豆知識

【獣医師監修】猫の肉球の役割は?部位ごとに名前や肉球の構造も詳しく解説

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はじめに

猫といえば、人間の足と異なる肉球が可愛くて魅力的ですよね。実は、肉球にはさまざまな役割があります。

また、肉球で病気のサインがわかるため、飼い主は日頃からのチェックが大切です。

今回は、猫の肉球の役割について詳しく紹介します。

部位ごとの名前や肉球の構造も詳しく解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

肉球は部位ごとに名前がある

猫の肉球は、可愛らしい見た目や柔らかい感触から非常に魅力的です。

肉球は前足と後ろ足にあり、異なる部分に名前がつけられています。前足と後ろ足の肉球の各部位について詳しく見ていきましょう。

前足の肉球

猫の前足の肉球は、敏捷性と狩猟能力を支える重要な部分です。

前足の肉球は掌球(しょうきゅう)、指球(しきゅう)、手根球(しゅこんきゅう)に分かれており、それぞれに異なる役割があります。

3つの部位について詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

掌球(しょうきゅう)

掌球(しょうきゅう)は、猫の前足の中心部分に位置する大きな肉球です。掌球は猫が歩いたり走ったりする際の衝撃を吸収する役割を果たしています。

また、掌球は非常に柔軟で、猫がジャンプしたり、高いところから降りたりする際にも重要です。

掌球の表面は少し粗くなっており、地面や物体との摩擦を増やし、滑りにくくする役割も果たします。

さらに、掌球は、猫が静かに忍び寄るための効果的なクッションとしても重要です。

指球(しきゅう)

指球(しきゅう)は、猫の前足の指先にある小さな肉球です。指球はそれぞれの指に対応しており、5つ存在します。

指球は猫が物を掴む際や、細かい動きをする際に重要です。特に、指球は猫が狩猟を行う際に、鋭い爪と連動して獲物を捕らえるのに役立ちます。

指球は非常に敏感で、触覚としても機能し、猫が環境を探る際に便利です。

猫は前足の指球を使って、地面の感触や物体の形状を感じ取り、適切な行動を取ることができます。

手根球(しゅこんきゅう)

手根球(しゅこんきゅう)は、猫の前足の内側に位置する小さな肉球です。

手根球は地面に直接触れるケースは少ないものの、猫が特定の動きをする際に重要な役割を果たします。

例えば、猫が急停止したり、方向を急に変えたりする際には手根球が地面に接触し、安定することが可能です。

また、手根球は猫が高い場所から降りる際や、ジャンプの着地時にクッションとして機能し、衝撃を緩和します。

後ろ足の肉球

猫の後ろ足の肉球は、後ろ足の動きと機能を支える重要な部分です。後ろ足には主に趾球(しきゅう)と足底球(そくていきゅう)の2つの肉球が存在します。

それぞれの肉球の役割と特徴について詳しく見ていきましょう。

趾球(しきゅう)

趾球(しきゅう)は猫の後ろ足の指先に位置する肉球です。後ろ足には4つの趾球があり、それぞれが対応する指に配置されています。

趾球は、猫が走ったりジャンプしたりする際に、地面との摩擦を増やして滑りにくくすることが可能です。

また、趾球は猫が静かに忍び寄るためのクッションとしても機能します。

さらに、趾球は猫が高い場所から飛び降りる際の着地時に、衝撃を和らげる役割も担っているのです。

足底球(そくていきゅう)

足底球(そくていきゅう)は、猫の後ろ足の中心部分に位置する大きな肉球です。足底球は、猫がジャンプや走行を行う際の主要なクッションとして機能し、衝撃を吸収する役割を果たします。

足底球の表面は少し粗くなっており、地面との摩擦を増やし、滑りにくくすることが可能です。

また、足底球で猫は急な方向転換をする際にも安定できます。

さらに、足底球は猫が高いところから降りる際や、素早く動く際の衝撃を緩和できるのです。

肉球の構造

次に、肉球の構造には下記のような特徴があります。

  • 肉球の厚さは約1ミリ
  • 内部は3層構造になっている
  • 脂肪と弾性繊維でできている
  • 外側は丈夫な皮膚で覆われている

それぞれのポイントを詳しく解説するので、猫の肉球についての理解を深めましょう。

肉球の厚さは約1ミリ

猫の肉球の厚さは約1ミリと薄いですが、非常に頑丈です。

肉球の薄い層は、猫が静かに忍び寄るために機能します。また、肉球の薄さは、猫が敏感に地面の感触を感じ取るためにも重要です。

敏感な感触のおかげで、猫は獲物に気づかれることなく近づいたり、危険を察知したりできます。

また、肉球は薄いので、猫が高いところから飛び降りる際にも衝撃を吸収し、足を守ることが可能です。

猫は薄い肉球で優れたバランス感覚と動作の滑らかさを保っています。

内部は3層構造になっている

猫の肉球の内部は3層構造です。外側の層は角質層で、非常に丈夫な層であり、肉球を外傷や摩擦から守る役割を果たします。

その下にあるのが表皮層で、柔軟性を持ち、猫が動く際の衝撃を吸収する役割です。

そして、最も内側にあるのが真皮層で、血管や神経が豊富に存在し、肉球の感触を敏感に感じ取れます。

猫の肉球は3層構造が一体となって機能し、猫は快適な移動や狩猟、遊びを楽しめるのです。

特に、真皮層の感覚神経が発達しているため、猫は非常に繊細な触覚を持っています。

脂肪と弾性繊維でできている

猫の肉球は、主に脂肪と弾性繊維で構成されています。

脂肪組織は衝撃を吸収し、猫が高いところから飛び降りたり、素早く動いたりする際に足を守るクッションとして重要です。脂肪組織があるため、猫は柔らかく静かに移動できます。

また、弾性繊維の役割は、肉球の柔軟性と耐久性を高めることです。弾性繊維があるおかげで、猫の肉球は長期間にわたって機能を維持できます。

脂肪と弾性繊維のバランスが取れた構造により、猫は様々な動作をスムーズに行えるのです。

外側は丈夫な皮膚で覆われている

猫の肉球の外側は非常に丈夫な皮膚で覆われています。

肉球の皮膚は、猫が歩く際に地面との摩擦や擦り傷から肉球を保護するために必要です。また、肉球の皮膚は耐水性があり、猫が湿った環境でも足元を保護できます。

さらに、外側の皮膚が厚く丈夫であるため、猫は様々な環境で活動する際に肉球を守り、機能を長期間維持できるのです。

肉球にはどんな役割がある?

猫の肉球は可愛さだけでなく、さまざまな重要な役割を果たしています。

  • 足音を消す
  • 衝撃を吸収する
  • ものをつかむ
  • しがみつく
  • 滑り止め
  • 顔のお手入れ

肉球が持つ具体的な役割について詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。

足音を消す

まず、猫の肉球は、足音を消すための重要な役割を持っています。

柔らかく弾力のある肉球が地面と接触すると、歩行時の音を吸収し、静かに移動することが可能です。

そのため、猫は獲物に気づかれずに忍び寄ることができ、狩猟活動において役立ちます。

また、肉球のクッション性は、猫が家の中で静かに歩くことを可能にし、飼い主の生活を邪魔しません。

衝撃を吸収する

次に、猫の肉球は、衝撃を吸収する役割も果たしています。

高い場所から飛び降りたり、急な動きをしたりする際には、肉球がクッションとして機能し、足の衝撃吸収が可能です。

猫は肉球で衝撃を吸収して、柔らかく安全に着地し、足や関節にかかる負担を軽減しています。

特に、外で活発に動く猫や高い場所に頻繁に登る猫にとって、衝撃の吸収は非常に重要です。

肉球の内部には脂肪組織や弾性繊維が含まれており、衝撃を効率的に分散させます。

物をつかむ

3つ目に、猫の肉球は物をつかむための役割も果たします。

肉球は滑りにくい表面を持っており、物をしっかりと掴めるのです。特に、狩猟や遊びの際には、前足の肉球を使って獲物やおもちゃを確実に掴むことができます。

物をつかむ能力は、猫が環境を探検したり、食べ物を保持したりする際にも便利です。肉球の柔軟性と感触が、猫の手先の器用さを高め、さまざまな動作を可能にしています。

しがみつく

4つ目に、猫の肉球はしがみつくための重要な役割も果たしています。肉球と鋭い爪が連動すると、猫は木登りや垂直な場所を登る際にしっかりとしがみつくことが可能です。

肉球の表面は粗いので、猫は滑らずに安定して登ることができます。また、しがみつく能力は、猫が高い場所に避難したり、獲物を追いかけたりする際に重要です。

さらに、家庭内でも、カーテンや家具に登る際に肉球のしがみつく能力が発揮されます。そして、しがみついた猫は自分の体を支え、安全に高い場所から降りられるのです。

滑り止め

5つ目に、猫の肉球は滑り止めの役割も果たしています。

肉球の表面には微細な凹凸があり、摩擦を生み出して滑りにくくすることが可能です。

そのため、猫はスムーズに歩いたり走ったりでき、滑りやすい表面でも安定して移動できます。

特に、屋内のフローリングやタイルの上での移動で、滑り止めの機能は非常に重要です。

滑り止めの効果により、猫は急な方向転換や高速での走行時にも足を滑らせることなく安全に移動できます。

また、滑り止めの機能は猫が高い場所に登る際や、急な坂を上り下りする際にも便利です。

顔のお手入れ

最後に、猫の肉球には顔のお手入れの役割もあります。猫は前足の肉球を舐めて湿らせ、顔や耳を拭いて清潔を保つのです。

顔をお手入れする動作は、猫のグルーミングの一環であり、清潔さと健康を維持するために肉球を使用します。

肉球を使ったお手入れは、被毛の手入れや外部の汚れを取り除くために欠かせません。猫が自分自身を清潔に保つと、外部寄生虫や病気のリスクを減少できます。

また、肉球を使った顔のお手入れは、猫にとってリラックスできる行動であり、猫のストレス軽減が可能です。

肉球の色は毛色によって違う?

実は、肉球の色は毛色によって違うと言われています。毛色によって色が違う理由や肉球の色について詳しくみていきましょう。

毛色を決める遺伝子と肉球の色は関連している

猫の毛色と肉球の色は密接に関連しています。なぜなら、毛色を決定する遺伝子が肉球の色にも影響を与えるからです。

猫の毛色は主にメラニンという色素によって決まります。メラニンは主に、黒や茶色を生み出すエウメラニンと、赤や黄色を生み出すフェオメラニンの二種類です。

そして、メラニンの割合や分布が、猫の毛色だけでなく肉球の色にも影響を与えます。そのため、毛色を決定する遺伝子がどのように作用するかは、肉球の色にも反映されるのです。

肉球の色のベースは3色

猫の肉球の色は、主に3つの色に分類されます。基本的には、ピンクや黒、あずき色の3色です。

具体的にそれぞれの肉球の色について詳しく見ていきましょう。

白系の毛色を持つ猫はピンク

まず、白系の毛色を持つ猫の肉球は主にピンク色であり、メラニン色素が少ないため、肉球の皮膚に色素がほとんど含まれていません。

メラニンが不足していると、薄い皮膚を通して血液の色が透けるため、ピンク色に見えるのです。

白い毛色の猫は、アルビノやバイカラー、タキシードキャットなど、さまざまな種類がありますが、肉球は共通してピンク色の場合が多くあります。

ピンク色の肉球を持つ猫は、白い被毛と相まって非常に可愛らしいですが、日光に敏感であり、炎症ややけどに注意が必要です。

黒や茶の毛色を持つ猫は黒

次に、黒や茶色の毛色を持つ猫の肉球は主に黒色であり、エウメラニンという黒色や茶色の色素が豊富に含まれています。

エウメラニンは肉球の皮膚にも多く存在するため、肉球が黒く見えるのです。黒や茶色の猫は、非常に多様な種類がありますが、肉球もほとんど黒色をしています。

黒い肉球は、外部からの刺激や環境要因に対して比較的強くて丈夫です。

ブルーやシルバーの毛色を持つ猫はあずき色

ブルーやシルバーの毛色を持つ猫はメラニンの量が中程度であるため、肉球の色が独特なあずき色になります。

ブルーやシルバーの猫は、ロシアンブルーやブリティッシュショートヘア、チャートリューなどです。あずき色の肉球は、他の色に比べてあまりみられません。

色の濃淡や組み合わせは猫によって違う

猫の肉球の色は、毛色と密接に関連していますが、個体によって色の濃淡や組み合わせが異なります。

なぜなら、遺伝的な要因が複雑に絡み合っているためであり、同じ毛色の猫でも、肉球の色にはバリエーションが見られるのです。

例えば、白い毛色を持つ猫の肉球は通常ピンク色ですが、部分的に黒やあずき色が混ざる場合もあります。

肉球の色の違いを観察すると、猫の遺伝的背景や個性をより深く理解できるのです。

肉球で病気のサインがわかる?

猫の肉球を見ると、病気のサインがわかります。猫の体調や潜在的な健康問題を早期に発見する手がかりになるので、詳しくみていきましょう。

熱くなっている場合

猫の肉球が普段よりも熱く感じられる場合、体温の上昇を示しています。そのため、感染症や炎症、発熱などを疑いましょう。

例えば、細菌やウイルス感染、寄生虫感染などが原因で体温が上がり、肉球が熱くなる場合があります。

また、炎症性疾患や外傷が原因で、局所的に熱が発生するケースもあるので注意しましょう。

さらに、温度が高すぎる場合にも、肉球が熱くなる場合があります。特に、夏の暑い日や暖房の効いた室内では、猫の体温が上昇しやすいので注意が必要です。

色が薄くなっている場合

次に、猫の肉球の色が薄くなっている場合は、貧血の恐れがあります。

貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの不足によって引き起こされ、肉球の色が薄くなるのです。

貧血の原因は、出血や栄養不良、寄生虫感染、慢性疾患など多岐にわたります。

また、血行不良や循環器系の問題が原因で、肉球の色が薄くなるケースにも注意が必要です。

例えば、心臓病や血管の異常が原因で、末端部への血流が不十分になると、肉球の色が薄く見える場合があります。

まとめ

今回は、猫の肉球について紹介しました。

猫の肉球は厚さが約1ミリほどであり、内部は3層構造になっています。肉球は脂肪と弾性繊維でできていて、外側は皮膚で覆われていて丈夫です。

肉球の色は毛色の遺伝子と関連しており、色素が薄いほどピンク色に、色素が濃いほど黒色に近づきます。

猫の肉球の役割は、静音効果や衝撃の吸収、滑り止め、顔のお手入れなどさまざまです。

飼い主は、猫の肉球が熱くなっていないか、いつもより色が薄くなっていないか確認し、猫の健康状態のチェックに活用しましょう。

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