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【獣医師監修】猫の耳毛は処置が必要?耳毛の役割や処置が必要なケースを詳しく解説

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はじめに

猫の耳に生える毛には、「耳の中を守る役割を持つもの」と「装飾的な役割を持つもの」があり、この2種類の毛のことを「耳毛」と呼んでいます。

耳の中を守る役割を持つ耳毛とは、耳の中に入るゴミやホコリを防ぐ機能があり、耳の内側から外側に向かって耳の穴を覆うように生えている毛のことです。

装飾的な役割を持つ耳毛とは、耳の先端から立ち上がるように生えている毛のことで、通称「リンクスティップ」と呼ばれ、猫の顔を大きく見せる効果があります。

この記事では、「猫の耳毛は処置する必要があるのか」というテーマで、「猫の耳毛の役割について詳しく解説し、耳毛の処置が必要になるケースについて詳しく紹介しています。

猫の耳毛は何のためにある?

猫の耳毛1

耳毛は「耳の中に異物が侵入するのを防ぐ」「威嚇や縄張り争いで有利に働く」「獲物や外敵の早期発見に役立つ」など、生存に深く関わる重要な役割を担っています。

通常は耳毛カットなどをする必要はほとんどありませんが、耳毛の役割を理解した上で耳の健康状態などに注意し、必要に応じて獣医師に相談して適切な処置を受けることが大切です。

ゴミが入るのを防ぐ

耳毛は耳の入り口付近に生えていて、ゴミやホコリあるいは虫などの異物が耳に侵入するのを最小限に抑え、異物の侵入を物理的に防ぐ構造になっています。

異物が侵入することで生じる痛みや不快感、聴覚障害などのトラブルを防止して、重要な感覚器官である聴覚を守り、耳の健康を維持するために耳毛が生えているのです。

異物が耳に入ると聴覚が損なわれる可能性があるため、耳の健康を守ることが重要であり、まつ毛が目を守るように耳毛は耳を守る役割を果たしています。

自分の顔を実際より大きく見せる

耳の先端に生えている耳毛は通称「リンクスティップ」と呼ばれ、猫の顔や体を実際より大きく見せる効果があります。

自分を大きく見せることで、相手を威嚇し追い払うことができ、縄張り争いにも有利に働く役割を担っている耳毛です。

耳の上の毛はリンクスティップ

リンクスティップとは「ヤマネコの耳毛」という意味をもつ言葉で、野生のヤマネコが持つ特徴的な耳毛に由来しており、狩りを助ける機能と装飾的な役割を併せ持つ、耳の先端に生えている耳毛のことです。

長さや形状などには個体差があり、「耳の先端から長く伸びている」「短く控えめに生えている」「まっすぐに直立している」「弓なりに湾曲している」「まったくリンクスティップが生えていない」など、猫によってバリエーションがあります。

長毛種の大型猫種ほどリンクスティップが顕著な傾向にあり、「メインクーン」「ノルウェージャンフォレストキャット」「サイベリアン」などの大型猫種には、リンクスティップが長く伸びている個体が多いようです。

進化の過程でリンクスティップが長く伸びるようになったと考えられており、リンクスティップが発達していれば、その祖先がヤマネコに近い野生種であった可能性が高いと考えられています。

獲物や外敵を見つけやすくする

リンクスティップは周囲の音や空気の変化を敏感に感じ取れると考えられており、獲物や外敵がいる位置などを察知しやすくなるため、狩りに一役買っていると言われています。

しかし、リンクスティップの感覚機能について実証した学術研究に関する情報が見当たらないため、科学的に証明されているかどうかは明らかではありません。

学術的根拠が示されていないため真偽の判断は難しく、次のような行動観察や経験則から導かれた一般的な説明として、参考にする程度にとどめてください。

猫の触毛(眉上毛、頬骨毛、上唇毛、下唇毛、口角毛)が空気の流れや音がする方向などを感知するレーダー的な役割を持つことから、リンクスティップにも同様の機能があるとされています。

またリンクスティップは野生のヤマネコに見られる特徴の1つであり、ヤマネコが小動物などを狩ることで捕食していたことから、獲物を探すときに感覚機能として役立つレーダー的な役目として発達した毛であるとして定義づけされているようです。

猫の耳毛は処理した方が良い?

猫の耳毛2

猫の耳毛は、ゴミや虫などの異物が耳に入るのを防ぐ重要な役割を担っていますが、過剰な場合には耳の健康被害の原因にもなります。

たとえば耳の入り口付近の耳毛が非常に長く伸びている状態は、過剰と判断したほうがよいでしょう。

耳毛の役割は耳の入り口を覆って異物の侵入を防ぐことですが、過剰に生えて耳の周辺を覆ってしまうと逆効果になり、その機能が損なわれる可能性があります。

通常は耳の入り口付近にしか耳毛は生えませんが、何らかの理由で奥深くまで耳毛が生えている場合も、過剰な状態であると判断したほうがよいでしょう。

過剰な耳毛があると耳垢がたまりやすくなり、細菌の温床になり耳の健康を損ねる恐れがあります。

耳毛の本数が極端に多く、耳の入り口付近が覆い尽くされてしまうほど過密に生えている場合も、過剰な状態と判断したほうがよいでしょう。

通気性が損なわれて、痒みや不快感を覚えるのはもちろん、極端な場合には過剰な耳毛が外耳道を塞ぐことで音が伝わりにくくなり、聴力低下の原因になる恐れがあります。

個体差もありますが、耳毛が通常より長く伸びすぎている場合、耳の奥深くまで生えすぎている場合、本数が極端に多すぎて耳の入り口付近を覆っている場合には、注意が必要です。

耳毛が過剰に生えている状態が気になるときは、いきなり自分でカット処理をしたりすることは避けて、まずは獣医師に相談して診断を仰ぎ、必要に応じて適切な処置を受けてください。

基本的には処理する必要はない

結論から述べると、必要性がないのであれば、基本的には猫の耳毛をカットするなどの処理は必要ありません。

耳の健康状態に悪影響を及ぼす可能性がある場合、耳の疾患を発症している場合などの特段の理由がない限り、そのままにしておくのが一番適切な対処法です。

耳毛は猫の体の一部であり、ゴミや虫などの異物から耳を守る重要な役割があるため、健康な猫であれば耳毛はそのままの状態にしておいても問題ありません。

ただし例外的に、「猫カビ(皮膚糸状菌症)が耳毛にも感染している場合」「耳や耳周りに外傷がある場合」「耳毛が過剰に生えていて耳の健康被害や聴力低下の恐れがある場合」には、獣医師に相談の上で適切に対処する必要があります。

耳毛には処理をして良い部分とダメな部分がある

耳毛が気になるときは、いきなり自分でカットするなどの処理をするのではなく、まずは獣医師に相談の上で適切に処理してもらいましょう。

耳毛には処理をして良い部分とダメな部分があり、必要もないのに耳毛を切ってしまうと、猫がストレスを感じる可能性が高くなります。

処理をして良い部分は、耳の外側の入り口付近(外耳道入り口、耳たぶの付け根周辺、耳垢腺周辺)に生えている耳毛です。

この部分に生えている耳毛は、ゴミや異物が外耳道に入るのを防ぐ役割があり、過剰に伸びすぎた場合は逆効果なため、必要に応じてカットするなどの処理をする必要があるかもしれません。

処理をしてはダメな部分は、耳の内側に生えている耳毛です。

この部分の耳毛は、ゴミや異物が耳の奥に入るのを防ぐ重要な役割があるため、基本的にそのままにしておき、自分でカットするなどの処理をしないでください。

耳の先端に生えている耳毛(リンクスティップ)は装飾的な役割があり、こちらも無理に処理すると猫にストレスがかかる可能性があるため、短く切り揃えるなどの処理をしてはいけません。

健康な猫であれば、基本的に耳毛はそのままの状態にしておいてもなんら問題はなく、無理に耳毛を処理する必要はありません。

逆に、必要もないのに猫の耳毛を切ってしまうと、猫はストレスを感じるだけでなく、以下のような悪影響を及ぼす可能性があるため、無用な処理は避けてください。

耳毛を切ってしまうことで保護機能が損なわれて、異物が耳に入りやすくなり、細菌やカビが繁殖しやすくなることで、外耳炎を引き起こすリスクが高くなります。

耳毛を過剰に切ってしまうと音が正常に伝わらなくなる可能性も考えられ、猫の優れた聴力が損なわれる恐れもあるでしょう。

耳の先端から生えている毛(リンクスティップ)には、猫の顔や体を大きく見せる装飾的な役割があり、これを切ってしまうと、その機能が失われます。

猫の耳毛は重要な役割を担っており、適切な処理が求められるため、獣医師に相談しながら、猫の状態に合わせた適切な処置を受けることが重要です。

猫が不快に思っていなければそのままにしておく

耳毛は猫の体の一部であり、ゴミや異物から耳を守る重要な役割があるため、むしろ必要もないのに無理に処理をすると、猫がストレスを感じる可能性があります。

耳毛には個体差があるため、猫が不快そうにしている様子がなければ、耳毛の量や長さを気にする必要はありません。

健康な猫の耳は自浄作用があり、耳垢はたまりにくいため、耳の状態に異常がなければ、積極的な耳掃除も不要です。

過剰な処理は耳の保護機能が損なわれて、細菌が入りやすくなり、外耳炎のリスクを高める恐れがあります。

定期的に耳の状態をチェックし、「赤み」「腫れ」「異臭」「過剰な耳垢」などの異常がないか確認しましょう。

不快な様子や異常な症状が見られる場合には獣医師に相談し、耳毛の処置が必要かどうか診断を仰いでください。

けっして自己判断はせず、いきなり自分でカットするなどの処理は避け、獣医師に適切な方法を確認して、猫の状態に合わせて対応することが大切です。

猫の耳のトラブルは多くない

結論から述べると、猫の耳のトラブルが多いか少ないかについては科学的根拠に基づく明確な結論が見当たらず、一概に多いとも少ないとも言えません。

一般的な見解によれば、垂れ耳の猫種は外耳炎になりやすく、立ち耳の猫種は垂れ耳種よりも耳のトラブルは多くないと言われています。

しかし猫種などの個体差はもちろん、遺伝的素因や環境要因によっても発症リスクは異なるため、すべての猫において耳のトラブルが多くないと断言することはできません。

たとえば猫の一般的な耳の病気として知られているものには、「外耳炎」「中耳炎」「内耳炎」「耳ダニ症」「外傷」「腫瘍」「ポリープ」などがあります。

外耳炎は、外耳道に炎症を起こすことで発症する感染症のことで、原因は「細菌」「真菌(カビ)」「耳ダニなどの寄生虫」「アトピーやアレルギーなどの過敏症」「異物混入」「外傷」や「腫瘍」などさまざまです。

症状としては、「痒み」「痛み」「腫れ」「発赤」「耳から異臭がする」「耳を掻きむしる」「頭を激しく擦りつける」「頭を頻繁に振る」などの不調が生じます。

中耳炎は、中耳に炎症を起こすことで発症する感染症のことで、原因は「外耳炎による炎症が中耳にまで波及する」「上気道感染症(かぜ症候群)から波及する」「鼻咽頭ポリープ」などです。

症状としては、「頭を振る」「頭を傾ける」「ふらつく」「まっすぐ立つことができない」「旋回するように歩く」などの不調が生じます。

内耳炎は、内耳に炎症を起こすことで発症する感染症のことで、細菌やウイルスの侵入による感染で生じた中耳炎が進行して、炎症が内耳にまで波及することが原因です。

症状は中耳炎と共通しており、症状が悪化すると「平衡感覚が失われる」「おう吐」「食欲不振」などの不調が生じます。

耳ダニ症は、ミミヒゼンダニというダニの寄生が原因で引き起こされる病気です。

感染経路は「親猫から子猫への感染」「耳ダニに感染している犬や猫との接触」「耳ダニの成虫や卵が付着したブラシやベッドなどからの感染」が挙げられ、「黒い耳垢が大量に出る」「耳から異臭がする」「耳を掻きむしる」「頭を擦りつける」「頭を頻繁に振る」などの症状が出ます。

外傷は、事故や喧嘩などが原因で生じる傷のことで、耳に外傷を負うと「出血」「腫れ」「耳が変形する」などの症状が出ます。

腫瘍は、良性腫瘍の「耳垢腺腫(じこうせんしゅ)」、悪性腫瘍の「耳垢腺癌(じこうせんがん)」「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」などがあり、細胞の異常増殖によって形成される塊のことです。

外耳道に腫瘍を発症した場合には、「耳介が膨れる」「耳が垂れ下がる」「耳から分泌物が出る」「耳から異臭がする」「立て続けに耳を掻きむしる」「激しく頭を擦りつける」「頭を頻繁に振る」「耳を触ると嫌がる」「外耳炎が長期化する」などの不調が生じます。

ポリープは粘膜の肉眼的な隆起のことで、腫瘍性のものと非腫瘍性のものがありますが、耳道内に発生する「鼻咽頭ポリープ(別名:炎症性ポリープ)」は非腫瘍性の腫瘤(しゅりゅう)です。

鼻咽頭ポリープは若齢猫で発生することが多く、原因は「先天的な異常」あるいは「慢性的な炎症」「ウイルスや細菌による感染」などが挙げられますが、明らかになっていません。

症状としては、「耳から茶色い分泌物が出る」「耳から膿が出る」「鼻づまり」「呼吸が荒い」「耳を引っ掻く」「しきりに頭を振る」「つねに頭を傾ける」「眼球が揺れる」「ふらつく」などの不調が生じます。

何らかの耳の異常に気づいたときは、まず獣医師に相談するべきであり、自己判断で耳掃除や耳毛の処理をすることは避け、専門家の診断を仰いで指示やアドバイスに従いましょう。

耳毛を処理したほうがいいのはどんな時?

猫の耳毛3

耳は猫の5感のうちの1つであり、聴覚だけでなく平衡感覚にも関わる重要な器官であり、耳の健康状態が損なわれると、猫の生活に支障をきたす恐れがあります。

猫の耳毛は、耳の中に入る異物から耳を守る重要な役割を果たしており、通常は耳毛を処理する必要はありません。

猫の耳毛を処理する必要があるケースとしては、「耳の炎症」「異物の混入」「耳垢の過剰な付着」「耳毛の過剰な伸び」「猫カビの感染」「外傷」などがあります。

耳毛に異常が見られるときは、放置しておくと耳の健康を損なう可能性があるため、獣医師に相談して適切に対処することが重要です。

耳毛の処置が必要なケース

耳毛の処置が必要となるケースとしては、以下のようなものが考えられます。

耳垢が過剰にたまったり、耳毛にゴミなどが絡んだりしている場合、このままにしておくと耳の通気性が悪くなり細菌感染や外耳炎のリスクが高まるため、耳毛の処置が必要です。

ゴミや虫などの異物が耳の中に入り込み耳毛に絡んでいる場合、耳の中で異物が動くたびに傷が付くため、異物と耳毛を取り除く必要があります。

猫カビや耳ダニに感染している場合や、耳に外傷がある場合などにも、耳毛の処置が必要になります。

猫カビが毛にも感染している場合

猫カビは、真菌の一種である皮膚糸状菌が皮膚・被毛・爪などに侵入し、増殖することで発症します。

発症部位は「耳」「鼻の上」「瞼の上」「四肢の先端」などに発生する傾向が高く、「広範囲にわたる脱毛」「被毛をつまむと簡単に抜ける」「皮膚が赤くなる」「フケが多い」「かさぶたができる」などの症状が出ます。

猫カビは、耳の中だけでなく耳毛にも感染し広がるため、抗真菌剤の内服薬や外用薬の投与と併せて、皮膚糸状菌治療専用のシャンプーでの洗浄と耳毛の処置が必要です。

猫カビは全身に感染が広がりやすく、治療が長引くケースもあり、猫だけではなく人に感染する可能性もあります。

気になる症状があるときには早めに動物病院を受診し、部屋の隅々まで掃除を徹底し、生活環境を清潔に保つことを心がけてください。

耳や耳の周辺に外傷がある場合

突発的な事故によるものや、他の猫と喧嘩をしたことが原因で、耳や耳の周辺に外傷ができた場合には、耳毛の処理をしたほうがよいでしょう。

裂傷した部位に毛が絡んでいると、傷口の治癒を妨げる可能性があり、毛に付着した汚れが傷口に入り込めば化膿などの合併症を引き起こすリスクもあります。

外傷した周辺の毛を切ることで傷口を清潔に保つことができますが、自分で対処することは避けて獣医師に相談し、傷の治療と併せて適切な処置を受けることが大切です。

耳毛の処理方法

猫の耳毛が過剰に伸びている場合などにおいて、耳毛のカットを自宅で行う場合の注意点は以下の通りです。

猫が嫌がって不意に動いたり暴れたりすると危険なため、耳毛のカットをするときは必ず2人で行い、1人が猫をしっかり固定し、もう1人がカットするようにしてください。

猫の外耳道はL字型で狭くて奥まで届きにくい構造のため、誤って耳道を傷つける恐れがあるので、無理に耳の奥まで処理してはいけません。

ペット用の耳毛切りハサミやペット用の耳毛カッターなど適切な道具を使用し、先の尖ったハサミや人間用の耳毛カッターなどは使用しないでください。

また耳毛を過剰に取り除くと、耳の防御機能が損なわれ、かえって外部からの刺激に弱くなり、炎症などのリスクが高まる可能性があります。

耳毛のカットは必要最小限にとどめ、耳の中に炎症などの異常が見られる場合には、耳掃除や耳毛の処理を無理に行わず、すぐに獣医師に相談しましょう。

自宅でカットする場合はこれらの点に十分注意して慎重かつ適切に行う必要があり、耳を傷つけてしまうリスクを考慮すると、自己処理は避けて獣医師に任せたほうが安全です。

耳毛のカットは病院で処置してもらう

ペット用の耳毛切りハサミなどが市販されていますが、自分で処理することは避けて、耳毛のカットは病院で処置してもらうことを推奨します。

自己処理を勧めない理由は、猫の外耳道はL字型で狭く、奥が見えにくい複雑な構造であるため、使い方を誤った場合や猫が暴れてしまった場合に、皮膚を傷つけてしまうリスクがあるからです。

また嫌がっているのに無理に処理したり、必要もないのに耳毛を切ってしまったりすると、過度のストレスを与えてしまい、猫との信頼関係を損なう恐れもあります。

また耳を掻きむしったり、頭を頻繁に振ったりする様子が見られるときは、何らかの疾患がある可能性があり、耳毛を処理するだけでは病気は完治しません。

耳の異常に気づいたときは、まず獣医師に相談することが重要であり、自己判断で耳掃除や耳毛を処理したりせず、専門家の診断を仰ぎ、その指示やアドバイスに従ってください。

耳毛のカットを病院で行うメリットは、耳の構造を熟知している獣医師による適切な処置により、耳を傷つけたり猫にストレスをかけたりするリスクが低く、安全性が高いことが挙げられます。

また耳毛の処理と併せて、耳の健康状態をチェックしてもらうことで、外耳炎など耳の疾患の早期発見・早期対処につながるため、獣医師に任せることが最適かつ最善な耳毛の対処法と言えるでしょう。

リンクスティップがある代表的な猫種

猫の耳毛4

猫の耳の先端から生えている毛のことを通称「リンクスティップ」と呼ばれており、この耳毛は、すべての猫に生えているわけではありません。

長毛種の猫ほどリンクスティップを持つ傾向があり、短毛種ではリンクスティップを持つ個体は少ないと考えられています。

リンクスティップの代表的な猫種としては「メインクーン」「ノルウェージャンフォレストキャット」「サイベリアン」などが挙げられ、これらの長毛種の猫に顕著に見られる特徴です。

また個体によって異なりますが、「アメリカンカール」「アメリカンボブテイル」「ペルシャ」「サイベリアン」にも、リンクスティップを持つ個体が生まれる場合があるようです。

リンクスティップは猫の祖先であるヤマネコから受け継がれた形質であるとされており、ヤマネコは狩りをするとき、獲物の動きや位置などを察知するために活用していたと考えられています。

レーダーのような役割を持ち五感の一種を担っている可能性があるため、無用に切ってしまうと、猫の聴覚や平衡感覚に影響を与えるリスクがあり、生活に支障が出ることも考えられます。

また嫌がっているのにカットするなどして処理するとストレスの原因になり、猫との信頼関係が損なわれる可能性もあるため、必要ないのであれば、そのままの状態を維持することを心がけましょう。

リンクスティップが汚れていたり絡まっていたりする場合には、耳の健康被害につながる可能性もあるため、ブラッシングなどで定期的に手入れをすることが大切です。

耳の中の汚れや異物が気になる場合や耳に炎症などの異常が見られる場合には、無理に耳毛のカット処理をすることは避けて、まず獣医師に相談しましょう。

メインクーン

メインクーンは、アメリカ合衆国ニューイングランド地方のメイン州が原産地とされており、メイン州では州猫として公式に認定されて親しまれています。

名前の由来は、原産地のメイン州と、アライグマ(ラクーン)を意味する「クーン」が合わさったもので、体格や毛並みなどがアライグマに似ていることから命名されたようです。

穏やかで優しい性格をしているところから、「ジェントルジャイアント(穏やかな巨人)」という別名で呼ばれることがあります。

体重には個体差がありますが、オスの成猫の体重が5.9kgから8.0kg程度、メスの成猫の体重が3.6kgから6.0kg程度とされています。

アライグマのような太くて長いフサフサの尻尾が特徴的な、ロング&サブスタンシャルタイプに分類される筋肉質な体格の大型猫です。

ボリュームのある豪華な被毛が魅力的な長毛種で、その毛質は密度が高くて水を弾きやすい特徴を持ち、たてがみのような長い毛が首回りを覆っています。

耳の先端から長くて立派な飾り毛(リンクスティップ)が生えており、猫の耳の動きに合わせて自由に動き、獲物の動きを感知するのに役立つと考えられています。

学習能力が高いことでも知られており、ドアを開けたり棚の引き出しを開けたり、ボールを投げたら咥えて持ってくるなどの簡単な芸を覚えることもあり、好奇心旺盛かつ外交的な性格です。

ノルウェージャンフォレストキャット

ノルウェージャンフォレストキャットは、ノルウェーのスカンジナビア半島を中心とした北ヨーロッパが原産地で、厳しい北欧の環境のなか自然淘汰を繰り返しながら、何世紀にも渡って独自に進化してきました。

雷神トールや女神フレイヤにちなんだ神話にも登場することが言及されており、その神秘性から「ノルウェーの森の妖精」という愛称でも呼ばれています。

体重には個体差がありますが、オスの成猫の体重が4.5kgから8.0kg程度、メスの成猫の体重が3.5kgから6.0kg程度とされています。

ロング&サブスタンシャルタイプに分類され、胴と同じくらいの長さのフサフサした太い尻尾を持ち、水を怖がらないという特徴を持つ大型猫です。

ボリュームのある豪華な被毛が魅力的な長毛種で、その毛質は密度が高くて水を弾きやすい特徴を持ち、たてがみのような長い毛が首回りを覆っています。

耳の先端から長くて立派な飾り毛(リンクスティップ)が生えており、猫の耳の動きに合わせて自由に動き、獲物の動きを感知するのに役立つと考えられています。

頭の回転が早く簡単な芸を覚えることもあり、スキンシップを好み人や動物に対して友好的で、ボールなどのおもちゃで遊ぶことを好む活発で好奇心旺盛な性格です。

サイベリアン

サイベリアンはロシア原産の土着猫で、シベリアの森で自然淘汰を繰り返しながら、何世紀にも渡って独自に進化してきました。

名前の由来は、シベリアの英語読み「サイベリア」からきたものであり、現地のロシアで呼ばれている「シビールスカヤ・コーシュカ」は「シベリアの猫」という意味です。

体重には個体差がありますが、オスの成猫の体重が7.0kgから12.0kg程度、メスの成猫の体重が6.0kgから10.0kg程度とされています。

ロング&サブスタンシャルタイプに分類され、胴と同じくらいの長さのフサフサした太い尻尾を持ち、がっしりとした筋肉質で、骨太な骨格と力強い四肢が特徴的な大型猫です。

ボリュームのある豪華な被毛が魅力的な長毛種で、その毛質は密度が高くて水を弾きやすい特徴を持ち、たてがみのような長い毛が首回りを覆っています。

耳の先端から長くて立派な飾り毛(リンクスティップ)が生えており、猫の耳の動きに合わせて自由に動き、獲物の動きを感知するのに役立つと考えられています。

犬のような性格と言われているほど人懐っこい性格で、他の猫種と比べて水を怖がらない傾向があり、個体差はありますが水遊びが好きなサイベリアンもいるようです。

まとめ

この記事では、猫の耳毛の役割と、耳毛の処理が必要となるケースについて詳しく解説しています。

猫の耳毛は、基本的には処理する必要はなく、むしろ猫の個性の一部として大切にしていくべきものです。

ただし耳の健康に問題が生じた場合や、衛生上の理由などから耳毛のカット処理が必要な場合もあります。

その際は無理に自分で行うのではなく、獣医師に相談して適切な処理方法を選ぶことが重要です。

猫の耳毛について正しく理解し、適切なケアを行っていくためにも、当記事の情報をぜひお役立てください。

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