ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
猫を迎える際には、オスとメスどちらがいいか考える人が多くいます。
その際、オスとメスの認識は非常に重要です。
しかし、初心者にとってはオスとメスを見分けることは難しさがあります。
この記事では、獣医師監修のもと、猫の性別を認識するための基本的なポイントをわかりやすく解説します。
外見上の特徴、行動パターン、生態など、さまざまなことから性別を見分けるヒントを見つけましょう。
オスとメスを見分けるポイント
猫の性別を見分けることは、その後のケアや行動パターンを理解する上で必要不可欠です。
オスとメスでは、身体的特徴や行動、健康面で違う点がいくつか存在します。
その中で下記の8つのポイントを詳しくみていきましょう。
生殖器で見分ける
オスとメスを見分ける最も確実な方法は、生殖器で見分ける方法です。
オスは肛門の下に睾丸があり、メスの場合は肛門の下に小さな外陰部があります。
成猫ならこの方法で完璧に区別できますが、子猫の場合はそうはいきません。
生後2ヶ月ごろまでは分かりにくく判断が難しいことが多いですが、生後3ヶ月ごろになるとはっきりと判断できるようになります。
毛の色
一部の猫は毛の色がオスとメスを見分ける重要な手がかりとなる時があります。
これは、性染色体に関連した遺伝子が毛色に影響を与えるためです。
三毛猫の場合、ほとんどがメスであることが知られています。
これは、三色の毛を持つためには、通常二つのX染色体が必要で、その組み合わせがメスにのみ存在するからです。
毛の色による性別判断は、種類や個体によって異なります。
そのため、毛の色だけでなく他の特徴と合わせて判断することが重要です。また、遺伝子の変異や特殊な状況下では例外もあるため、絶対的な基準ではないことを理解しておきましょう。
体型
多くの猫種は、オスとメスの間に体型の違いがみられます。
人間と同じく、オス猫は一般的に大きめでガッチリしている印象です。
これは、ホルモンの影響で、筋肉や骨格ががっしりしていることが要因としてあげられます。発達した筋肉を持つ体をしっかり支えられるように、足や肉球もメスより立派なことがみてわかります。
一方、子猫のうちに去勢手術をした個体では、ホルモンバランスの変化によって、未去勢の個体と比べて筋肉や骨格がオスらしく発達しない傾向がみられます。そのため、外見上メスとそれほど違わないことがあります。
メスはオスに比べて小さめで、しなやかでスリムな体型ながら、丸みを帯びた体つきです。
子宮などの生殖器を守るために皮下脂肪が多くお腹がタプタプしています。
質感はむっちりした体型で、繁殖や育児に適した体型といえるでしょう。
しかし、これらは猫種によって違いがあり、全ての猫に当てはまるわけではありません。
体型を判断基準する際には、猫種ごとの特性をしっかり理解し、他のポイントと合わせて判断する必要があります。
体重
動物の性別を判断する際に、重要なポイントの一つは体重です。
成猫のオスは一般的に体重が4〜6kgほどになり、メスに比べて体重が重い傾向にあります。メスの場合は成猫になっても3〜4kgほどの個体が多めです。発信元:petokoto
しかし個体差、年齢、健康状態も体重に影響を与えるため、体重だけで性別を判断することには限界があります。
性別を判断する時の一つのポイントとして考え、猫種ごとの特徴や他の観察ポイントと組み合わせて判断することが重要です。
骨格
オスとメスを見分けるポイントとして骨格の差が挙げられます。
多くの動物において、オスはメスよりも大きく、丈夫な骨格を持っています。
しかし、骨格の違いは猫種によって異なるうえ、その違いを目視で識別するのは難しいことです。特に若い個体や小型種では判断が困難なことがあります。
そのため、骨格をもとに性別を判断する際には、専門的な知識や他のポイントと合わせて判断することが重要です。
骨格の違いは、X線やCTスキャンなどの医療画像を見ることで明らかになることがあります。
顔の形
猫のオスとメスを見分ける際、顔の形も判断できる基準の一つとなります。
オスはメスより大きい顔の個体が多めです。
顔が大きく顎が強く発達しています。
顔の骨が張り出していることも大きく見える要因です。
これは繁殖のための競争や威嚇のために発達した特徴といえます。
メスの場合、オス猫に比べて顔が小さく、輪郭が丸い個体が多い傾向があります。
顔の形も個体差があるため、これだけで判断することは難しいでしょう。
行動
猫のオスとメスを見分ける上で、行動の違いも重要です。
一般的にオスはメスより縄張り意識が強くあります。
そのため、去勢前には縄張り争いのためにマーキングを繰り返します。
行動範囲もメスに比べて多く、野生の名残があるように思えます。
それに比べてメスは物静かで、行動範囲も広くありません。マイペースに穏やかに過ごす個体が多いのが特徴です。
しかし、オスだけでなくメスも発情期になるとマーキングをする個体もいるため、この行動一つで性別を判断することは難しい判断基準といえそうです。
性格
オスとメスを区別する上で、性格の違いも一つの見分けるポイントです。
一般的に、オスは攻撃的で縄張り意識が強い傾向にあります。これは他のポイント同様、繁殖期の競争や好奇心旺盛な性格が関係しています。
対照的に、メスは比較的穏やかで、独立心が強いとされています。
動き回るより、マイペースで穏やかな性格の個体が多いでしょう。
しかし、性格も猫種や個体差があるため、絶対的なものではありません。
また、環境や育てられ方も影響してくるため、性格だけで性別を判断するには限界があります。
オスとメスでかかる病気も違う!?
猫のオスとメスでは、かかりやすい病気も違ってきます。
これは生理的な違いやホルモンの違いが影響しているためです。
オス猫は泌尿器系の疾患や問題を抱えることが多く、メス猫の場合は生殖器系の病気や乳腺腫瘍のリスクが高まります。
性別ごとの特有の病気を知った上で、早期発見と予防につとめましょう。
メス特有の病気
メス特有の病気として、ホルモンの影響による生殖器系疾患が挙げられます。
乳腺腫瘍などのメスに特有の健康問題について理解し、適切な予防と早期発見、治療ができるようにしておきましょう。
乳腺腫瘍
乳腺腫瘍はメスに多く見られる病気で、特に中高齢で発生しやすい病気です。
ホルモンの影響が大きく、避妊手術を行わないメスに多く発症する傾向があります。
この病気は乳腺の組織で発生する腫瘍で、良性と悪性がありますが、猫の場合は90%前後が悪性とされています。
胸から下腹部にかけてのどこかにしこりができるため、触れると気づく場合があります。
そのため、普段からスキンシップをしっかり取っていれば、早期発見できる病気ともいえます。
普段からスキンシップを欠かさず、定期的な健康チェックを行いましょう。
乳腺腫瘍の予防には、早めの避妊手術が効果的です。
避妊手術をしないという考えもあるかもしれませんが、この病気の予防方法として考えることも大切な事かもしれません。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症はメスに見られる重大な病気です。
これは、子宮内に膿が溜まる状態で、中高齢の避妊手術をしていないメスに多く発症します。
症状は食欲不振、腹部の膨張、多飲多尿、陰部からの分泌物や出血、お尻の匂いなどです。
この病気は命の危険を伴う場合があり、早急に獣医師による治療が必要です。
治療方法は、感染した子宮を取り除く手術が行われます。
子宮蓄膿症は若いうちに避妊手術をしておくと発症することはなくなります。
オス特有の病気
メスと同じようにオスにも特有の病気があり、主に生殖器系に関連するものが多めです。
前立腺疾患や睾丸の問題など、オス特有の病気のリスクを理解し、適切な予防とケアを行いましょう。
精巣腫瘍
精巣腫瘍は、オス猫の精子を作り出す精巣に発生する腫瘍です。
犬に多い病気で、猫で発症することはごく稀です。
精巣腫瘍とは、いくつかある細胞のうちどれかが腫瘍化した状態をいいます。
中高齢の猫に稀に発生し、それはある程度の大きさにならないと症状としてあらわれないため、腹部の膨張、食欲低下などの症状がないか注意しましょう。場合によっては痛みや皮膚炎などの症状もあらわれます。
定期的な健康チェックによって早期発見が可能です。早めに動物病院を受診しましょう。
猫下部泌尿器疾患
猫下部尿路器疾患(FLUTD)は、下部尿路の疾患の総称です。
尿結石や突発性膀胱炎、尿道炎などが挙げられます。
この病気は、尿道の閉塞や膀胱の炎症を引き起こし、尿の排泄困難や痛みを伴います。
症状としては、頻繁な排尿の試み、排尿時の痛み、尿血、不適切な場所での排尿などがあります。
オス猫の尿道は細く長いため、尿管閉塞のリスクが高くなりがちです。
FLUTDの予防には、水分摂取の促進、ストレス管理、バランスの取れた食事が重要です。
発症した場合は、迅速な獣医師の治療が必要で、重篤な場合には命に関わることもあります。
FLUTDは生活環境やストレスが関係していると考えられています。
猫が生活の変化などでストレスをためていないかなど、注意深くみてあげましょう。
前立腺疾患
前立腺疾患は、主に高齢の去勢手術を受けていないオス猫にみられることが多く、前立腺の肥大や、炎症が原因です。
症状は、排尿困難、血尿、下腹部の腫れや痛みなどが挙げられます。
長い間前立腺の問題を抱えていると、尿道閉塞を引き起こす可能性もあるため、非常に危険です。
前立腺疾患は、若いうちに去勢手術を受けておくことが効果的で、リスクを大幅に減少できます。
定期的な健康チェックによって早期の発見が可能です。
症状がみられた場合には、迅速に獣医師の診察を受けましょう
オスとメスで発情時の行動の違い
猫のオスとメスでは、発情時の行動に違いがみられます。
オス猫は発情時になると、より攻撃的で縄張り意識が強くなることがあります。
落ち着きがなく鳴き声が大きくなり、しきりに外に出ようとしたり、尿によるマーキング行動をしたりすることが一般的です。
オス猫は、メス猫の発情した鳴き声などに反応して発情します。
メス猫の発情期の行動は、特有の鳴き声や体位です。本能的にオス猫にアピールするための行動です。
これらの行動は、猫の繁殖期の本能に基づくもので、重要な役割をしています。生理的な行動の一つなので、叱ってやめさせられるものではありません。
飼い主は発情時の行動を理解し、適切な管理をしましょう。
これらの行動は、去勢や避妊手術によって抑えられます。次の発情時のことも考え、手術については獣医師に相談しましょう。
去勢・避妊手術
去勢や避妊手術はペットの健康管理と繁殖のコントロールにおいてとても重要です。
これらの手術は、望まない繁殖を防ぎ、特定の健康リスクを減少させる効果があります。
手術は若い時期に行うことで、問題行動の軽減や特定の病気のリスクを減らす効果が期待できます。
ペットの健康を考慮した上で、去勢や避妊手術について考えましょう。
手術の方法
去勢や避妊手術は、ペットの性別に応じて手術方法が異なります。
これらの手術は、ペットの生殖機能を取り除くことが目的で、オスとメスで異なる器官を取り除きます。
オス
去勢手術は精巣を取り出す手術です。
全身麻酔をかけて手術を行いますが、麻酔時間を除くと短い時間で終えることができ、手術の中では簡単なものです。
動物病院によっては、日帰り手術の場合と、1泊程度の入院にわかれます。
回復も早いことが一般的です。
メス
避妊手術は、子宮と卵巣を取り除きます。
これにより、発情行動を阻止して、子宮や乳腺の疾患リスクを減少させます。
メスの手術はオスに比べて複雑で、手術後の回復にはやや時間がかかることが一般的です。
手術後の変化
去勢や避妊手術の後は、それぞれ変化が生じます。
これらの変化はオスとメスで違いが出てきます。
オス
去勢後は、甘えん坊になったり、運動量が減ったり、太りやすくなったりといった変化がみられる個体が多いのが特徴です。
発情時のメスを探し出そうとする家出の衝動が抑えられたり、マーキングが減ったりと発情時の行動が減少します。
マーキング行動が癖になっている場合、すぐに治ることは難しい場合も少なくありません。
発情行動が始まる前に去勢手術をすることがおすすめです。
太りやすくなるといったデメリットもあるため、健康維持のためにも飼い主がしっかり配慮する必要があります。
メス
もともとオスに比べて穏やかといわれているメスでも、避妊手術のあとはオスと同じように甘えん坊になるケースが多くみられます。そのほかに、食欲が増えて太りやすくなることも同じです。
発情時には夜泣きが酷かった猫が、術後落ち着くといったこともあります。
避妊手術は発情行動の減少と乳腺腫瘍や子宮蓄膿症のリスクが大幅に低下する効果もあります。
まとめ
この記事では、オスとメスの猫を見分けるための重要なポイントを獣医師監修のもと解説しました。オスとメスを見分けるには、適切な飼育管理とケアが必要です。
生殖器、毛の色、体型、体重、骨格、顔の形、行動、そして性格といったさまざまな特徴から、性別は判断できます。
しかしこれは基本的な判断基準であり、猫種や個体によって違うため一つの特徴だけでは判断できないことも多くあります。
それらを踏まえた上で、色々な特徴を基準に判断し、それぞれの性別に合った生活をサポートすることが必要です。