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はじめに
猫が突然、赤ちゃんのような行動を取ることがあるのをご存知ですか。また、猫が「赤ちゃん返り」する理由や、その際に見られる行動、そしてどのように対処すれば良いのか知りたいと感じたことがある人もいるかもしれません。
赤ちゃん返りは一時的なものですが、その背景にはストレスや環境の変化など、猫にとっては重大な原因が隠れています。
この記事では、猫が赤ちゃん返りをする理由や、具体的な行動について詳しく解説し、適切な対処法をご紹介します。猫の気持ちを理解し、猫にとってより良い環境で過ごせるようにしてあげましょう。
猫も赤ちゃん返りをする?
人間の子供の場合は、よく赤ちゃん返りをすると耳にすることがあるかと思います。猫も同じように赤ちゃん返りをすることがあるのです。
猫はよく赤ちゃん返りをする
しっかりとしつけをされた成猫が、突然甘えてみたり、家の中でイタズラを始めたり、粗相をしたりすることがあります。これらの行動は全て「赤ちゃん返り」かもしれません。
猫がゴロゴロと喉を鳴らすのは、子猫が母猫の乳を飲んでいる時の安心感や甘えをあらわしていると考えられています。また、毛布を吸ったり、前足でフミフミしたりする行動も、子猫時代の幸せな気持ちを思い出しているためです。
成猫が赤ちゃんのような行動を見せる赤ちゃん返りには、猫特有の理由があります。
そのため、人間の子どもが嫉妬で赤ちゃん返りをするのとは違い、猫の場合は年齢を問わず頻繁に起こるのです。これは、飼い主に甘えたくなったときに見せる仕草だといえるでしょう。
老猫になると赤ちゃん返りする猫が多い
猫が年を重ねて老猫になると、若い頃は活発で甘えることが少なかった猫が、急にあまえてくるなどの赤ちゃん返りをすることがあります。
特に9歳〜10歳頃、人間でいうと56歳前後になると、その傾向が強くなるようです。
以前は軽々と飛び乗れていた高い場所を躊躇するようになり、猫自身も体力や筋力の衰えを感じているのかもしれません。その結果、飼い主の近くにいることが増え、甘える姿がみられるようになります。
老猫が赤ちゃん返りをする理由はさまざまですが、体力の衰えや不安感が関係していると考えられています。そして、信頼している飼い主に対して、安心感を求めています。
しかし、老猫は病気で甘えるようになることもあるため、動物病院の受診も考えておかなくてはいけません。
猫の年齢による変化を理解し、気持ちに寄り添ってあげることが大切です。
猫の赤ちゃん返りは人間の赤ちゃん返りとは違う
猫と飼い主の関係は、親と子どものようなものです。猫が不安やストレスを感じると、飼い主に頼りたくなるのは自然なことといえます。
人間の子どもの赤ちゃん返りは、兄弟への嫉妬が主な原因ですが、猫の場合は違います。猫の赤ちゃん返りの理由は、幼少期に母猫に甘えられなかったり、日常のストレスだったりします。
猫が赤ちゃん返りをする際には、無視せず、しっかりと構ってあげることが大切です。満足するまで遊んだり、撫でたり、ブラッシングをしたりして、猫とのコミュニケーションを深めましょう。
猫の赤ちゃん返りは、飼い主に向けた愛情や安心を求めるメッセージです。
猫が赤ちゃん返りをする理由
猫が赤ちゃん返りをする理由には、環境の変化や飼い主への依存、不安やストレスなどのさまざまな要因が考えられます。
この章では、猫が赤ちゃん返りをする具体的な理由を詳しく解説します。愛猫の赤ちゃん返りの行動がみられたら、まずは理由を理解してあげることが大切です。
幼少期に母猫に甘えられなかった
猫の赤ちゃん返りをする理由の一つに、幼少期に母猫に十分に甘えられなかった経験が挙げられます。
早期に母猫から離された猫は、成猫になっても毛布や飼い主を前足でフミフミする行動をとりがちです。これは、母猫を求める気持ちのあらわれで、母猫の感触に似た柔らかいものに触れると安心するからといわれています。
特に、ペットショップで早期に親から引き離された子猫や、飼育放棄された子猫は、赤ちゃん返りの行動をして、母猫に十分甘えられなかった寂しさを感じているといえます。
ストレスを感じている
猫が赤ちゃん返りをする理由の一つに、ストレスが大きく関わっている場合があります。
引越しや新しい猫の迎え入れなど、生活環境の変化が主な原因です。
ストレスを抱えた猫は、機嫌が悪くなったり、威嚇したり、粗相をするなどの問題行動を起こすことがあります。これらの行動は、ストレスによる赤ちゃん返りの一種です。
特に生活環境が激変し、飼い主に甘える時間が減った場合、猫は不安を感じやすくなります。ストレスを減らすためには、飼い主とのコニュニケーションをしっかりとることが大切です。
避妊や去勢手術をした
猫が赤ちゃん返りをする理由の一つに、避妊や去勢手術があります。
手術を受けた猫は、交尾や子猫を守るために、他の猫と張り合う必要がなく、生活全般で危険を警戒する必要も減ります。そのため、繁殖活動に割く時間がなくなり、飼い主に甘える余裕ができるのです。
避妊や去勢手術をしていない猫は、繁殖活動が大部分を占めるため、飼い主に甘える時間が少なくなります。しかし、手術を受けると、繁殖期に左右されず、飼い主に甘えることが増え、赤ちゃん返りをしやすくなるのです。
猫が赤ちゃん返りした時はどんな行動をする?
猫が赤ちゃん返りをしたときには、普段と異なる行動がみられます。
例えば、飼い主に甘える頻度が増えたり、幼い頃のように前足でフミフミしたりする行動です。また、甘えん坊になり、飼い主のそばから離れたがらなくなることもあります。
この章では具体的な赤ちゃん返りの行動を詳しく解説します。
前足でフミフミする
猫が赤ちゃん返りをした時の典型的な行動の一つに、前足でフミフミする動作があります。
この行動は、子猫が母猫の乳を飲むときに行う動作の名残であり、成猫になってもみられる行動です。お腹が空いていたり、眠たかったり、不安を感じていたりするときにも、フミフミする動作を行います。
特に、幼少期に母猫から早期に離された猫や、十分に母猫に甘えられなかった猫に多くみられる行動です。
フミフミする猫は、子猫時代の安心感や幸福感を思い出し、リラックスしていることが多いです。柔らかい毛布や飼い主の体を前足で揉むような動作を見せる猫は、その瞬間に幸せな気持ちに浸っているのでしょう。
フミフミしているときは、猫がリラックスしているサインと考え、見守ってあげることが大切です。
フミフミする行動自体に、特に問題はありません。しかし、フミフミするときは爪を出して行うため、傷をつける可能性があります。飼い主のお腹でフミフミされると痛かったり、寝具にされると傷がついてしまったりするため、定期的に爪の手入れをしておきましょう。
猫がフミフミしていたら、飼い主は温かく受け入れてあげることが重要です。
指やお気に入りの毛布に吸い付く
猫が赤ちゃん返りをしたときにみられるもう一つの行動は、飼い主の指やお気に入りの毛布に吸い付くことです。
猫は「チュッチュッ」と音を立てながら吸い付き、そのまま眠ってしまうこともあります。この行動は、子猫のときに母猫の乳を吸う行動の名残です。十分に母猫に甘えられなかった猫が、その不足分を満たそうとしている行動です。
指などに吸い付く行為には問題ありませんが「ウールサッキング」と呼ばれる、羊毛やその他の布に吸い付く行動は、誤飲の危険が伴います。ウールサッキングの対象には、コットンなども含まれます。この行動が頻繁にみられる場合、注意深く見守りつつ、対象物を取り除くなどの、誤飲や事故を防ぐための対策が必要です。
長めの鳴き声を出す
猫が赤ちゃん返りをしたとき、普段よりも長めの鳴き声を出すことがあります。
この行動は、猫が自分の欲求や気持ちを飼い主に伝えたいときにする行動です。短い鳴き声ではなく「ニャーーン」と鳴くことで「構って欲しい」「反応して欲しい」という気持ちをあらわしています。長めの鳴き声でなくても、甘えん坊で自己主張の強い猫は、喋るようにたくさん鳴く個体が多いです。そして飼い主が要求に応えない場合は、甘えるように鳴き続けることがあります。
長い鳴き声は、猫が自分の存在をアピールし、飼い主の注意を引きたいときに多くみられますが、猫の大きな声はご近所トラブルの原因にもなりかねないため、愛猫の要求を見極めて対処することが重要です。
喉をゴロゴロ鳴らす
猫が赤ちゃん返りをしたときにみられる行動の一つに、喉をゴロゴロ鳴らすことがあります。
猫は甘えたい時や嬉しい時、リラックスして気持ち良いときに喉を鳴らします。ゴロゴロ音は子猫が母猫に対して行うコミュニケーション方法で、自分の居場所や気持ちを伝えるためのものです。成猫になってからも、飼い主に対してゴロゴロ音を出すことがあり、猫が甘えたい気持ちや安心感をあらわしています。
ゴロゴロ音を出す行動は、猫が赤ちゃんのように感じているときの一つのあらわれです。また、ストレスを感じているときに低い声でゴロゴロと鳴らすこともありますが、特に問題のある行動ではないため、そのまま見守ってあげると良いでしょう。
この行動は、猫が飼い主に対して何かメッセージを伝えたいときにもみられるため、猫の気持ちに寄り添って対応することが大切です。
イタズラをする
猫が赤ちゃん返りをしたときには、普段はしないようなイタズラをすることがあります。
これは飼い主の気を引きたいという気持ちのあらわれです。飼い主の注意を引こうとして、してはいけないとわかっている行動をあえてすることが多いです。
この行動がみられたときは、一方的に怒るのではなく、猫の気持ちに寄り添い、なぜそのような行動をしたのかを考えることが大切になってきます。
粗相をする
猫が赤ちゃん返りをしたときには、トイレ以外の場所で粗相をすることもあります。
これは、自分に関心を持ってもらうための行動です。トイレが汚れていたり、体調が悪かったりして粗相をすることもありますが、原因が見当たらない場合は赤ちゃん返りの可能性が高いです。
猫が粗相をしたときは、一方的に叱らず、猫の気持ちを理解して対策をすることが重要です。
猫が赤ちゃん返りをした時の対処法
猫が赤ちゃん返りをしたときは、適切な対処法を知っておくことが大切です。
赤ちゃん返りは、猫が飼い主に甘えたい気持ちや安心感を求めているサインといわれています。この章では、猫が赤ちゃん返りをしたときに飼い主ができる対処法について詳しく解説します。猫との信頼関係を深め、安心して過ごせる環境を作ってあげましょう。
甘えたい欲求を満たしてあげる
猫が赤ちゃん返りをしたときは、甘えたい欲求を満たしてあげることが大切です。特に、猫が飼い主のことを母猫のように思っている場合、甘えたくて赤ちゃん返りをしています。
そして、環境の変化や家族が増えたことで不安を感じた猫は、飼い主の愛情を求めてきます。
このとき、猫と向き合う時間を作り、その子だけに注意を向けて構ってあげましょう。
猫じゃらしで遊んだり、ブラッシングをしたりして、猫の「飼い主に甘えたい」という気持ちを満たしてあげることで、猫は安心感を得られます。
忙しいときでも、軽く撫でたり話しかけたりするだけで、猫は満足してくれるでしょう。
毎日少しの時間でも構ってあげる
猫が赤ちゃん返りをしないようにするためには、毎日少しの時間でも構ってあげることが大切です。
飼い主が忙しくても、猫はその事情を理解できないため、愛情を感じられずに不安になることがあります。特に生活に変化があったときは、猫と遊ぶ時間が減りがちです。1日5分でもいいので、遊んだり撫でたりしてあげるだけで、猫は安心感を得られます。
猫は飼い主の注意を敏感に察知します。猫が要求してくるときには、短い時間でもその子のことだけを考えて、可愛がってあげると満足してくれるでしょう。
そして休日には、多くの時間をかけて一緒に遊び、ストレスや運動不足を解消してあげると良いです。
もし猫がしつこく要求してくる場合は、少し距離をとってクールダウンの時間を儲けることも必要です。繰り返し対応することで、猫も飼い主の気持ちや事情を少しずつ理解してくれるようになります。
老猫はできるだけそばにいてあげる
愛猫が高齢になると、体力が衰え、遊ぶことに疲れやすくなります。
そのため、老猫が赤ちゃん返りをしたときは、無理に遊ばせず、そっとそばにいてあげることが大切です。飼い主が近くにいるだけで猫は安心し、落ち着けます。
老猫の赤ちゃん返りは、飼い主への愛情のあらわれでもあり、残り少ない時間を大切に過ごして欲しいという気持ちの裏返しでもあります。
また、不安を感じて甘えることがあるため、飼い主としてはできるだけそばにいて、安心感を与えてあげることが重要です。
場合によっては、病気が原因で甘えることもあるので、動物病院での受診も検討すると良いでしょう。老猫の赤ちゃん返りに対しては、特に注意深く接し、愛情深く見守ってあげることが求められます。
まとめ
猫が赤ちゃん返りをする理由や行動、対処法について詳しく解説してきました。
猫が赤ちゃん返りをするのは、幼少期に十分に母猫に甘えられなかったことやストレス、避妊・去勢手術の影響などが原因です。
これらの行動に対しては、猫の甘えたい欲求を満たしてあげることや、毎日少しの時間でも構ってあげることが重要となってきます。特に老猫の場合は、そばにいて安心感を与えてあげましょう。
猫が赤ちゃん返りをすることは、飼い主に対する愛情のあらわれでもあります。愛猫の気持ちを理解し、大切にしてあげることが、健康で幸せな生活を送るためのポイントとなるでしょう。