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はじめに
動物は大きく分けると3種類に分けられます。
動物を食べる肉食動物、植物を食べる草食動物、両方食べる雑食動物です。
人間や犬は雑食動物に分類されますが、可愛らしい見た目の猫は肉食動物に分類されます。
今回は、それぞれの動物の特徴を解説した上で猫の身体の仕組みや理想的な食事を紹介します。
猫の身体のことをしっかり理解して、愛猫の健康的な生活を守りましょう。
動物は肉食動物・草食動物・雑食動物の3種類
動物の食生活は、見た目だけでは判断がつきません。
肉食動物の例 | 草食動物の例 | 雑食動物の例 |
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可愛い見た目の猫やカワウソは肉食動物なので他の動物を食べているし、一見強そうで肉をムシャムシャ食べそうな牛や馬は実は草食動物なので植物を食べています。
雑食動物は肉も植物も食べられますが、動物の種類によって食べ方は様々です。
例えばスズメは、春〜夏の繁殖期には昆虫を食べますが、秋頃は稲の籾を食べます。
スズメのように季節や身体の状態によって食べるものが変わる雑食動物もいれば、イノシシのように植物の根・果実や、昆虫の蛹・カエル・ミミズを年中食べる雑食動物もいます。
肉食動物の特徴
食べ物 | 目 | 歯 | 消化管 |
肉 | 前向きについている | 犬歯・臼歯が発達している | 短い |
肉食動物は、主食を動物質とする動物です。
動物質とは獣だけでなく、動物性プランクトンや死後に腐敗した腐肉も含まれます。
食物連鎖では、第一消費者の草食動物を食べる「第二消費者」と呼ばれており、草食動物よりも個体差が少ないのが特徴です。
目は前向きについていて視野が狭い反面、立体的に捉えるのが得意なので、獲物までの距離感が正確にわかるため狩りに適しています。
また、獲物を仕留めて噛みちぎるために犬歯やハサミ状の臼歯も発達しているので、獲物に食らいつき仕留めるのに向いている形状です。
肉は比較的早く消化ができるため、消化管は短くても問題ありません。
草食動物の特徴
食べ物 | 目 | 歯 | 消化管 |
植物 | 横向き(側面)についている | 門歯・臼歯が発達している | 長い |
草食動物は、主食を植物質とする動物です。
植物と聞くと草をイメージしますが、木の実・花・果実も含まれます。
食物連鎖の考えでは、生産者の植物を直接食べるので「第一次消費者」と呼ばれており、個体数が多いのが特徴です。
草食動物は肉食動物に餌として狙われやすいため、広い範囲を見渡して早く敵を見つけられるように目が横(側面)についているので、ほとんど死角がありません。
歯は草を噛み切るための門歯とすりつぶすための臼歯が発達しており、植物を食べるのに適しています。
消化管も長いため、消化に時間がかかる植物でも問題なく消化する事ができます。
雑食動物の特徴
食べ物 | 目 | 歯 | 消化管 |
肉・植物 | 前向き | 犬歯・門歯・臼歯 | 草食動物よりは短いが長め |
雑食動物は、動物質と植物質どちらも摂取する動物のことを言います。
食べられるものの範囲が広いので生息地が限定される事がなく、季節や環境によって食べる物を変えられます。
環境の変化が多い場所でも生息でき、自由度が高いところが特徴です。
身体は肉食動物と草食動物の中間の性質を持っていて、歯や消化管も肉と植物どちらを食べても対応できるように発達してます。
猫は肉食動物に分類される
身近なペットとして知られている猫は、肉食動物に分類されます。
猫は肉食動物の印象が強いライオンやトラと同じネコ科の動物なので、身体のつくりからも肉食動物の食事に適しています。
犬歯が発達していて肉を食べるのに適している
猫の永久歯は全部で30本あり、犬歯がとても鋭いのが特徴で、肉を裂いたり骨を噛み砕くのに向いています。
犬歯にあるbleeding grooveという溝は、獲物に噛み付いた時に血液を流出させるための構造です。
また、臼歯は犬歯の奥にある歯で肉を切り裂くときに使われます。
はさみのような噛み合わせになっていて、奥の方にある特に尖った形の歯が「裂肉歯」です。
上顎の第3前臼歯と下顎の第1後臼歯が噛み合わさり、獲物を噛み切って食べられるようにできています。
草を食べる草食動物のように、擦り潰すような臼型の形にはなっていません。
腸が草食動物や雑食動物に比べて短い
腸の長さは、草食動物が体長の20倍程度、雑食動物が5~12倍程度ですが、肉食動物はたった4倍程度になります。
肉食動物の中でも猫の小腸は発達していますが大腸は貧弱で、草食・雑食動物に比べるとかなり短いのが特徴です。
肉に比べて植物を消化吸収しにくい
猫の腸は、肉に含まれるタンパク質と脂肪の消化・吸収に最適なつくりになっています。
肉の消化時間は早いため腸が短く作られているので、消化に時間のかかる植物は苦手です。
特に猫は植物に多く含まれる炭水化物をほとんど消化できないため、消化不良を起こしてしまう可能性があります。
植物を与える際は適量を与え、過剰摂取にならないように気を付けましょう。
盲腸がほとんどないため植物を分解・吸収しづらい
盲腸の中ではバクテリアによる発酵が常に起こっており、発酵によって植物が分解され吸収されます。
猫は盲腸がほとんどないため、植物の消化・分解・吸収が苦手です。
猫の体は肉を食べるのに適したつくりになっている
猫のように他の動物を狩って食べる肉食動物は、自分の身体を構成する組織に近い肉を摂取するため、消化にかかる負担が少ないです。
反対に植物を消化する機能が優れていないため、植物や穀物を食べると消化不良を起こします。
歯や腸などの身体のつくり、消化にかかる負担を考えてもわかるように、猫は植物よりも肉を食べるのに適しているのです。
肉食動物の猫は肉以外はいらない?
肉食動物の猫ですが、肉だけ食べていれば良いわけではありません。
猫の身体をつくり元気に生きていくためには、必要な栄養素をしっかり摂取する必要があります。
野生の猫は草食動物を捕食することで植物などの栄養素を摂取
元々野生の猫は、草食動物を捕食して生きていました。
植物を直接食べることをしない肉食動物の猫は、草食動物の肉のみではなく胃の中にある植物などから栄養素を摂取します。
猫には肉以外にもさまざまな栄養素が必要
猫は肉食動物だからといって、肉に含まれる栄養素だけで生きていけるわけではありません。
肉以外からも様々な栄養素を摂取する必要があります。
穀物はアレルギーの危険があるためおすすめできませんが、野菜は適量なら与えることが可能なので、消化不良にならない適量を守って栄養素を補給しましょう。
キャットフードには肉食の猫にとって必要不可欠な栄養素がバランス良く含まれています。
無理に肉や野菜から栄養素を摂取しようとせずに、キャットフードを与えるのがおすすめです。
肉や野菜を与える際はトッピング程度にしましょう。
猫に理想的な食事を与えるには?
肉食動物の猫にとって、理想的な食事を与えるために気を付けることや必要な栄養素について解説します。
愛猫の食事内容にお悩みを抱えている方や、よりよい食生活をさせてあげたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
猫に必要な必須栄養素
肉食動物の猫は、たんぱく質・脂肪・ミネラル・ビタミンの順に約40種類の必須栄養素が必要です。
エネルギーの源になると言われる炭水化物が入っていませんが、猫はたんぱく質からもぶどう糖が作れるため、フードなどで十分にたんぱく質を摂取できていれば炭水化物は与える必要がありません。
たんぱく質
たんぱく質は約20種類のアミノ酸から構成されており、猫のエネルギー源になります。
身体の構造と機能を正常に動かすためにも必要不可欠な栄養素です。
適切な量のたんぱく質を摂取すると身体の組織の成長・修復、代謝の調節や病気を防ぐことができます。
約20種類のアミノ酸のうち、猫の身体の中で作ることができるのは10種類です。
猫の身体の中で作ることができるアミノ酸10種類 |
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その他の11種類は食事でとる必要があり、必須アミノ酸と呼ばれています。
食事から摂取しなければならばい必須アミノ酸11種類 |
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必須アミノ酸の中でもタウリンは動物性たんぱく質なので、犬は体内で作れるのに対し猫は他の動物を食すことにより体内に取り入れることしかできません。
タウリンは、心臓や血管の健康・胆汁の生成・目の網膜の健康などに関連しているので、猫の身体にとって欠かせない栄養素の1つです。
約20種類のアミノ酸のうち1種類でも欠けてしまうと、猫にとって不適切な食事・健康状態になってしまうので、バランスよく必要なアミノ酸を摂取できるようにしましょう。
脂肪
猫にとって脂肪はエネルギー源・ビタミンの吸収を助ける・必須脂肪酸の供給をする役割があります。
他にも食事の風味・味覚・美味しさを感じる成分でもあるので、猫の食欲にも大きく関係する栄養素です。
必須脂肪酸 |
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必須脂肪酸の中でもリノール酸は、正常に代謝作用ができると身体の中で他の必須脂肪酸に転換されますが、猫は転換する機能が発達していません。
猫自身で転換できないため、食事から転換された脂肪酸を摂取する必要があります。
また、他の動物と異なり猫は誘導EFA(アラキドン酸)も体内で合成することができないので食事から摂取します。
誘導EFA(アラキドン酸)は、皮膚や腎機能に関連する栄養素なので、摂取出来ないと被毛が乾燥してしまうので注意が必要です。
動物組織のみに含まれる脂肪酸なので、キャットフード以外では他の動物を食さなければ摂取出来ません。
ミネラル
ミネラルには主に3つの役割があります。
ミネラルの働き | 栄養素の種類 |
歯や骨の構成 |
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体液のコントロール・身体を正常に機能させる |
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酵素やたんぱく質の成分になる |
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ミネラルも猫が健康に生活するために必要不可欠な栄養素です。
不足すると身体の機能が弱くなります。
特に歯や骨を構成する時期の子猫期には、成猫期よりも多く必要となるため子猫用のキャットフードを与えましょう。
しかし、ミネラルは過剰摂取すると猫の身体にとって毒になるため、年齢・体調にあわせて適切な量を与える必要があります。
猫の身体のためにと与えすぎないように注意しましょう。
ビタミン
猫に必要なビタミン |
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ビタミンには、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンが存在しています。
脂溶性ビタミンは猫の身体の中に蓄積されると健康に重大な影響を及ぼす危険があるため、過剰摂取には特に注意してください。
ビタミンの中でもビタミンAは、食品の中に含まれるカロチノイドをビタミンAに転換することで摂取しますが、猫にはビタミンAに転換する機能がありません。
自らビタミンAを作り出せない猫は、食事から十分な量のビタミンAを摂取する必要があります。
ビタミンAは植物には存在しない成分なので、バランスよく摂取できるキャットフードから摂取するのがおすすめです。
動物のレバーには多く含まれていますが、過剰摂取になる危険があるので注意してください。
高たんぱくの食事を与える
猫のエネルギー源はたんぱく質なため、高たんぱくな食事を心がける必要があります。
たんぱく質の役割 |
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猫は毎日たんぱく質を消費しているため、不足しやすいのでしっかり1日の摂取量を守りましょう。
猫が1日に必要なたんぱく質の量は、人の5~6倍と言われています。
たんぱく質を分解する酵素の活性が高い
たんぱく質をエネルギー源にするためには、グルコースを作る必要があります。
猫はたんぱく質を分解する酵素の活性が高いため、主に肉類のたんぱく質からグルコースを作ります。
猫の身体をつくるためにも、健康に生活をするためにも必要不可欠なたんぱく質ですが、全てのアミノ酸を体内でつくることは不可能なので食事から積極的に摂取しましょう。
低炭水化物の食事をとる
猫はたんぱく質をエネルギー源としているため、炭水化物は基本的に必要ありません。
しかし、野生で動物を丸ごと食べている猫は、動物に含まれる炭水化物を一緒に摂取しているため適量の炭水化物は摂取した方が良いと考えられています。
理想的な食事は高たんぱく・低炭水化物なので、猫に食事を与える際は意識してメニューを考えましょう。
炭水化物を消化吸収するのが苦手
猫は炭水化物を分解するための酵素の活性が低いので、炭水化物の消化吸収が苦手です。
無理に炭水化物を与えてしまうと消化不良により様々な体調不良が起こる危険があります。
炭水化物の過剰摂取による症状 |
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過剰な炭水化物の摂取には気を付けましょう。
キャットフードにはカリカリの食感を保ち粒の形を保つため・コスト削減のために30%以上の炭水化物を含んでいるものがあります。
40%以上の炭水化物は過剰摂取になる可能性が高いため、購入前にはしっかり成分表を確認してください。
炭水化物は表示義務がないため表示されていない場合は、たんぱく質が35〜40%以上含まれているものを選ぶのがおすすめです。
まとめ
今回は肉食動物・草食動物・雑食動物それぞれの特徴と、肉食動物の猫について紹介しました。
肉食動物の猫だからといって肉だけ食べていれば良いということはなく、しっかりと必要な栄養素をバランスよく摂取することが望ましいです。
愛猫の健康のためにも栄養素の不足・過剰摂取にならないように気を付けましょう。