暮らし

【獣医師監修】猫と一緒に旅行できる?ストレスを減らすための準備と旅先での注意点を解説

ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。

はじめに

猫との生活は、毎日発見と喜びでいっぱいです。しかし、猫を旅行に連れて行くとなると、考えることがたくさんあります。猫を安心させるために、どのような準備を進めればいいのでしょうか?そして、旅先で猫を安全にかつ快適に過ごさせるにはどうすれば良いのでしょうか。

この記事では、猫を連れての旅行が初めての飼い主も、これまで何度か経験のある方でも、猫と一緒に楽しい旅行をするための準備と注意点を、獣医師監修のもと詳しく解説します。猫との旅行がスムーズで楽しいものになるように、必要な準備や心構えを学んでみてください。

猫と一緒に旅行できる?

猫と旅行は可能ですが、基本的に猫は環境の変化を苦手とします。移動中のストレスや、未知の場所での不安が大きく影響するため、慎重な準備が必要です。

旅行が猫のストレスになることも

猫は一般的に、旅行による環境の変化に敏感で、その変化は猫にとって大きなストレスとなります。特に、飛行機や車での長時間移動は猫にとってとても苦痛なものです。

また、旅行先で普段とは違う匂いや音、人の存在も猫を不安にさせる要因となり得ます。さらに、もしも脱走してしまった場合、猫は戻ってこられず、その結果連れて帰れないという最悪な状態になることもあります。

このようなリスクを避けるため、旅行を検討する際は猫の性格などを考慮することが重要です。

猫は慣れている環境の方が落ち着く

猫は本能的に安全と感じる親しんだ環境を好みます。自宅やその周辺での生活に安心感を持ち、日常のリズムに従って生活することを好むため、新しい場所に移動することは大きなストレスとなるのです。

特に、不慣れな場所では食欲不振やトイレの問題が発生することがあります。そのため、猫を連れての旅行は、猫にとってはストレスを引き起こし、健康問題につながる可能性があります。

テリトリーの外に連れ出すことになる

猫はテリトリー意識を持っており、自分の領域内で活動することを好む動物なため、テリトリーの外に連れ出されることは、猫にとっては大きな不安です。

旅行によって猫がテリトリーを離れることになると、不安や恐怖を感じ、それがストレスや健康問題に直結します。

テリトリーの外での行動は猫にとってとても難しいもので、環境に順応することが難しいため、リラックスできる環境とはいえません。

旅行が難しい猫の性格

旅行に連れて行けるかどうかは、それぞれの猫の性格によっても違ってきます。

下記のような性格の猫は、旅行に連れていくのには不向きかもしれません。

外に出るのを好まない猫

猫の中には、自宅の安全な環境を好み、外出を嫌う個体がいます。このような猫は、自宅以外の環境に対して強い不安を感じるため、旅行に連れて行くことは大きなストレスになります。外出が必要な場合でも、猫のストレスを最小限に抑えるために、短時間の外出にしておきましょう。

ストレスに弱く臆病な猫

猫には個体差があり、中には非常にストレスに敏感で、臆病な性格な猫もいます。縄張りの外へ出ること自体が大きなストレスとなり、移動の際の不安や恐怖が健康に悪影響を及ぼすことも考えられます。このような猫を無理に連れ出すことは、飼い主の自己満足になりがちで、猫にとってはいい迷惑という場合が多いです。

キャリーバッグを嫌がる猫

旅行ではキャリーバッグの使用は避けられませんが、キャリーバッグを嫌がる猫も少なくありません。

キャリーバッグに慣れていない猫は、そもそもの移動が難しいため、旅行は不可能と考えてもいいです。キャリーバッグに慣れるために、日頃からキャリーバッグを、食事や休憩の場所として利用することで、少しずつ慣らして行くことから始めなければいけません。

一緒に旅行に行くならストレスを減らすための準備が必要

猫との旅行を快適で安全なものにするためには、事前の準備が非常に重要です。これは、愛猫が旅行中に感じる不安やストレスを最小限に抑えるための対策です。

キャリーバッグやハーネスに慣れさせる

移動中のストレスを最小限に抑えるために、キャリーバッグやハーネスの慣れが非常に重要です。苦手な猫が多いため、旅行前に少しずつ練習しておきましょう。

まずはキャリーバッグを病院に連れて行く時だけでなく、嫌なものだと結びつけないために、日常生活の中で積極的に使用しましょう。キャリーバッグをただの移動手段ではなく、安全で快適な避難所として認識させるために、キャリーバッグの中でおやつやご飯を与えたり、開けたドアのキャリーバッグの中に毛布を敷いてベッドとして使ったりと、猫は安心してキャリーバックを受け入れるようになります。

ハーネスに慣れさせるためには、最初は短時間のトレーニングから始めて、徐々に慣れさせることが重要です。ハーネスを着用している間は、猫を常に監視し、リードに身体を巻きつけたりすることのないように注意します。

ハーネスとリードを使ったトレーニングによって、猫が外出時にも安心して移動できるようになるため、日頃から少しずつ慣らしていくことが望ましいです。

近場へのお出かけから少しずつ慣らしていく

猫が生後3ヶ月を過ぎ、必要なワクチン接種が完了してから、その環境に慣らし始めましょう。初めての外出は、ハーネスとリードをつけ、抱っこしながら自宅の周辺をゆっくりと歩きます。この時、猫が怖いと感じて隠れようとしたら、強制せず、その日のトレーニングはそこで終わらせる方が良いです。

猫が外の環境に慣れたら、次は車へ慣れさせていきます。

まずは車の中に猫をいれ、エンジンをかけずに過ごさせることから始めます。猫が車内で落ち着いていることを確認できたら、エンジンをかけ、車の音や振動に慣れさせましょう。この段階では、車は動かさず様子をみます。

車の音や振動に慣れてきたことが確認できたら、実際に車を動かし始めます。最初は町内を一周する程度の短い時間から始めてみましょう。猫がパニックにならないよう、速度は控えめにして、短時間で終わらせることが大切です。

猫が外出に慣れるように、定期的に外出は続けましょう。理想としては1ヶ月に1回は猫を連れて外出することを心がけると、猫が外出を楽しめ、旅行時のストレスも少ないものとなります。

かかりつけ医に酔い止めを処方してもらう

猫の車酔いをした時には、多くのあくび、過呼吸、ヨダレの増加、嘔吐や下痢、失禁などの症状が出ます。

車での移動に慣らしておくときに、車酔いの兆候がみられる場合は、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

獣医師は猫の健康状態を把握した上で、適切な酔い止めを処方してくれます。この薬は、移動前に猫に与えることで、乗り物酔いによる不快な症状を軽減し、猫が旅行中に快適に過ごせるようにしてくれます。

また、旅行中は猫が普段から服用している他の薬やサプリメントがある場合は、忘れずに持参することが大切です。

旅行前の食事は控えめにし、車内の環境をできる限り快適に保つことも酔いを防ぐことにつながります。車内を涼しく保ち、定期的に換気を行うことで、猫がリラックスできる環境がつくれます。

猫と旅行に行く際は、これらの準備と対策が猫のストレスを最小限にしてくれるのです。

猫と旅行に行く際に必要なもの

猫との旅行を快適かつ安全に行うためには、必要なアイテムを忘れずに持って行くことが欠かせません。ここでは、猫と一緒に旅行する際に必要なアイテムと、その重要性について解説します。

いつものキャットフードと食器

猫との旅行では、猫がいつも食べているキャットフードと、使用している食器を持参することが重要です。

猫は環境の変化に敏感で、新しい場所での食事は大きなストレスになることがあります。そのため、普段から慣れ親しんでいるキャットフードを用意することで、そのストレスを少なくできます。また、猫は新しい食器に戸惑うことがあるため、いつも使用している食器を持って行くことで、食事の際の不安も減らして安心感を与えられます。

ウェットタイプのフードは水分補給も同時にできるため、旅行中の水分不足を防ぐのに役立ちます。旅先で普段のキャットフードが手に入らないこともあるため、必要な量を事前に計算し、十分に準備しておきましょう。

水と水を入れる食器

いつものキャットフードや食器と同様に、普段から使用している水飲み用の食器も持参しましょう。猫が緊張して水を飲まなくなる可能性も考えなくてはいけません。いつも使用している食器で水を飲むことで、安心感が生まれるはずです。

水を飲んでくれない場合は、ウェットタイプのフードを与えると同時に水分補給もできるためおすすめです。

おやつ

猫の好みのおやつを持参することで、旅行のストレスを少なくし、猫を安心させられます。また、猫が緊張から普段より水を飲まなくなった際は、ウェットタイプのおやつも水分補給の役割を果たしてくれます。

おやつの準備は、猫が旅行中幸せに、かつ快適に過ごすために重要なアイテムです。

トイレ・トイレ砂

猫との旅行でトイレはとても大切です。持ち運びが可能なポータブルトイレは、折りたたみ可能で、移動中や旅行先での使用に適しています。また、ポータブルトイレは災害時にも役立つため、万能なアイテムです。

旅行前には、猫がポータブルトイレで快適に排泄できるよう、家で事前に慣れさせておきましょう。慣れないトイレでの排泄を拒否する猫もいるため、自宅でのトレーニングは欠かせません。猫が普段から使用している砂をポータブルトイレに入れることで、馴染みのある匂いで猫に安心感を与えられるでしょう。

トイレに行かなくなる猫もいるため、長時間の移動では、猫がいつでも快適にトイレを使えるようにするため、車内にトイレを設置することも考えるべきです。

爪とぎ

爪とぎにはナワバリを主張するマーキング行為も意味しますが、そのほかにも、ストレスが溜まっている時や爪のお手入れ、気分転換、飼い主へのアピールなどさまざまな意味があります。そのため、旅行時にも普段通り、気分転換や普段のお手入れとして爪とぎができるよう、普段から愛用している爪とぎを持参しましょう。

お気に入りのおもちゃ

環境が変わってストレスがたまると健康問題に関わります。猫が爪とぎと同じように、自ら遊んでストレスが発散できるよう、お気に入りのおもちゃを持参しましょう。

また、飼い主は時間を作りおもちゃで遊んであげて、しっかりスキンシップの時間を取ることが大切です。

いつも使っているタオルや毛布

旅行時には猫が普段から使っている、タオルや毛布を持っていきましょう。

猫は非常に匂いに敏感で、自分の匂いが染みついたタオルや毛布は大きな安心感を与えてくれます。特に、新しい環境や異なる場所に対するストレスを感じやすい猫にとって、馴染みのアイテムは落ち着かせる効果になります。

猫を新しい場所に連れて行く際は、必ずこれらのアイテムを持参して、猫ができるだけ快適に、落ち着いた状態を保てるように配慮することが大切です。これにより、旅行中の猫のストレスを少なくし、より楽しい時間を過ごせます。

キャリーバッグやゲージ

猫との旅行において、キャリーバッグやケージは、猫にとってのプライベートな空間を提供し、安全性を保つために非常に重要です。猫の体格に合わせたサイズのキャリーバッグを選ぶことで、猫が窮屈さを感じることなく快適に過ごせます。

キャリーバッグの中には、お気に入りのおもちゃや毛布も収納でき、猫はリラックスできるでしょう。

さらに、脱走防止のためのリードを引っ掛ける部分があるキャリーバックや通気性がよく、外の様子が見える設計のものは、便利であり、猫にとってストレスを感じにくいものとなります。

ケージは、折り畳みができ布製の軽量ケージが持ち運びしやすいためおすすめです。猫が落ち着けるよう普段から使用して匂いがついている状態にしておくと、旅行先での猫の不安が少なくてすみます。また、神経質な猫には外が見えないタイプのケージが適しており、閉じた空間は猫が落ち着ける環境を作り出してくれます。使い勝手が良く、猫の出入りもスムーズに行えるよう、上面と横面が開閉できるタイプのケージもあります。

飼い主と猫が心地良い、使い勝手が良いと感じるものを選びましょう。

リードとハーネス

猫との旅行中、脱走を防ぐためには、リードとハーネスが重要です。

猫の安全を確保し、外出時のコントロールをうまく行うため、首輪だけではなくハーネスを使用することが推奨されます。

首輪は猫が抜け出す可能性がありますが、ベルトタイプやH字型のハーネスは、猫の背中にリードをつけることで負担を減らし、猫の体を首と腰の2箇所でしっかりとホールドしてくれます。そのため、猫が突然の動きをしても安全に対応できるため、脱走や事故のリスクを減らせるでしょう。

ハーネスはサイズ調整機能がついており、マジックテープでの微調整も可能なタイプが理想的です。また、いくつかのハーネスには緊急時に猫を素早く掴むためのハンドルがついているものもあり、より安全に配慮されています。

旅行を楽しく安全に行うために、リードやハーネスにも慣れさせておきましょう。

旅先での注意点

猫との旅行を成功させるために、旅先での注意点をしっかり把握しておくことが大切です。

移動中はキャリーバッグかケージに入れておく

猫との旅行中、移動する際はキャリーバッグやケージを使用して猫を安全に運ぶことが重要です。キャリーバッグやケージは猫を安全に保護し、車内での不測の事故や脱走を防ぎます。そのほかに、車内で猫がシートの下に潜り込んだり、爪を研いだりする行動も防げます。

車で移動する場合は大きな揺れや急ブレーキに注意

車で猫を連れて移動する際は、大きな揺れや急ブレーキを避けるように心がけてください。猫を不安にさせ、ストレスや怪我の原因になることがあります。

スムーズで穏やかな運転を心がけることで、猫が移動中に感じるストレスを最小限に抑えられます。

休憩をこまめに取る

長距離の移動では、定期的に休憩を取りましょう。休憩時には猫に水分補給をさせ、必要であれば排泄を促します。

これにより、猫の健康を保ちながら、快適に旅行を続けられます。

宿泊先では脱走の危険に注意

宿泊先での脱走は、猫にとって非常に危険な状態を引き起こしてしまいます。

部屋のドアや窓の確認を徹底し、猫が外に逃げ出さないように注意しましょう。さらに、夜間や飼い主が部屋を離れる際には、猫をケージ内に入れておくことで、脱走を防げます。

宿泊先ではルールに従い、猫が安全かつ快適に過ごせるように配慮することが大切です。

まとめ

猫との旅行を成功させるには、適切な準備と旅先での注意が必要です。移動中は猫をキャリーバッグやケージに安全に入れておき、車での移動では大きな揺れや急ブレーキを避けましょう。

宿泊先での脱走にも注意し、猫が安全な環境にいるかどうかを常に確認してください。これらの対策をすることで、猫も飼い主も快適で楽しい旅行になります。

ただし、猫が環境の変化に苦手なことに変わりありません。

少しずつ慣れさせたうえで、旅行に行くことは構いませんが、どうしても猫が慣れないようであれば、無理に連れて行くことは避け、留守番やペットホテルの利用などを考える必要があることも頭に入れておきましょう。

RANKING
人気記事ランキング