【獣医師監修】猫に鶏のささみを与えても大丈夫?与えていい量や調理方法・注意点を解説

ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。

はじめに

鶏ささみは低カロリー・高タンパクな食材なため、猫の餌やおやつとしてよく与えられる食材です。

元々肉食動物の猫は鶏ささみを好んで食べる傾向にあるので、餌を食べてくれない時にフードに混ぜて食い付きを良くするためにも重宝されています。

しかし、どれだけ身体に良い食材でも与えすぎや調理方法によっては愛猫を危険に晒す可能性があるので注意が必要です。

今回は、鶏ささみに含まれる栄養素や与える時の注意点、適切な与え方を詳しく紹介します。

鶏ささみを猫に与えたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

猫に鶏のささみを与えても大丈夫?

猫に鶏ささみを与えても問題ありません。

消化性が良く、タンパク質やビタミンなど猫に必要な栄養素を多く含んでいるので、健康を維持するためにも良い食材といえます。

しかし、鶏肉アレルギーがある場合は注意が必要なので確認しましょう。

猫が中毒を起こす成分は含まれていない

鶏ささみには猫が中毒を起こす可能性のある成分は含まれていないので、問題なく与えることができます。

とはいえ生の状態で与えたり、1日に与えても良い量を超えてしまうと悪影響を及ぼしてしまうので注意は必要です。

適量と適切な方法を守って与えましょう。

鶏肉にアレルギーがある場合は与えてはダメ

愛猫が鶏肉アレルギーを持っている場合は、鶏ささみを与えてはいけません。

アレルギー症状には、最悪の場合命を落としてしまう危険があります。

初めて鶏肉を与える時は、少量だけ与えて様子を見ましょう。

何も症状が出ないからと言ってすぐに与える量を増やすのではなく、少しずつ愛猫に異変がないかを確認しながら進めてください。

ささみは猫に健康効果が期待できる

鶏ささみは、低カロリーなのに猫にとって必要な栄養素を豊富に含んでいます。

鶏ささみ100gあたりに豊富に含まれる栄養素はこちらです。

エネルギー98カロリー
タンパク質23.9g
脂質0.8g
カリウム410mg
リン240mg
ナイアシン12.0mg
葉酸15μg
ビタミンE0.7g
ビタミンB60.62mg

脂質

猫にとって脂質は、効率良いエネルギー源です。

栄養素の種類役割過剰摂取した時に起こる症状
脂質
  • エネルギーを作り出す
  • 細胞膜やホルモンの構成成分
  • ビタミンの吸収を促す
  • 肥満
  • 黄色脂肪症

人間は主なエネルギーを炭水化物で摂りますが、猫は炭水化物の摂取量が少なくタンパク質と脂質を多く摂って生きています。

しかし、脂質は多く摂りすぎてしまうと肥満やその他の病気に繋がるので適量を守る必要があります。

猫にキャットフード以外の食材を与えるなら、体重管理のためにカロリーや脂質も気にしないといけません。

鶏ささみは低脂質なので、肥満や体重の増加を気にしている猫にも比較的与えやすい食材です。

たんぱく質が多く含まれる

鶏ささみにはタンパク質が多く含まれており、猫にとって成長時に必要不可欠な栄養です。

栄養素の種類役割欠乏した時に起こる症状
タンパク質体内で筋肉や骨を作る
  • 骨や筋肉が成長不足になる
  • 筋肉が減少する

猫の成長期には、骨や筋肉を作るのにタンパク質が必要です。

老猫期になった時にも適度にタンパク質を摂っていないと、筋肉が減少してしまい生活に支障が出てきます。

猫の成長にとっても、老後の健康維持にとってもタンパク質は必ず摂取したい重要な栄養素です。

脂質とタンパク質は猫のエネルギー源なので積極的に摂取しましょう。

ビタミン類が豊富

鶏ささみには、ビタミンEとビタミンB6が多く含まれています。

ビタミンの種類役割欠乏した時に起こる症状
ビタミンE細胞膜を作る脂質の酸化を防ぎ、細胞の健康維持を助ける
  • 神経障害
  • 筋肉障害
ビタミンB6補酵素として、タンパク質・脂質・炭水化物の代謝を助ける
  • 湿疹
  • 口角炎
  • 口内炎
  • 舌炎
  • 貧血
  • 免疫機能の低下

子猫〜老猫まで健康を維持するためには、ビタミンが必要不可欠です。

ビタミンは代謝を助ける重要な役割をもっているので、タンパク質や脂質を摂取してもビタミンが不足しているとエネルギーとして使えません。

また、細胞分裂の際にもビタミンが必要になるので、ビタミンが不足するとターンオーバーが乱れ被毛や皮膚にもトラブルが起こりやすくなります。

鶏ささみは、猫にとって必要不可欠なビタミン類が多く含まれているので、健康維持のためにとても良い食材です。

猫に与えていいささみの量は?

鶏ささみを猫に与える場合は、1日のフード量の10%以下にするのが望ましいです。

必要な栄養素が豊富だからと言って、摂りすぎは好ましくありません。

もしも、おやつとして与えたりフードと一緒に与えるなら、ささみの量に応じてフード量を減らすなど調整する必要があります。

鶏ささみを与える際に注意する点を解説するので確認しましょう。

リンの摂りすぎに注意

鶏ささみに含まれているリンは、骨や歯の形成・エネルギー代謝に重要な役割を果たしています。

しかし、リンを過剰摂取してしまうと腎不全を悪化させるリスクが高くなるので注意が必要です。

腎不全になった時に起こる身体の変化
  • 血中の老廃物をろ過できなくなる
  • 身体に必要な水分を調整する機能の衰え
  • 尿毒症・脱水症状を引き起こす
  • 血圧の調整が難しくなる
  • ホルモンの分泌が衰える
  • 血液(赤血球)が作りにくくなる

腎不全になってしまうと、身体を健康的に保つ事ができなくなります。

特に老齢期に発症してしまうと、かなり死亡率が高い病気の一つです。

初期段階の症状
  • 水をたくさん飲む
  • 尿量が増える
  • 尿の色が薄くなる
進行した時の症状
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 痙攣

初期段階では尿に変化が見られるだけですが、進行すると全身に症状が見られるようになります。

腎不全が長期間続くと慢性腎臓病になり、一度壊れてしまった腎臓の組織が治療により回復することはありません。

したがって、進行を穏やかにする治療法が主体で完治することが不可能な病気です。

治療方法
  • 点滴
  • 食事療法
  • 薬物療法
  • 腹膜透析
  • 血液透析

基本的に点滴や積極的な水分摂取をして、脱水を予防しながら体内の水分量を増やし、老廃物の排出を促します。

同時に、腎臓への負担を軽くするために食事療法や薬物療法で治療を進める事が多いです。

進行してしまって危険がある場合は、腹膜透析などの透析治療をして老廃物の排出を促す事もあります。

愛猫の身体にもかなりの負担があり、時間もお金もかかる治療を症状の緩和のために続ける必要がある病気なので、なるべく引き起こすリスクは減らしたいものです。

鶏ささみが原因で腎不全になる可能性は低いですが、リンの取りすぎには注意をしておいた方が良いので、1日に与えても良い適切な量を守ってください。

一日に必要なカロリーの5%程度

鶏ささみを猫に与える時は、1日に必要なカロリーの5%程度に抑えるのが望ましいです。

猫が1日に必要なカロリーは、体重×70で算出できます。

体重4kgの成猫なら280カロリーなので、1日に摂取して良い鶏ささみは14カロリー分です。

必要カロリーの5%以下になるように、10カロリー以下を目安にして与えるようにしましょう。

これ以上摂取してしまうと、フードを食べた際にカロリーオーバーする可能性があります。

毎日与える必要はないので、欲しがるようなら猫の体重に対して適正な量を与え、与えすぎには注意してください。

ささみのカロリーは100gあたり98kcal

ささみのカロリーは100gあたり98カロリーなので、5%程度にするなら10g程度が理想的です。

適量を超えて与えてしまうと、肥満になったりキャットフードを食べなくなる可能性があるので適正な量は必ず守って与えてください。

与えすぎると栄養が偏ってしまう可能性

猫の主食は総合栄養食であるキャットフードが1番です。

栄養素のバランスが考えられていて、キャットフードだけでも十分健康が保てます。

鶏ささみを与えすぎてお腹がいっぱいになってしまうと、キャットフードが食べられずに栄養が偏ってしまう可能性があるので注意してください。

猫にささみを与えるときの調理方法

猫に鶏ささみを与える時は、正しい調理方法で処理をしてから与えましょう。

注意点と適切な調理方法を紹介するので確認してください。

生のささみは食中毒の危険がある

鶏ささみを生のまま猫に与えてしまうと、細菌などが原因で食中毒を引き起こす危険があります。

食中毒の症状
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 元気がなくなる
  • 発熱
  • 痙攣

食中毒の症状は原因を特定しづらく、素人の判断で様子を見たり、無理に吐かせようとするのは危険です。

上記の症状が見られ食中毒の可能性がある場合は、早急に動物病院へ連れて行って適切な処置を受けてください。

治療開始は、早ければ早いほど重大な症状を引き起こすリスクが減ります。

愛猫を危険から守るためにも、異変を感じたらすぐに動物病院に連れて行けるように準備をしておきましょう。

必ず加熱してから与える

鶏ささみを猫に与える時は必ず加熱してから与えましょう。

食中毒のリスクを減らすためにもレアや半レアではなく、しっかり中まで火が通っている状態になるまで加熱してください。

茹でた鶏ささみは消化しやすく、柔らかくなるのでおすすめです。

お湯だけで茹でる

鶏ささみを人間が食べる時に、料理酒を入れてパサつかないように茹でる事がありますが、猫が食べる時はお湯だけで茹でましょう。

5〜8分程度弱火で茹でて、冷めるまで蓋を閉めて置いておくと余熱で中まで火が入りパサつきづらくなるのでぜひ試してみてください。

茹で汁を一緒に与えても良い

茹で汁には鶏ささみから流れ出た栄養素が含まれているので、一緒に摂れば栄養補給に役立ちます。

猫に茹で汁を与えても身体に大きな問題はなく、水分補給の目的として与えるのもおすすめです。

猫は元々水を飲む量が少ないので、泌尿器系の病気になりやすいため積極的に水分を摂る必要があります。

鶏ささみの味がついている茹で汁は猫の食いつきも良いので、捨てずに一緒に与えてみてください。

ささみを与えると良いのはどんなとき?

鶏ささみは、消化性が良いので身体の調子が良くない時でも比較的与えやすい食材です。

猫は肉食動物なので、鶏ささみを好んで食べたがる子が多いため、食いつきを良くするためにも使えます。

食欲がないとき

猫に食欲がない時は、鶏ささみをフードに混ぜてあげると食いつきが良くなる可能性があります。

消化も良く、猫にとって必要な栄養素も豊富に含まれているので体調が優れない場合にもおすすめな食材です。

しかし、食欲がない時期は食べてくれる事が1番なので良いですが、健康になった時に鶏ささみに慣れてしまってフードだけでは食べなくなってしまうことも考えられます。

そんな時は鶏ささみの与える量を減らしたり、一度与えるのをやめてください。

猫の体調や食べる量などの様子を見ながら、鶏ささみを与える間隔や量を調整すると良いです。

また、療法食を食べている場合は、鶏ささみを与える前にかかりつけの動物病院に与えても問題ないのか相談してから決めましょう。

ダイエットをしているとき

鶏ささみは、低脂質高タンパクなためダイエットの補助食品としても最適な食材です。

だからといって与えすぎると、主食で与えなければいけないキャットフードが食べられなくなってしまうので、与える量には注意しましょう。

また、肥満状態で治療中の場合や持病を持っている場合は、ダイエット目的で鶏ささみを与える前にかかりつけの動物病院に相談してください。

猫にささみを与えるときの注意点

鶏ささみは猫の健康を害する食材ではありませんが、与える際に注意が必要になる点がいくつかあります。

注意点を解説するので、愛猫が苦しまないためによく確認してください。

アレルギーに気をつける

鶏ささみ自体は猫に与えても問題がない食材ですが、愛猫に鶏肉アレルギーがある場合は絶対に与えないでください。

アレルギーの症状
  • 皮膚のかゆみ
  • 目のかゆみ
  • 下痢・軟便
  • 嘔吐
  • 呼吸困難

皮膚や目のかゆみを感じている場合は、身体を過剰に舐めたり掻く姿が見られます。

下痢や軟便、嘔吐などの消化器系の症状もよく見られるので、便をよく確認してみてください。

重度な鶏肉アレルギーを持っている時は、呼吸困難を引き起こす場合があるので要注意です。

鶏ささみを食べた時・食べるたびに上記のようなアレルギー症状が見られる場合は、すぐに食べさせるのをやめて動物病院へ連れて行きましょう。

子猫は偏食を助長する恐れがある

子猫期は、1年をかけてものすごいスピードで成長する時期です。

必要になる栄養素の量も種類も成猫期とは異なるため、鶏ささみを与えすぎるのはおすすめできません。

食事管理が特に大事になる子猫期は専用のキャットフードを与えるのが1番なので、どうしても鶏ささみを与える場合はごく少量にしましょう。

特に鶏ささみを与える必要がない場合は、成猫期に入るまで与えないでください。

老猫には与えるのを控えた方が良い

老猫期は、消化が良い点では鶏ささみはおすすめな食材なのですが、リンが多く含まれているため注意が必要です。

腎臓の機能が衰えてくる老猫期には、腎不全になる危険が高まるのでなるべく鶏ささみを与えることは控えましょう。

子猫期と同様、与える必要がないなら鶏ささみは避けた方が良いです。

まとめ

今回は猫に必要な栄養素を多く含む鶏ささみについて紹介しました。

与える方法や与える際の注意点など、愛猫が健康を害さないために必要な知識を解説しているので、鶏ささみを与えようと考えている方はぜひ参考にしてください。

どんなに身体に良い食材でも、与えすぎると病気につながる危険な場合があるので適量と適切な食べさせ方を守りましょう。

RANKING
人気記事ランキング