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はじめに
猫が鮭を好きなイメージをお持ちの方は多いと思います。猫には鮭を与えても大丈夫ですが、過剰に与えてはいけません。
鮭を過度に与えると病気やカロリー過多などのリスクが高まるのです。
今回は、猫への鮭の与え方を紹介します。
鮭の栄養成分や与える際の注意点を解説するので、猫に鮭を与える際はぜひチェックしてください。
猫は鮭を食べられる?
猫は鮭を食べても問題ありません。食べても大丈夫な理由を詳しくみていきましょう。
有害な成分は含まれていないので食べて大丈夫
鮭は猫にとって安全な食べ物であり、有害な成分は含まれていません。そのため、鮭は猫が食べても大丈夫な食品として広く認識されています。
鮭は栄養価の高い魚であり、特にタンパク質が豊富です。猫の体は肉食動物として進化してきたため、鮭のような動物性たんぱく質は消化しやすく、エネルギーの源となります。
さらに、鮭にはビタミンDやビタミンB群、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)といった栄養素も豊富です。
ただ、生の鮭にはビタミンB1を分解する酵素が含まれており、大量に食べた場合にビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
鮭に含まれる主な栄養成分
次に、鮭に含まれる主な栄養成分を紹介します。
- タンパク質
- EPA
- DHA
- ビタミンB群
- ビタミンD
- ミネラル
それぞれ詳しく紹介するので、猫に与えたい栄養成分や効果が期待できるかチェックしましょう。
タンパク質
まず、鮭に含まれる主な栄養成分はタンパク質です。猫は基本的に肉食動物であり、そのため動物性タンパク質が欠かせません。
タンパク質は、猫の体内で筋肉の発達や修復、免疫機能の維持、酵素やホルモンの生成などに使用されます。
鮭に含まれるタンパク質はアミノ酸バランスも優れており消化しやすいです。特に、成長期の子猫や活動量の多い猫にとって、十分なタンパク質の摂取が必要になります。
さらに、鮭のタンパク質は、皮膚や被毛の健康にも寄与します。しっかりとした毛並みを維持するためには、十分なタンパク質が必要です。
EPA
次に、鮭に含まれる主な栄養成分はEPA(エイコサペンタエン酸)です。EPAは、オメガ3脂肪酸の一種であり、鮭に豊富に含まれています。
EPAは抗炎症作用が強く、関節炎やアレルギーなど、炎症に関連する症状の緩和に効果的です。特に高齢の猫やアレルギー体質の猫にとって、EPAは症状の管理や改善に役立ちます。
また、EPAは心血管系の健康にも寄与します。EPAは血液をサラサラにし、血栓の形成を防ぐ効果があるため、心機能のサポートが期待できます。
さらに、EPAは猫の皮膚や被毛の健康にも良い影響を与えます。皮膚を保湿し、被毛を艶やかに保つ効果が期待できるため、美しい毛並みを維持するためには欠かせない成分です。
DHA
3つ目に、鮭に含まれる主な栄養成分はDHA(ドコサヘキサエン酸)です。DHAは、EPAと同じくオメガ3脂肪酸の一種であり、鮭に豊富に含まれています。
猫の脳は高い脂肪含有量を持ち、DHAは主要な構成要素の1つです。そのため、DHAを含む食事は、猫の脳機能の維持や、認知機能の向上に関係しています。
子猫にとって、DHAは脳の発達において特に重要です。成長期に十分なDHAを摂取すると神経細胞の発達が促進され、学習能力や視覚機能の向上が期待できます。
ビタミンB群
4つ目に、鮭に含まれる主な栄養成分はビタミンB群です。ビタミンB群は、エネルギー代謝をサポートし、猫が日常的に必要とするエネルギーを効率的に生成するのに役立ちます。
特に、鮭に含まれているのはビタミンB1やビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12などです。
ビタミンB1は、炭水化物の代謝に関与し、神経系の正常な機能を維持するのに役立ちます。ビタミンB2は、エネルギーの生成とともに、皮膚や被毛の健康維持が可能です。
ビタミンB6は、アミノ酸の代謝や血液、炭水化物などの代謝をサポートします。また、ビタミンB12は、赤血球の生成に必要であり、貧血を防ぐことが可能です。
ビタミンD
5つ目に、鮭に含まれる主な栄養成分はビタミンDです。ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助け、ミネラルが適切に骨に取り込まれるようにサポートします。
カルシウムとリンは骨の主要な構成要素であり、バランスが崩れると骨が脆くなったり、骨折しやすくなったりするリスクが高いです。
また、ビタミンDは免疫機能の調整にも関与しており、猫が感染症や病気に対する抵抗力を維持するのに役立ちます。
免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなり、病気が重症化するリスクが高くなるので、ビタミンDの摂取が大切です。
ミネラル
最後に、鮭に含まれる主な栄養成分はミネラルです。鮭には猫の健康維持に不可欠なさまざまなカルシウムやリン、マグネシウム、亜鉛などのミネラルが含まれています。
カルシウムとリンは、猫の骨と歯の健康を支える主要なミネラルです。特に成長期の子猫にとって、ミネラルは強い骨格を形成するため欠かせません。
また、カルシウムは筋肉の収縮や神経伝達にも関与しており、猫が活発に動くためには欠かせない栄養素です。
マグネシウムは、エネルギー代謝全般に関与しており、筋肉と神経の正常な機能を維持するのに役立ちます。
亜鉛は、猫の皮膚や被毛の健康に重要な役割を果たします。亜鉛は細胞の修復や再生を促進し、傷の治癒を早めることが可能です。
猫に鮭を与える際の注意点
次に、猫に鮭を与える際の注意点を紹介します。
- 与える量に気を付ける
- ビタミンB1欠乏症になるリスクがある
- アニサキス食中毒に注意する
- 塩分過多にならないようにする
鮭は栄養効果が高いですがリスクもあるので、チェックしてから猫に与えてあげてください。
与える量に気をつける
まず、猫に鮭を与える際は与える量に注意してください。与える際の適量を詳しくみていきましょう。
1日の最適カロリー量の10%以内にする
猫に鮭を与える際には、1日に摂取するカロリーの10%以内に抑えることが推奨されています。
猫は比較的小柄で、必要とするカロリー量も限られているため、過剰なカロリー摂取は肥満の原因になりやすいです。
例えば、一般的な猫が1日に必要とするカロリーは250〜300kcal程度になります。そのため、鮭からのカロリー摂取量は25〜30kcalを目安にするのが理想的です。
鮭は脂肪分が比較的多く、カロリーが高い食材であるため、猫が日常的に食べるフードと合わせて適切なバランスを保ちましょう。
過剰に与えると、肥満やその他の健康問題を引き起こすリスクが高まります。
ビタミンB1欠乏症になるリスクがある
次に、猫に鮭を与える際はビタミンB1欠乏症に注意してください。ビタミンB1欠乏症になる理由や症状を詳しくみていきましょう。
生の鮭にはビタミンB1を分解する酵素が含まれる
生の鮭にはチアミナーゼという酵素が含まれており、ビタミンB1を分解するのでビタミンB1欠乏症になるリスクがあります。
ビタミンB1は猫の神経系や心臓、筋肉の正常な機能を維持するために不可欠な栄養素です。
ビタミンB1欠乏症は、初期症状として食欲不振や嘔吐、体重減少などが見られ、進行すると神経障害や痙攣、さらには昏睡状態に陥る恐れもあります。
猫はビタミンB1を体内で合成できないため、生の鮭を大量に与えると危険です。加熱するとチアミナーゼは無効化され、ビタミンB1の分解を防げるので調理して与えましょう。
もし生の鮭を猫に与えたい場合は、量を最小限に抑えるか、他のビタミンB1を豊富に含む食材と組み合わせてバランスを取ることが重要です。
アニサキス食中毒に注意する
3つ目に、猫に鮭を与える際はアニサキス食中毒に注意してください。食中毒になる理由や症状を詳しくみていきましょう。
生の鮭はアニサキス食中毒のリスクが高い
猫に生の鮭を与える際には、アニサキス食中毒のリスクに十分注意する必要があります。
アニサキスは寄生虫の一種であり、主な寄生先は魚類です。鮭も例外ではなく、生で摂取するとアニサキスによる感染リスクが高まります。
アニサキスは消化管内に寄生し、さまざまな症状を引き起こすため、猫にとって危険な存在です。
アニサキスのリスクを避けるためには、生の鮭を与えないようにしましょう。特に、鮭が生で売られている場合、鮮度や保存状態が不明なため、アニサキスの感染リスクがあります。
食中毒の症状は?
アニサキスによる食中毒は、猫にとって非常に苦しい症状を引き起こす可能性が高いです。主な症状には、激しい腹痛や嘔吐、下痢、そして時には発熱が含まれます。
食中毒の症状は、アニサキスが胃や腸の壁に侵入し、炎症やアレルギー反応を引き起こすことが原因です。
特に猫は敏感な消化器系を持っているため、症状が重篤になる可能性が高まります。猫がアニサキスに感染した場合、最初に見られる症状は突然の嘔吐や食欲不振が多いです。
猫が鮭を食べた直後から数時間以内に症状が現れるケースが多く、猫は激しく痛がるようになります。
腹痛が続くと、猫は食べ物や水を摂取するのを拒むようになり、脱水症状にも注意が必要です。猫に症状が見られた場合は、すぐに獣医に相談しましょう。
加熱するかマイナス20℃で24時間以上冷凍すると死滅する
アニサキスによる食中毒を防ぐためには、生の鮭を与える前にしっかりと処理を行うことが重要です。
アニサキスは高温に非常に弱く、70℃以上での加熱により短時間で死滅します。そのため、猫に鮭を与える際は、内部までしっかりと加熱してから提供しましょう。
加熱する際は、外側だけでなく内部まで完全に火が通るように調理することが大切です。
また、加熱が難しい場合や生の鮭を与えたい場合には、冷凍処理を行いましょう。アニサキスは低温にも弱く、マイナス20℃以下で冷凍することで死滅させることが可能です。
冷凍処理を行う際は、鮭をしっかりと密閉し、冷凍庫の温度が十分に低いことを確認してください。また、冷凍した鮭を解凍する際には、冷蔵庫内でゆっくりと行うことが大切です。
塩分過多にならないようにする
4つ目に、猫に鮭を与える際は塩分過多に注意してください。塩分過多になりやすい理由やリスクを詳しくみていきましょう。
塩分過多になると腎臓に負担がかかる
猫にとって、塩分過多は腎臓への負担がかかる場合が多いです。
猫の腎臓は、体内の水分と塩分のバランスを維持する役割を果たしていますが、塩分の過剰摂取は大きな負担をかけ、腎臓病のリスクを高める可能性があります。
塩分過多が原因で腎臓にかかる負担が増えると、猫の体内での水分バランスが崩れ、脱水症状を引き起こしやすいです。
さらに、塩分の過剰摂取は尿路結石の形成リスクを高める要因にもなります。過剰なミネラルにより結石が形成され、尿道の閉塞や痛みを伴う排尿困難を引き起こすのです。
特に腎臓の機能が低下している猫や、すでに腎臓病を抱えている猫にとって、塩分の過剰摂取は病状を悪化させる要因となります。
塩鮭やスモークサーモンは与えない
猫に鮭を与える際には、塩鮭やスモークサーモンのように塩分が添加された製品を避けることが非常に重要です。
塩分が添加された加工食品は、猫にとっては過剰な塩分摂取となり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
塩鮭は、鮭に大量の塩が含まれているため、猫にとって塩分過多の原因になりやすいです。
また、スモークサーモンも同様に、猫に与えるべきではありません。
スモークサーモンには、塩分だけでなく、燻製の過程で発生する化学物質や添加物が含まれています。
化学物質や添加物は猫の消化器系に悪影響を与える可能性があり、敏感な猫は消化不良や胃腸障害を引き起こすので注意が必要です。
猫に鮭を与える際には、塩や添加物を使用していない新鮮な鮭を選びましょう。
アレルギー症状が出ることがある
最後に、猫に鮭を与える際はアレルギー症状に注意してください。アレルギー症状への対処法を詳しくみていきましょう。
最初は少量ずつ様子を見ながら与える
猫に鮭を与える際には、アレルギー反応を防ぐために、最初は少量ずつ与えて様子を見ることが重要です。
猫は個体差があり、同じ食材でもアレルギー反応を示す猫もいれば、全く問題なく食べられる猫もいます。
アレルギー反応は食物を摂取してから数時間以内に現れる場合が多く、皮膚のかゆみや赤み、嘔吐、下痢、呼吸困難などの症状が見られやすいです。
初めて鮭を猫に与える際は、非常に少量から始め、少なくとも24時間は猫の反応を観察しましょう。
何らかの異常が見られた場合、すぐに鮭の摂取を中止し、獣医師に相談することが必要です。
特に、呼吸が困難になる、あるいは激しい嘔吐や下痢が続く場合は、速やかに医療機関を受診してください。
鮭はじつは白身魚?
鮭は身の色が赤く見えるため、赤身魚と思われがちですが、白身魚に分類されます。赤く見える理由や白身魚に分類される理由を詳しくみていきましょう。
赤色はアスタキサンチンと呼ばれる色素によるもの
鮭の身が赤いのはアスタキサンチンという色素によって生じています。アスタキサンチンは、カロテノイドと呼ばれる色素の一種で、抗酸化作用が非常に高いです。
鮭はもともと白身魚ですが、アスタキサンチンを豊富に含むプランクトンなどを食べると、色素が体内に蓄積され、赤色が現れるようになります。
鮭が生息する海域や餌の種類によって、赤色の濃淡が変わることがあり、地域によっては鮭の色がピンクに近かったり、深紅に近かったりとさまざまです。
また、アスタキサンチンには健康に良い効果が期待されており、抗酸化作用によって体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐとされています。
赤身魚ではなく白身魚に分類される
鮭の肉が赤色であることから多くの人は鮭を赤身魚と考えるかもしれませんが、実際には鮭は白身魚です。
魚の分類において、赤身魚と白身魚の違いは、主に筋肉の色素に基づいています。
赤身魚は、筋肉に多量のミオグロビンという赤色の色素が含まれているマグロやカツオのような魚です。
一方で、白身魚はミオグロビンの含有量が少ないため、筋肉が白っぽい色をしています。
鮭の場合、筋肉そのものにはミオグロビンが少ないため、本来は白身魚の分類です。
しかし、アスタキサンチンの影響でその身が赤く染まっているため、外見上は赤身魚のように見えています。
実際に、鮭の筋肉を切り開くと、赤色が均一ではなく、部分的に白っぽい部分が見られる場合も多いです。
まとめ
今回は、猫への鮭の与え方を紹介しました。
鮭はタンパク質やEPA、DHA、ビタミンB群、ビタミンD、ミネラルを豊富に含んでいて健康に良いですが、与える量には注意が必要です。
カロリー過多による肥満、ビタミンB1欠乏症、食中毒、塩分過多による尿路結石、アレルギー症状のリスクがあります。
そのため、猫に鮭を与える際は生の鮭はなるべく使用せず、加熱処理するか冷却処理を行いましょう。また、塩分過多にならないよう塩鮭やスモークサーモンは避けてください。