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【獣医師監修】猫の感電に注意!電源コードやコンセントの危険性と感電した時の対処法

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はじめに

猫を飼っている方なら、電源コードやコンセントで遊んでいる姿をみたことがあるのではないでしょうか。

しかし、興味本位で触れると、感電する恐れがありとても危険です。飼い主さんが気付いたときにやめさせることはできるかもしれませんが、いつも猫の様子を見ていられるわけではありません。

今回は電気コードを噛んでしまうことでの危険性や、万が一感電してしまった際の対処法などについてくわしく解説いたします。

猫が電気コードを噛むと危険!

猫にとって電気コードは、紐のおもちゃのようにみえて興味をそそられますが、いうまでもなく電気コードを噛むことは大変危険です。

とくに歯が生えそろわない子猫は口の中がかゆくなるために、何かを噛んでむずがゆさを和らげようとします。このときに電気コードを執拗に噛んで表面のゴムが破れてしまうと、むき出しになった導線に触れて感電してしまいます。

成猫でも、興味本位でおもちゃ代わりにコードを噛んで感電することは珍しくありません。電気コードだけでなくコンセントも可能性は低いですが、濡れた手で触れたりすると感電する危険性があるので注意が必要です。

また、感電するほど電気コードなどが破損していると、火災の危険性も高まります。家を空けたときに火事になってしまうことのないよう、日頃から猫の感電対策、電気コードやコンセントの危険性についてもしっかりと理解しておきましょう。

感電するとやけどする

コードを噛みちぎってしまい、感電すると電気が体を通過するときにやけどをします。電流がさほど強くなくても、直接触れた口元や口内、顔や皮膚にやけどを負うこともあり、ひどくなると、腫れあがったり、ただれてしまったりすることもあるので、感電の可能性がある場合には、飼い主さんは外傷だけでなく口の中まで確認してあげましょう。

電流が強い場合には、やけどでは済まないこともあり、一瞬の感電で致命的なダメージを受けてしまうことがあります。強い電流を受けると全身の痙攣や心臓にダメージを受けて即死してしまうこともあるのです。

電気コードの繊維が口や食道に引っかかる

電気コードをずっと噛んでいると、やがてビニール部分を噛みちぎって導線がむき出しになります。導線を噛むと前述したとおり感電の危険性が高くなりますが、仮に電気が通っていなくても万が一、口に入れて飲み込んでしまった場合には、口内や食道を傷つけるだけでなく、消化管内で引っかかってしまうことも考えられます。

そのような場合には、そのまま吐き出すのを待つのではなく、動物病院を受診して、適切な処置をすみやかにおこなわなければなりません。

猫が感電したときの症状

猫が感電すると、さまざまな症状を引き起こします。軽度のものから命に関わることもあるので、すみやかに適切な処置をおこなわなければなりません。

やけど

感電の症状として一般的なものとしてやけどがあります。流れる電流の強さによりやけどの程度は変わりますが、人間がピリッと感じるくらいの電流で5〜10mAといわれており、人間にとってはこのくらいの感電でしたら比較的軽度のものといえます。

ただし、猫は人間よりも体が小さいため、受けるダメージは人間以上となり、少量の電流でしびれただけでも、びっくりしてパニックに陥ることがあります。

また、感電後に一見どこもやけどをしていないように見えても、コードを嚙んでいて感電した場合には、口の中や口の周りにやけどを負っている可能性があるため、口内にも異常がないか、口をもごもごさせて気にしていないかチェックしてください。

肺水腫

肺水腫とは肺に液体が溜まり、呼吸困難を引き起こすことがある病気です。本来、呼吸により酸素を吸い込み、不要な二酸化炭素を吐き出しますが、肺の中に液体成分が入り込んでしまい、溺れたような状態になってしまいます。

肺水腫はおもに心臓疾患を患っている猫に多くみられますが、コードを噛んでしまい重度の感電の場合に肺水腫になることがあります。

肺水腫になると、浅い呼吸や口呼吸をする回数が増えます。さらに伏せの状態で苦しそうにするようであれば、その後、呼吸困難になることもあり、そこから痙攣や意識障害になり、ショック状態から最悪のケースでは心停止することもあるので、異変を感じたら一刻も早く病院へ連れていきましょう。

不整脈

感電によるショックで、不整脈を起こすことがあります。心臓の動きは、心臓から発せられる電気刺激でコントロールされており、通常、健康な動物は、常に同じリズムで、電気の通り道を電気が流れていくことで心臓が動いています。しかし、感電によりこのリズムが崩れ、不整脈を発症することがあります。

不整脈には心拍数が早くなりすぎる場合と、遅くなりすぎる場合があり、早急な治療が必要かどうかは、重症度などで判断されます。不整脈は感電直後に症状があらわれない場合もあり、しばらくたってから突然発作を起こすこともあります。

もし愛猫が感電したら、直後の様子に問題がなくても、念のため病院で診てもらい経過観察をしておきましょう。

重症の場合は命に関わることも

感電により受けた電流が強いケースでは、重症化してしまうことも多く、ときには命に関わるほどの致命的なダメージを受けてしまいます。

特に濡れた体で感電すると、通常よりも強い刺激を受けやすく大変危険です。

強い電流の衝撃は、たとえ一瞬の感電でも、心臓発作や全身けいれん、意識障害がおき、最悪のケースでは、そのまま心肺停止により即死してしまうこともあります。

また、感電した直後に猫が普通に動いていても、体内に電気が通ることで筋肉や内臓にやけどを負ってしまい、少しあとから症状が起きることがあります。筋肉や神経にダメージを受けると、足を引きずるようなそぶりを見せることもあり、今回ご紹介している肺水腫や不整脈などは時間が経ってから悪化してくることもあるため、感電時に意識を失ってしまうような場合には、そのあと回復しても決して楽観視せずに、獣医師の判断を仰ぎましょう。

猫が感電したときの注意点や対処法

万が一、ご家庭で猫が感電してしまったときもいくつかの注意点があり、正しい対処法とともに飼い主さんの落ち着いた対応が求められます。

直接猫の体に触らない

猫が、電源コードやコンセントの近くでぐったりとして、「感電したのかも?」と思っても慌てて触れてはいけません。感電中の猫は帯電している可能性があり、直に触れてしまうと飼い主さんも感電の危険があります。

また、感電のショックで猫が失禁してしまうこともありますが、失禁している尿も帯電していることがあるので、すぐに触れるのはやめましょう。

ただし、その場に猫を寝かせておくことはできないので、電気を通しにくいゴム手袋や何重にも重ねた厚手のビニール袋をはめて、電気が通らないようにしてから、そっと猫に触れてみましょう。

いきなり抱き上げると、猫は感電によってパニックになっていることがあり、ダメージを受けた体で暴れてしまい、さらに症状が悪化することがあります。

まずは安全な場所に移動して、猫を落ち着かせることができたら、意識の確認や、感電前との様子の違いをしっかりとみたうえで病院を受診してください。病院を受診した際にきちんと説明するためにも、感電したと思われる時間や、発見の時間、病院へ連れてくるまでの様子の変化などを記録しておくと、治療をスムーズに進めることができます。

愛猫が感電してしまうと飼い主さんも動揺してしまうことが多いでしょうから、正しい説明ができるよう記録を取っておくことはとても重要です。

部屋のブレーカーを落とす

もし猫が感電して、原因がわからないようならば、これ以上の二次的な感電を防ぐために、まずはブレーカーを落としてください。

明らかに原因がわかっている場合と違い、感電した場所がわからないときに、猫が感電した原因を確認するため、いったん、すべての電源をオフにした方がよいでしょう。

そのうえで、破損しているコードやコンセントなどを調べておけば二次的な感電事故を防ぐことができます。

感電の原因となった電源コードを抜き電源を切る

感電の原因となった電源コードがわかっている場合には、これ以上の感電を防ぐために電源コードを抜きます。このときにブレーカーを落としていないようならば落としておきます。

猫が感電をすると最初に猫を動かそうとしてしまいがちですが、猫が再び触れてしまってもこれ以上感電しないように、まずはコンセントを抜き電気を遮断してください。

コンセントを抜くことで感電の予防になります。万が一コードをかじっている姿を見つけたときに、いきなり猫からコードを引き離そうとすると、渡したくない心境で、よけいに強く噛んでしまうので、最初にコンセントを抜いて、電気が通っていない状態で、電源コードのそばから猫を移動させてください。

猫を呼吸しやすい状態にする

感電してしまった猫の様子が明らかに苦しそうにしているときは、応急処置として呼吸を確保してあげなければなりません。このときに直接手で触れて猫を移動しようとすると、飼い主さん自身も感電の危険性があるので、厚手のゴム手袋などをして、猫を横向けにしてください。

意識が朦朧としているときは、飼い主さんの手でゆっくりと口を開けて、呼吸しやすい状態を作ってあげましょう。

すぐに動物病院へ連れて行く

口を開けて呼吸する気道を確保できたら、そのまま様子をみることはせずに少しでも早く動物病院へ連れていってください。可能であれば、事前に電話で感電した可能性のあることを伝えておくと、動物病院としても速やかに対応することができます。

猫の感電による症状は、見えない部分での異常があとから起きることもあるので、電源から引き離し、気道の確保ができたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

ここで注意しておきたいのが、猫の呼吸が弱くなっているときに、心臓マッサージや人工呼吸は有効な手段なのですが、正しい知識がないままおこなってしまうと、かえって猫にとって危険な状態になってしまいます。もし、方法がわからないときは、その場で何とかしようとせずに動物病院へつれていきましょう。

猫が電源コードで感電するのを防ぐための方法

猫が感電をすると、命に関わるほど危険なケースもあります。しかし、毎日ずっと飼い主さんが見張っているわけにもいかないため、家を空けるときでも安心できるよう感電対策が必要になります。

ここでは、予防のためにぜひ取り組んでいただきたい対策について、ご紹介します。

電気コードを抜いておく

家の中の電化製品のなかには、それほど使用していないものも、つい部屋の中で、コードを差しっぱなしにしているものが多いのではないでしょうか。

猫が過ごしている部屋に不要な電気コードが散らばっていれば、感電のリスクが高くなってしまいます。

とくによく見かけるのが、猫の手が届く場所に携帯電話の充電ケーブルを差しっぱなしにしていることがあります。携帯のケーブルは通常の電気コードに比べてもとても細い作りのため、簡単に噛みちぎることができ、感電しやすいため、使用しないときは必ず抜いておき、猫の手の届かないところに置くようにしてください。

配線カバーで電気コードを隠す

使用しているコードも、なんとなく床に這わせているだけだと、猫が興味を示す格好のおもちゃになってしまいます。上からぶら下がっているコードも同様で、好奇心旺盛な猫ならば、ほぼ間違いなく手を出して遊んでしまいます。

なるべく猫の目につかないよう、床を這わせているコードは、カーペットなどの敷物の下に隠したり、100円ショップなどでも手に入る、スパイラス式の配線チューブなどを使用したりして、猫が直接コードに触れられないようにしておくだけでも噛みちぎってしまうことが少なくなります。

コンセントカバーをつける

コンセントは、電気コードのように断線してしまうことはありませんが、猫が不用意に差し込み口に手を触れないように、コンセントカバーもつけておきたいところです。

コンセントカバーを設置しておけば、コンセントの差込口に猫が触れることもありませんので感電対策に有効です。

猫が届かない場所に電気コードを貼りつける

部屋の中で、コンセントから距離のある所まで電気コードを引っ張ってこなければならないときに、むき出しのコードが床を張っていれば、ほぼ間違いなく猫の興味をそそることになります。

少し高さのある差し込み口などもあり、だらりとぶら下がっているのは危険でもあり、見た目にもよくありません。

そこで、ケーブルモールなどを使用すると、モールの中にコードを収納できますし、そのまま床や壁に固定すれば、電気コードが散らばることもありません。

ほかに、長すぎるコードも、つい部屋の隅に丸めて置いてしまいがちですが、ケーブル収納BOXなどにしまっておけば、部屋によけいな電気コードが散乱せず、猫の感電対策になります。

ビニール部分がはがれているコードは取り替える

定期的に部屋の電気コードを確認する習慣をつけましょう。飼い主さんの知らないうちに、電気コードをかじってしまい、ビニール部分を傷付けてはがしてしまっている部分があるかもしれません。

ついている傷がたとえ小さいものであっても、そこからさらに剥がしてしまうことで感電事故を起こすおそれがあります。

猫が普段行動しそうな場所にある電気コードは、こまめにチェックしておかないと、感電以外に火災の危険もあるので、ぜひ注意してください。

まとめ

猫の感電について解説いたしました。実際に飼われている猫が、感電して危険な状態になってしまったという飼い主さんは少ないかもしれません。しかし、電気コードを噛んでいたり、コンセントなどに興味を示している猫をみた方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この行動は、もし一歩間違えれば、感電してしまい、場合によっては今回ご紹介したように命の危険にさらされてしまうことがあります。

しかし猫の感電は突発的に起きるものではなく、猫の暮らす環境を正しく整備してあげることで防げるものでもあります。

成猫になって、興味を示すものや自我が強く目覚めてしまう前に、子猫のうちより電気コードなどに触れることができない環境に身を置き、危険なものに手を出さないよう自然な形で導いてあげることができれば、大きくなっても感電や事故の心配をしなくて済みます。

飼っている愛猫の性格が、とても好奇心旺盛ならば、なおさら大切な猫が苦しまないように当記事を参考に感電対策に取り組んでいただけるとよいでしょう。

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