【獣医師監修】猫にはちみつを与えるメリット・デメリットと注意点を詳しく解説

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はじめに

猫の健康は、飼い主にとってとても大切なことだと思います。その中で、猫にはちみつを与えることについては意外と知られていないのではないでしょうか。

はちみつを猫に与えることは可能ですが、その際にはメリットとデメリットが存在します。この記事では獣医師監修のもと、猫にはちみつを安全に与えるための具体的なアドバイスと、注意点を詳しく解説します。

猫にはちみつを与えても大丈夫?

結論から言うと、猫にはちみつを与えても問題ありません。しかし、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、はちみつを与えるのは成猫に限り、適量を守ることが大切になってきます。子猫に与えてはいけない理由は、成長途中の子猫は消化機能が未熟なため、ボツリヌス菌の芽胞(がほう)に感染するリスクの心配があるためです。

猫は甘みを感じる能力が人間ほど発達していないため、ハチミツの甘さ自体を楽しむわけではありません。それでもはちみつの粘り気や、とろみを好む猫がいるようです。

また、マヌカハニーのような特定の種類のはちみつは、抗菌効果が高く評価されていますが、量を控えめにしたとしても与えるのは成猫に限ります。

はちみつを猫に与える際は、適量を守り、食事とのバランスを考えることが大切です。過剰なはちみつの摂取は、肥満や健康問題を招く可能性があります。

猫にはちみつを与えるメリット

猫にはちみつを与えることには多くのメリットがあります。

はちみつにはビタミンB1、B2、C、カリウムなどが含まれており、これらは猫の健康をサポートするために重要な栄養素です。特に食欲が落ちている猫はこれらの栄養素を効率よく摂取できるため、体力回復につながります。

また、はちみつは粉薬を投与する際にも役立ちます。

猫はあまり甘みを感じませんが、はちみつの粘り気のある質感が薬の味を中和し、飲み込みやすくしてくれるため、ストレスなく薬を与えられるのです。ただし、はちみつの使用量は控えめにして、あくまでも風味付け程度にしておきましょう。

そのほか、はちみつには自然な殺菌・抗菌効果があり、口内炎の炎症を和らげる効果があるとされています。特にマヌカハニーのような高品質なはちみつは、強い抗菌性により猫の口内炎の痛みを軽減する助けになります。

はちみつを与える際は、純粋なはちみつを選び、加工されたものや加糖されたものは避けましょう。

はちみつの栄養素

はちみつにはどのような栄養素が含まれているのか、その栄養素が猫の健康をどのように支えるのかを見ていきましょう。

ビタミン

はちみつに含まれるビタミンは、猫の健康をサポートする上でとても重要です。特に、ビタミンB群(B1、B2、B6)とビタミンCが豊富に含まれています。

ビタミンは免疫力を向上させる効果があるだけでなく、代謝を促し、皮膚や粘膜を健康に保つ役割をし、ビタミンCは抗酸化作用が強いため、健康維持に役立ちます。

これらのビタミンは活性型で、少量で効果を発揮するため、はちみつを摂取することで、必要なビタミンを効率よく補給できるのです。

ミネラル

はちみつはカルシウム、マグネシウム、ナトリウムといったミネラルも含んでいます。これらのミネラルは猫の骨の健康維持や、筋肉機能の正常化に不可欠です。

特にカルシウムは、骨格を強化し、マグネシウムはエネルギーの代謝や神経伝達に重要な役割を果たします。

ミネラルは体内で多くの生理的機能を支えるため、はちみつを通じてこれらを摂取することは、猫の全体的な健康状態を向上させる効果が期待できるのです。

カリウム

はちみつに含まれるカリウムは、猫の心臓の健康や筋肉機能を支える重要な栄養素です。

カリウムは体内の電解質バランスを整え、高血圧の予防にも役立ちます。さらに、カリウムは細胞の機能維持に必要なミネラルであり、適切な量を摂取することで、猫の体液のバランスを保ち、健康をサポートします。

はちみつから得られるカリウムは、猫にとって自然で安全な形で栄養補給ができるものなのです。

猫にはちみつを与えるデメリット

はちみつが猫の健康にプラスの効果をもたらす一方、デメリットがあることも見逃せません。この章では猫にはちみつを与える際に隠れているリスクと注意点について解説します。

血糖値の変動

猫にはちみつを与えると、主成分である糖分が急速に吸収され、血糖値が一時的に急上昇することがあります。

猫の体は元々炭水化物の代謝に適しておらず、急激な血糖値の上昇はインスリンの過剰分泌を招く可能性があります。これにより、血糖値の急激な変動が生じて、長期的に糖尿病のリスクを高めてしまう危険性が考えられるのです。

また、血糖値が急上昇すると、猫は一時的に満腹感を感じるため、通常の食事を避けがちになり、栄養バランスが崩れてしまうこともあります。

カロリー過多

はちみつは糖質が主成分であり、猫にとっては高カロリーな食品です。

猫は小型で、1日に必要なカロリー量も限られているため、はちみつのような高カロリー食品を過剰に摂取すると、簡単にカロリー過多になってしまいます。

カロリー過多は肥満の原因となり、肥満は糖尿病、心臓病、関節病などさまざまな健康問題を引き起こすリスクを増加させます。特に肥満傾向にある猫や運動量が少ない猫にはちみつを与える際には、注意しなければいけません。

小さじ1杯のはちみつでさえ、猫にとっては過剰なカロリー摂取となるため、与える量を厳しく管理することが求められます。

ボツリヌス菌の危険性

はちみつの中には、自然に存在するボツリヌス菌の芽胞が含まれている場合があり、健康リスクを引き起こすことがあります。

特に腸内環境が未発達な子猫は、この芽胞が腸内で発芽し、毒素を発生するリスクが高いです。これによりボツリヌス症が引き起こされると、神経系に影響を与えるため、最悪の場合は死に至ることもあるほどです。

日本国内で販売されているはちみつの、約5%にボツリヌス菌が含まれているとの報告がありますが、成猫であっても内臓機能が衰えている場合や、何らかの疾患を抱えている場合には、はちみつの摂取は避けたほうが良いでしょう。

ボツリヌス菌による症状を防ぐためにも、猫にはちみつを与える際は、量を少しにして、健康状態をよく観察することが大切です。万が一、はちみつを摂取した後に異常が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

アレルギー

猫にはちみつを与える際には、アレルギー反応のリスクを考えなくてはいけません。

はちみつには微量の花粉が含まれていることが多く、これがアレルギーの原因となることがあります。特にアレルギー体質の猫には、はちみつを与えることで下痢や嘔吐、皮膚のかゆみ、目の充血、元気消失といった症状があらわれる可能性が高まります。

新しい食材としてはちみつを取り入れる際は、まずはごく少量からはじめ、猫の体調に異常が出ていないか慎重に観察しましょう。

万が一アレルギー症状があらわれた場合は、すぐに摂取をやめて、獣医師の診察を受けることが必要です。

アレルギー反応は猫の健康に深刻な影響を与えることがあるため、はちみつを与えることを考えている飼い主は、リスクを十分に理解し、獣医師と相談の上で与えるかどうか判断すべきです。

はちみつには3種類ある?

はちみつにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると3つに分けられます。

それぞれのはちみつの特徴と違いについて解説していきます。

純粋はちみつ

純粋はちみつは、非加熱で加工を施さずに製造され、果糖やブドウ糖の添加もない自然の状態のはちみつです。

花の種類によって異なるビタミンやミネラルを豊富に含み、栄養素を効果的に摂取できます。純粋はちみつは自然な風味と栄養価が高く評価され、健康維持に役立つとされています。

精製はちみつ

精製はちみつは、色や臭いを取り除くために精製加工が施されたはちみつです。加工により、はちみつ本来の栄養素が失われることがあります。そのため、栄養素を重視する場合、純粋はちみつを選ぶ方が良いでしょう。

精製はちみつは、食品加工の際に見た目や風味を均一にする目的で使われていることが多いです。

加糖はちみつ

加糖はちみつは、純粋はちみつに果糖やブドウ糖が添加されたものです。

加糖は猫にとって不要な糖分を増やすことになるので、特に猫の健康を考える場合はおすすめできません。加糖はちみつは、甘味を強くするためやコスト削減の目的で製造されることがありますが、健康面から見ると純粋はちみつの方が適しています。

猫にはちみつを与えるときの注意点

猫にはちみつを与える際は、いくつかの重要な注意点があります。これらははちみつを安全に猫に与えるために、知っておかなくてはいけないことばかりです。

少量を与える

猫にはちみつを与える際、量は控えめにしておきましょう。

猫が一度に舐める量としては、鼻先につける程度の少しの量で十分です。

はちみつは高カロリーな食品で、猫にとって主食とはなりません。そのため、はちみつを補助的な食品と考え、通常の食事の栄養バランスを崩さないように注意が必要です。

また、猫が総合栄養食のキャットフードを主に食べている場合は、すでに必要な栄養が十分に供給されています。この状況では無理にはちみつを加える必要はなく、猫がはちみつを好まない場合、強制的に与えるのは避けましょう。

はちみつを初めて与える際は、特に微量から始めて、その後の反応を注意深く観察しましょう。何らかの異常が見られた場合は、すぐに獣医師の診断を受けることが重要です。

はちみつの与え方については、猫の健康を第一に考え、適切な量と頻度を心がけることが求められます。

猫に与えていいはちみつの量

猫にはちみつを与える際に、量を制限することはお伝えしましたが、実際にはどれくらいなのでしょうか。

健康な成猫は、一回の摂取量をティースプーンの上に少しのせる程度で、小さじ1/3程度が適量とされています。この量ならば、猫の健康を害することなく、必要に応じて栄養補給が可能です。

はちみつを猫に初めて与える場合は、さらに少ない量から始めることをおすすめします。まず、一滴だけ与えてみて、その後猫の健康状態や行動に異常がないかを細かく観察することが大切です。アレルギーや体調不良がみられた場合は、すぐに摂取を注意し、必要であれば獣医師に相談しましょう。

生後12ヶ月未満の子猫や体重1kg未満の小さな子猫には、はちみつを与えることは推奨されていません。消化器官がまだ十分に発達していないため、ボツリヌス菌のような病原体によるリスクが高まる可能性があるからです。

猫が肥満気味の場合や、すでに特定の健康問題を抱えている場合も、はちみつの摂取は慎重に行う必要があります。追加のカロリーが糖尿病やその他の症状を悪化させる可能性があるからです。

はちみつを猫に与える際は量と頻度に注意し、猫の反応を常に観察することが求められます。

加熱せずにそのまま与える

猫にはちみつを与える際は、加熱せずにそのまま生の状態で与えることが推奨されています。

はちみつに含まれるビタミンや酵素は、非常に熱に敏感で、加熱処理をするとこれらの有効成分の大部分が破壊されてしまいます。生のはちみつは、そのままの形でビタミンや酵素、ミネラルなどの栄養素があり最大限に活用できるのです。

また、はちみつの種類によっては特有の風味があり、猫にとっては好ましくない場合があります。そのようなときは、はちみつの種類を変えてみるか、ウェットフードに混ぜて与えてみましょう。液状でも舐めにくいはちみつの場合は、少量の水で薄めて与えることで摂取しやすくなります。

はちみつを加熱してしまうと、殺菌抗菌効果を含む多くの健康効果が損なわれるため、純粋な生はちみつをそのまま提供することが、猫にとって最も良い与え方です。

ただし、加熱処理によりボツリヌス毒素は不活化されるため、はちみつの安全性については慎重に判断する必要があります。特に子猫や健康状態に問題のある猫は、細心の注意を払いましょう。

固形のものは液状にして与える

固形のはちみつは猫が食べる際に窒息するリスクがあるため、安全性を考え液状に変える必要があります。はちみつを液状にすることで、猫が舐めやすくなり、安全に摂取できます。

また液状のはちみつは混ぜやすいため、ウェットフードにも加えやすく、猫に与えやすくなるというメリットもあります。

固形はちみつを使用する場合は、適量を温めてやわらかくし、完全に液状になるまで待ってから猫に与えることが大切です。

液状にすることが難しいのであれば、固形状のものは避けましょう。

猫の口内炎にハチミツが効く?

猫の口内炎は痛みが強く、食事をするのも難しくなることがあります。

はちみつの中でも、特にマヌカハニーには、抗菌・抗炎症、抗酸化作用があり、口内炎の症状を緩和する助けになることがあります。

マヌカハニーに含まれるメチルグリオキサールは、ピロリ菌を死滅させる強力な抗菌作用を持つとされ、一般のはちみつより効果が高めです。

はちみつは、猫が口内炎で生じる痛みや炎症を和らげるため、直接口内に少量塗る方法がおすすめです。これにより、症状の緩和がみられる場合がありますが、効果には個体差があるため、全ての猫に同じ結果がでるとは限りません。

はちみつの使用はあくまで補助的な措置です。口内炎がひどい場合や他の病気の兆候がみられる場合は、必ず獣医師の診断を受けましょう。

まとめ

猫にはちみつを与えることはメリットもありますが、デメリットや注意すべき点も多く存在します。はちみつは抗菌・抗炎症効果が期待でき、特にマヌカハニーは効果がはっきりとしています。

しかし、猫は本来肉食なため、糖分の摂取は控えめにするべきです。

適量を守り、子猫や健康に問題がある猫への与え方には注意しましょう。

はちみつを与える際は、加熱せず生の状態で少量を与えるようにしてください。また、何らかの症状があらわれた場合は、すぐに獣医師の診断を受けることが重要です。

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