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はじめに
猫の飼い主が知っておくべきこと、それは「人間用チーズ」は猫にとって危険かもしれないということです。愛猫がチーズを食べたいとねだってきた場合、可愛さ余ってつい与えてしまいがちですが、それが思わぬ健康リスクを招くこともあります。
この記事では、人間のチーズが猫に及ぼす影響と誤って食べさせないための対策方法を獣医師監修のもと、詳しく解説します。また、そのほかの猫に与えてはいけない食品にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
猫はチーズを食べても大丈夫?
普段の食卓でよく目にすることのあるチーズですが、愛猫にチーズを与えても安全かという疑問は多くの飼い主がもっていることだと思います。
実は、チーズは猫の健康にさまざまなリスクをもたらすことがあります。
人間用チーズは猫には危険!
人間用チーズは絶対にあげてはいけない食品ではありません。しかし、栄養価の高さから、人間用チーズは猫にとってあまり好ましくない食品です。猫が人間用チーズを多く摂取してしまうと、健康に悪影響を及ぼす成分があります。具体的な危険性を詳しく見ていきましょう。
塩分過多で腎臓病や心臓病のリスクが高まる
人間用チーズに含まれる塩分は、猫にとってはとても多い量です。塩分を多く摂取してしまうことで、腎臓病や心臓病のリスクが高まります。減塩タイプのチーズでも変わりません。
少量でも日常的に摂取している場合は、腎臓や心臓の負担になりかねません。
健康を長く維持するためにも、猫に人間用チーズを与えることはおすすめできないことです。
脂質とカロリーが多く肥満の原因になる
猫にカロリーの高い人間用チーズを与えることは、肥満の原因になります。
チーズはとても高カロリーで、脂肪分も豊富に含まれている食品です。猫の小さな体にとって、高脂質、高カロリーな食品は肥満へとつながります。
肥満はただ体重が増えるだけでなく、糖尿病や関節病、心臓病などさまざまな健康問題を引き起こす原因となり得ます。
そのため、猫の健康を考えると、日常的に人間用チーズを食べさせることは避けるべきです。たとえ猫用のチーズであっても量の量節は必要になります。
乳糖によって体調不良を起こすことも
チーズは生乳を原料として作られています。生乳には「乳糖(ラクターゼ)」と呼ばれる酵素がつくまれており、肉食動物の猫は乳糖を分解する酵素がほとんどありません。子猫の時期はこの酵素が体内に多く存在していましたが、成長するとともに減少していくものです。そのため、分解する酵素を持っていない成猫が、乳糖の含まれるチーズを食べた場合、うまく分解されず消化不良を起こしてしまいます。
個体差もありますが、少しの量でも消化器官に不調をきたす場合もあるため、人間用チーズを猫に与えることは避けた方が良いです。
食物アレルギーのある猫は要注意
食物アレルギーを持つ猫にとって、人間用チーズは特に気をつける必要があります。
チーズにはタンパク質や脂質が多く含まれているため、乳アレルギーを引き起こす可能性が考えられます。
アレルギー反応は、皮膚の痒みや発疹、嘔吐や下痢などです。
これらの症状は猫にとってとても不快なだけでなく、場合によっては命の危険もあるものとして深刻に考えておいてください。
猫が過去に食物アレルギーの症状が出たことがある場合、十分に注意しましょう。
たまにおやつとしてあげるには問題ありませんが、安全を最優先に考え、猫用のチーズを与えることをおすすめします。
猫用チーズならあげても大丈夫
猫用チーズは人間の物とは違い、猫の健康に配慮されて作られた「猫のためのチーズ」です。
猫用チーズは乳糖が少ないか無添加で、塩分や脂肪の量も抑えられているため、人間用チーズが引き起こす健康リスクを大きく減少させられます。
与える分量には気をつける
人間用チーズではなく、猫用チーズなら与えても問題ありませんが、分量には注意しましょう。あまり食べ慣れていないものを与えると、体調を崩してしまったり、猫用でも受け付けなかったりする場合があります。
また、過剰な摂取は肥満や消化不良の問題を引き起こす可能性も考えられます。
猫用チーズはおやつとして与え、猫の日々のカロリー摂取の一部として考えましょう。
おやつは総カロリー数の10%未満が理想的です。
猫が人間用チーズを食べたときに起こる症状は?
愛猫が人間用チーズを食べてしまったらどのような症状があらわれるのでしょうか。
猫がチーズを食べると起こる症状には、中毒やアレルギー反応があります。
中毒やアレルギー
猫が人間用チーズを食べた場合、特に注意すべきことは中毒症状とアレルギー反応です。
中毒の主な原因は、チーズに含まれる塩分の過剰摂取が原因で、食塩中毒になる可能性があります。塩分摂取量は、猫の体重が1kgあたり、1日に0.7g程度です。
人間用チーズにはたくさんの塩分が含まれているため、とても危険なことがわかります。
塩分中毒の致死量に明確な基準はありませんが、気づかないうちに食べてしまっていたということが一番危険で怖いことだと考えられます。
一方、アレルギー反応はチーズに含まれる生乳由来のタンパク質によって引き起こされることが多く、皮膚の発疹や痒み、嘔吐や下痢などの消化器症状があらわれる場合もあるため注意が必要です。
猫用チーズだからといって最初からたくさん食べさせるのではなく、アレルギーのことも頭にいれ、まずは少しだけ与えて様子を見ることをおすすめします。
症状が現れた場合は動物病院を受診
もしも愛猫が人間用チーズを誤って食べてしまい、異常な症状が現れた場合は、迅速な対応が求められます。
中毒やアレルギー反応など、健康に影響を及ぼす症状が見られた場合には、すぐに動物病院に連絡し、獣医師の診察を受けることが重要です。
猫がどのような症状なのかを正確に伝えることで、獣医師は適切な治療を行えます。また、チーズを食べてしまったとわかった時には、いつ食べたのか、どれくらい食べたのかを明確にしておきましょう。
飼い主には冷静な判断が求められます。
病院での治療法は?
病院に着くとまずは検便や採血などで原因を探ります。
問診では、いつ食べたか、どれくらい食べたか、どのような症状が出ているかを細かく説明してください。
問診や採血の結果で治療方法は変わり、症状がひどい場合には入院になるケースも考えられます。
大量に食べたら症状がなくてもすぐに動物病院に連絡
もしも愛猫が人間用チーズを大量に食べてしまった場合、症状の有無にかかわらずすぐに動物病院に連絡しましょう。
症状がすぐにあらわれないこともありますが、食べた量によっては早めの受診が求められます。
塩分や脂肪の過剰摂取は腎臓病や心臓病、消化器系の障害など、後から重大な健康問題を引き起こす原因になりかねません。
獣医師は摂取量と猫の体重を考慮して、必要な処置をしてくれます。そのまま放っておくのではなく、まずは状況を伝えることが大切です。
人間用チーズの誤飲を防ぐ方法
愛猫が人間用チーズを誤って食べてしまう事故を未然に防ぐためには、どのような対策が効果的なのでしょうか。この章ではチーズの誤飲を防ぐための具体的な方法を紹介します。
日常生活で気をつけるべきポイントを押さえ、愛猫を健康で安全な環境で守りましょう。
猫の手の届くところに置かない
猫の健康を守るためにも、人間用チーズは猫の手の届かない場所に保管しておきましょう。
猫は高い場所にも簡単に登れるため、高い場所の棚の中でも安全とは限りません。
そのため、チーズを密封できる容器に入れ、猫が開けられない引き出しや冷蔵庫内に保管すると良いでしょう。
また、食事の準備や食後にチーズをそのままテーブルやカウンターに放置しないように気をつけることも大切です。これにより、猫が誤ってチーズを食べるリスクを避けられます。
人間が食べるときに落とさない
人間がチーズを食べる際、猫が誤って食べることを防ぐ最も基本的な方法は、チーズを落とさないように注意することです。
食事中にテーブルからチーズを落とすと、猫がすぐに飛びついてくることがあります。
そのため、猫がそばにいるときは、食べ物を扱う際は特に注意をし、誤って床に落とすことのないようにしましょう。
また、食事の準備中や食後の片付けも同様に、チーズやその他の危険な食品を、猫の手の届く場所に置かないように心がけることが重要です。
家族でチーズの危険性を共有しておく
愛猫を守るために、家族全員でチーズの危険性について理解し、共有しておきましょう。
家族それぞれが、人間用チーズが猫に与える健康リスクを認識することで、誤ってチーズを与える事故を防げます。また、誰かがチーズを食べる際には特に注意をし、猫が近づかないようにするなどを、一緒に行えます。
家族内で同じように意識を持つことで、猫が人間用チーズを誤飲するリスクを大きく減らせるでしょう。
その他に猫に与えてはいけない食べ物
猫に安全で健康的な生活を提供するためには、避けるべき食べ物を知ることが重要です。
チーズ以外にも、猫に有害な食べ物は多く存在します。
この章では、猫に与えてはいけないその他の食べ物を詳しく解説します。
玉ネギ、ニンニク
玉ネギやニンニクは猫にとってとても危険な食べ物です。
赤血球にダメージを与えて貧血を起こす可能性があります。ごく少量では問題なく、大量に摂取した場合害となる玉ネギやニンニクですが、濃縮された粉末などは危険です。
玉ネギやニンニクを食べた場合の症状は、無気力、衰弱、オレンジから濃い赤の尿です。
症状に気づいた時には、すぐに獣医師に相談しましょう。
生卵、生肉、骨
生卵や生肉を食べた場合、サルモネラ中毒や大腸菌中毒などの食中毒を引き起こす可能性があります。嘔吐や下痢、無気力などの症状としてあらわれ、これらの菌は人間にも感染してしまうものです。
生卵も、猫にとって皮膚や被毛にトラブルが起こる場合があります。
そのため、料理中など猫が近づかないように注意しましょう。料理後は手洗いを徹底することを心がけてください。
骨は、噛み砕くと鋭利な破片になってしまい、猫の口内や消化管を傷つける恐れがあります。また、骨は消化不良を引き起こすことがあり、腸閉塞などの健康問題を引き起こすリスクも高いです。
チョコレート
チョコレートは猫にとって非常に有害な食べ物です。チョコレートに含まれるテオブロミンという物質は、人間にとっては比較的安全ですが、猫の体では代謝されにくく、摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。
中毒の症状には、嘔吐や下痢、不整脈、高体温、けいれん、激しい喉の渇き、最悪の場合には死に至ることもあるほどです。
ミルクチョコレートやホワイトチョコレートよりも、ダークチョコレートのほうが高濃度のテオブロミンが含まれているため危険性が高まります。同時に、チョコレートに含まれているカフェインもテオブロミンと同じグループの物質のため、猫には有害です。
猫がチョコレートを食べてしまった時には、すぐに獣医師に相談し指示を仰ぎましょう。
生のパン生地
生のパン生地を猫に与えるのは危険です。
生地内のイーストが猫の体温で活性化することに原因があります。
膨張してアルコールを発生させてしまうと、猫がアルコールを摂取したことと同じ状況です。
この状態が進行すると、嘔吐や下痢、呼吸困難、震え、方向感覚の喪失を引き起こすことがあり、深刻な場合は昏睡や死に至ることも考えられます。
そのため、猫が生のパン生地に触れないよう厳重な注意が必要です。
牛乳、乳製品
子猫の頃と違い、多くの成猫は乳糖を適切に消化できません。成猫は乳糖を分解するための酵素が低下しています。その結果、牛乳を摂取するとお腹の調子が悪くなったり、下痢を起こしたりすることがあります。
一部の猫は、牛乳を飲んでも問題ないこともありますが、消化器系のトラブルが考えられるため、成猫になってからの牛乳はおすすめできません。
ブドウ、レーズン
ブドウやレーズンの果物を摂取した場合、猫は腎機能障害が進むことがあり、少量のブドウやレーズンでも腎臓へのダメージがあります。
腎機能障害の症状としてみられることは、食欲不振、嘔吐や下痢、無気力、腹痛です。重度になると尿の量が減少し、最悪の場合死に至ることもあります。初期の兆候は、嘔吐や落ち着きの無さです。
そのため、ブドウやレーズンなどの果物は猫の手の届かない場所に保管し、決して与えないようにしましょう。
もしもこのような症状がみられ、ブドウやレーズンを食べた可能性が考えられるならすぐに動物病院を受診しましょう。
ドッグフード
猫と犬では必要とする栄養素が異なるので、犬用に作られたドッグフードは猫に適していません。
猫は、タンパク質やビタミンを多く必要としますが、少量でも生きていける犬用として作られているドッグフードには、猫が必要とする量よりも少ないことがあります。また、猫が食べ物から摂取しなければならない、タウリンやアラキドン酸は犬は体内で合成できるため、ドッグフードにはあまり含まれていません。
そのため、猫がドッグフードを食べると栄養素が不足してしまいます。
まとめ
この記事では、人間用チーズが猫に与えるリスクとその誤飲を防ぐ方法について、獣医師監修のもと詳しく解説しました。チーズの塩分や乳糖は猫の健康に悪影響を及ぼす恐れがあり、特にアレルギーや腎臓病のリスクを高めます。
愛猫が誤って人間用チーズを食べないよう、食品の保管方法や家族間での情報共有が重要です。猫の健康を守るため、適切な管理と注意が求められます。