・どのくらいの量を飲んだかを聞かれることがあるので、覚えておきましょう。

麦茶以外で猫に危険な飲み物は?

麦茶が安全だからと言って、人間が飲んでいる飲み物が安全ではなく、猫にとって危険なことが多いです。

緑茶やコーヒー

緑茶やコーヒーにはカフェインが入っています。

カフェインは、中枢神経に強い興奮作用を起こしてしまうので、猫には絶対に飲ませないようにしましょう。

猫の体重1kgに対し、カフェイン量150mgを与えると致死量になります。

20mgを与えた頃から身体に異変が出るので、誤飲に注意してください。

危険な飲み物100mlに含まれるカフェイン量はこちらです。

緑茶10〜160mg
コーヒー60mg
烏龍茶20mg
ほうじ茶10〜20mg
紅茶30mg
抹茶320mg

100mlを猫が飲むとは考えづらいですが、個体差があるので少量でも体調を崩してしまう猫もいます。

猫は人間より身体も小さく、カフェインに対し強く反応してしまうので、わずかな量でもカフェイン中毒なる危険があります。

カフェインを摂取してしまった時の症状はこちらです。

カフェイン摂取による症状
  • 異常な興奮状態に陥る
  • 嘔吐や下痢
  • 食欲がなくなる
  • 動悸やめまい
  • 呼吸困難
  • 痙攣
  • よだれをたらす

カフェインを摂取後、呼吸がハァハァと苦しそうになったり、痙攣が起こっていたり、よだれや意識障害が出ている場合は、早急に動物病院に連れて行きましょう。

様子を見たり、家庭で無理やり吐かせるなどの応急処置は、猫の身体に負担がかかり危険なのでやめてください。

カフェイン中毒の症状は、摂取1~2時間後に出ることが多いですが、48時間は注意が必要です。

普段人間が口にしても何ともないお茶でも、猫にとっては危険な飲み物になるので、絶対に与えないでください。

特に茶葉をそのまま使用する抹茶や玉露のカフェインの量は、緑茶よりもはるかに多いため危険度も高いです。

抹茶や玉露を使用したお菓子も危険なので、猫が食べてしまわないように注意しましょう。

ミネラルウォーター

猫にミネラルウォーターを与えるのは、危険なのでやめてください。

ミネラルウォーターと聞くと、人間の身体にも良いし、猫に与えても問題ないと考える方も多いと思います。

しかし、ミネラルと名前にも入っている通り、ミネラル成分であるマグネシウムやカルシウムが多く含まれているので、与えてはいけません。

猫は、ミネラル成分を多く与えてしまうと、膀胱や腎臓内に結石や結晶ができやすくなるため、尿路結石になる危険があります。

特に外国産のミネラルウォーターは、硬水のものが多いので避けてください。

どうしても市販で販売されている水を与えないといけない時は、軟水を選んでください。

硬水と軟水は1ℓに含まれるミネラル成分の量で決まります。

WHO(世界保健機関)の規定と日本でのミネラル成分の濃度の規定はこちらです。

軟水中硬水硬水
WHO(世界保健機関)120mg/ℓ以下120mg/ℓ以上
日本0〜100mg/ℓ101〜300mg/ℓ301mg/ℓ以上

国によって算出方法が違いますが、目安として確認してください。

硬水に含まれるミネラル成分は、地下の岩石から長時間かけて溶け出しています。

ヨーロッパなどの地層に滞在する時間が長いとミネラル成分が豊富に含まれますが、日本は地層的に水が長時間留まることがないので、天然水にミネラル成分が少ない軟水の水が多いです。

軟水の中には、水道水よりもミネラル成分が少ないものや、含まれていないものもあります。

与える前に、パッケージに書かれている成分表を確認し、安全を確かめてください。

アルコール

猫は、アルコールを肝臓で分解することができないため、少量でも摂取してしまうと身体に異常が起こる可能性があります。

アルコールを摂取した時に、見られる症状はこちらです。

アルコール中毒の症状
  • 意識が朦朧とする
  • 昏睡状態に陥る
  • 心肺機能が鈍くなる
  • 呼吸の低下
  • 嘔吐や下痢
  • 震え
  • 嘔吐物が詰まって呼吸困難になる

アルコールが入った飲み物を誤飲してしまった場合、アルコール中毒になって意識を失ったり、最悪の場合は命を落としてしまうことになりかねません。

少量でも危険なので、アルコールが入っている飲み物は絶対に与えないでください。

また、料理にもアルコールが使われているものがあります。

火を通して完全にアルコールが飛んでいるものならまだ良いですが、料理の過程にお酒を使っているなら与えない方が良いです。

他にも、除菌シートやアルコール配合の消毒液なども危険なので、使用後はすぐに捨てて、保管する場所も必ず猫の届かないところにしてください。

もしも、アルコール類を誤って口にした場合は、嘔吐や下痢の症状と意識障害や震えの神経症状が出ます。

かなりの量を飲んでしまった場合は、呼吸の低下や昏睡状態に陥る危険があるので、絶対に目を離さないでください。

そのような中毒症状が現れた場合は、早急に動物病院へ連れて行きましょう。

重症な場合は、命をとりとめても肝臓などの内臓機能に障害が残る可能性があります。

かなり危険なので、絶対にふざけて飲ませたり、飼い主が飲んでいたお酒を置きっぱなしにする事はやめてください。

まとめ

今回は猫に麦茶を与える時の注意点や、与え方について解説しました。

猫によって、水分補給が苦手な子がいるのも事実なので、その場合は少量を薄めて与えることも一つの解決策になりますが、基本的に猫の水分補給は水で十分です。

過剰摂取は、体調不良の原因になってしまうので、絶対にやめてください。

その他にも、猫にとって危険な飲み物を紹介しているので、安全に愛猫と過ごすためにぜひ参考にしてください。

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