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はじめに
あなたの愛猫が、家の中で一歩ごとにピッタリと後をついてくる光景は、見ていてなんとも愛らしいものです。しかしそれが、いつも、どこでも、絶え間なく続くとなると、少し心配になりませんか。「もしかして何か原因があるのかな、何かおかしいのかな」と思う飼い主も少なくありません。
この記事では、猫が飼い主の後をついてくる行動の理由と、愛猫の心理状態について解説します。
猫がずっとついてくる理由は?
猫が飼い主の後をついてくるのは一体なぜでしょうか。この行動には、愛情、好奇心、安心感などさまざまな理由が隠れています。
猫の習性を深く知り、心理を探っていきましょう。
遊んでほしい
猫が飼い主の後をついてくる行動は、遊んで欲しかったりかまって欲しかったりするサインかもしれません。
猫が「ニャーン」と高く鳴きながら足元をスリスリするのは、遊んでほしいという願いをあらわしています。お気に入りのおもちゃで一緒に遊ぶと猫は大喜びするでしょう。
また、猫が追いかけてくるものの、近づこうとすると逃げるような行動を取る時は、追いかけっこをしたいという意思のあらわれです。猫はさまざまな方法で遊びを求めてきます。
忙しい時に限ってついてくるのも、猫なりのコミュニケーションの方法です。
飼い主が立ち上がるとすぐについていく猫は、単に場所を移動するだけでなく、一緒に時間を過ごしたいと願っています。そのため、猫に少し時間を割いて、遊びやスキンシップで応えてあげることが大切です。
お腹が空いた
猫が飼い主の後をついてくる主な理由の一つに「お腹が空いている」というシンプルな理由があります。
猫は人の顔をしっかりと識別でき、誰が食事を与えてくれるのかを理解しています。そのため、お腹が空いたとき、食事を求めて特定の人を追いかけるのです。
猫が「ニャーニャー」と鳴きながら飼い主のそばを離れずついてくる場合、ご飯をくださいという強いメッセージかもしれません。愛猫が優しく鳴き、体を擦り付けてくる時は、食べ物を求めているサインとして捉え、適切なタイミングで食事を与えましょう。
しかし、猫が食事の時間以外にもしつこくついてくる場合、無闇に食べ物を与え続けると肥満のリスクが高まります。適切な食事管理を心がけ、食事の時間に合わせて飼い主が動きましょう。
マーキング
猫が飼い主の後をついてくるのには、本能的なマーキングの意味があります。猫はテリトリー意識が強い動物です。自分の領域を主張するために、特定の部位にある臭腺から分泌されるフェロモンを使ってマーキングします。
特に、額、口、顎にある腺は、接触するときに簡単にニオイを移せるため、猫はこれらの部分を飼い主に擦り付けることが多いです。
飼い主の周りを歩きながらマーキングをすることで、猫は「この人は私の大切な人で、この場所は私の安全な領域」というメッセージを示してリラックスしているのです。
飼い主のことが好き
猫が飼い主の後をついてくる理由の一つは、単純に飼い主のことが好きだからです。
この行動は、飼い主と常に一緒にいたいという強い願望から生まれます。飼い主が家の中で移動する際、愛猫はその姿を追いかけ、時にはお風呂やトイレのドアの外で待つことさえあります。
また、猫は膝の上に乗る、一緒に寝るなど、肉体的な接触を通じて親密さを表現します。このような行動は、飼い主に対する愛情と信頼の深さを示しています。猫が飼い主のそばを離れたくないと感じるのは、飼い主が大切な存在であると感じてくれている証拠です。
猫は嫌いな人には近づかない本能を持っています。そのため、愛猫が積極的に飼い主の後を追うのは、好きであり、安心できる対象としているからと言えるでしょう。
不安を感じている
猫が飼い主の後をついてくる理由の中には「不安感」が大きな要因として挙げられます。特に環境の変化や他の猫の存在など、普段と異なる要素がストレスとなり、不安を感じていることが考えられるでしょう。
猫は基本的にテリトリー意識が強い動物ですが、飼い主がいないと感じると寂しさや不安から、安心できる存在の飼い主のそばに留まろうとします。
シニア猫や普段臆病な性格の猫は、些細な刺激にも敏感に反応し、不安を感じやすい傾向にあるようです。飼い主が視界から消えるだけで、猫は不安に駆られ、鳴きながら探し回ることもあります。
このようなときは、猫に対してたっぷりスキンシップをとってあげることが重要です。
親離れできていない
親離れできていない猫は、飼い主の後をついてくる傾向があります。
子猫は通常、生後6ヶ月頃までに自立して、親から離れることを学びます。しかし、この大切な時期に人間の飼い主に引き取られた場合、適切な親離れができないことがあるのです。その結果、飼い主を実の親のように見て、常に後を追うようになることがあります。
特に、子猫の頃から飼い主と一緒に過ごしている猫は、成猫になっても飼い主を母猫と同じように感じ、子猫のような依存心を持ち続けることがあります。これは、猫が飼い主を母親同然の存在と認識し、安心感や保護を求めているためです。また、飼い主は猫に対して威嚇することなく、愛情を注ぐため、猫はより一層飼い主への依存を深めることがあります。
このような猫に対しては、無理に後追いを止めさせることは避け、猫が自然と自立心を持つまで支えてあげることが大切です。成長に伴って自然と減少することが多いですが、猫の性格や育ち方によっては長期間続くこともあるようです。
猫が安心して自立できるような環境を与え、時には距離をもちつつも安全に愛情深く接していきましょう。
ずっとついてくる猫の特徴
猫が常に後をついてくる理由はたくさんありますが、性格や環境的な要因も関わってきます。
甘えん坊
甘えん坊な猫は、飼い主との共有の時間を特に重視しています。このような猫は愛情豊かで、飼い主の近くにいることで安心感を得るため、飼い主が移動する時は、小走りで追いかけることがあります。
飼い主と一緒にいる時間が多いほど、より多くの愛情を受け取れると感じ、結果として飼い主の行動に敏感になるのです。
このような猫は「かまってほしい」「一緒にいたい」という願望が強いため、 日常的に 飼い主の後を追いがちになってしまいます。
独占欲が強い
独占欲が強い猫は、飼い主を自分だけのものとみなす傾向があります。特に他のペットがいる家庭や、複数の猫が同居している場合に、このような行動があらわれます。
飼い主に対して頭や頬を擦り付けることでマーキングを行い、自分の領域を主張しようとしているのです。
これらの行動は、飼い主への強い独占欲から来ており、他のペットとの競争心を示していることもあります。
好奇心旺盛
好奇心旺盛な猫は、飼い主の行動に常に興味を持ち、その動きを常に追いかけます。
飼い主がお風呂やトイレに入ると、扉の前で待機し、中で何が起こっているのかを気にかけることがよくあります。また、水が流れる音など、普段聞きなれない音に対しても強い興味を示します。
このような猫は、日常的に飼い主のあらゆる動きに注目し「何をしているの」「どうしたの」といった感じで行動を共にすることが多いです。
飼い主が何か新しいことを始め、いつもと違う行動を取る時には、その様子を観察したがるため、頻繁についてきて歩くことになります。好奇心旺盛な猫は、新しい刺激やまだ知らない環境に対する探究心が強いため、飼い主の周囲を離れない傾向にあります。
子猫の習性
子猫は生まれつき母親を追いかける習性を持っています。そのため、飼い主を母親と認識し、常に後をついてくるのです。
特に野良猫の場合、母親の近くにいることが生存に直接関わってくるため、この行動はさらに強く見られます。
子猫は体が小さいため、足元にいても気づかれにくいことがあります。このため、飼い主はドアを閉める際には、必ず子猫が近くにいないかを確認しましょう。不注意から子猫がドアに挟まれてしまうことがあるため、常に警戒しておく必要があります。
このように、子猫は保護者である飼い主と常に接触を求め、どこへでも追いかけて行きます。飼い主への強い愛情と依存心から、飼い主がいる場所ならどこでも一緒にいたいと思うのです。
猫がずっとついてくるよくある場面
猫がどのような時に飼い主の後をついてくるのか、よくある場面を紹介します。
朝起きてすぐ
朝起きて愛猫が飼い主の後をついてくる理由として、お腹が空いていると訴えていることが多いです。
飼い主が起きた瞬間に、猫が「早くご飯を食べたい」との気持ちを飼い主に伝えています。飼い主が起きたら食事のサインと解釈し、ずっとついてきて鳴き声で催促してきます。
このほかに、トイレに行きたがっていることも考えられます。一晩中我慢していた猫が、飼い主が起きたのを見てトイレに誘導することもあります。トイレが汚れている場合は、綺麗にしてほしいという訴えかもしれません。
出かけるとき
飼い主が出かける準備をする際に、愛猫が後をついてくるのは、飼い主の変化に敏感に反応しているからです。
猫は普段と違う飼い主の行動や、服装の変化を察知して、不安や心配を引き起こしてしまいます。
女性の場合、化粧をする行動も猫にとっては大きな変化です。
このような見た目の変化に加えて、香水や化粧品の香りも刺激となり、猫の不安を増すことがあります。その結果、猫は飼い主を追いかけ、出かける前に安心を求める行動を取るのです。
飼い主は出かける前に、猫とのスキンシップを大切にしましょう。
身支度をする場所は、猫の居ない場所に限定しておき、出かける直前には猫を撫でたり抱き上げたりして安心感を与えることが効果的です。また、出かける準備中はできるだけ落ち着いた態度で行動することで、猫の不安を和らげられます。
なでたり抱っこしたりした後
スキンシップを終えた後でも、愛猫が飼い主の後をついてくる時はよくあります。
これは、猫が飼い主に自分の匂いをつけたいという意味があるためです。
猫にとってスリスリは単なる甘えの行動ではなく、マーキングの一環であり、飼い主を自分のものとして認識しようとする行動と言えます。
特にスキンシップの際に愛情を感じた猫は、その感情をさらに深めるために飼い主の体や衣服に自分のニオイをつけます。自分のものとして独占しようとするあらわれです。
スキンシップが終わった後に猫が引き続き飼い主についてくる場合、飼い主はその場に立ち止まり、猫が自由に行動できるようにしてあげましょう。猫がスリスリと体を擦り付けたいときは、ニオイをつけさせてあげてください。また、甘えたがりの猫にはさらに愛情を示し、優しく頭を撫でて応えることが効果的です。
ごはんが足りなかったとき
愛猫が食事を終えた後も飼い主の後を追いかけるようであれば、まだお腹が空いているサインかもしれません。
肉食動物である猫は、本能的に可能な限り多く食べておく傾向があります。これは、食べ物にいつありつけるかわからないという生活からきています。
また、猫に腹八分目という概念はなく、出された食事が足りないと感じると飼い主にさらに食べ物を求める行動を取ります。
猫が食べ終わった後にまだ何かを求めている場合、少しのフードを追加してあげて満足感を高めてあげましょう。
しかし、愛猫の健康を守るためには、食べすぎによる肥満に注意が必要です。
あまりにもたくさんの量を欲しがる場合は、カロリーが低めのフードや水分を多く含むウェットフードを適量追加するなどして、食欲を満たしつつ健康を維持できるようにしてあげましょう。
ひどい場合は分離不安症かも?
猫が異常に後をついてくる行動は、単なる愛情のあらわれだけでなく、分離不安症の兆候かもしれません。この章では猫の分離不安症について細かく解説します。
分離不安症とは
分離不安症は、猫が飼い主と離れることに強い不安を感じ、さまざまな問題行動を引き起こす状態のことです。
分離不安症になった猫は、飼い主の姿が見えなくなるとパニックに陥りやすく、その不安が暴れたり鳴き叫んだりなどの行動であらわれます。また、精神的なストレスが原因で物を壊したり、自傷行動をとったりすることもあります。
愛猫が、飼い主のそばから少しも離れられない、極端に鳴いたり暴れたりする場合は分離不安症を疑うべきかもしれません。
この状態は、猫だけでなく他のペットにも見られる問題で、飼い主との分離が原因で不安や苦痛を感じるために起こります。
分離不安症の症状
分離不安症の症状は、行動的な症状と身体的な症状であらわれます。
行動的な症状としては、過剰な鳴き声、落ち着かない行動、破壊行動、不適切な場所での排泄、過度なグルーミングが挙げられます。
身体的な症状としては、食欲不振、嘔吐や下痢、過呼吸などです。
これらの症状は、飼い主と離れている時間が長い場合や、生活環境の大きな変化があったときに特に見られます。猫の行動や健康状態で異変を感じたら、分離不安症の兆候である可能性が高いため、適切な対処や獣医師のアドバイスを受けましょう。
分離不安の猫への対処法
分離不安を抱える猫への対処法は、猫が一人でいる時間を安心して過ごせるように環境を整えてあげることです。
愛猫が遊べるおもちゃを常に置いておくことや、テレビやラジオをつけたままにして人の声が聞こえる環境を作ることが効果的といわれています。また、快適で安心できる寝床を与えてあげることも大切です。
自宅でできる工夫とともに、症状が重い場合や自宅での対策だけでは改善が見られない場合は、獣医師にアドバイスを求めることも重要です。専門医であれば、行動療法や薬物療法による症状の緩和が可能です。
そして、飼い主としても日常的な接し方を改める必要があるかもしれません。
猫に過剰に構いすぎず、お留守番の時間を徐々に伸ばすなどして、猫が一人でいることに慣れさせる努力も必要です。
出かける際は大袈裟に挨拶せず、帰宅時も静かにすることで、猫の不安を和らげます。
まとめ
この記事では、愛猫が飼い主の後をついてくる理由とその心理についてまとめました。
猫が後をついてくる行動は、愛情のあらわれの場合が多いですが、ひどい場合は不安障害の可能性もあることを頭に入れておく必要があります。
分離不安症の猫には、安心できる環境を与え、普段からの環境音を流しておくこと、適切なスキンシップを心がけることが大切です。
改善が見られない場合は、獣医師の診察も視野に入れておきましょう。