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【獣医師監修】猫がぷるると鳴く時の気持ちは?鳴く理由や気をつけたいポイントを解説

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はじめに

猫に接する機会が多いと、鳴き声にもいろいろあることに気付くことがありますよね。一般的な猫の鳴き声といえば「ニャー」と鳴くイメージが強いですが、同じニャーでも強弱や語尾の長さなどで、異なる感情を表していることがあります。

いろいろな鳴き声で感情を表す猫ですが、そのなかで「ぷるる」と鳴くのを聞いたことはありませんか。

すべての猫が頻繁に鳴くわけではないので、もしかしたら聞いたことのない飼い主さんや、聞き逃してしまっている飼い主さんもいるのではないでしょうか。

今回は、猫がぷるると鳴くのはどのような場面で、どのような気持ちなのか、くわしくみていきましょう。

猫がぷるると鳴く時の気持ちは?

猫の鳴き声は同じニャーでも、声のトーンや長さ、鳴き声の大きさによってさまざまな感情を表していることが多いですが、ぷるるという鳴き声でも同じように感情表現は異なっています。

ただ、ぷるると鳴く場合に共通している点があります。それは「猫がリラックスしている状態」という点です。

ぷるるという鳴き声からは怒りや、威嚇など激しい感情の動きは感じられないですよね。実際に猫は心身ともにリラックスできているときにぷるると鳴くことが多いようです。

ぷるると鳴くのは飼い主さんを信頼している証拠

飼い主さんと一緒にいるときに猫がぷるると鳴くことがありますが、それは信頼できる人が近くにいることで猫が安心しているということです。

猫は警戒心が強い動物なので、安心できる場所以外では常に注意を払っていることが多いですが、居心地のよい自分のスペースで、信頼している飼い主さんと一緒に過ごしていることで心身ともにリラックスして、つい自分の気持ちが声に出てしまうのでしょう。

猫がぷるると鳴く理由

猫がリラックスしているときにぷるると鳴くことはご紹介しましたが、同じ「ぷるる」と鳴く場合でもその意味が異なることがあります。

猫がぷるると鳴くときには、どのような感情で鳴いているのでしょうか。

機嫌がいい

リラックスした状態で、なにも不安なことがなく、とても居心地のよい状態のときにぷるると鳴くことがあります。このように機嫌のいいときの猫は、歓喜する喜びではなくどちらかというとリラックスしながらも、少しウキウキしている状態であると考えられます。

お腹いっぱいのときや、気持ちよくひなたぼっこをしているときに思わずぷるると声を発してしまうこともあるでしょう。

甘えたい

猫が飼い主さんに近付いてきて、ぷるると鳴くのは甘えている証拠です。飼い主さんのそばに行きたい、飼い主さんに撫でてほしい、などの感情を鳴き声で表現しています。

飼い主さんが近くにいてうれしい気持ちを、表現しているので、自分からすり寄ってきてぷるると鳴いているときは、思い切り甘えさせてあげましょう。

このようなコミュニケーションを取ることで、より一層愛猫との関係性が深まります。

楽しくて興奮している

楽しい気分でテンションが高くなったときにも、ぷるると鳴くことがあります。機嫌がいいときのようなぷるるとは違い、最高潮に楽しくて思わず出てしまうため、明らかにテンションが違います。

人間でも楽しさが最高潮になってテンションがあがると、大きな声で叫んでしまうように猫もテンションがあがって思わず声をあげてしまうことがあるようです。

不思議な気持ち

猫は不思議な気持ちでもぷるると鳴くことがあります。人間のすることは猫にとって不思議なことばかりです。飼い主さんを見ていて「何をしているの?」「どこに行くの?」「何を食べているの?」など疑問を持ったときに、ぷるると声を発してしまうことがあります。

人間でも思わず「えっ?」「何?」と声が漏れてしまうことがあるのと同じような意味を持っています。

突然名前を呼ばれたときや、ふいに体に触れられたときなどにも思わずぷるると声を出してしまう猫もいるようです。

要求をしている

飼い主さんにむかって何かを要求するときにもぷるると鳴いておねだりすることがあります。

遊びの誘いや、構ってほしいとき、お腹が空いたときなどにぷるると鳴いて要求します。

これはリラックスしていて、なおかつ信頼できる飼い主さんやその家族に対して「こうしてほしいな」と小さくお願いをしている気持ちなのではないでしょうか。

ついおねだりされて、おやつのあげすぎには注意しなければいけませんが、猫が甘えながら何かを要求してきたときには可能な限り応えてあげてください。

高い場所に飛び乗る時

高い場所に勢いをつけて飛び乗るときに、かけ声のようにぷるると鳴いてから飛び乗るときがあります。

人間でも、勢いをつけるときに「よいしょ」とか「よっ」のような声がでると思いますが、同じように、力をいれて何かをするときに出ることが多いようです。

飛び乗るときだけでなく、飛び降りるときや着地のときにも同じように声を出すことがあります。

母親が子猫を呼ぶ時

母猫が子猫を呼ぶときにもぷるると鳴いて呼ぶといわれています。

「こっちへおいで」「どこにいるの?」という意味合いで呼んでいると考えられ、この声を聞いた子猫もぷるると甘えた声を出して母猫のところへ集まっているのでしょう。

猫がぷるると鳴く時に気をつけたいポイント

猫がぷるると鳴くのは基本的にはリラックスしているときが多いですが、たまに何かを訴えたくてトーンの異なる鳴き方でぷるると鳴くことがあります。

ここでは猫がぷるると鳴くときに、気をつけてよく観察しておいたほうがよいポイントをご紹介します。

鳴き方がいつもと違う場合

猫がぷるると鳴いた際に、いつもの鳴き方と違っている場合には、何かを訴えている可能性があります。

楽しいときや、テンションが高いときに発しているのとは明らかに違う場合は、なにかしら不安な状態にあることがあります。

外の物音などにおびえて恐怖を訴えていることもあれば、分離不安で飼い主と離れることに強い不安を感じていることもあります。

鳴き方や鳴き声、大きな声で泣き続けるなど、明らかにいつもと違うときは猫の行動と照らし合わせて何を訴えているのか知る必要があります。

体調やストレスが原因の可能性

いつもと違う鳴き声でもうひとつ考えておかなければならないことは、猫が体調不良や強いストレスを抱えていないかということです。

病気による痛みがつらい場合には、元気がなかったり、どこか痛そうにしたりと鳴き声以外にもいつもと違った様子を見せることがあります。

例えば、かすれたような声を発するときは、声帯に炎症を起こしてしまっていることも考えられますし、かすれた声を出しながら、くしゃみや鼻水などを同時に発症している場合には猫風邪の可能性があります。

もし、鳴き声のなかに「ゼーゼー」といった呼吸音や咳などが混じっている場合、気管支炎や喘息の症状が出ていることも考えられます。

少しの時間で収まれば、経過観察することもありますが、いつもと違う声で泣き続けるようであれば何らかの病気を抱えている可能性が高いため、放置せずにまずは動物病院を受診してください。

猫は強いストレスを抱えているときも、いつもと違う声で鳴くことがあります。

ストレスによって、機嫌が悪いときには、心配のあまりかまってしまうと、かえってストレスを強めてしまうことがあるので、このような場合には、落ち着くまでは距離をとってそっとしておきましょう。

猫の鳴き声の種類を知ってコミュニケーションを深めよう

猫は鳴き声によっていろいろな感情を周りに伝えています。鳴き声の種類を知ることによって、猫が何を考え、どのような気持ちなのか知ることができるでしょう。

鳴き声を理解してあげると、今まで以上に親密なコミュニケーションが取れるはずです。

要求している時

「ニャー」や「ニャーン」と鳴くのは飼い主に甘えて、わがままや要求をしているときです。

「ごはんが欲しい」「遊んでほしい」などがほとんどで、強い要求ではなく、飼い主さんに甘えながらおねだりをしているような感じです。

すべての要求に答える必要はありませんが、猫が心を許して甘えてきてるので状況に応じて可能なことには応えてあげましょう。

うれしい気持ちを表現している時

うれしいときは「ニャオ」や「ニャーオ」と鳴いて喜びを表現します。

なにかを要求しているときの鳴き声にも似ていますが、こちらは要求が通り、遊んでもらったり、ご飯をもらったり要求が叶っているときに、うれしくてこのように鳴くことがあります。

あいさつしてくれている時

猫があいさつをしてくれるときは「ニャッ」と短く鳴きます。

こちらから何も言わなくても、猫の方から挨拶をしてくれることもありますし、飼い主さんが名前を呼んだときに「ニャッ」と鳴いて返してくれることもあります。

恐怖や威嚇を表現している時

「ウー」「シャー」「フー」などの低い声で鳴いているときは、相手に恐怖を感じたり警戒しながら威嚇したりしています。ときには尻尾を膨らませ、毛を逆立ててかなり強い調子で鳴いていることもあります。

これは「近づくな」という警告や、見知らぬ猫に対して、相手の動きを観察しているときに多くみられます。

同居猫と喧嘩をしたときや、新しい猫を家に迎え入れたときも、威嚇して自分の強さや縄張りをアピールします。

飼い主さんをはじめとする人間に対しては、あまりこのような行為をすることはありませんが、猫が自分の嫌なことをされたときなどに、「ウー」などの声を出して、人間に威嚇をしてくるようなことがある場合は、猫が人間よりも立場が上だと思っていることがあるので注意が必要です。

このように恐怖心や威嚇をしているときの猫は、気が立っていることが多く、飼い主さんといえども興奮して攻撃してくることがあるので、落ち着くまで様子をみるか、威嚇している対象物を猫から引き離してください。

不安な時

猫が不安になっているときは、「アオーン」「ミャーオ」などの低い鳴き声で鳴くことがあります。

不安といっても理由はさまざまで、初めて会う猫と挨拶を交わすときや、病院で診察台の上に乗せられているときなど、何をされるかわからないといったときに不安な声を出すことがあります。

また、飼い主さんが見当たらないときにも、同じような鳴き方をすることがありますが、ここで注意したいのが、不安な声を出すたびに猫の要求に応えていると、飼い主がいなければ不安で鳴きだすような分離不安になってしまうことがあります。

飼い主さんが見当たらないようになったときに、不安な声を出すことが当たり前になってしまうと、留守番のあいだもずっと鳴いているようになってしまいます。

大切な猫が不安そうな声を出していたら、なんでもすべての要求に応えるのではなく、状況に応じて対応してあげてください。

発情している時

発情した猫は、「ナーオ」「アオーン」という独特の鳴き声を発します。この特有の声を発するのはメス犬で、遠くにいるオス犬を呼び寄せるためにかなり大きな声で鳴き続けます。

その声に反応して、オス猫も返事を返すために大きな声で鳴くことがあります。

発情期の大きな鳴き声を抑えるためには、避妊、去勢手術を早い段階でおこなうと治まることがあるので、繁殖する予定がない飼い主さんは検討してみてください。

鳴き声以外で猫が気持ちを表すサイン

はっきりとした鳴き声以外にも、猫が気持ちを表すために音を発することがあります。

普段、あまり意識することがなくても、それぞれの鳴き声を理解すると、より深く猫の気持ちが理解できるかもしれません。

喉を鳴らす

ゴロゴロと喉を鳴らして、何かを伝えようとしている姿をみたことがあると思います。

このゴロゴロにもいろいろな意味があるのですが、基本的には安心してリラックスしているときに喉を鳴らす傾向があります。

ご飯を食べて、お腹が満たされているときや、飼い主さん撫でてもらってご満悦のときなどに猫が喉を鳴らしていないか観察してみてください。

母猫と子猫のあいだでも、喉を鳴らしてコミュニケーションを取ることがあるので、そのような意味でもリラックスしているときにこのような行動に出るのでしょう。

クラッキング

クラッキングという名前は、もしかしたらあまり知られていないかもしれません。

たとえば部屋の中から、外を見つめて「クククッ」とか「カカカッ」といった鳴き声を発している姿をみたことはありませんか。

クラッキングは、猫の狩猟本能からくるものといわれており、家庭で飼われている猫でも、外に鳥や虫などが見えると、眠っている本能が呼び起されて、気持ちが高ぶるためにクラッキングをおこないます。

ほかにも鳥などの音を、猫なりに真似している説もあります。

このとき、猫の姿勢は警戒しながら姿勢を低くして、今にも狩りを始めそうにしていることも多いようです。

窓越しのために、実際に狩りができないイライラから、外の動物を眺めてクラッキングをするときは、狩りができないイライラをクラッキングによって多少なりとも発散しているのかもしれません。

サイレントニャー

サイレントニャーという不思議な呼び方の鳴き声もあります。厳密には鳴こうとしているけれどほとんど声の出ていない状態を指します。

実際には、声が出ていないのではなく、小さな声を出して、サイレントニャーにより何かを伝えています。

サイレントニャーには挨拶の意味もあり、兄弟猫や子供、同居猫に対して、関係性を構築するためにこの鳴き方で仲良くしたい思いを伝えています。

飼い主さんへのアピールにもサイレントニャーを用いることがあります。

「何かちょうだい」「ここにいるよ」「遊んでほしいな」といったように信頼できる飼い主さんに向けてアピールをします。

猫は本来、あまり媚びるようなことをしない動物なので、控えめにサイレントニャーでそっとアピールしているのかもしれません。

鳴き声以外にも表情も合わせて観察してみよう

猫はさまざまな鳴き声で、感情を表現したり、周りにアピールをしたりすることがありますが、同時に表情や仕草で何かを伝えようとしていることがほとんどです。

飼い主さんに構ってほしくて甘えたいときは、鳴きながら近くにすり寄ってくることもありますし、お腹が空いたときには、いつものご飯の場所で飼い主さんを見つめながら要求してくることもあるでしょう。

機嫌が悪いときにも、明らかに表情や動きにでていることがほとんどなので、とてもわかりやすいと思います。

一見、人間の子供のような感情の起伏を見せますが、クールなイメージのある猫が、時折見せるそんな表情こそが、猫の魅力ではないでしょうか。

警戒心が特に強い野良猫は、あまり甘えるような鳴き声や仕草をみせないといわれています。ペットとして飼われている猫だからこそ、心を許して飼い主さんに甘えてくるので、できる限り応えてあげましょう。

また、体調が悪いときやどこか痛めているときにも、いつもと違う声でアピールをしてくることがあります。

このようなときも、鳴き声だけでなく猫の様子を観察することで異常の早期発見につながるので、鳴き声とあわせて必ず猫の表情も確認する習慣をつけておきましょう。

まとめ

猫がぷるると鳴く気持ちや、理由、いろいろな鳴き声が持つ意味についてご紹介しました。毎日一緒に過ごしていると、さまざまな鳴き声を耳にすることがあるでしょう。そのときに、「今は甘えたいんだな」「お腹が空いたのかな」「どこか痛いのかな」といったように猫の鳴き声から気持ちを知ることで、より一層猫との絆が深まっていくのではないでしょうか。

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