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はじめに
子猫が成長したら、遅かれ早かれ必ず訪れるのが親離れです。
子猫がたくさん生まれて、里親に出す場合でも、ご自分で飼う場合でも、いつまでも親猫とべったりしている猫は多くありません。
もともと単独で行動することが多い猫は、成長とともに親離れをして、自分の居場所を作っていくのです。
そこで今回は、猫の親離れについて、いつから始まり、親離れが始まるとどのような状況になるのか、親離れで注意すべきことなどについてくわしく解説いたします。
子猫の親離れはいつ?
子猫の親離れは段階を追って少しずつ進められます。
生後1ヵ月半くらいで、親猫は子猫が自分の力で生きていくために必要なことを学習させ始めます。
この時期はまだ子猫の方は親猫にべったりなので、親離れは始まっていませんが、少しずつ親離れの準備が始まっていきます。
生後3ヵ月になると、いよいよ親離れの練習が本格的にスタートします。
親離れの練習は生後3ヵ月頃から
生後3ヵ月を迎えると、本格的に親離れの練習がスタートします。
この練習で親猫のそばを離れても生きていけるような社会性を身に着けていくのです。
具体的には、仲間との付き合い方や、人との付き合い方、排泄の仕方などがあります。
仲間との付き合い方では、親猫や兄弟猫とじゃれあうことで、挨拶の仕方や、噛み合って遊ぶ際の力加減などを学びます。
これを知っておかないと、他の猫とトラブルになるケースや、多頭飼いの家庭などでは、先住猫とうまく暮らしていけないなどの問題が起きることもあります。
野良猫の場合にはあまりありませんが、飼い猫であれば、人間との付き合い方も親猫から学ぶことがあります。
親猫が飼い主とどのように接しているかを見せることで、子猫も真似をしながら人とのコミュニケーションを学んでいきます。
そのため、飼い主に対してあまり警戒せず、よくなついている親猫の子供は、人間に対して友好的な傾向があるといわれています。
生後6ヵ月頃までに完全に親離れ
生後3ヵ月くらいから親離れを始めて、通常ならば6ヵ月で親離れをします。
体も成長し、だんだんと親猫の力を借りなくてもいろいろなことができるようになります。
この時期になると、子猫にも縄張り意識が少しずつ芽生えはじめ、同時に親猫も子猫を突き放すような態度を見せ始めます。
最初は親猫に付きまとうこともありますが、6ヵ月頃には親離れは完了します。
環境によっては親離れをしないことも
野良猫の場合には、自分の力で生きていかなければならず、否応なしに親離れをすることになりますが、飼い猫の場合には食事にも困りませんし、天敵もいませんので親離れをしないこともあります。
また、親離れをする前に、親元を離れてしまった猫も親離れをしないことがあり、人間を親だと思ってずっと付きまとう子もいます。
飼い猫にとって生きてくうえでの親離れは必要ないかもしれませんが、社会性を身に付けるという意味では、家庭で飼われている猫にも親離れは必要だと考えられます。
親離れが始まるサインは?
親離れが始まると親猫と子猫の間に少しずつ距離ができ、ずっと心配そうにしていた親猫にも、いつもベッタリだった子猫にも変化が出始めます。
親離れが始まると見せるサインについてご紹介します。
母猫が子猫に威嚇や攻撃をする
子猫が自分で食事が摂れるようになり、排泄も覚えることで、母猫は子猫の世話をしなくなります。
そうなると、子猫がじゃれてきても突き放す行動に出ることがあり、ときには威嚇をすることもあります。
それでもさらに近づいてくると、攻撃をする場合もあります。
人間の親子関係ではあまり考えられない行動ですが、猫の世界ではごく自然に親猫が子猫に見せる親離れのサインなのです。
子猫が母猫に寄り付かなくなる
子猫も母猫に威嚇されることで、徐々に母猫に寄り付かなくなります。
最初のうちは、攻撃されても母猫についていこうとするのですが、猫はもともと単独行動で生きる動物なので、日々の成長とともに、自身にも縄張り意識が芽生えて、自分の居場所を見つけることで母猫から距離を置くようになってきます。
一般的には、生後6ヵ月でこのような時期を迎えるといわれています。
子猫を里親に出す場合は親離れのサインが出てからが理想
もし、子猫が生まれて、里親に出すことを考えているならば、親離れのサインが出てからにしましょう。
親離れができていない状態で里親に出すと、タイミングが早すぎるがゆえに、社会性を身に付けておらず、問題行動を起こしてしまうケースや、飼い主さんのそばを少しでも離れてしまうと不安になってしまう分離不安などの状態になってしまうことがあります。
ペットとして他の人に引き渡せるのは生後8週間以降
ペットショップなどでペットを販売するにあたって、生後56日(8週)を経過していない犬猫の、業者による販売や販売のための引き渡し、展示などは法律で禁止されています。
その背景には、親離れをする前に引き離された子猫は、成長の段階で問題行動を起こすことが多くなっていることや、早期の離乳により感染症にかかるリスクが高くなることが報告されているためです。
個人で友人や身内などに子猫を譲ることもあると思います。その際にはこの法律は適用されませんが、上記の理由により譲渡の時期は8週を過ぎてからのタイミングが適切といえるでしょう。
猫が親離れを始めたらどうする?
猫は親離れが進むと、だんだんと親子の関係性が薄れていきます。
人間では信じられないことかもしれませんが、猫は成長とともに親子の認識がなくなってしまいます。
特に親猫は縄張り意識で子猫に対して威嚇を始めるようになり、子猫を置いてその場を離れることが多くなります。
それぞれの猫が快適に過ごせる空間を作る
親離れを始めた親猫と子猫は互いに距離をとって生活するようになります。
そのまま、里親に出すのであれば問題ありませんが、親子共にそのまま飼育を続ける場合には、それぞれが安心して過ごせる快適な空間を作る必要があります。
猫はもともと単独行動で生きる動物なので、群れることはしませんし、縄張り意識がとても強いので、近くにいると威嚇しあって攻撃をしてしまうこともあります。
それぞれが快適に過ごせる空間がないと、ストレスの原因になってしまうので、猫が安心できる場所を見つけられるよう、いろいろな場所にハウスや毛布などを置いてみてあげてください。
自分たちの過ごしやすい場所を見つければ、トラブルやストレスの回避につながります。
親離れが早すぎると起こる問題行動
生後3ヵ月頃から少しずつ親離れが始まりますが、それより以前や、親離れが始まってまもなく親猫から引き離されてしまうと、子猫はさまざまな問題行動を起こすことがあります。
一般的によく見られる問題行動について解説いたします。
誤飲しやすくなる
子猫の問題行動のなかでも、特に気を付けなければならないのが誤飲です。
乳離れができていないために、お乳の代わりに布に吸い付いてそのまま噛んで飲み込んでしまいます。
これは「ウールサッキング」と呼ばれる行為で、布だけでなくビニールや段ボールなども飲み込んでしまうことがあります。
飲み込んでしまった異物が排泄物として出ればよいですが、のどに詰まらせて窒息してしまう場合や、腸閉塞を起こしてしまい手術が必要になることもあり、ときには命に関わることにもなりかねません。
ウールサッキングには効果的な治療法はありませんので、子猫が布などに吸いついているのを見つけたら、危険と思われるものを子猫のそばから離しておくようにしてください。
大きくなっても甘えん坊のまま
親離れが早すぎるために、飼い主さんからいつまで経っても離れることができないまま成長してずっと甘えん坊のままになってしまうことがあります。
ただ甘えてくる場合や、うしろをずっとついてくるくらいならよいのですが、飼い主さんと離れてしまうと問題行動を起こしてしまうような場合には注意が必要です。
これを「分離不安」と呼び、おもに以下のような行動を起こすことがあります。
- 大きな声で鳴く
- トイレ以外の場所で排泄する
- 過剰なまでに毛づくろいする
- 食事を摂らなくなる
- 下痢や嘔吐を起こす
- ずっと飼い主から離れない
このような行動がみられたら、分離不安になっている可能性が高くなります。
分離不安を解消させるためには、少しずつ環境の変化に適応させていくために、離れた時間を意図的に作ることで落ち着いてくる場合もあります。
それでも改善が見られない場合には、かかりつけの獣医師に相談してみることをおすすめします。
噛み癖がついてしまう
親猫から猫同士のじゃれ方や、人間との付き合い方を学ぶ前に親離れをしてしまった猫は、社会性が身についていないため、人や物を強く噛んでしまうことがあります。
甘噛みならまだよいですが、強く噛んでしまう噛み癖を直すためには、おもちゃを与えて噛んでよいものを教えながら遊ばせてみたり、噛まれたときに短い言葉で「痛い」と伝えたりするしつけが必要です。
子猫はいつまで母乳を飲む?離乳食はいつから?
子猫が成長するなかで、母乳はいつまで飲ませる必要があるのでしょうか。
離乳食を開始する時期についてもみていきましょう。
母乳を卒業する目安
母乳は生後4週〜6週くらいまでとされています。
体や行動に変化がみられるようになると少しずつ母乳を減らし次のステップへ進みます。
歯が生え始めた
歯がないうちは当然ミルクしか飲めませんが、生後4週ほどで前歯が生えそろい、ミルク以外のものを徐々に口にする訓練ができるようになるので、母乳を少しずつ減らしていきましょう。
自分で排泄できるようになった
歯が生える時期と同じく生後4週くらいになると、それまで親猫がお尻を舐めて排泄を促しておこなっていた排泄も自力でできるようになります。
ここまで成長すると、母乳を卒業する時期と考えてよいでしょう。
少しずつ離乳食へシフトする
子猫に歯が生え始める生後4週間頃から少しずつ離乳食へシフトチェンジしていきましょう。
とはいえ、いきなり完全に切り替えてはいけません。
母乳を飲んでいる段階で、やわらかくしたフードに慣れさせながら徐々に切り替えていきましょう。
市販のミルクを与えていた場合でも同様に、少量の離乳食から始め、味や匂いを覚えさせるところから始めます。
離乳食の始め方
離乳食は、消化のことを考えて、必ずやわらかくしたものを与えてください。
子猫用のウェットフードや、ドライフードをおかゆくらいまでふやかしたものがよいでしょう。
子猫は、成長のためにたくさんのエネルギーを必要とするため、少量でも十分な栄養素が摂取できる子猫用の「総合栄養食」を与えてください。
はじめは新しい食べ物を警戒して食べないことがあるかもしれませんが、まだ慣れていないためで、無理に食べさせる必要はありません。
市販のミルクを与えていたならば、フードに少しミルクを加えてみると慣れた匂いで離乳食を口にしてくれることもあります。
まずは風味に慣れさせて、食事だと認識させるところからスタートします。
最初は小さじ1杯程度から
ミルクしか飲んでこなかった子猫は離乳食が食べ物だということすら認識していないので、慣れさせるところから始めます。
固形物を口にすることも初めてのため、最初はかなりゆるくなるまでふやかした状態で与えてください。
量は小さじ1杯くらいがよいでしょう。
最初は食べ方もわからないので、口元まで運んで食べさせてください。
食べ物だと認識し始めると、少しずつ自分で食べられるようになってきます。
浅いお皿に離乳食を入れて、匂いを嗅がせて自分で食べる訓練をしながら慣れさせていきます。
最初はうまく食べることができませんが、徐々に慣れてきて自分で食事ができるようになります。
ミルクから離乳食に切り替えるためには、まず離乳食を食事だと認識させることから始めるために、小さじ1杯程度の少量で与えるようにしてください。
離乳初期は1日4~6回程度
離乳期の子猫は消化器官が発達していないため、一度にまとまった量の食事をすることができません。
無理に食べさせ過ぎると、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるので複数回に分けてください。
回数の目安としては、1日4〜6回に分けて、3〜6時間おきに与えます。
少量ずつ与えるためだけでなく、子猫の場合には長時間空けすぎてお腹を空かせてしまうと低血糖になる恐れもあるので、離乳食を食べているうちはこまめに与えてください。
生後8週くらいになると、離乳食をしっかりと食べて体重が増えてくるので安心です。
この頃には歯も生え揃うので、ふやかしていない固いフードも食べられるようになります。
注意点として、ミルクやふやかしたフードで摂っていた水分補給ができなくなるので、新鮮な水を用意するのも忘れないでください。
猫はあまり水を飲まない子もいますが、いくつかの場所に置いていつでも飲めるようにしたり、容器の大きさなどを変えたりと工夫することによって徐々に飲むようになります。
まとめ
猫の親離れについてご紹介しました。
親猫は、子猫に生きる術を早い段階で教えることで、自分の力で生きていく力を身に付けさせます。
本格的な訓練は3ヵ月頃より始まるため、それ以前に親から引き離してしまうと、猫の世界のルールや社会性を身に付けていないため問題行動を起こしてしまうことも解説いたしました。
そのため、里親に子猫を引き渡すのもできるだけ、親離れをしてからがおすすめです。
猫は時間が経過すると親子関係の認識が薄くなるため、一緒に暮らす場合、親子だからといってずっと近くで過ごさせていると、縄張り意識によりトラブルになることがあるので、お互いの居場所をきちんと用意してあげてください。
猫にとって親離れは、成長のために欠かせないステップであり、生きていくために必要なことが短い期間に全て詰まっているため、できる限り自分から親離れを始めるまでは、そっと見守ってあげるのがよいでしょう。
今回は、子猫が生まれた際に必ず必要になる親離れについて解説いたしました。
子猫を育てる飼い主さんが、当記事を参考にしていただければ幸いです。