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はじめに
スフィンクスと聞くと古代エジプトに作られた猫の石像のイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
猫の中でも被毛がなくミステリアスなスフィンクスは、見た目の好き嫌いがあるものの気品が高い置物のような美しい雰囲気からファンも多いです。
今回は、スフィンクスが一体どこで生まれて、どんな性格をしているのかなど詳しい情報を紹介していきます。
スフィンクスに興味がある方も、これから家族に迎え入れようと考えている方もぜひこの記事を参考にもっとスフィンクスのことを理解してください。
スフィンクスの歴史
スフィンクスは、不思議な見た目をもつ個性的な猫です。
謎に包まれているスフィンクスは「いつどこで生まれたのか」「どんな歴史を持っているのか」気になりますよね。
古代エジプトの神話やメソポタミア神話に登場するライオンの体と人間の顔をもつスフィンクスが連想されてますが、実は猫種に認定されてからの歴史はさほど古いわけではありません。
1966年にカナダのトロントで発見
初めてスフィンクスが発見されたのは、1966年のカナダのトロントでした。
イエネコから突然変異で生まれてきた無毛の猫がはじまりです。
無毛の猫と交配させたのが現在のスフィンクスの原型
現在のスフィンクスの原型は、突然変異で生まれて来た無毛の猫を交配させることによって生まれました。
初めて発見された無毛のオス猫はプルーンと名付けられ、プルーンを基礎に繁殖が始まりましたが、数代を経て子孫は途絶えてしまっています。
現在のスフィンクスは、1970年代にアメリカやカナダで発見された4頭の無毛の猫が原型です。
国際猫協会TICAに認定されたのは1980年
世界中にスフィンクスの存在が広がることになったのは、1980年にTICAで猫種と認定されたのがきっかけでした。
スフィンクスは劣性遺伝なので無毛同士で交配を行うと近親になってしまい、遺伝的な病気になってしまう確率が上がります。
そのため他の猫種と交配しなければなりませんが、異種交配種として認められているのはデボンレックスのみです。
スフィンクスは映画「E.T.」に出てくる宇宙人のモデル?
スフィンクスは小さい顔と大きな耳が特徴的で、映画「E.T.」の宇宙人のモデルにもなっています。
全身に毛がなく、シワシワの体と皮膚の質感を見るとどことなく面影を感じるはずです。
スフィンクスの名前の由来
スフィンクスの名前の由来は「ルーブル美術館にあるエジプトの猫の像と同じ姿勢をしていた」「エジプトの石像のスフィンクスに似ている」など様々な説があります。
しかし、エジプトの石像のスフィンクスはsphinx、猫種のスフィンクスはspnynxと綴りは違います。
先程解説した通り生まれはカナダなので、単純に見た目が似ているということで名付けられたようです。
まだ猫種として認められて44年程の新種のため、これからスフィンクス以外にも毛無仲間が増えていく可能性も考えられます。
スフィンクスはどんな猫?
石像や置物のイメージのあるスフィンクスには、他の猫にはない特徴や魅力があります。
被毛が非常に短い
スフィンクスと言えば、被毛がない事が1番の特徴です。
無毛と言われるスフィンクスですが、実はよく見ると非常に短い産毛が生えています。
触り心地は、スエードや桃の表面の様で柔らかくて気持ちが良いです。
耳や足先には、細かい毛が他の体の部分と比べて多くあるのも特徴になります。
皮膚に大きなしわがある
スフィンクスの体には大きなシワがあり、シワの数は多ければ多いほど良いと言われています。
キャットショーでも、シワの数が多いと良い評価を得られます。
耳が大きい
スフィンクスの耳はピンと立っており、10㎝弱の高さがあります。
顔に対して耳が大きく頭の上の部分に離れてついていて、正面から見ると前向きの耳は中まで丸見えです。
顔は小さな三角形で額は広め
スフィンクスの顔は小さく三角形で、あごもシュッとしていて口元は小さめです。
レモン型の少しツリ気味な目は、上品さがあります。
顔の下の方にパーツが集合しているため額が広くシワも多いのが特徴で、頬骨は高く目立っています。
ヒゲは生えていない
スフィンクスには被毛だけでなく、ヒゲも生えていません。
猫は長いひげが生えているのが特徴とも言えますが、猫の常識を覆してしまう希少な猫種です。
尻尾が長く先端に向かって細くなっている
スフィンクスの尻尾は長く、ムチのように先端に向かって細くなっています。
エジプトの石像のスフィンクスの尻尾も、同じように先端に向かって細長くなっていて座ってお尻に沿って尻尾を巻き付けた姿はそっくりです。
毛色は白・黒・ブルーなど
毛色は様々なカラーが認められていますが、白・黒・ブルーが代表的な色味になります。
毛色 | 特徴 |
ホワイト&ブルークリーム | 最もポピュラーなカラー 薄いグレーのような色味 薄いブチ模様が特徴 |
ホワイト(白) | 肌色のようなピンクの入った白色 オッドアイが生まれやすい |
ブラック(黒) | 単色のブラック 目が良く目立つ |
ブルー | 淡いグレーのような色味 |
ホワイト&ブラック | 白色にブラックの模様 黒色の入り方は個性豊か |
キャリコ | 白・黒・赤(茶)の三色 三色の入り方の模様は様々 色の境目がハッキリしている |
タビー | 縞模様 レッドタビー・ホワイトタビー・グレータビーがいる |
ポイント | 鼻周りや耳に濃い色味のポイントが付く |
白色の猫の場合は、目の色がオッドアイという左右の目の色が異なる子が生まれることもあり人気が高いです。
産毛しか生えていないスフィンクスは毛色の判断が難しく、毛色で評価を付けることはありません。
しかし、被毛がないので色や柄は身体の皮膚自体に現れます。
大きな模様からシミのような小さな模様まで様々な柄や色味があって個性豊かです。
スフィンクスの性格は?
気品高い雰囲気を出すスフィンクスですが、性格は子犬のように人懐っこく明るいです。
見た目にインパクトがあるので心を掴まれてしまう方も多く、ヨーロッパでは特に人気があります。
しつけもしやすく飼いやすいので、初めて猫を飼う方にもおすすめな猫種です。
人が大好きで甘えん坊
子犬のように甘えん坊と言われるデボンレックスの血が入っているため、スフィンクスも人懐っこくて可愛らしい性格をしています。
飼い主に構ってもらいたくて、ちょっかいをかけて遊んでほしいアピールをする事がよくあるのでたくさん遊んであげましょう。
また、飼い主の膝の上に乗ったり触ってもらうのも大好きです。
気品がある見た目と甘えん坊な性格のギャップがたまらないという飼い主も多く、ペットと距離感の近い関係を求める方に人気があります。
しかし、スフィンクスは甘えん坊な反面、とても寂しがり屋なのでお留守番が苦手です。
長時間お留守番が続くとストレスが溜まってしまうため、家を空ける時間はなるべく少なくしてください。
好奇心旺盛でイタズラ好き
スフィンクスは好奇心旺盛で頭も良いので、イタズラが得意です。
なんでも知りたがるので、飼い主の後をついてまわって大きな声で自己主張をすることもよくあります。
スフィンクスにとってはなんでも冒険、発見になってしまうため、部屋に置いてあるものなら何にでも興味を持つ可能性があります。
怪我をする危険があるものは、届く場所に置かないようにしましょう。
他にも、小さな隙間からテレビの裏やベットの下などに入ってしまう事もあるので注意が必要です。
テレビの裏は特にコードが集まっている場所なので、噛んでしまって感電する事がないように隙間からスフィンクスが入らないように工夫してください。
社交的で活発
スフィンクスは社交的な性格をしているため、子供や他の猫とも仲良くできます。
多頭飼いしているご家庭や、小さなお子様のいるご家庭でも飼いやすくておすすめです。
人見知りもしないので、初めて会った相手にもフレンドリーで甘える事ができる愛らしい性格をしています。
また、スフィンクスは遊び好きで活発な一面もあり、高いところでもピョンと軽々乗って部屋中を飛び回るように遊びます。
明るくて遊び好きのスフィンクスは、欧米では「猿と犬と猫でできている」と表現されているほどです。
スフィンクスは基本的に室内飼いが推奨されているので、部屋の中で遊べるスペースを十分に用意してあげる必要があります。
上下運動のできるキャットタワーや、キャットウォークを用意してあげると良いです。
筋肉質で運動が好き
スフィンクスのシワシワな身体は一見ガリガリで弱そうに見えますが、実は筋肉質で運動も得意です。
活発に遊ぶ事が大好きなので、おもちゃなどを使ってたくさん遊んであげましょう。
特にスフィンクスは室内飼いをするため運動不足になってストレスがたまらないように、広めのスペースを用意してあげるのがおすすめです。
留守番をさせる際は、キャットタワーや自動で動く猫じゃらしなど1人で遊べるおもちゃを用意してあげましょう。
飼い主に従順
頭が良く愛情豊かなスフィンクスは、飼い主に従順です。
イタズラ好きなところもありますが、小さい頃からしっかりしつけていれば問題ありません。
悪いことをした時は、言葉で「いけない」「ダメ」と叱ればちゃんと理解してくれます。
遊ぶ時も手にじゃれて噛み付いてしまう事がありますが、そのままなぁなぁにして遊ぶのではなくしっかり1回1回叱って、やっていい事と悪い事にメリハリをつけられるようにしてください。
悪い事とわかっているのにちょっかいを出している時は、飼い主に構ってほしいアピールです。
イタズラをすれば気を引けると思わせている可能性があるので、寂しい思いをさせないようにコミュニケーションを取る時間を作ってあげましょう。
スフィンクスは愛情深く飼い主のことが大好きなので、お互いに絆が深まれば飼い主に従順になります。
スフィンクスを飼う時に気をつけておきたい注意点
スフィンクスは、見た目からわかるように他の猫とは少し特徴が違います。
その分気を付けてあげないといけない注意点が多いので、今飼っている方もこれから家族に迎え入れる方もぜひ参考にして危険がないように大切に育ててください。
体温調節が苦手
被毛のないスフィンクスは、体温を調節するのが苦手です。
暑さにも寒さにも弱く外気温の影響をもろに受けてしまうので、基本的には室内飼いをしてください。
室内の温度は25℃、湿度は50〜60%がスフィンクスが快適に過ごしやすい基本的な環境です。
個体差は多少あるので、設定はその子に合わせて変えてあげてください。
暑くてバテているようなら少し温度を下げて、十分に水分補給をさせましょう。
寒い時は、パソコンや電気製品などの暖かい場所の上に乗って暖を取ろうとする危険があります。
電気製品などは、一歩間違えれば感電の危険があるので近づけるのは絶対にやめさせてください。
暖かい場所を探している時は部屋の温度を上げてあげたり、保温のために洋服を着せてあげましょう。
部屋の中に暖かい寝床を用意して、居心地の良い場所を作ってあげるのもおすすめです。
怪我をしやすい
スフィンクスは、被毛がなく皮膚が丸出し状態なので外傷を負いやすいです。
外に出す場合は、木の枝に当たってしまっただけでも擦り傷や切り傷を負う危険があります。
外敵と喧嘩をした時は大きなケガをする危険が高く、感染症にもなりやすいです。
スフィンクスは外に出すだけでも不利な猫種なので、完全室内飼いを検討してください。
室内飼いをする場合も、角が尖っている置物やざらざらした質感の物を部屋に置かないようにしましょう。
コミュニケーションとして遊ぶ時も、飼い主の爪が肌に当たって傷つけてしまう心配もあるので爪は切って整えておくと安心です。
スフィンクスが生活する範囲には、怪我をする危険のあるものは置かない・持ち込まないように心がけましょう。
皮膚のケアが必須
スフィンクスの皮膚は脂性なので、1日に1回は身体を蒸した柔らかい生地のタオルで拭いてあげるのがおすすめです。
被毛がないためダニやノミ、その他の感染源から守る力が弱いため蕁麻疹や皮膚病になりやすいので注意しましょう。
皮膚病になるとかゆみや発疹が出るため、身体をかいたり擦り付けます。
ただでさえ被毛がなく外傷を負いやすいので、かいたり擦り付けることで皮膚が傷つき症状が悪化する可能性もあるので早急に対処しましょう。
肌の様子がいつもと違っていたり、痒そうな素振りが見えた時にはすぐに動物病院に連れて行く事がおすすめです。
かゆみはストレスになるので、なるべく早い段階で治療を開始して症状がひどくならないうちに治してあげてください。
紫外線対策が必要
被毛がないスフィンクスは、全身で紫外線の影響を受けてしまいます。
直射日光を受けるのは危険なので、肌を守るために洋服を着せてあげるのがおすすめです。
とはいえ、猫は服を着るのが苦手な子が多いため無理に着せる必要はありません。
日差しが強い時は特に外出は控えて、室内にも光が強く入ってこないようにカーテンをつけるなど紫外線の対策をしてあげましょう。
室内にいても温度が低くて寒いと、暖かい日の当たる場所を求めてしまうことがあります。
日向ぼっこもスフィンクスにとっては危険に繋がる可能性が高いので、部屋の状態が過ごしやすい環境になるように常に気にしてあげてください。
まとめ
今回はスフィンクスの歴史や特徴について解説しました。
珍しい特徴のある見た目のせいで好き嫌いが分かれてしまう猫種ですが、性格はとても可愛らしく飼い主とも他の動物とも仲良くなれます。
賢いのでしつけもしやすく、初めて猫を飼う方にも飼いやすくておすすめです。
被毛がなく肌が剥き出しなので、ケアに気を付けてあげないといけないところもありますが、愛猫と密な関係を求める方はぜひスフィンクスを家族に迎え入れてみてください。
他の猫種とは一味違う魅力を感じること間違いなしです。