健康

【獣医師監修】猫 痩せてきたけど大丈夫?考えられる原因や主な病気について解説

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はじめに

猫が痩せすぎると心配になる方は多いと思います。猫が痩せる原因は単に栄養不足なだけではありません。

猫は病気で痩せる可能性もあるので、飼い主は日頃から健康チェックが必要です。

今回は、猫が痩せる原因について詳しく紹介します。

病気以外で痩せる原因や考えられる病気について詳しく紹介するので、愛猫の痩せすぎが気になる方はぜひチェックしてください。

病気以外で猫が痩せるときの原因

はじめに、病気以外で猫が痩せるときの原因を紹介します。

  • 栄養やカロリーが足りない
  • キャットフードが合っていない
  • 運動量が増えた
  • 発情期を迎えた
  • ストレスを感じている
  • 加齢によるもの

上記のポイントを詳しく紹介するので、愛猫が痩せる原因に当てはまるものがないかチェックしてください。

栄養やカロリーが足りない

まず、病気以外で猫が痩せるときの原因は栄養やカロリーが足りないからです。栄養やカロリーが足りなくなる要因について詳しくみていきましょう。

食事量が少ない

猫は食事量が足りないと、体が必要とするエネルギーを十分に得られず、体重が減少してしまいます。

特に、多頭飼いの場合や、ほかのペットと一緒に生活している場合、競争によって食事が十分に摂れない場合が多いです。

また、飼い主が食事量を適切に管理していない場合も、栄養不足に陥るケースがあります。

食事量が少ないときは、まずは原因を特定することが重要です。食事の内容や質を見直し、栄養バランスの取れた食事を提供すると、猫の健康を維持し、体重の減少を防げます。

年齢に合わせて食事量を増やす

猫の食事を見直す際は、猫の成長段階に応じて食事量を増やすことが重要です。子猫の時期は成長に必要なエネルギーが多く、活動量も多いため、十分なカロリーが必要になります。

また、成猫のタイミングも活動量が多いため十分な食事量が必要です。しかし、シニア期に入ると再び食事量を見直す必要が出てきます。

シニア期の猫は、代謝が低下し、筋肉量や免疫力が減少するため、栄養バランスがより重要となります。

そして、消化吸収がスムーズに行えるよう、消化しやすい高品質の食事が望ましいです。

キャットフードが合っていない

次に、病気以外で猫が痩せるときの原因は、キャットフードが合っていないからです。

キャットフードの選び方やキャットフードが合わないと痩せる仕組みについて詳しくみていきましょう。

年齢や体調に合わせたフードを選ぶ

キャットフードは、猫の年齢や体調に応じて適切なものを選ぶことが重要です。

猫の栄養ニーズは年齢とともに変化し、子猫や成猫、シニア猫それぞれに必要な栄養素が異なります。

具体的には、子猫は成長と発育に必要な高カロリーで高たんぱく質な食事が必要です。

成猫になると、活動量が安定し、適切な体重維持が求められるため、バランスの取れた食事が必要になります。

一方、シニア猫は老化に伴う体の変化に対応するため、低カロリーでありながら栄養価が高く、消化しやすい食事が重要です。

フードがあっていないと消化不良や栄養失調の原因に

キャットフードが猫の体質や年齢に合っていない場合、消化不良や栄養失調の原因となる恐れがあります。

消化不良が続くと、食欲不振や体重減少、さらに便の異常などが見られるのです。

また、特定の栄養素が不足すると、被毛の状態が悪くなったり、エネルギーレベルが低下したりします。

特に、高齢の猫や特定の病気を持つ猫は、消化能力が低下している場合が多いので消化しやすいフードの選択が重要です。

そして、食物アレルギーを持つ猫の場合、アレルゲンを避けたフードを選びましょう。

運動量が増えた

3つ目に、病気以外で猫が痩せるときの原因は運動量が増えたからです。運動量と食事量の関連性について詳しくみていきましょう。

運動量に対して食事量が足りていない

猫の運動量が増加した場合、エネルギー消費も増えるため、食事量が不足すると体重減少が起こる場合があります。

特に、屋内で飼育されている猫が新しいおもちゃや運動の機会を得た場合、急激に運動量が増加しやすいです。

そのため、飼い主は運動量の変化に伴い、食事量を見直しましょう。適切なカロリー摂取が行われていないと筋肉量が減少し、疲労感が見られる場合があります。

また、運動量が多い猫は水分が不足すると脱水症状を引き起こして体調不良の原因となるので、水分補給も重要です。

発情期を迎えた

4つ目に、病気以外で猫が痩せるときの原因は発情期を迎えたからです。発情期は食欲に影響を及ぼす場合もあるので詳しくみていきましょう。

発情期は食欲が落ちることも

猫の発情期は、食欲が減少することが一般的です。特にメス猫は発情期中、食事に対する興味を失いがちであり、体重が減少する場合があります。

発情期に食欲が落ちるのはホルモンバランスの変化によるもので、発情期特有の現象です。

発情期中の猫はストレスや興奮状態にある場合が多いので、落ち着いた環境を整えましょう。

一時的なものなので心配ない

発情期における猫の食欲低下は一時的なものであり、発情期が終われば自然に食欲が戻ることがほとんどです。

発情期の場合は、飼い主は過度に心配する必要はありませんが、猫の健康状態を日頃から観察しましょう。

発情期の猫は、しばしば普段と異なる行動を取ることがありますが、発情期後に体調が戻ると、食欲も通常通りに回復します。

ストレスを感じている

5つ目に、病気以外で猫が痩せるときの原因はストレスを感じているからです。ストレスを抱えると健康にどのような影響を及ぼすのか詳しく見ていきましょう。

猫は環境の変化に敏感

猫は非常に敏感な動物であり、環境の変化に対して強い反応を示す場合があります。

引っ越しや新しいペットの導入、家族構成の変化、家具の配置替えなど、些細な変化であっても猫にとっては大きなストレスの原因です。

そして、猫はストレスを抱えると食欲不振や体重減少を引き起こす場合があります。

ストレスから胃腸症状が出ることも

ストレスは猫の身体に様々な影響を及ぼしますが、胃腸の不調が現れる場合もあります。

ストレスを感じた猫は、嘔吐や下痢などの胃腸症状を示して体重が減少しやすいです。

ストレスによる胃腸の問題は、猫が新しい環境に適応する過程や、急激な環境の変化に反応する際に特に顕著に現れます。

飼い主はストレスの原因を特定し、それを取り除くことが重要です。

加齢によるもの

最後に、病気以外で猫が痩せるときの原因は年齢を重ねているからです。加齢と痩せる要因の関係性について詳しくみていきましょう。

徐々に食事量が少なくなる

猫は年齢を重ねると徐々に食事量が少なくなります。老齢の猫は、若い頃と比べてエネルギー消費が減少し、食欲も低下することが一般的です。

食欲の低下は、代謝の低下や嗅覚や味覚の鈍化、歯の問題など、さまざまな要因が関与しています。

特に歯や歯茎の健康が悪化すると、固いフードを食べるのが難しくなり、食事量が減少しやすいです。

筋肉量や水分量が低下して痩せる

猫は加齢に伴い、筋肉量や水分量が低下することが、痩せる原因になります。まず、筋肉量の減少は高齢猫に一般的に見られる現象であり、基礎代謝が低下しやすいです。

また、老齢猫はしばしば活動量が減少し、筋肉の衰えを進行させる原因となります。

さらに、猫の体内水分量も加齢と共に減少する傾向があり、体重減少に影響しやすいです。

脱水は健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、飼い主は猫が十分な水分を摂取できるよう配慮しましょう。

猫が痩せるときに考えられる主な病気

次に、猫が痩せるときに考えられる主な病気を紹介します。食欲がない場合と、食欲も元気もない場合にわけて紹介しているので、病気に当てはまるかチェックしてください。

食欲がない場合に考えられる病気

まず、食欲がない場合に考えられる病気を紹介します。

  • 糖尿病
  • 甲状腺機能亢進症
  • 寄生虫感染

具体的な症状も紹介するので、上記の病気の可能性がないか詳しくみていきましょう。

糖尿病

まず、食欲がない場合に考えられる病気は糖尿病です。猫の糖尿病は、インスリンの分泌量が不足する、またはインスリンの効果が十分に発揮されないことが原因で起こります。

糖尿病の猫は、食欲に変化が起きやすいです。初期には食欲が増す場合もありますが、病気が進行すると食欲が減少し、体重が急激に減少します。

また、糖尿病は多飲多尿も引き起こすため、水を頻繁に飲むようになったり、排尿の回数が増えたりする場合が多いです。

甲状腺機能亢進症

次に、食欲がない場合に考えられる病気は甲状腺機能亢進症です。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると起こります。

シニア猫によく見られる疾患であり、代謝が異常に亢進するため、食欲が旺盛になる一方で体重が減少しやすいです。

甲状腺機能亢進症は、甲状腺腫瘍や過形成が原因となるケースが多く、腫瘍から過剰に分泌されるホルモンが全身の代謝を過剰に活性化させます。

甲状腺機能亢進症の症状は、興奮しやすくなる、心拍数の増加、多飲多尿などです。

寄生虫感染

最後に、食欲がない場合に考えられる病気は寄生虫感染です。特に内部寄生虫である回虫や条虫、鉤虫などは、消化管に寄生し、栄養を吸収してしまいます。

そのため、猫の食事から得られるべき栄養が不足し、体重減少が引き起こされやすいのです。

寄生虫感染の症状は、食欲不振や下痢、嘔吐、貧血、被毛の質の低下などが見られます。

猫が寄生虫に感染する主な原因は、外出先での接触、感染した他の動物との接触、汚染された水や食物の摂取などです。

食欲がなく元気もない場合に考えられる病気

次に、食欲も元気もない場合に考えられる病気を紹介します。

  • 消化器疾患
  • 腎臓疾患
  • 呼吸器疾患
  • 口腔疾患
  • 腫瘍疾患
  • 心筋症

具体的な症状も紹介するので、上記の病気の可能性がないか詳しくみていきましょう。

消化器疾患

まず、食欲も元気もない場合に考えられる病気は消化器疾患です。消化器疾患には、胃炎や腸炎、膵炎、消化管閉塞などが含まれ、猫の消化能力を低下させる場合があります。

特に膵炎は、消化酵素の分泌異常が原因で起こり、嘔吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こしやすいです。そのため、猫は食事を避けるようになり、体重減少が進行します。

消化管閉塞は、異物を飲み込んだ場合や腫瘍がある場合に発生し、緊急の治療が必要です。

腎臓疾患

次に、食欲も元気もない場合に考えられる病気は腎臓疾患です。

特に慢性腎不全は高齢猫に多く見られ、腎機能の低下によって体内の老廃物を排出できなくなり、多くの合併症を引き起こします。

症状は、多飲多尿や食欲不振、体重減少、脱水、嘔吐、口臭などです。腎臓の機能が低下すると、体内の毒素が蓄積し、猫の全身に影響を与えます。

腎臓疾患は進行性の病気であり、完全に治癒することは難しいですが、早期発見と適切な治療で病気の進行を遅らせることが可能です。

呼吸器疾患

3つ目に、食欲も元気もない場合に考えられる病気は呼吸器疾患です。呼吸器疾患には、上部呼吸器感染症や肺炎、喘息、気管支炎などが含まれます。

特に上部呼吸器感染症は、ウイルスや細菌によって引き起こされ、くしゃみや鼻水、咳、発熱などの症状を伴う場合が多いです。

症状が続くと、猫は食欲を失って体重減少が進行します。また、喘息や気管支炎などの慢性呼吸器疾患は、呼吸困難や咳を引き起こし、猫の全身状態に影響を与えやすいです。

口腔疾患

4つ目に、食欲も元気もない場合に考えられる病気は口腔疾患です。

猫の口腔内の健康は、全身の健康に密接に関連しており、歯周病や歯肉炎、口内炎などが主な口腔疾患として挙げられます。

口腔疾患は、口腔内の痛みを引き起こし、猫が食事を避ける原因になる場合が多いです。

特に歯周病は、歯の周囲の組織が炎症を起こし、歯がグラグラしたり、抜け落ちたりして食欲の減少を引き起こします。

また、口内炎は、口の中の粘膜が炎症を起こし、食事を取る際に強い痛みを伴う場合が多いです。

腫瘍疾患

5つ目に、食欲も元気もない場合に考えられる病気は腫瘍疾患です。猫の腫瘍には良性と悪性がありますが、特に悪性腫瘍は深刻な健康問題を引き起こします。

腫瘍が成長する場所や大きさによって症状は異なりますが、一般的な症状は体重減少や食欲不振、無気力、嘔吐、下痢、出血などです。

腫瘍は体内の様々な臓器に影響を与え、特に消化管や肝臓に影響を及ぼす場合、栄養の吸収不良や消化障害が起こり、体重減少の原因となります。

心筋症

最後に、食欲も元気もない場合に考えられる病気は心筋症です。心筋症には、肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症などがあります。

心筋症の疾患は心臓の機能を低下させ、血液循環が不十分になるため、全身の臓器に影響を及ぼす場合が多いです。

心筋症の症状は、呼吸困難や咳、疲れやすさ、運動不足、腹水などが見られる場合があります。心筋症が進行すると、体重減少や筋力の低下が起こり、猫は元気を失いやすいです。

猫が痩せないためにできること

次に、猫が痩せないためにできることを紹介します。

  • 体重の変化に注意する
  • 変わった様子がないか観察する
  • 定期的に健康診断を受ける

それぞれ詳しく紹介するので、猫が痩せすぎないように日頃から行ってみてください。

体重の変化に注意する

まず、猫が痩せすぎないためには体重の変化に注意しましょう。体重は健康状態を表しているので、急激な増減は何らかの健康問題のサインである可能性があります。

例えば、体重の減少は食事量の不足や消化吸収不良、あるいは代謝異常を示す場合が多いです。

一方、体重の増加は過食や運動不足、あるいは代謝機能の低下を示しています。

猫は年齢や生活環境の変化によって体重が変動しやすいため、日常的にチェックしましょう。

変わった様子がないか観察する

次に、猫が痩せすぎないためには変わった様子がないか観察しましょう。猫は自己主張が少ない動物であり、痛みや不調を隠す傾向があります。

そのため、飼い主は日常の行動や態度の変化に敏感であることが大切です。

具体的には、食欲の変動や飲水量の増減、排泄の状態、毛づくろいの頻度や方法、睡眠パターンなどを日頃から観察しましょう。

飼い主は猫の変化を見逃さず、異常が見られた場合は速やかに獣医師に相談することが大切です。

定期的に健康診断を受ける

最後に、猫が痩せすぎないためには、定期的な健康診断を受けましょう。健康診断は、表面的には健康に見える猫でも、潜在的な健康問題を早期に発見するための貴重な機会です。

特に猫は病気の兆候を隠す習性があるため、飼い主が異常に気付く頃には病気が進行していることも少なくありません。

健康診断では、血液検査や尿検査、便検査、X線検査、超音波検査などが行われます。

まとめ

今回は、猫が痩せる原因について紹介しました。

猫が痩せるのは、病気以外に栄養不足やキャットフード、運動量の増加、発情期、ストレス、加齢などが原因にあります。

猫が病気で痩せる場合は、糖尿病や甲状腺機能亢進症、寄生虫感染などさまざまです。

猫が痩せないためには、体重の変化など変わった様子がないか日頃からチェックし、定期的に健康診断を受けましょう。

痩せすぎのサインを見逃さず、猫の健康をサポートしてあげてください。

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