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【獣医師監修】猫のグレインフリーフードとは?メリット・デメリットとグレインフリーフードの選び方

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はじめに

猫は肉食動物なので穀物を消化吸収することが苦手です。

また、アレルギー症状が出る可能性もあるため、最近はグレインフリーフードが飼い主から選ばれることが増えています。

グレインフリーフードは、穀物を配合していないフードのことです。

今回はグレインフリーフードの特徴や、猫にとってどんなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。

グレインフリーフードが気になっている、切り替えようか悩んでいるという飼い主の方はぜひ参考にしてください。

猫のグレインフリーフードとは?

グレインとは穀物のことで、グレインフリーフードとは穀物が入っていないフードのことを言います。

猫の中には穀物アレルギーを持っている子がいたり、肥満で炭水化物の摂取を控えたい子もいるため、愛猫の健康状態によっては向いているフードです。

健康体の猫はグレインフリーに切り替える必要はありませんが、愛猫の病気や身体の状態によっては切り替えを検討してみてください。

グレインフリーフードの定義

グレインフリーとは穀物を原材料に使用していないことを指しています。

穀物を使用しない目的としてはアレルギー問題、炭水化物の過剰摂取や肥満の予防などが上げられます。

猫は肉食動物なので穀物の消化吸収が苦手なこともあり、グレインフリーフードをフードに切り替えを検討している方も多いです。

アレルギー食や健康食として選ばれることもあり、愛猫の身体の状態に合わせて向き不向きがあります。

グレインフリーフードとして排除される穀物について詳しく解説するので、参考にしてください。

グレインとは穀物のこと

グレインとは穀物のことを言い、小麦・とうもろこし・米などが代表的です。

穀物の分類種類
禾穀類(イネ科)
  • 小麦
  • ライ麦
  • 大麦
  • ハトムギ
  • トウモロコシ
  • キビ
  • アワ
  • ヒエ
菽穀類(マメ科)
  • 大豆
  • 小豆
  • インゲン豆
  • えんどう豆
  • 落花生
  • そら豆
類似穀類
  • 蕎麦
  • キヌア

グレインと呼ばれる穀物には、細かく分けると多くの種類が存在します。

栽培や保存がしやすく、炭水化物をエネルギー源とする私たち人間にとっては必要不可欠な栄養素です。

様々な国や地域で人間の主食として用いられています。

キャットフードにおけるグレインの種類

グレインには多くの種類がありますが、キャットフードでは全ての植物をグレインとは指しません。

キャットフードにおけるグレインの種類
  • 小麦
  • トウモロコシ
  • オーツ麦
  • 大麦

キャットフードでは禾穀類(イネ科)のことをグレインと呼び、その他の菽穀類(マメ科)や類似穀類は含まれないことが多いです。

グレインフリーフードと書かれていても菽穀類(マメ科)や類似穀類が含まれている可能性があるので、気になる方は使用されている原材料を確認してください。

基本的にグレインフリーのキャットフードの場合は、禾穀類(イネ科)の穀物が原材料として含まれていないということを覚えておきましょう。

グレインが猫に与える影響は?

猫は肉食動物なので、穀物を消化できないからグレインフードを選ぶのが良いという方がいますがそれは間違いです。

猫の身体のつくりとして穀物を消化しづらい特徴はありますが、穀物に水を加え加熱することで猫でも身体に無理なく消化吸収ができます。

しかし、猫の主なエネルギー源はタンパク質なため、炭水化物が豊富な穀物を40%以上摂取することは身体に不調が現れる可能性が高いため避けなければいけません。

穀物にはアレルギーや過剰摂取による肥満などの問題が起こる可能性もあるので、愛猫の身体と良く相談して与える必要があります。

食物アレルギーを引き起こすことがある

穀物にはアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

食物アレルギーの症状
  • 嘔吐
  • 下痢
  • お腹の張り
  • お腹が鳴る
  • 皮膚炎

穀物の中では、小麦やライ麦に含まれるグルテンが原因になっていることが多いです。

もしも食物アレルギーが疑われる症状が出た場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

穀物類が原因と考えられる場合は専門の獣医と相談しながらグレインフリーのフードを取り入れてみてください。

穀物アレルギーの猫は多くはない

猫の食物アレルギーの原因はたんぱく質です。

猫の代表的なアレルゲン
  • 牛肉
  • 鶏肉
  • 乳製品
  • 穀物

アレルゲンでは牛肉が18%、魚が17%をしめており、穀物の割合は小麦が4%トウモロコシが4%ほどです。

実際のアレルゲンは穀物よりも牛肉や魚の方が多いため、過度にグレインフリーを気にする必要はありません。

穀物でアレルギー症状が出てしまう場合以外は、通常のキャットフードを選んでも問題ないです。

過剰摂取により肥満の原因になる可能性がある

猫は炭水化物を過剰摂取してしまうと肥満の原因になる可能性があります。

穀物は炭水化物を多く含むため、肥満防止のためにも1日の摂取量を管理しましょう。

猫が1日に摂取していい炭水化物の量は、総摂取量の40%以内に抑える必要があります。

炭水化物の含有量の計算式は『100−(水分+たんぱく質+脂質+灰分)です。

猫は炭水化物を積極的に摂る必要がないので、与える場合は35%を上限に設定してください。

穀類は血糖値をあげるGI値が高いものが多い

穀物は血糖値を上げやすいと言われています。

食事後の血液中に吸収される糖質をGI値で表すのですが、穀物はGI値が高いものが多いです。

穀類GI値
小麦全粒粉45
とうもろこし70
玄米56
白米84

GI値は60が目安になっており、55以下だと低GI値ですが、70以上は高GI値です。

GI値が急激に上がると糖尿病になるリスクが上がり、余分になった糖質は脂肪細胞に送られるので太りやすい体質になってしまいます。

GI値を低くすることで糖尿病のリスクを減らせるので、糖質が気になる猫や肥満気味の猫は穀物を避けると良いです。

グレインフリーフードのメリット

猫にグレインフリーフードを食べさせると、どんなメリットがあるのかを紹介します。

グレインフリーフードはどんな猫にも良い食べ物ではなく、体調や体質によって合う合わないがあるので、メリットと思われるところが愛猫に合うかどうか確認しましょう。

動物性タンパク質が多く含まれている

グレインフリーフードは穀類が含まれていない分、動物性のたんぱく質が豊富に含まれています。

猫のエネルギー源はたんぱく質なので、1日に1kgあたり6.4gのタンパク質が必要です。

たんぱく質はアミノ酸に分解され体内に吸収されますが、たんぱく質を作る約20種類のアミノ酸のうち猫の体内で作られない11種類は必須アミノ酸と呼ばれ、フードから取り入れなければなりません。

猫にとってたんぱく質は必要不可欠で大切な栄養素なので、十分な量を摂取する必要があります。

体調や年齢によって適切に処理できないと過剰摂取になってしまう可能性があるので、腎臓に負担をかけないようにそれぞれの猫にあった摂取量を理解しましょう。

健康的な成猫の場合は、フードの30〜40%がたんぱく質でできていれば十分です。

消化しやすい

グレインフリーフードは、猫にとって消化吸収のしにくい穀物が含まれていないため消化器官に与える負担を減らしてくれるのがメリットの1つです。

穀物(グレイン)が含まれていない分、動物性のタンパク質がメインとなるため、消化不良を起こしやすい猫に向いている場合があります。

食物アレルギーへの対策ができる

穀物アレルギーを持つ猫にとっては、グレインフリーフードに切り替えることがアレルギー症状を引き起こさないための対策になります。

アレルゲン物質が穀物に関係しているならば、グレインフリーフードを試してみるのもおすすめです。

グレインフリーフードのデメリット

穀物の消化吸収が苦手な猫にとっては、グレインフリーフードを食べさせることが最適だと思われる飼い主の方も多いですが、デメリットがあるのも事実です。

グレインフリーフードに切り替える前に、どんなデメリットがあるのかも知っておきましょう。

内臓に負担がかかる場合がある

猫の食事は高タンパクなものが良いとされていますが、過剰摂取になってしまったら逆に内臓に負担をかけてしまいます。

動物性たんぱく質を過剰摂取すると腎臓の血液数値が異常値になる可能性があります。

また、リンの摂りすぎは腎臓病の進行を早めてしまうことにも繋がるため注意が必要です。

腎臓病を患っている猫の場合は、たんぱく質の摂りすぎが原因で症状が悪化し最悪死に至ることもあります。

高タンパクなフードは、愛猫の身体の調子をしっかり理解した上で与えてください。

フードを切り替える前に、動物病院で専門の獣医に意見を聞くのもおすすめです。

短時間で消化できるため腹持ちがよくない

穀物が含まれていない分、消化吸収が良くなるため基本的なキャットフードよりも腹持ちは悪いです。

猫は、お腹が空くと餌を催促してくることがあります。

餌を欲しがった時に好きなだけ与えてしまうと、1日の総摂取カロリーをオーバーして肥満の原因になってしまうので摂取量は必ず守ってください。

お腹が満たされないとストレスを感じる猫もいるので、必要な場合以外は通常のキャットフードを与えることも検討しましょう。

通常のフードより値段が高い

グレインフリーフードは通常のフードより値段が高い傾向にあります。

一時的に餌を切り替えるなら手を出しやすいですが、ずっと高価なフードを与え続けるのは家計の負担にもなるため、猫の体質・体調と相談して必要な場合のみグレインフリーフードを試してみるのが良いです。

フードは必ず毎日必要なものですし、ころころフードの種類を変えるのは猫にとっても負担になるため、長く続けやすいものを選ぶようにしましょう。

猫のグレインフリーフードの選び方

猫のグレインフリーフードの選び方を紹介します。

グレインフリーフードにも多くの種類があり、使われている材料にも違いがあるので購入前にしっかり材料表記を確認することが大事です。

また、体調・体質・年齢によっても選ぶフードの種類を変える必要があります。

原材料から選ぶ

猫のグレインフリーフードを選ぶ上で、まずチェックしたいポイントは原材料です。

穀類の米・トウモロコシ・麦が配合されていないか、主原料はどんな食材なのかをチェックしましょう。

サーモン・ターキーなど魚や肉の種類まで表記されていると安心です。

肉の種類については、良質の肉であればあるほど良いのでぜひ確認してみてください。

ライフステージに合わせて選ぶ

選び方として見落とせないのが、ライフステージの問題です。

選ぶ際は愛猫の年齢に合っているフードなのかを確かめてください。

  • 子猫用
  • 成猫用
  • シニア用

全てのフードが年齢で分かれているわけではありませんが、なるべく年齢ごとに分かれている商品を選ぶと良いです。

ライフステージごとに必要なエネルギー量や栄養素が異なる

子猫は成長期なので栄養素をカロリーも多めに配合されており、逆にシニア猫は消費カロリーが減ってしまうので低脂肪・低カロリーに作られています。

猫の年齢によって商品が分かれている場合は、必ず愛猫の年齢に合わせて選びましょう。

ドライタイプ・ウェットタイプの好みから選ぶ

猫は、デリケートな動物なので好みに合わせてフードのタイプを選んであげるのがおすすめです。

ずっとカリカリなドライタイプを食べていた子ならそのままドライタイプを選ぶのが望ましいですが、違うタイプに変えたい時は慣れるまでは混ぜて食べさせてあげましょう。

ドライタイプ・ウェットタイプはそれぞれ特徴があるので、解説を見て選ぶときの参考にしてください。

ドライタイプは保存しやすく安い

ドライタイプは、噛み応えがあり歯石がつきにくいのが特徴です。

猫の中には固い食感が苦手な子もいるため好き嫌いが分かれやすく、水分が含まれていないのでフードとは別で水をしっかり飲ませる必要があります。

また、長期間の保存ができるので災害が起きた時にも当分の間は餌に困ることがありません。

もしもの時のために、ドライタイプに慣れさせておくと安心です。

価格も手頃で栄養バランスもうまくコントロールされているので、健康状態や好き嫌いの問題がないのなら積極的にドライタイプを与えてみてください。

ウェットタイプは水分を多く含むため水分補給もできる

ウェットタイプは、水分を多く含んでいるので積極的に水を飲まない猫にとって、水分補給ができるところがメリットです。

尿路や腎臓に疾患がある場合や、脱水症状の予防にも役立つため健康問題を抱えている猫にも選ばれています。

また、老猫でドライタイプのカリカリが食べにくくなってきた子にも、柔らかいウェットタイプがおすすめです。

ウェットタイプは食べやすくて水分補給にも便利ですが、傷みやすく長期間保存ができません。

食べ残しがある場合は、早めに処分する必要があります。

価格はドライタイプよりも高価になるので、毎日継続的に食べさせるとなった時に家計に響く可能性があるため、金銭事情との相談も必要です。

添加物の種類をチェックする

グレインフリーに限らずですが、キャットフードを選ぶ時は配合されている添加物にも注目してください。

危険な添加物解説
プロピレングリコール半生フードの保湿・静菌作用・カロリー減の目的に使用される。
キャットフードへの使用は禁止されている。

  • 発がん性
  • 皮膚アレルギー
  • 脳の異常
  • 赤血球の異常
  • 腎障害の危険
  • 肝障害の危険
亜硝酸ナトリウム保存料・発色剤として使用される。
発がん性が示唆されている。
エトキシキン保存料・発色剤として使用される。
発がん性が示唆されている。
BHA保存料・発色剤として使用される。
発がん性が示唆されている。
BHT保存料・発色剤として使用される。
発がん性が示唆されている。
グリシリジン安全性が完全に認められていない甘味料。
人間の食品への使用は禁止されている。
アンモニエート安全性が完全に認められていない甘味料。
人間の食品への使用は禁止されている。
赤色102号着色料。

  • 発がん性
  • アレルギー
    アメリカでは禁止されており、人間でも蕁麻疹を起こす危険がある。

上記の表にある添加物が配合されている場合は、避けることが望ましいです。

猫の健康を守れるのは飼い主なので、危険な成分を避け安全な食事を心がけてあげましょう。

グレインフリーに切り替える際の注意点

今まで食べていたキャットフードから急にグレインフリーフードに変えてしまうと、下痢・便秘などの体調の変化が起こったり、ご飯を食べなくなってしまう可能性があります。

切り替える際の注意点を紹介するので、参考にしてください。

これまで与えていたフードと混ぜてゆっくり切り替える

グレインフリーフードに切り替える際は、元々与えていたフードと混ぜて与えましょう。

猫はデリケートなので、急に違うフードを出されたら戸惑ってしまったり危険を感じて食べない場合があります。

一度危険なものだと認識してしまうと慣れるのに時間がかかるので、少しずつゆっくり切り替えるようにしてください。

1週間程度で徐々にグレインフリーの割合を増やす

グレインフリーフードに切り替えるには、1週間程度の時間をかけてあげるのが望ましいです。

初めは元々のフードに少量のグレインフリーフードを入れ始め、徐々に割合を増やしていきましょう。

最終的にグレインフリーフードのみにした時に愛猫が嫌がっていないか、適量を食べられているかなどを観察して、問題がなさそうだったらグレインフリーフードへ完全に切り替えてください。

まとめ

今回は猫のグレインフリーフードについて紹介しました。

穀物を消化吸収するのが苦手な猫ですが、健康状態に問題がない場合は無理にグレインフリーフードにする必要はありません。

穀物アレルギーのある猫や肥満気味の猫にはおすすめなので、愛猫の状態によって切り替えるかどうか判断してください。

切り替える場合もメリット・デメリットを理解した上で切り替えましょう。

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