ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
「猫が好きで、飼おうと思っているけれど、触ると赤くなってかゆくなってしまう」
「猫を飼ったらアレルギーのような症状が続いている。これは猫アレルギー?」
これから猫を飼おうとしている方や、すでに猫を飼っている方の中にも、このようなことでお悩みの方もいると思います。
ご自分が猫アレルギーかもしれないと不安を感じている方や、すでに猫アレルギーだといわれている方は、猫を飼うことはできないのでしょうか。
また、すでに飼っている方は、症状を抑えて暮らしていくことは難しいのでしょうか。
結論からいえば、症状の重い方には難しいかもしれませんが、軽い方であれば、アレルギーとうまく付き合いながら猫を飼うことは可能です。
ただし、猫アレルギーについて正しい知識を持って、きちんとした対策をおこなう必要があります。
当記事では、猫アレルギーについて実際の症状や、原因、注意点に加え、あまり知られていない猫アレルギーが出ない可能性のある猫種まで、くわしく解説していきます。
猫アレルギーの症状
猫アレルギーとひとことでいっても症状には個人差があります。
比較的軽い症状が続く人から、徐々に重い症状に移行する人、あるいは初めから重篤な症状が出てしまう人など、あらゆるパターンが考えられます。
ここでは、猫アレルギーの軽い症状から、重い症状まで代表的なものをご紹介していきます。
軽い症状
猫アレルギーの中でも、比較的軽い症状ですと、風邪に似た症状が出ることが多く、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、皮膚が赤くなりかゆみが出るなどの症状があらわれます。
それまで何もなかったのに、猫を飼い始めた、猫を飼っている家に行った、猫に触れたなど、猫と関わってから症状が出た場合に猫アレルギーが疑われます。
ハウスダストなどのアレルギーの場合もあるので、見極めが必要ですが、一度症状が治まった場合にも念のため放置せず、病院への受診を検討してください。
重い症状
風邪のような軽い症状が悪化していくと喘息を引き起こすケースや、皮膚が腫れ上がり、呼吸が苦しくなり、アナフィラキシーショックを起こすことがあります。
また、呼吸が苦しくなり嘔吐を繰り返し、めまいや心拍数が上昇するなどの症状がでたらとても危険な状態で、場合によっては命にかかわることもあるので、一刻も早く治療が必要となります。
猫アレルギーの原因
猫アレルギーの方の中には、猫に触れていないのにアレルギーを発症してしまったことがあるのではないでしょうか。
実は猫に触れなくても、猫アレルギーは発症します。
猫アレルギーの原因は、アレルギーを起こす物質「アレルゲン」が体内に入った際に、体を守るために免疫機能が過剰反応を起こすことによって発症します。
このアレルゲンは目に見えないところで、体内に侵入しているので、猫に触れていなくてもアレルギーは発症します。
アレルゲンについてくわしく見ていきましょう。
アレルゲン
アレルゲンは主に猫のフケや唾液、尿に含まれるタンパク質であることが多く、猫に直接触れたり、被毛に付着していたりするアレルゲンを口や鼻から吸い込むことで猫アレルギーを発症します。
代表的なアレルゲンとして、「Fel d1」というたんぱく質が挙げられます。
Fel d1は猫の唾液や皮脂腺に含まれており、乾燥すると空気中に飛散します。
また、空気中だけでなく抜け毛や静電気により、床や壁、カーテンなどにも知らないうちにアレルゲンが飛散しています。
そのため、猫に触れていなくても、猫のいる環境にいるだけで猫アレルギーを発症することは十分に考えられるので注意が必要です。
猫アレルギーが出ないようにするための対処法
すでに猫を飼っているご家庭で、アレルギーに悩まされている飼い主さんに、猫アレルギーが出ないようにするための有効な対処法を解説していきます。
こまめな掃除
アレルゲンを除去するためには、こまめな掃除が欠かせません。
あらゆる場所にアレルゲンは付着しており、床はもちろんのこと、エアコンの上や電化製品の裏側など、目に見えない部分までしっかりとアレルゲンの除去をする必要があります。
また、アレルゲンはエアコンの風や静電気に引き寄せられて、壁に付着していることもあります。
しかし、掃除機で吸い込むだけでは不十分で、場合によっては、かえってアレルゲンを含んだホコリを舞い上がらせてしまうおそれがあります。
有効な掃除方法として、良く絞ったタオルなどで、壁や床を水拭きする方法があります。
水拭きですと、舞い上がることもなく、しっかりとアレルゲンを取り除くことができるので、掃除機をかけたあとは必ず水拭きをおこないましょう。
布製の家具は使用しない
布製のソファなどは、アレルゲンが付着しやすいうえ、掃除をしてもなかなかアレルゲンが取りづらいため、猫アレルギーのご家庭では使用するべきではありません。
猫の立ち入る部屋には布製のものを避け、革製のものなどをおくことをおすすめします。
これはカーペットでも同様で、猫の居住スペースにはカーペットを敷かずに、掃除のしやすいフローリングが最適です。
また、カーテンにも注意が必要です。
できればロールカーテンやブラインドなどへの交換が望ましいですが、難しい場合にはカーテンをこまめに洗濯して清潔な状態を保つようにしてください。
毎日のブラッシング
猫アレルギーで注意しなければならないのは、アレルゲンを体内に吸い込まないようにすることです。
猫の被毛に付着しているアレルゲンを極力除去するためには、毎日のブラッシングが効果的です。
抜け毛と一緒に飛散するアレルゲンを、ブラッシングによって事前に取り除くことで、アレルゲンを減らすことができます。
注意しなければならないのは、猫アレルギーの方がブラッシングをする際には、マスク着用で、アレルゲンが落ちにくいニットなどは避け、洗いやすい衣服でおこなうようにしてください。
毎日のブラッシングに加えて、定期的なシャンプーでしっかりと体に付着したアレルゲンを洗い流すことも重要な猫アレルギー対策になります。
ただし、猫はシャンプーがあまり好きではない子が多いため、頻繁にシャンプーすることは避け、月に1〜2回にとどめておきましょう。
特に長毛種の猫は、自分でシャンプーしようとすると猫が嫌がり、かなり苦戦することがあるので、そういった場合には、動物病院やペットサロンでシャンプーをしてもらうようにしましょう。
適度な換気
掃除をしたあとに、空気がこもってしまわないよう適度な換気をおこないましょう。
ただし、風が強い日などは、目に見えないアレルゲンが空気中を舞ってしまうこともあるので、その際は換気を中止してください。
空気清浄機の設置も、アレルギー対策にとても役立ちます。
特に、空気中のごく小さな粒子も捕集してくれる「HEPAフィルター搭載」の空気清浄機を猫のいる部屋に設置するだけでも症状を軽減できるでしょう。
寝室に猫を入れない
猫を飼っている猫アレルギーの方にとって、とても有効な方法は猫と離れていられる空間を作ることです。
特に寝室はベッドや布団など布製品が多く、猫が入ってきてしまうと、部屋をどれだけ掃除してもアレルゲンが除去できずに、症状が悪化することが考えられます。
猫と一緒に寝ている飼い主さんもいますが、猫アレルギーの飼い主さんは猫を寝室に入れて一緒に寝るべきではありません。
寝ている間の無防備な状態では、きちんとしたアレルギー対策をすることもできないため、猫アレルギーの方にとってはとても危険です。
寝室に限らず、家族の中に猫アレルギーの方がいる場合には、猫が立ち入れない部屋を作る、もしくは猫の過ごす部屋を限定するなどしておきましょう。
また、部屋に入る前には、猫がいない部屋用の衣服に着替えて入室するようにしてください。
猫が立ち入れない部屋を作ることで、症状が出たときの避難場所にもなるので、寝室には猫を入れるのは避けましょう。
手洗いうがい
猫に触れたり、猫のいる部屋で過ごしたりした場合には、必ず手洗いうがいをするように心がけましょう。
そのまま顔や体に触れてしまうと、赤くなり、かゆくなってしまうことがあるので、しっかりと石鹸で手を洗ってください。
また、口や鼻からアレルゲンを吸い込んでしまっている可能性もあるため、うがいも欠かさずおこなってください。
前述した猫が立ち入れない部屋に入る際にも、アレルゲンを持ち込まないよう、きちんと手洗いやうがいをして入るようにしてください。
猫アレルギーの人が猫を飼う時の注意点
猫アレルギーかもしれないと思っているけれども猫が飼いたい方や、すでに猫アレルギーの方で猫を飼おうとお考えの場合に、どのような点に注意すればよいのか解説いたします。
事前に検査を受けておく
自身が本当に猫アレルギーなのか知っておきたい方や、猫と触れ合ってアレルギーのような症状が出た方は猫を飼い始める前に検査を受けることをおすすめします。
自分が陽性か陰性かをはっきりとさせておくことで、検査結果によっては猫を飼うことをあきらめなくてはならない可能性もあるので、アレルギー検査は猫を飼い始める前におこなってください。
猫アレルギーの検査には血液検査と生体検査があります。
それぞれの特徴を解説します。
血液検査
猫アレルギーの血液検査は、少量の血液を採取するだけで、アレルギーの有無を調べることができます。
検査費用が高額で検査結果が出るまでに日数はかかりますが、体への負担が少ない検査となっており、お子様などは血液検査を選択する方が多くなっています。
生体検査
生体検査は皮膚にアレルゲンを直接つけて反応をみるため、検査結果がすぐに出るメリットがあります。
しかし、重度の猫アレルギーだった場合に、症状が強く出てしまい、場合によってはアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、すでにアレルギーの疑いがある方は血液検査を受けるようにしてください。
猫カフェを活用してみる
猫を飼いたいけれど猫アレルギーが不安な方は、まず猫カフェで猫と触れ合ってみるとよいでしょう。
実際に猫と遊んでみて、アレルギー反応が出るようなことがあれば、猫アレルギーを疑う必要があります。
これを「接触テスト」といい、検査では問題なかったにも関わらず、猫と触れ合ってみたらアレルギーが出てしまったということもあるのでとても大切なテストです。
猫アレルギーの方も、猫と触れ合い、猫のいる部屋で症状が出るのか、カフェを出ると症状が収まるのか、ずっとつらい症状が続くのか経過観察をすることで、自分の猫アレルギーの程度を確認できます。
また、猫によってはアレルギーが出にくい猫もいるため、アレルギーとわかっていてもどうしても猫を飼うことがあきらめられない方は、以下に紹介するような、アレルギーの出にくい猫がいる猫カフェへ出向いて確認してみるのもよいでしょう。
猫アレルギーが出ない可能性がある猫種
意外と知られていませんが猫の中にも比較的アレルギーが出にくい猫がいます。
猫アレルギーでもどうしても猫が飼いたい方は、以下の猫種を選ぶとよいかもしれません。
ただし、あくまでアレルギーが出ない可能性があるということであって、まったく出ないわけではないことをきちんと理解しておきましょう。
サイベリアン
長毛種のため、一見アレルギーが出やすい猫に見えるサイベリアンですが、実はアレルギーの原因であるたんぱく質の量が、他の猫に比べて少ないことから、アレルギー症状が出にくい猫種と言われています。
ロシアンブルー
ロシアンブルーはアレルゲンとなるタンパク質の量が少なく、アレルギーが出にくいと言われています。
また、抜け毛が少ないので、アレルゲンが付着した被毛を飛散させることもあまりありません。
短毛種のため、ブラッシングやシャンプーがしやすい点もアレルギーが出ない可能性がある要因ともいえるでしょう。
バリニーズ
バリニーズの被毛は1層のシングルコートであるため、換毛期がなく抜け毛が少ない猫種です。
抜け毛が少ないうえ、タンパク質の量が少ないことからアレルギーが出ない可能性があるといわれています。
スフィンクス
被毛に含まれるたんぱく質がアレルギーの原因となりますが、その点でスフィンクスはアレルギーを引き起こしにくい猫といってもよいでしょう。
というのもスフィンクスは大変珍しいほぼ「無毛」の猫であり、うぶ毛のような短い被毛のみが生えている猫だからです。
そのため抜け毛の心配もありませんし、お手入れも楽に済ませることができます。
ただし、特徴的な外見のため、好みがわかれるので、すべての方におすすめできる猫種ではありません。
コーニッシュレックス
コーニッシュレックスも短毛のため抜け毛が少ないといわれており、アレルギーが出ない可能性のある猫として知られています。
この猫の特徴は、シングルコートであるうえに、猫には珍しく、くるりとした巻き毛である点です。
抜け毛も少なく短毛であるため、お手入れもしやすく、アレルギーの方でも飼いやすい猫といえるでしょう
まとめ
猫アレルギーは、猫の被毛が原因と思っている方が多いですが、実はタンパク質に原因があることを解説いたしました。
日々のブラッシングや、部屋を清潔に保つことなどのアレルギー対策をすることで、猫アレルギーの方でも猫を飼うことは必ずしも不可能ではないことはおわかりいただけたでしょう。
ただし、アレルギーの程度によっては猫との共生が難しいことも考えられるので、猫アレルギーを疑われる方は、まずアレルギー検査の実施をおすすめします。
また、検査で陰性であっても、実際に猫と触れ合ってみたら、アレルギーのような症状が出ることもあるので、接触テストなど十分な準備をしたうえで、猫を飼うことを検討してみてください。
猫アレルギーの方が猫を飼うことは、アレルギーではない方に比べて、簡単なことではありません。
ですが、当記事で解説した対処法を実践したことで、アレルギーを発症することなく猫と共生している飼い主さんも実際にいらっしゃいます。
そのためにもまずは自身がアレルギーであるか検査を受けてきちんと確認して、今回ご紹介したアレルギー対策が日々の生活でできるのか、考えたうえで猫を飼うか検討してください。