豆知識

【獣医師監修】猫は飼い主を認識している?実は顔は認識していないことが判明

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はじめに

猫との信頼関係1

猫は飼い主である自分を認識できているか、猫と仲良くなれているか気になる方も多いと思います。

猫は飼い主を認識できますが、認識する方法は人間と同じではありません。

そのため、猫が自分の顔を認識していないからと言って、仲良くなれていないわけではないのです。

今回は猫がどのように飼い主を認識しているか紹介します。

猫と仲良くなる方法も解説しているので、猫との信頼関係を深めていきたい方はぜひ参考にしてください。

猫は飼い主を認識できる?

猫との信頼関係2

まず、猫は飼い主を認識できるか解説します。

  • 飼い主の顔
  • 飼い主の声
  • 飼い主の匂い

それぞれの要素で飼い主を認識できるか紹介しますので、ぜひチェックしましょう。

猫は人間の顔を認識できない

はじめに、猫は人間の顔を認識できません。

なぜなら、猫は聴覚や嗅覚に比べると、視力が高くないからです。

猫の視力は人間の10分の1とも言われており、視界は少しぼやけた状態となっています。

そのため、猫は飼い主の見た目に特徴的な要素がない限り、飼い主を区別できないのです。

猫の視力を調べた研究でも、猫は視力で飼い主を判別できないことがわかっています。

この研究では、猫に様々な訓練を行ったトレーナーの写真と知らない人の写真を並べて、トレーナーを判別できるか調べました。

その結果、犬は高確率でトレーナーを選べたのに対し、猫はトレーナーを区別することはできなかったのです。

また、同じ研究で、猫は自分の知っている猫を判別できることが分かっています。

一緒に暮らしている猫の写真を混ぜて選ばせたところ、多くの猫が同居猫の写真を選んだのです。

そのため、猫は猫の顔は認識できるが人間の顔を認識するのは難しいと覚えましょう。

猫は飼い主の声を認識できる

次に、猫は飼い主の声を認識できます。

猫は声で飼い主かどうかを判断しているのが、2013年に東京大学で行われた研究から分かったのです。

その研究では、飼い主と知らない人が猫の名前を呼んだ際に、猫がどんな反応をしたか調べました。

飼い主ともう一人は猫から見えない場所にいる状態です。

視力には頼れない状況でしたが、2人がそれぞれ呼びかけた際に反応が全く異なりました。

飼い主が呼びかけた時の方が、耳を動かしたり、頭を動かしたりするなど、大きな反応を示したのです。

そのため、猫は飼い主の声を認識していることが分かります。

さらに、猫は飼い主の声だけでなく、同居している猫や飼い主の名前も認識しているのが研究から分かったのです。

次に、猫が飼い主の声を認識できる理由を紹介します。

聴力は人間の8倍、犬の2倍以上もあると言われている

猫が飼い主の声を認識できる理由は、猫の聴力が非常に優れているからです。

猫の聴力は人間の8倍、犬の2倍以上もあると言われています。

猫は人間が聞き取れないようなかすかな音や高音を聞き取ることが可能です。

具体的には、人間が聞き取れる高音が2万ヘルツなのに対し、猫は10万ヘルツの高音も聞き取れます。

猫の聴力が優れているのは、猫の獲物となるネズミの鳴き声を聞き取るためです。

ネズミの出す音は10万ヘルツぐらいなので、猫は高音を聞き取って狩りを行っています。

また、猫の聴力が優れているのは、猫の耳の筋肉が発達しているからです。

猫の耳には27の筋肉があり、猫は左右の耳を別々に動かしたり、耳を180度回転させられたりするので、様々な方向から小さな音を聞き取れます。

猫は野生で生き残るために聴覚が優れているので、飼い主の声も認識できると理解しましょう。

猫は飼い主の匂いも認識できる

最後に、猫は聴覚だけでなく嗅覚も優れているので、飼い主の匂いを認識できます。

猫はわずかな匂いでなにかを判断することが可能であり、猫の嗅覚は人間の数千万倍と言われているのです。

猫はお互いが仲間かを知るために、他の猫のお尻の匂いをかいだり、鼻を近づけたりする習慣があります。

猫は優れた嗅覚を使って、飼い主かどうかを判断できるのです。

そのため、猫は飼い主を声と匂いで認識していると覚えましょう。

実際に認識するまでにどのくらいの時間がかかる?

猫との信頼関係3

次に、猫が飼い主を認識するまでにかかる時間について紹介します。

猫は飼い主を認識するまでに時間はほとんどかかりません。

例えば、飼い主が帰ってきてドアを開けたときに、扉を開けると猫がいる場合があると思います。

この時、猫はたまたま玄関にいたと考えがちですが、猫はすぐに飼い主だと認識してお迎えをしてくれているのです。

猫は、足音や聞こえる声などから飼い主かどうかを認識しています。

そのため、いつもと違う声だったり、複数の足音だったりするとお迎えしない場合があるのです。

猫は声や匂いからすぐに飼い主を認識してくれると覚えておきましょう。

猫は飼い主の感情を読むことができる?

猫との信頼関係4

次に、猫は飼い主の感情を読み取れるのか紹介します。

猫は飼い主の行動や表情から感情を読み取ることが可能です。

猫が飼い主の感情を読み取れるのは、以前の研究から分かっています。

その研究では、飼い主が怒りの姿勢や表情のときと、幸せな姿勢や表情のときの猫の反応を比べていました。

その結果、猫は飼い主が幸せな姿勢や表情のときに多く接触していたのです。

研究の結果から猫は飼い主の感情によって行動を変えており、飼い主の感情を読むことができていると分かります。

また、猫が読み取れるのは怒りや幸せの感情だけではありません。

体調や落ち込みなども読み取って行動できる可能性が高いので次の章にまとめます。

飼い主の体調が悪い時は近くに来てくれる?

猫は飼い主の体調が悪いときは近くに来てくれる場合があります。

自分が落ち込んでいるときや体調が良くないときに、愛猫が寄り添ってくれたという経験がある方も多いはずです。

以前の研究でも、人が落ち込んでいるとき、猫は頭を擦り付ける行動が増えると分かっています。

猫が頭を擦り付けるのはマーキングの意味もありますが、愛情を表現して飼い主を労ってくれている可能性が高いのです。

そのため、猫は飼い主の体調を表情などから判断して落ち込んだ気持ちに寄り添ってくれると理解しましょう。

猫と仲良くなる方法

猫との信頼関係5

次に、猫と仲良くなる方法を紹介します。

  • 遊びに誘うのは「ごはん前」が効果的
  • 猫に見える位置からゆっくり近づく
  • 落ち着いた声で話しかける
  • 長い時間目を合わせない
  • 最後は必ず満足させる
  • しつこく誘わない
  • 猫が要求してきたらいつでも遊ぶ

遊びに誘うのは「ごはん前」が効果的

まず、猫と仲良くなるためには遊ぶのがおすすめですが、遊びに誘うのはごはん前が効果的です。

猫は空腹時に狩猟本能を満たしたい気持ちが強くなります。

猫は遊ぶと狩猟本能を満たせるので、いつもは遊びに反応してくれない猫でも、ごはん前だと狩猟本能を満たしたくて遊んでくれるのです。

そして、飼い主は猫と遊ぶと、猫の狩猟本能を満たすだけでなく、飼い主と猫の関係性を深められます。

さらに、猫の遊びは、猫の身体面や精神面の健康を維持するために重要です。

猫は遊ばないと運動不足で肥満になりやすくなり、筋力低下や病気のリスクを高めてしまいます。

また、狩猟本能を満たしてあげないと猫はストレスが溜まってしまうのです。

そのため、猫と遊ぶ際は、1回10分〜15分の時間を2回ほど確保しましょう。

猫の空腹時に遊びに誘い、ぜひ猫と仲良くなりましょう。

猫に見える位置からゆっくり近づく

次に、猫に見える位置からゆっくり近づくのも、猫と仲良くなる方法の1つです。

猫は警戒心の強い動物なので、不規則な動きをすると怖がってしまいます。

そのため、寝ているときに近づいたり、いきなり近づいたりすると、猫は嫌がるのです。

嫌がる行動を取ると、猫は対象の人を常に警戒するようになるので中々仲良くなれません。

一方で見える位置からゆっくり動くと、自分が警戒しなくてもよい相手だと認識し、飼い主を信頼して仲良くなれます。

近づくときは、立った状態で近づくと威圧感を与えてしまうため、腰を落としてゆっくり近づくのがおすすめです。

また、後述しますが目を合わせないように近づき、猫が好む箇所を撫でてあげて仲良くなりましょう。

落ち着いた声で話しかける

3つ目に、猫と仲良くなるためには、落ち着いた声で話しかけましょう。

猫は警戒心が強く聴力が優れた動物なので、大きな音を出すと驚いてしまいます。

そのため、飼い主が大きな声で話しかけると、猫は飼い主に警戒心を向けるようになり、中々懐いてくれないのです。

猫に話しかける際は声の音量を下げ、丁寧に優しいトーンの声で話しかけましょう。

落ち着いた声で話しかけると、猫は飼い主が嫌がることをしないとわかるので、安心して信頼を寄せてくれます。

また、猫に話しかける際は、少し高めの声で接するのがおすすめです。

猫は喜びや興奮など嬉しい感情を表すときに、高い声で鳴くと言われています。

そのため、高い声で猫に話しかけると、猫にいい印象を与えられるのです。

猫は高いトーンでゆっくり落ち着いた声で話しかけられると、「守られている」「愛されている」という安心感を得られるので、いつも声の高さ・音量・トーンに意識を向けましょう。

長い時間目を合わせない

4つ目の猫と仲良くなる方法は、長い時間目を合わせない方法です。

猫にとって目線を合わせる行為は、喧嘩や威嚇のサインを意味します。

そのため、長時間目が合うと、猫は警戒すべき相手と認識して仲良くなれないのです。

目線があったときに、低い唸り声や「シャー」という鳴き声を出す場合は、猫に威嚇されていると考えてください。

猫に威嚇された際は、敵意がない意思を示すために、そっと目をそらしましょう。

猫から目をそらすのは、ネガティブなイメージを持つ方がいるかもしれません。

しかし、猫からゆっくりと目をそらすと、猫に安心感を与えられるのです。

遊ぶときなど日常生活では、猫の目線から少し逸らして接しましょう。

猫の求めるコミュニケーション方法を理解し、猫との信頼関係を築いてください。

最後は必ず満足させる

5つ目に、猫と仲良くなるためには、最後は必ず満足させましょう。

猫と遊ぶ際は、猫じゃらしなどのおもちゃなどを使って狩猟本能を満たしてあげると思います。

しかし、遊びの最後におもちゃを捕まえられないと、不完全燃焼となり達成感を得られないので、猫は狩猟本能を満たせません。

狩猟本能を満たせないと、猫にストレスが溜まってしまい、猫の健康に悪影響を及ぼしてしまいます。

そのため、猫と1回遊ぶごとに、最後は必ずおもちゃを捕まえられるように調整してください。

また、猫と遊ぶ際はおもちゃの動き方に緩急をつけて、上下左右様々な方向におもちゃを動かし、猫が飽きないための工夫をしましょう。

さらに、ドアや扉など見えないところから、猫じゃらしの先を少し見せるのがおすすめです。

猫じゃらしを引っ込めたり出したりすると、猫の狩猟本能をくすぐれます。

飼い主の体やクッション・布・新聞紙なども活用して、おもちゃの動きにバリエーションを追加しましょう。

猫と遊ぶと楽しい感情を共有できて関係性を深められるので、狩猟本能をくすぐった後は必ず満足させてください。

しつこく誘わない

6つ目に、しつこく誘わないのも猫と仲良くなる方法の1つです。

猫を撫でたり、遊んだりしようと猫を誘ったときに、無反応な場合は何度も猫を誘ってはいけません。

しつこく誘うと、猫は飼い主を嫌なことをしてくる人と認識するのです。

嫌なことをすると認識した人に猫は警戒心を持つので、信頼関係を築くのに時間がかかってしまいます。

そのため、猫と遊びたい気持ちはわかりますが、猫を1度遊びに誘って断られたら、猫が遊びたいサインを出すまで待ちましょう。

猫が要求してきたらいつでも遊ぶ

最後に、猫と仲良くなるためには、猫が要求してきたらいつでも遊びましょう。

猫が遊びたいというサインに気づいて遊んであげると、猫は嫌なことをせず遊んでくれる人と認識します。

それにより、飼い主に安心感を抱くようになるので、飼い主は猫と仲良くなれるのです。

さらに、猫と遊ぶ時間が増えるほど、猫との信頼関係を深められます。

猫が遊びたい時のサインは猫の行動を見て判断しましょう。

例えば、猫がお腹を見せてクネクネした場合は、ご機嫌な状態で遊びたいサインを示しています。

おもちゃを持ってくるのも猫が遊びたくてしょうがない状態です。

他にも、猫は鳴き声で訴えることが多いので、おもちゃの前で鳴いて遊びたいとアピールする場合があります。

猫がスリスリしたり、じっと見つめたりする際も遊んでほしいサインなので、見逃さないでください。

ただし、猫は撫でてほしかったり構ってほしかったりする場合もあるので、おもちゃを見せたときの様子を見て判断しましょう。

また、猫パンチなどの攻撃行動の際にすぐ遊んであげると、猫は攻撃すると遊んでもらえると認識して、攻撃行動が悪化する恐れがあります。

そのため、猫に攻撃行動をされた場合は最初から相手をしないように注意してください。

まとめ

猫との信頼関係6

猫は視覚を使って飼い主を認識しておらず、聴覚や嗅覚を使って飼い主を認識しています。

猫の聴力は人間の8倍、犬の2倍以上もあると言われており、筋肉が発達した耳で人間が聞き取れないような10万ヘルツもの高音を聞き取って、獲物を捕獲しているのです。

また、猫の嗅覚は人間の数千万倍と言われており、猫はわずかな匂いでなにがあるかを判断しています。

そして、猫は声や顔で存在を認識するだけではなく、飼い主の感情を読み取って飼い主と接することも可能です。

落ち込んでいるときは寄り添ってくれて、幸せなときは頭を擦り付けてくれます。

猫に飼い主の存在を認識してもらい、仲良くなるためには下記の方法を実践してください。

  • 遊びに誘うのは「ごはん前」が効果的
  • 猫に見える位置からゆっくり近づく
  • 落ち着いた声で話しかける
  • 長い時間目を合わせない
  • 最後は必ず満足させる
  • しつこく誘わない
  • 猫が要求してきたらいつでも遊ぶ

猫と仲良くなり、猫に認識してもらえる関係性を築きましょう。

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