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はじめに
猫は1日のうちの大半を寝て過ごします。
もともと狩猟動物である猫は本能的に狩りをしないときは、無駄に動いてエネルギーの消耗を避ける習性があるので、寝ている時間が長くなります。
体を休めている猫を観察していると、たまにすごい寝相で眠っていることがありますよね。
あんなに悪い寝相で寝ていても大丈夫なのでしょうか。どこか具合でも悪いのではと心配になります。
しかし、猫の寝相というのはその時々の環境や気分が関係してくることが多いのです。
そこで、今回は寝相が悪くても本当に大丈夫なのか、寝相からわかる猫の気持ちなど、猫の寝相について解説いたします。
猫の寝相が悪いけど大丈夫?
猫があらゆる姿で寝ているのを見るたびに「この体勢で本当に大丈夫なの?」と心配になってしまう飼い主さんも多いでしょう。
人間ならば考えられないような姿で寝ていることもあるので気になってしまいます。
結論からいいますと、寝相が悪くてもよく眠っていれば特に問題はありません。
とはいえ、猫の寝相にはその時の状況や、猫の気持ちがよく出ていることがあるのでくわしく見ていきましょう。
猫はその時の状況や気持ちで寝相が変わる
猫の寝相が違うのは、その時の温度や場所、環境、気持ちなどが関係してきます。
人間も同様ですが、暑い季節は体を伸ばして寝ることが多く、寒い季節は体を縮めて寝ることが多くなります。
これは暑い季節には体を伸ばすことで熱を放出させ、寒いときには体を丸めて寝ることで体の熱を逃がさないためにこのような寝相になります。
また、猫がいつも寝ている自分の場所でリラックスしているときには、体を開いてお腹を見せることがあります。
猫にとってお腹はよほどのことがない限り見せることをしない急所といってもよい部分なので、お腹を見せて寝ているときは、警戒する必要がないと猫が判断した安全な場所ということです。
逆に猫の生活スペースに人が頻繁に出入りしたり、音が気になったりするときは体を広げずに丸くなって寝ていることが多く、眠っていながらも警戒しているときに多くみられます。
猫は警戒心のとても強い動物なので、緊張している状態や、警戒しているときは寝ているあいだもアンテナを張っているので、丸くなって眠り、何かあればすぐに動けるような体勢を本能的にとっています。
本当に心からリラックスできていて、なんの警戒心も持っていないときに猫はお腹を見せて寝ているのです。
以上のようなことから、猫は静かにくつろげる暖かい場所で、警戒心を持たずにリラックスしているとお腹を見せたりすることもあり、比較的寝相が悪くなる傾向があります。
寝相が悪くても心配ない
猫は人間よりもかなり体がやわらかいため、一見人間が見たら心配な体勢でも窮屈に感じることは少なく、むしろ寝相が悪くなればなるほどリラックスしていると判断してよいでしょう。
そのため、寝相が悪くても特に心配する必要はありません。
本来、警戒心の強い猫ならば、敵が来たり、何かあったりした場合にすぐにその場を離れられるようなかたちで寝ることが多いため、それほど寝相が悪くなりません。
以上のように、猫の寝相の悪さは、いかに安心して過ごせているかのバロメーターにもなっています。
寝相からわかる猫の気持ち
寝ている猫を観察していると、いろいろな寝相で寝ていることがわかります。
このとき猫がどのような気持ちなのか、気になるところですが、じつは猫の気持ちは寝相によく表れています。
猫の寝かたで代表的なものをご紹介します。
へそ天をしている
猫がおへそを天井に向けて仰向けになって寝ている姿をへそ天と呼んだりします。
急所であるお腹をさらけ出して寝ているときは、警戒心がなく安心して寝ていることがわかります。
仰向けでバンザイをしている
仰向けでバンザイをしながら寝ているのは、へそ天よりもさらにリラックスしている状態です。
寝ている場所を自分の場所だと認識しているので、天敵のいない安全な場所だと理解しています。
もし、飼い主さんがそばにいて、仰向けでバンザイをしながら寝ていたら飼い主さんとの信頼関係がしっかりとできあがって、だらけきっているのです。
丸くなって寝ている
丸くなって寝ているのは、気温が低く寒さを感じていることがあります。
また、寒さ以外にも丸まってお腹を少し上に向けて、足の裏が見えるような体勢で寝ているときは、比較的安心した状態を表します。
反対にお腹を下に向けて、足の裏を見せていないときは、何かあればすぐに逃げ出せるよう少し警戒している状態です。
お尻を飼い主に向けて寝ている
猫は警戒心が強いため、本来なら背後に何かあることを嫌います。
そのお尻を飼い主さんに向けているのは、信頼の証であると同時に、なにかあってもうしろは飼い主さんに守ってもらうという意思表示でもあります。
愛猫が飼い主さんにお尻を向けて寝ていたら、信頼されているということです。
ちなみに猫同士でお尻を向けて寝ている場合も、仲が良いことが多いようです。
座ったまま寝ている
座ったまま、足を出して寝ているときは、警戒していることがあります。
家の中でも完全に安心しきっておらず、本能的にいつ敵が襲ってきてもすぐに逃げることができるようこの体勢で気を張りながら寝ています。
多頭飼いの場合や環境に慣れていない子猫によくみられます。
目を隠して寝ている
目を隠して前足を揃えて頭を床につけて、寝ていることがあります。
その姿がまるで謝罪しているようにみえることから「ごめん寝」とも呼ばれています。
猫がごめん寝をする理由は、部屋が明るくまぶしいために顔を伏せて寝ている場合や、座って寝ている間に熟睡してたまたまその体勢になってしまったなどがあります。
警戒しながら座り寝をしていたはずが、そのまま寝落ちしてしまったことが多いようです。
いずれにしろ、この寝相は猫がリラックスできている状態といえます。
体調が悪い時の寝相は?
愛猫の寝相が悪くてもあまり心配はいりませんが、体調が悪いサインを出していることもあります。
体調が悪いときに猫が見せる行動を解説いたします。
猫は体調が悪いことを隠す傾向がある
猫は、敵に弱っている姿をみせないよう本能的に体調が悪いことを隠す傾向があります。
お腹を隠して丸まって寝ていることが多く、ときにはうずくまった体勢で寝ていることもあります。
しかし、丸まって寝ているのがただ警戒しながら寝ているだけの場合もあるので、少し様子をみて違和感がないか確認しましょう。
いつもとは違う場所で寝ることも
体調不良で身を隠そうと、いつもの場所とは違うところで寝ていることがあります。
そのようなときは体調が悪く、強いストレス状態にあり、他の猫や人間と接触しないよう狭い隅の方や高い場所に隠れる習性があります。
普段と違う様子がないか確認
猫が丸まって寝ていたり、明らかにいつもと違う場所を選んで寝ていたりした場合には、それ以外にも様子がおかしくないかよく確認してください。
単に寒くて丸くなって寝ていることもありますが、熟睡せずに落ち着きがないようならばどこか不調がある可能性もあります。
猫の睡眠や夜の状態からわかる病気
猫の睡眠時間は、成猫で14〜16時間といわれています。
もちろんこれだけの長時間を続けて眠っているわけではありませんが、自然界ではすぐに危険を察知できるように、浅く長く眠るのが猫の睡眠のサイクルといわれています。
ライフステージによってはさらに長く寝ることもあり、子猫や老猫ですと1日の大半を寝て過ごすこともあります。
しかし、何らかの病気を抱えて、睡眠時間が短く夜に活発になってしまう場合や、平均より睡眠時間が長いなどの症状をみせることがあります。
そこで、睡眠や夜の状態から考えられる病気についてみていきましょう。
睡眠時間が長い
睡眠時間が長く、猫の様子がおかしいときには以下の病気の可能性があります。
水頭症
水頭症とは脳の中の脳室というスペースに脳脊髄液が溜まり、脳が圧迫され障害が起きてしまう病気です。
よくみられる症状として、頭頂部が丸くふくらみ、元気がなくボーっとしている、寝ている時間が多くなり、歩いてもうまく歩けずにふらついていることなどがあります。
また、神経症状としてけいれんなどの発作を起こすことがあり、性格が攻撃的になるのも水頭症の特徴です。
睡眠時間が短い・寝られない
本来睡眠時間が長いはずの猫が、短い時間しか眠っていないと感じたときには、環境が猫にとって落ち着かないため、安心して眠れていない可能性があります。
このような場合には、あらためて猫のプライベート空間を見直すとよいでしょう。
窓や道路の付近で、1日中物音のする場所や、人の出入りの頻繁なところを避けるなど、猫が周りを気にせず安心して眠れる場所を確保してあげてください。
睡眠不足の猫はストレスによるイライラで攻撃的になることや、過剰なグルーミング、食欲不振や、嘔吐、下痢などを引き起こすことがあります。
もし寝床が猫にとって安心できるスペースであるにも関わらず、睡眠時間が短く、眠れない状態が続いている場合には、病気の可能性も考えておく必要があります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて、異常な興奮状態になることがあり、それにより睡眠時間が短くなることがあります。
他の症状として、突然活発に走りだしたり、気性が荒くなり怒りやすくなったり、食欲はあるのに痩せてくるなどの特徴があります。
もしこのような症状がみられたら、動物病院を受診してください。
血液検査ですぐに判明するので、甲状腺機能亢進症の疑いがみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。特に高齢の猫に発症することが多いです。
老猫が夜中に大きな声で鳴く
老猫が本来ならば寝ている時間にも関わらず、夜中に大きな声で鳴く場合にもいろいろな理由が考えられます。
例えば、体のどこかに強い痛みを感じ、周りに訴えるために鳴くこともあれば、視力や聴覚の衰えで今まで見えていたものや、聴こえていたものが感じられなくなることからくる不安で夜中に鳴くことがあります。
体の痛みに加えて、見たり聞いたりしていたものがわからなくなることで、強いストレスを感じていることも関係しています。
大きな声で鳴くのには老化による体の不調以外にも、病気が隠されていることがあります。
そのなかでも高齢の猫によくみられる認知症についてみていきましょう。
認知症
猫も高齢になると認知症を発症することがあります。
認知症の症状で代表的なものとして、夜鳴きや無駄鳴きがみられます。
いきなり大きな声で長時間鳴くケースや、食事をしたことを忘れ、お腹が空いたと要求するために鳴いているケースもあり、飼い主の生活にも大きな影響を及ぼしてきます。
ほかにも認知症を発症するとみられる症状には以下のようなものがあります。
- 日中ほとんど寝て過ごし、夜になると徘徊する
- 慣れている家の中で迷ったりつまずいたりする
- トイレの失敗が増える、排泄のコントロールができなくなる
- 飼い主のことが認識できなくなる
- 異常な食欲
高齢の愛猫が夜に大きな声で鳴くようになり、上記のような症状が見られたら認知症の可能性があるので、一度動物病院を受診しましょう。
認知症の効果的な治療法は確立されていませんが、獣医師に相談して適切なケアをしてあげることで夜鳴きが改善されることがあります。
認知症の夜鳴きのなかには日常のストレスに起因する場合もあるため、静かに過ごせる場所を用意して、きれい好きの猫のためにトイレを失敗してもすぐに片付けてあげるような環境整備が大切です。生活環境の改善だけでも夜鳴きが軽減されることもあるので、取り組んでみてください。
良くないケースは、飼い主さん自身が認知症だと決めつけてしまい、実は別の病気だったという場合です。
この場合、認知症による症状ではなく、痛みや苦しさを訴えていることがあり、見落とすことで、愛猫が苦しんでしまい、症状を進行させてしまうおそれがあります。
そのためにも、まずは夜鳴きや異常行動がみられたら動物病院で獣医師の判断を仰ぐようにしましょう。
いびきが急に大きくなったら要注意
いびきとは睡眠時の呼吸による振動音のことで、人間ならば、鼻や鼻腔、咽頭などを通る際に発生する振動音のことを指します。
猫のいびきは人間と違い、鼻の内側の鼻腔が狭くなっており、眠ることで、空気の通り道が緩みいびきを発生させます。
いびきをかいて寝ていても、ただちに危険なことはありません。
寝息が少し大きくなり、かすかにいびきをしている程度ならば、通常のいびきなので、特に問題はありません。
気を付けなければならないのは、今までと明らかに違うような大きないびきをかいて寝ているときです。
小さな音ではなく、低く大きな音で呼吸も一定していないようならば、先天的な構造の異常もありますが、何らかの病気の疑いも考慮する必要があります。
猫風邪による鼻炎症状を発症すると、鼻腔内に鼻汁が溜まるうえ、鼻腔内の炎症によりさらに気道が狭くなることでいびきが大きくなります。
アレルギーによるいびきの場合には、花粉やたばこのにおいなどを取り除いてあげることで改善されることがあるので、アレルギーの疑いがある場合にはアレルゲン除去に取り組んでください。
次に、肥満の猫も大きないびきをかくことがあります。
肥満により、呼吸器が圧迫されることで大きないびきをかきやすいといわれています。
肥満の場合には、対処法としては、体重を減らすための食事や、運動療法が有効です。
そのまま放置すると、他にもいろいろな病気を発症することが考えられるので、すぐにでも体重コントロールを始めてください。
ほかにも、あまりに不自然ないびきをかいて、明らかに苦しそうなしぐさをみせたときにはさらに重度の病気にかかっていることもあるので、愛猫が大きないびきをかいて寝ていたら、自身で判断せずに、まずは動物病院で状況を説明し、適切な対応をとることが重要です。
まとめ
猫の寝相や睡眠について解説してまいりました。
猫はさまざまな体勢で寝ていることがありますが、その寝相から猫の気持ちが読み取れることをご紹介しました。
猫の寝相を見て、今の環境が猫にとってリラックスできているのか、それとも警戒しながら眠っているのか、猫の住まいの環境整備のためにも大変役立つことがわかりました。
また、睡眠時間でも、猫の健康状態を知ることができるので、今一度愛猫を観察して、正しい睡眠で健康的に生活できているのかあらためて確認する機会にしていただければと思います。
1日の大半を寝て過ごす猫が、幸せな毎日を過ごせるよう当記事を参考にしていただけると幸いです。