暮らし

【獣医師監修】猫は室内飼いはメリットしか無い?デメリットも合わせてご紹介

ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。

はじめに

猫を飼っていると窓から外を覗く姿をよく見ます。

飼い主としては「外が恋しいのかな」「散歩くらいはさせてもいいかも」と外で遊ばせることを考えるかと思います。

猫をペットとしてお迎えする家庭は年々増えています。

その数は2022年で883万7千頭になり、犬の飼育頭数を超えました。

昔の日本では朝は外で遊ばせて、日が落ちる頃に家に帰ってくる家庭が多くありました。

現在は生活環境の変化から室内飼いを推奨しています。

室内飼いは外飼いと比較してメリットがたくさんあります。

今回は猫の室内飼いのメリットとデメリットを紹介します。

室内飼いと外飼いどっちが良い?

猫の室内飼い1

猫の室内飼いは外飼いに比べてリスクが低いです。

外飼いは交通事故や感染症の危険性が高く、猫の長生きを阻害する恐れがあります。

室内飼いに関しても危険性はゼロではありません。

電源コードを噛んで感電したり、猫にとって中毒を引き起こす食材や観葉植物を食べてしまう危険性があります。

室内飼いと外飼いを比べるとそれぞれ猫にとって危険なことはありますが、室内飼いは猫にとって安全で気兼ねなく生活ができる環境となります。

室内飼いの方が平均寿命は長い

猫の室内飼い2

飼い主にとって猫の寿命は気になるところですね。

2022年日本ペットフード協会が発表した猫の平均寿命は室内飼いが16.02歳で外飼いが14.24歳です。

室内飼いの方が2歳以上寿命が長いことがわかります。

これは室内飼いは猫にとって安全に暮らせるという事です。

外飼いの平均寿命が短いのは交通事故や感染症の発症のリスクがあるからです。

人と動物の共生センターが発表した「全国猫のロードキル調査(2021)」によると2019年の道路上で猫が死亡していた頭数は約29万頭でした。

これは保健所で殺処分される頭数の約10倍多いことがわかりました。

室内で飼うメリット・デメリット

猫の室内飼い3

猫や飼い主にとって室内と屋外のどちらが適しているのかは生活環境にもよります。

2013年に環境省が出した「家庭動物の飼育及び保管に関する基準」によると猫は完全室内飼いを推奨しています。

猫は室内での生活に適した動物といえますが、室内でのデメリットもあります。

猫は好奇心旺盛でなんでも噛んだり食べたりします。

飼い主の生活環境を猫に寄り添った生活空間に作り替える必要があります。

この章では室内で飼うメリットとデメリットを紹介します。

猫と飼い主が楽しく生活できるヒントになるでしょう。

メリット

猫の室内飼い4

室内飼いの一番のメリットは外飼いで発生する病気や事故が防げることです。

外へ出かける猫にとって交通事故や猫同士の喧嘩で発生する病気や怪我は室内飼いをすることで未然に防ぐことができます。

外へ出かけて死亡する猫は年間約27万頭になります。

これは保健所で殺処分される猫の10倍高い数字です。

病気にかかりづらい

猫にとって病気は命に関わることが多いです。

特に外へ出かける猫は他の猫から治療が難しい病気をもらう可能性が高いです。

主に外飼い猫がもらう病気は下記になります。

  • 猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)
  • 猫ひっかき病
  • 猫白血病

猫エイズは室内飼い猫も発症する病気ですが、外飼い猫が発症するケースがより多くあります。

猫エイズとは人のエイズウイルスと同じで長期間にわたり免疫機能を下げ色々な病気にかかりやすくなる病気です。

感染経路は猫同士の直接接触で、ケンカによる怪我から感染したり、交尾感染や母子感染の場合もあります。

猫エイズに感染した場合は完全に治す治療法は無く、症状を緩和させる対処療法になります。なお、猫エイズが人に感染することはありません。

猫ひっかき病は猫自体に症状はありませんが、飼い主に発症する可能性があります。

飼い主が猫にひっかかれた数日後に患部が膨れ上がったり、膿が出る症状がでます。

猫同士の感染は、ネコノミを介して成立するとされています。

ネコノミとはその名の通り猫に多く寄生するノミの一種で恒温性の小動物に寄生します。

猫がネコノミに寄生されても病気は発症しませんが、ネコノミから吸血時に体内に注入される「バルトネラ・ヘンゼレ」という細菌に感染した猫に噛まれたりひっかかれて傷をおった場合猫ひっかき病を発症することがあります。

症状は患部の腫れ以外に発熱、悪寒、全身の倦怠感、食欲不振などがあらわれ、重症化すると心内膜炎や脳炎などを併発する可能性があります。

猫白血病とは猫エイズと同じように免疫機能が低下する病気です。

症状はリンパ腫などの腫瘍ができたり、貧血や病気が治りにくくなります。

猫白血病の原因は感染猫との直接接触やケンカによるケガになります。

また、ウイルスは唾液に多く含まれているので、食器の共用やグルーミングでも感染する恐れがあります。

猫白血病は人への感染はありません。

完全な治療法はなく、症状を緩和させる対処療法が主な治療になります。

交通事故に遭わない

外飼い猫の多くは交通事故で怪我をしたり、命を失うことがあります。

年間約27万頭が交通事故で亡くなると言われています。

春や秋の発情期にオスがメスを追いかける際に道路に飛び出して事故にあうケースが多いとされています。

室内飼いをする事で事故に遭遇する危険性は少なくなります。

猫同士のトラブルに巻き込まれない

猫は縄張り意識が強い動物です。

理由としてエサの問題があります。

猫は狩猟して生活をする動物です。

餌場を中心に活動をしており、もし自分の生活圏(縄張り)に知らない猫が入ってきた時にケンカになります。

ケンカをして怪我をした場合、傷口から感染症のウイルスが入り病気になる場合があります。

外飼い猫は他の猫とのコミュニケーションが取りにくく、猫の縄張りとする場所が理解できない場合があります。

室内飼いではエサの心配はありませんので、無理に外へ出して猫同士のトラブルに巻き込まれないようにできます。

デメリット

猫の室内飼い5

メリットがたくさんある室内飼いにもデメリットはあります。

室内という限られた空間で生活をするのでどうしても運動不足になります。

運動不足は猫にとって病気のもとになったり、ストレスを溜めてしまうこともあります。

室内飼いのデメリットを理解することで猫にとって快適な室内飼いができる環境作りを目指しましょう。

肥満

「コロコロと太っている猫は可愛い」と言われますが、猫にとって肥満は大敵です。

「痩せ細っているより少し太っていた方が健康的」と飼い主は思いがちですが、猫には少しの肥満も病気を引き起こす原因になります。

室内飼いにとって運動と食事管理は肥満予防にとって最適な方法です。

猫の個体差によりますが、1日15分以上を目安に運動しましょう。

運動の方法は飼い主と一緒に遊ぶ方法や猫自身で遊んでもらう方法があります。

飼い主と一緒に遊ぶ事で信頼関係が築けますし、猫の異変に気づくこともできます。

猫は飼い主との遊びが大好きな動物です。

飼い主との遊びが少ないとストレスが溜まり病気になる可能性があります。

猫単独で遊ぶ場合は上下運動がオススメです。

猫は高い所が大好きな動物です。

高い所から敵がいないかを見渡す事で安心感が生まれます。

高い場所への上下運動は猫にとって大切な運動になります。

室内飼い猫の肥満防止には食事管理も大切です。

猫のキャットフードは「高タンパク・低脂肪」を基準に選びましょう。

タンパク質は猫の筋肉を作る栄養素になります。

室内飼いで筋肉が衰えると運動をしなくなり、肥満になる傾向にあります。

タンパク質を摂取することで筋肉量を維持し運動しやすくします。

また、猫に必要な栄養バランスが取れた「総合栄養食」のキャットフードがあるのでオススメです。月齢に合わせてフードを与えることで肥満予防になります。

太陽光を浴びる回数が減る

太陽光は非常に強い殺菌効果を持っています。

猫が太陽光を浴びることで毛に付着している細菌やバクテリア、カビ、ウイルスなどを死滅させる効果があります。

また、太陽光を浴びる事で1日の流れを把握できるので、自律神経を整えてくれます。

自律神経が整うと春と秋に訪れる換毛期が正確におこなわれます。

換毛期は季節の冬毛と夏毛の入れ替わりなので、猫にとって夏の暑さと冬の寒さを凌いでくれる大切な時期です。

太陽光を浴びる回数が減ると精神の安定分泌であるセロトニンが減りストレスが溜まる場合があります。

住宅事情で太陽光があまり当たらない場合は運動量を増やしましょう。

運動もセロトニンを増やす作用があります。

運動をする事で太陽光を浴びる効果が得られるので、運動は猫にとって欠かせない健康法になります。

誤って室内のものを食べる

猫は好奇心旺盛な動物です。

室内に気になるものがあると近づいて確認したり、噛んで確かめたりします。

特に細長い物や変な動きをするオモチャは目を輝かせて近づいていきます。

この時に誤って飲み込んでしまうと食中毒や窒息の恐れがあります。

人間にとっては何の変哲もない物でも猫にとっては宝物に見える時があります。

猫にとって誤飲の多い物は以下になります。

  • ヘアゴム・・・細長く好奇心で食べてします
  • 電気コードなどの細長い紐・・・噛むと感電する恐れがある
  • 猫にとって危険とされる食材・・・ネギや玉ねぎなどのユリ科の食材など
  • 観葉植物・・・猫草と思って食べてしまう。食中毒を起こす観葉植物もある

人間にとっては何気ないものでも猫にとっては危険な物があります。

特にキッチンにある食材は出しっぱなしにすると食べてしまう場合があります。

誤飲の対策としては下記の方法を実践してみましょう。

  • 猫にとって危険な物は引き出しにしまう
  • 猫に安全な植物に変えたり猫草で対応する
  • 電気コードにカバーをつける
  • 食材は全部冷蔵庫にしまうか、棚の中に入れる

猫にとって食中毒や喉に詰まってしまう物は猫が開けられない引き出しにしまっておきましょう。

猫は好奇心旺盛なので知らない物でも匂いを嗅いだり触ったりします。

その時に誤って食べてしまわないように事前に隠しておきましょう。

自宅に観葉植物がある家は多いと思いますが、猫にとって危険な植物もたくさんあります。

中でもチューリップやローズリリーなどのユリ科は急性腎障害を引き起こして死に至る場合もあります。

また幸福の木として有名なドラセナは葉に強い毒性があり、口にすると嘔吐や下痢などを引き起こす場合があります。

猫にとって安全な観葉植物としてはテーブルヤシやパキラなどがオススメです。

生活をするのに電気は必要です。電気コードはなるべく隅に配線するかプラスチックのカバーをつけましょう。

カバーは100円均一などで購入できるので、手軽に対策が出来ます。

猫にとって危険な食材かわからない場合はとにかく冷蔵庫へしまっておくか猫が取り出せない引き出しにしまっておきましょう。

猫にとって快適な室内にするには?

猫の室内飼い6

猫にとって室内飼いは安心安全な場所ですが、危険が多い空間でもあります。

危険や不安を取り除く事で猫にとってさらに快適な室内にするためにはどうすればいいのでしょうか。

この章では猫にとって快適な室内とはどういう事かを紹介します。

トイレ掃除をこまめにする

猫の室内飼い7

猫は綺麗好きな動物です。

トイレにウンチやおしっこがそのままの場合、次の排泄をしない場合があります。

トイレはいつも清潔にしておきましょう。

可能であれば月に一回、トイレを丸洗いしたり、猫砂の交換をするのがオススメです。

猫が高いところにいけるようにする

猫の室内飼い8

狩猟型の猫は身を守るために敵の少ない高い所へ登り、周りを見渡す習性があります。

高さは猫の個体差や住宅事情によって色々ありますが、飼い主よりも少し高いところを用意しましょう。

猫が安心して高い所へ行ける道具としてキャットタワーを自宅に用意しましょう。

キャットタワーは猫用に開発されており、頑丈に作られております。

猫がひとり遊びができるように爪研ぎができるポールや高所でくつろげる場所が作られています。

仕事や家事で忙しい人にはキャットタワーはオススメです。

爪研ぎができる場所を作る

猫の爪研ぎはストレス発散をするために必要な場所です。

猫の爪は獲物を捕らえるために鋭くなっています。

また、猫の爪研ぎには気分転換やストレスを発散する効果があります。

騒音や来客がある時は特に爪研ぎをする回数が増えます。

他にも飼い主と遊ぶ時も興奮を抑えるために爪研ぎをします。

猫が爪を研ぐ理由は自分の縄張りをアピールするために匂いをつけているからです。

肉球には汗や生活の中でついた匂いがつき、独特な匂いがします。

よくポップコーンのような香ばしい匂いと例えられます。

爪研ぎと一緒に肉球の匂いをつけてマーキングをすると言われています。

猫にとって爪研ぎは爪のケアにも使われます。

猫が狩猟をして暮らしていた時に爪は獲物を捕らえたり、押さえつけるために活躍していました。

室内飼いをしていると床に爪の残骸が落ちている経験があると思います。

古い爪を剥がし、新しく鋭い爪を出すために爪研ぎをするとされています。

猫がゆっくりできるスペースを作ってあげる

猫がゆっくりできるスペースは暗くて狭い場所です。

特に冬の時期は「こたつ」は猫にとってゆっくりできる最適なスペースになります。

こたつは狭くて暗くてさらに暖かいので猫が隠れている場合があります。

猫がこたつに入っても安全なように設定温度を低温にして、こまめな換気や掃除をすることをオススメします。

暑さに比較的強い猫ですが、真夏の暑さは猫も熱中症になります。

日差しを遮る方法として夏場は猫用のテントや猫ちぐらを活用することをオススメします。

避妊去勢手術をする

避妊去勢手術は、室内飼いをする猫に実施しておくと一般的に性格は穏やかになります。

猫の発情期は年に2回春と秋です。

期間中は精神的に不安定になり、攻撃的になります。

また、猫の出産は1年に多ければ4回ほど出産し、1回の出産で3〜8匹出産します。

猫を飼うために必要な費用は1匹約200万円といわれています。

望まない出産を避けるために避妊去勢をすることをオススメします。

猫が外に出たがるのをやめさせる方法

猫の室内飼い9

猫が玄関で鳴いていると「外に出たいのかな」や「室内だけじゃ不満なのかな」と思ってしまいますが、外飼いには危険がたくさんあります。

外へ出すことをせず室内で楽しく暮らせる工夫をして、猫の外への関心をそらしましょう。

遊びでストレス発散する

猫は飼い主と遊ぶことが大好きです。

個体差にもよりますが1日15分を目安に一緒に遊んであげるとストレス発散になりつつ運動効果もあります。

ストレスによる外への関心が薄れ、家での生活に満足します。

外が気になる時は遊びに誘って気持ちをそらすことをオススメします。

おやつで気を紛らわせる

猫が外で歩き回っている理由は食糧の確保がほとんどです。

食糧が十分備わっている室内であれば外へ出る必要性はありません。

猫が外が気になる時はおやつをあげて「家には食糧がたくさんあるよ」と教えてあげましょう。

その際に与えるおやつは低カロリーな物を与えるか、食事の量を少し減らすことをオススメします。

外の状況がわかるようにする

猫は縄張り意識が高い動物なので、自分の居場所が他の猫に奪われないかパトロールをする傾向にあります。

警戒心の強い室内飼いの猫は外から敵が攻撃しないかパトロールします。

あえて窓から外が見える環境にしてパトロールをさせてあげると猫も安心します。

外への関心は外へ出たいという感情ではなく、邪魔者が外から室内へ入ってこないようにする自宅警備をしている感情に似ています。

まとめ

猫にとって室内飼いは安心する場所です。

電気コードや猫にとって中毒性のある植物などの危険な物は隠し、猫にとって安全な環境を作ってあげましょう。

猫は飼い主と遊ぶことが何より大好きです。

飼い主と猫が一緒に楽しめる生活を送りましょう。

RANKING
人気記事ランキング