【獣医師監修】猫はセロリを食べても大丈夫?与えない方が良い理由や与える際の注意点を解説

はじめに

風味が独特なセロリは好き嫌いがわかれる野菜ですよね。もし、猫が誤って食べた場合に問題ないか気になる方は多いと思います。

猫はセロリを食べても大丈夫です。ただ、病気のリスクを高めるので推奨はされていません。

今回は、猫にセロリを与えない方が良い理由を詳しく紹介します。与える際の注意点も詳しく解説していますのでぜひチェックしてください。

猫はセロリが好き?

まず、猫はセロリを好むと言われています。なぜセロリを食べるのが好きなのか詳しく紹介しますので、チェックしましょう。

セロリにはまたたびと同様の成分が含まれている

セロリには、またたびと似たような成分が含まれていることがわかっています。

そのため、セロリを与えると、またたびを嗅いだときと同様に、猫が興奮したり、遊びたがったりするのです。

また、セロリの葉や茎を噛んだり、転がしたりする行動も観察される場合があります。猫はセロリの匂いに引き寄せられ、香りを楽しんでいるのです。

しかし、すべての猫がセロリに同じ反応を示すわけではなく、一部の猫はまったく興味を示さないケースもあります。

酔っぱらったような状態になる事がある

セロリを猫に与えると、まるで酔っぱらったかのような状態になる事があります。

酔っ払ったようになるのは、セロリに含まれる成分が猫の神経系に作用し、一時的な興奮やリラックス効果を引き起こすためです。

具体的には、猫がセロリを食べたり嗅いだりすると、興奮して遊びたがる、ゴロゴロと喉を鳴らす、転がり回る、顔をこすりつけるといった行動が見られるケースがあります。

一部の猫にとっては楽しい経験となるかもしれませんが、他の猫にとっては過剰な刺激となる場合もあるので注意が必要です。

そのため、猫の反応をよく観察し、過度に興奮しているようであれば、量を減らすか与えるのを中止しましょう。

セロリの栄養成分

次に、セロリの栄養成分を詳しく紹介します。

  • カリウム
  • βカロテン
  • 食物繊維

それぞれ詳しく紹介するので、どのような効果があるのかみていきましょう。

カリウム

まず、セロリの栄養成分はカリウムです。カリウムは、細胞の正常な機能を維持するために必要不可欠なミネラルであり、特に神経や筋肉の働きをサポートします。

カリウム不足は、筋肉の衰弱や食欲不振などを引き起こす可能性が高いです。

特に、腎臓病などでカリウムのバランスが崩れやすい猫にとっては、適切なカリウム摂取が必要になります。

しかし、セロリから摂取できるカリウムの量は、猫に必要なカリウムの適量に大きな影響を与えるケースは少ないため、あくまで補助的な役割です。

一方で、カリウムの過剰摂取の問題にも注意しましょう。特に、腎臓に問題がある猫では、カリウムの排出がうまく行えず、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。

βカロテン

次に、セロリの栄養成分はβカロテンです。βカロテンは、体内でビタミンAに変換され、視力の維持、免疫機能の強化、皮膚や被毛の健康をサポートします。

特に、ビタミンAは猫にとって必須の栄養素であり、成長や発育、繁殖機能にも重要です。

ビタミンAの不足は、視力障害や免疫力の低下、皮膚の乾燥や被毛の質の低下を引き起こす恐れがあります。

セロリから摂取するβカロテンは、猫の健康をサポートするビタミンAの供給源です。しかし、猫はβカロテンを効率的にビタミンAに変換できないため、動物性のビタミンA源と併せて摂取する必要があります。

また、βカロテンは強力な抗酸化作用を持ち、細胞の損傷を防ぎ、老化や病気リスクの低減にも効果的です。

食物繊維

最後に、セロリの栄養成分は食物繊維です。食物繊維は、消化を助け、便通を促進する効果があります。

猫にとって適度な食物繊維の摂取は、腸内環境を整え、便秘や下痢の予防に役立つのです。

食物繊維には、水溶性と不溶性の二種類があり、異なる働きをします。

セロリには主に不溶性食物繊維が含まれており、腸内で水分を吸収し、便の量増加や腸の運動促進が可能です。そして、便秘を防ぎ、消化管の健康を維持できます。

一方で、過剰な食物繊維の摂取は、猫の消化器官に負担をかける恐れがあるので注意が必要です。特に、食物繊維を多く含む食品を大量に与えると、ガスの発生や消化不良を引き起こす可能性があります。

セロリの場合は、スジに含まれる食物繊維の量が多いです。

植物性の食材の大量摂取は消化に負担をかける場合があるため、食物繊維の摂取量には注意しましょう。

猫はセロリを食べても大丈夫?

猫にセロリを与えても大丈夫です。しかし、積極的に与えることは推奨できません。

与えても問題ない理由を詳しく紹介するので、チェックしましょう。

中毒になる成分は含まれていない

猫にセロリを与えても大丈夫な理由は猫に有害となる中毒成分は含まれていないからです。

適量を守って与える限り、猫の健康に大きなリスクをもたらすことはありません。

特に、猫にとって危険な食品にはチョコレートや玉ねぎ、にんにくなどがありますが、セロリは有毒成分を含んでいないため、比較的安全に与えられます。

ただ、猫の個々の嗜好や体質は異なるので、初めてセロリを与える際には少量から始め、猫の反応を慎重に観察することが重要です。

いきなり多くの量を与えてしまうとアレルギー反応や過度な興奮に陥る可能性があります。

セロリはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が含んでいる食品です。

しかし、栄養素は猫の主食である肉や魚からも十分に摂取できるため、セロリはあくまで補助的な食品として与えてください。

過剰摂取しなければすぐに問題になることはない

セロリは猫にとって一般的に安全な食品であり、過剰摂取しなければ大きな問題を引き起こすことはありません。

適量を守って与える限り、セロリが猫の健康に直ちに悪影響を与えることはすぐにはないです。

しかし、過剰に与えたり長期間与えたりすると健康問題が発生する可能性があります。

まず、セロリには食物繊維が豊富に含まれているため、過剰に摂取すると消化不良や下痢を引き起こす可能性が高いです。

猫は本来肉食動物であり、植物性の食物を大量に消化する能力には限界があります。そのため、セロリを与える際には、少量から始めて猫の消化能力を見極めることが重要です。

また、後述しますがセロリにはシュウ酸が含まれており、尿路結石のリスクを増加させる可能性があります。尿路結石は最悪の場合手術する病気なので、できる限り避けるべきです。

そのため、日常的に大量のセロリを与えることは避け、適度な量を守りましょう。

猫にセロリを与えない方が良い理由

猫にセロリを与えない方法が良いのはシュウ酸が主な理由です。シュウ酸が猫の体に与える影響を詳しく見ていきましょう。

尿路結石の原因になるシュウ酸が含まれている

セロリにはシュウ酸が含まれており、シュウ酸は体内でカルシウムと結びついてシュウ酸カルシウム結石を形成する恐れがあります。

そのため、シュウ酸は尿路結石の原因となり、猫の健康に深刻な影響を与える可能性があるのです。

特に、シュウ酸カルシウム結石は硬く、自然に排出されにくい特徴があります。結石は尿路を詰まらせるので、主に見られる症状は排尿時の痛みや排尿困難です。

そして、猫は頻繁にトイレに行ったり鳴いたりし、排尿時に血が混じるといった症状を示す場合があります。

さらに、結石が大きくなると尿路を完全に閉塞し、緊急の手術が必要となる恐れもあるのです。

シュウ酸のリスクを軽減するためには、セロリを与える頻度や量を制限しましょう。

日常的に与えると尿路結石を繰り返す可能性がある

猫にセロリを日常的に与えることは、尿路結石を繰り返す可能性があります。

先述のように、セロリに含まれるシュウ酸は、カルシウムと結びついて結石を形成するリスクが高いです。

そして、一度尿路結石が形成されると、尿路結石の再発リスクが高まるため、猫の健康管理を徹底する必要があります。

尿路結石が繰り返し発生すると、猫は痛みを伴う状態が続きストレスを感じやすいです。

また、頻繁な動物病院への通院や治療が必要となり、猫の生活の質が低下するだけでなく、飼い主にとっても負担が大きくなります。

そのため、結石が頻繁に再発する場合、猫の食事管理や生活環境の見直しが必要です。セロリを猫に与える場合は、頻度や量を制限し、あくまでごく稀に与える程度に留めましょう。

結石を取り出すには手術が必要

尿路結石が進行すると、猫の尿路が完全に閉塞する場合があります。尿路が完全に閉じている場合、緊急手術による尿路結石の除去が必要です。

尿路が完全に閉塞した状態だと、結石が自然に排出されず、薬物療法や食事療法でも解消できません。

手術は猫にとって大きなストレスとリスクを伴うため、避けられるよう日頃から猫の食事管理を徹底しましょう。

手術による結石の除去は、全身麻酔をかけて行われます。全身麻酔は猫の年齢や健康状態によるリスクが伴い、特に高齢の猫や持病を持つ猫にとっては負担が大きいです。

また、手術後の回復期間中は、痛みや不快感が続く恐れがあり、猫の生活の質が一時的に低下する場合があります。

尿路結石のリスクを減らすためには、日常的な食事管理や水分摂取の促進が欠かせません。

シュウ酸は加熱すると減少する?

ここまで、シュウ酸が猫の体に悪影響を及ぼすと紹介してきました。「加熱すれば大丈夫なのでは?」と考える方もいると思いますので、詳しく紹介します。

シュウ酸を完全に加熱分解する事はできない

シュウ酸は多くの野菜に含まれており、セロリにも同様に含まれています。シュウ酸は加熱によって量が減少することが知られていますが、完全な分解はできません。

加熱処理によってシュウ酸の一部が溶出し、減少する場合はあるものの、完全に無害化されるわけではないのです。

シュウ酸は熱に対してある程度の耐性があり、加熱しても分解されずに残ります。

例えば、茹でるとシュウ酸の一部が水に溶け出しますが、全てを除去することは不可能です。

また、調理方法によっては、シュウ酸が減少する量も異なります。茹でる場合には比較的多くのシュウ酸が溶ける一方で、蒸すや焼くといった調理方法ではシュウ酸の減少は限定的です。

さらに、加熱処理によってシュウ酸が減少しても、残っているシュウ酸が猫に与える影響を完全に無視することはできません。

そのため、加熱処理をすればセロリを与えても大丈夫だと考えるのはやめましょう。

加熱してもなるべく与えない方が無難

加熱によってシュウ酸の量を減らすことができるとはいえ、猫にセロリを与えることは慎重に考えてください。

シュウ酸は尿路結石のリスクを高めるため、感受性の高い猫や既に尿路結石を経験した猫には、加熱後であってもセロリを与えない方が無難です。

尿路結石は、猫にとって非常に苦痛を伴う病気であり、一度発症すると再発するリスクも高まります。

尿路結石の形成は、シュウ酸カルシウムが尿中で結晶化することが原因です。

尿路結石を防ぐためには、シュウ酸の摂取を極力避けることが重要であり、加熱処理で完全に除去できない限りリスクは残ります。

また、セロリ以外にもシュウ酸を含む食品は多く存在するため、猫の食事全体におけるシュウ酸の摂取量を管理することが重要です。

猫にセロリを与える際の注意点

ここまでは、猫にセロリを与えない方が無難であるとお伝えしてきました。

ただ、もし何かしらの理由で猫にセロリを与える際は下記の点に注意しましょう。

  • アレルギー反応を起こすことがある
  • セロリのスジが腸閉塞の原因になる可能性がある

アレルギー反応を起こすことがある

猫にセロリを与える際には、アレルギー反応が起こる可能性を考慮する必要があります。猫も人間と同様に、特定の食材に対してアレルギーを持つ場合があり、症状は様々です。

セロリに対するアレルギー反応が出る場合、皮膚のかゆみや発疹、嘔吐、下痢などが見られる場合があります。

重篤な場合には、呼吸困難やアナフィラキシーショックといった緊急事態に発展する恐れもあるので注意が必要です。

初めてセロリを与える際には、少量から始めましょう。少量を与えてから、猫の反応を注意深く観察し、異常がないか確認します。

特に、食後数時間以内に皮膚や消化器系の異常が現れた場合は、セロリが原因である可能性が高いため、直ちに与えるのを中止し、獣医師に相談してください。

セロリのスジが腸閉塞の原因になる可能性がある

セロリの茎には繊維質が多く含まれており、特にセロリのスジ部分に多いです。

そのため、猫にとってセロリのスジは消化が難しいので、腸閉塞の原因になる可能性があります。

猫は本来肉食動物であり、植物性の繊維を消化する能力は限られているため、硬い繊維質を多く含む食材は消化不良を引き起こしやすいです。

腸閉塞は、消化管内の食物の通過が妨げられる状態であり、嘔吐や食欲不振、便秘、腹部の膨満などの症状を引き起こします。

腸閉塞の症状が現れた場合、迅速に獣医師の診察を受けることが必要です。腸閉塞は放置すると、命に関わる重大な状態に進展する可能性があります。

また、セロリを与える際には、事前にスジを取り除きましょう。また、細かく刻んで与えると消化を助け、腸閉塞のリスクを軽減できます。

まとめ

猫にセロリを与えると、またたびと同じような成分から酔っ払ったような状態になります。

セロリはカリウムやβカロテン、食物繊維を豊富に含んでおり、中毒になる成分は含まれていないので過剰摂取しない限りは大丈夫です。

しかし、尿路結石の原因になるシュウ酸が含まれており、シュウ酸は加熱しても分解できないため、与えるのはおすすめできません。

もし誤って食べてしまったり与える必要がある場合は、アレルギー反応が起きないよう少量から与えるようにし、腸閉塞にも注意しましょう。

RANKING
人気記事ランキング