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【獣医師監修】飼い主が近寄った時に逃げてしまう猫はどうしたらいい?対処法と懐いてもらう方法

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はじめに

楽しい猫との生活ですが、近づいた時に逃げてしまうと何がいけなかったのか悩んでしまうものです。猫はどのような理由で逃げてしまうのでしょうか。

この記事では、猫が逃げてしまう理由やその対処法、さらに猫が心を開いてくれる方法について、獣医師監修のもと詳しく解説します。

猫との距離を縮め、より深い絆を築くためのお役に立てれば幸いです。

近寄ると猫が逃げてしまう時はどうしたらいい?

猫が逃げてしまうということは、多くの飼い主にとっての悩みの種です。猫は匂いに敏感であったり神経質なことが逃げてしまう原因となります。

この章では、猫が逃げないようにどのような行動を取ればいいかをまとめます。

愛猫が安心して飼い主に近づけるようになるために実践してみてください。

距離感を意識しながらゆっくり近づく

猫は人間と同じように、パーソナルスペースを持っており、無理にその空間に踏み込むと警戒や逃走することがあります。

猫のパーソナルスペースには「個人的距離」「社会的距離」「臨界距離」「逃走距離」といった4つに分けられています。

個人的距離は、猫が信頼していると感じられる人のみが入れる範囲で、社会的距離は顔見知り程度の安全と感じる範囲です。臨界距離は警戒を始め、逃走距離は完全に警戒して逃げる範囲のことをいいます。

猫が逃げてしまう時は、これらの距離を意識して、猫が快適と感じる範囲から徐々に距離を縮めていくことが大切です。

猫が見せるリラックスした態度やサインを見逃さず、猫が自ら近づいてくることを待つことも重要となってきます。

いつもより少し高めの声で話しかける

猫は比較的高い音域の声を好むため、少し高めの声で話しかけてみましょう。

低い声、特に男性の声は猫にとって威嚇に聞こえることがあり、猫が警戒してしまう原因となることがあります。

一方、女性の声は高くて小さいため、猫にとっては聞き取りやすく安心感を与えることが多いです。

猫は子猫の鳴き声に似た高い音に反応しやすく、逆に低い音は敵意を持って迎えることがあります。猫とのコニュニケーションをとる際には、大きな声を避け、穏やかで優しい口調で話すことで、徐々に信頼関係を築いていけるでしょう。

猫と目線の高さを同じにする

猫が逃げてしまうようであれば、まず目線の高さを合わせて接してみましょう。

猫は自分より大きい存在に見下ろされると恐怖を感じてしまいます。そのため、立ったまま猫を撫でようとすると、高さと大きさで猫が警戒し、恐れて逃げてしまいます。

撫でようとした際に猫が逃げないようにするためには、目線を猫の高さまで下げ、同じ目線で接することが大切です。

目があった際には優しく瞬きすることで、猫に安心感を与え、警戒心を和らげられます。

目を合わせすぎないように気をつける

猫との交流では、人間の直視が敵意のあらわれと認識されることが多いです。

猫はじっと見つめられることを威嚇と感じるため、愛猫に恐怖感を与えず接するためには、目を合わせる時間を適度に控えることが重要となってきます。

可愛いからといって見つめ続けると、猫は不安を感じて逃げてしまうかもしれません。

目が合い、じっと見つめるのではなく、ゆっくりと瞬きすることで「危害を加える意図がない」と猫に伝えられ、安心感を与えることにつながります。

猫がリラックスして目を細めて見つめてくる場合は、これを愛情のサインとして捉えて、同じようにゆっくり瞬きを返すと良いでしょう。

猫との目線のやりとりを慎重に行うことで、信頼関係を築けます。

猫から近づいてくるまで待つ

猫が逃げる主な原因は、人間に慣れていないことにあります。

そのため、猫が安心して近づけるように、気長に待つことが大切です。猫が自ら撫でてほしいサインをした時だけ触れ合うようにし、それ以外の時は無理に触ろうとせず、猫のペースに合わせましょう。

猫がリラックスしてお腹を見せたり、自ら寄ってきたりする時は、撫でてほしいタイミングです。

警戒心の強い猫や、怖がっている猫に対しては、追いかけず、様子を静かに見守りましょう。

猫がそっとしておいて欲しいタイミングは?

猫も人間と同じように、一人の時間を必要とすることがあります。

この章では、猫がそっとしておいてほしいタイミングと、猫のサインを見逃さないためのポイントをまとめます。

食事中

猫が食事をしている際には、そっとしておくことが大切です。食事は猫にとって集中する重要な時間であり、その瞬間に人間が近づいたり構ったりすると、食べ物を取られるかもしれないと感じて怒ることがあります。また、不安を感じて食事を中断してしまうこともあります。

食べている最中の猫をじっと見ることも猫にとってはストレスの原因となってしまうため、適切な距離を保ち、静かに見守りましょう。

グルーミング中

猫がグルーミングをしている時はとてもプライベートな時間です。

毛繕いは古い毛や体の汚れを取り除き、毛の状態を整え、清潔を保つための行動で体温調整の助けにもなっています。

さらに、猫がストレスを感じ、気晴らしをしたい時にもグルーミングをするため、リラックスや気持ちのリセットの時間でもあります。

このため、猫がグルーミングをしている際は邪魔をせず、静かに様子を見守りましょう。

遊びに夢中になっている時

猫が一人で遊んでいる時は、そっとしておくことが大切です。

猫がおもちゃで遊ぶ時は狩猟本能を発散させている時です。集中している猫を邪魔すると、ストレスを与えてしまいます。

そのため、猫が遊んでいる時は静かに見守るのが良いでしょう。

必要があれば軽く声をかける程度にしておきましょう。

猫が撫でて欲しい時のサイン

猫が撫でてほしい時はサインを見せてきます。どのようなサインかを理解して、サインが見られたときには優しく撫でてあげましょう。

仰向けになってお腹を見せている

猫が撫でてほしい時に見せるサインの一つは「仰向けになってお腹を見せる」行動です。

お腹を見せている猫はリラックスしていて、信頼している相手にしか見せません。

お腹を見せる行動は猫にとって非常に無防備な姿勢であるため、大きな信頼の証とされています。しかし、全ての猫がお腹を触られることを快適に感じるわけではないため、仰向けになってお腹を見せていても、撫でる際には猫の反応を慎重に観察し、快適かどうか確認しながら撫でてあげましょう。

高い声で鳴いたりゴロゴロ喉を鳴らしている

猫が高い声で鳴いたり、ゴロゴロ喉を鳴らしている時も撫でてほしいと感じているサインです。

猫がこのような音を出すのは、快適で幸せを感じている状態です。特にゴロゴロと喉を鳴らす行為は、リラックスしている時や愛情を感じている時にみられることが多く、撫でられることで快適さが増します。子猫の場合のゴロゴロ音は、母猫に対して満足していることを伝える役割を担っているものです。

成猫においても、喉を鳴らすことは飼い主への信頼と安心の表現であるため、このサインがでたら、猫が喜ぶ箇所を優しく撫でてあげると良いでしょう。

顔をこすりつけてくる

猫が撫でてほしい時には顔をこすりつけてくることが多いです。

こすりつけてくる行動は、猫が飼い主に対して愛情や信頼を示している表現であり、自分の匂いを飼い主につけるマーキングとして行われます。

猫は警戒心が強く、信頼していない相手にはこのような行動は見せません。そのため、猫が顔や体をこすりつけてくるときは、飼い主のことを大好きと感じているサインなのです。

近寄ってきてじっと見つめている

猫が近寄ってきてじっと見つめている時には、撫でてほしいと訴えている時のサインです。

猫は、警戒している時や対立している時に相手をじっと見つめることがありますが、飼い主をじっと見つめる行動は、猫が飼い主の注意を引きたい時や愛情を求めている時によく見られます。目と目があったら、ゆっくりと瞬きをすることでさらに愛情を示せます。

このサインに気づいたら、優しく声をかけながら、ゆっくりと猫の頭や背中を撫でてあげましょう。

近くに来るのに触ろうとすると逃げるのはなぜ?

愛猫が近寄ってくるものの、触ろうとすると逃げるという矛盾した行動にはどのような理由があるのでしょうか。

猫が嫌がるニオイがする

猫は非常に敏感な嗅覚を持っています。そのため、撫でてほしい、構ってほしいと思って近づいても、猫が苦手とするニオイがした場合猫は逃げてしまうのです。

強い香水

猫は強い香水の匂いに敏感に反応します。香水に含まれる強烈な香りの成分は、猫の嗅覚を刺激し、不快感やストレスを与えることがあります。そのため、香水を多量に使用していると、猫が近くに来ることはあっても、触ろうとした瞬間逃げる行動を見せることが多いです。

猫とのふれあいを楽しみたい場合には、香水の使用を控えるか、香りの軽いものを選ぶ方が良いでしょう。

柑橘系の香り

猫は柑橘系の香りが苦手です。

レモンやオレンジなどの柑橘系の香りは、人間にとっては爽やかで心地よいものですが、猫にとっては腐敗したように感じられ、本能的に不快感や逃走反応を引き起こします。

また、柑橘類の皮に含まれる成分は猫の体で分解されにくく、舐めることで中毒症状を引き起こす危険もあります。

猫との良好な関係を保つためには、柑橘系の香りは避けた方が良いでしょう。

大きな音や大きな声が苦手

猫は聴覚が発達しているため、普段の生活音でも人間が感じないほどの大きさで聞こえることがあります。

特に男性の低く太い声や、大きな足音、戸の激しい開閉音などは、恐怖や不安を感じさせる要因となります。

このため、猫は大きな声や音を出す人に対して警戒心を持ち、近づくことを避ける傾向があります。

猫が安心して生活できるように、日常生活で意識的に音のレベルを抑えて、静かな環境作りを心がけましょう。

追いかけっこをしたくて逃げている

猫が逃げる行動を取る時は、全てが恐怖や不快感からくるものではなく、遊びたくて誘っている場合もあります。

特に活発な若い猫や、遊び好きな性格の猫の場合、追いかけっこを楽しむために意図的に逃げることがあるようです。

飼い主が近づくと、猫は遊びのスタートと感じて、逃げることで追いかけてもらおうとします。この遊びは、猫の狩猟本能を満たす重要な活動であり、運動不足の解消やストレス発散にも役立ちます。

猫が遊びたいとの行動をみせた場合は、安全な場所でおもちゃを使って適度に応じてあげましょう。

ただし、猫が疲れた様子をみせたらすぐに遊びをやめて休ませてあげることが大切です。

猫に懐いてもらうにはどうしたらいい?

猫に懐かれるにはどのようなことをすれば良いのでしょうか。猫の信頼を得るためのポイントを詳しく解説します。

自分のニオイを覚えてもらう

猫に懐いてもらうには、まずは自分のニオイを覚えてもらいましょう。

猫はニオイを頼りにして周囲を認識します。自分のニオイに覚えてもらうことで、猫は安心して近づいてくるようになるでしょう。

ニオイに慣れてもらうために、自分が使ったタオルや衣類を猫がよくいる場所に置いておいたり、ごはんを直接与えたりすると、あなたのニオイを「いいもの」「安全なもの」と認識してくれるようになります。

軽く触れ合うことから始める

猫に懐いてもらうためには、軽く触れ合うことから始めましょう。

猫は新しい環境や人に対して慎重な動物です。そのため、いきなり強く触ったり、長時間抱きしめたりすると、ストレスを感じてしまうことがあります。

最初は猫がリラックスしている時に、手の甲で頭を軽く撫でるなど、短時間で優しく触れ合ってみてください。このやりとりをすることで、猫はあなたを危険な相手ではなく、安心して信頼してもいい相手だと認識していきます。そして、嫌がるそぶりをみせたら、すぐに触るのをやめましょう。

ごはんやおやつを手で与える

猫に懐いてもらうために、ごはんやおやつを手で与えてみましょう。

猫は飼い主のニオイや動きに慣れてきます。特に警戒心が強い猫でも、手からのごはんやおやつに引き寄せられることが多いです。

手から与えることで、猫が飼い主との関わりを楽しいもの、嬉しいものだと感じるようになります。

手から食べさせる際には、猫が興奮しないように穏やかな声で話しかけながら行いましょう。また、人に慣れていない猫に対してはスプーンなどを使っても良いでしょう。

しかし、どれだけ信頼関係が築かれていても手から食べない個体もいるので、無理強いはやめましょう。

たくさん遊んであげる

猫に懐いてもらうために、一緒にたくさん遊びましょう。

猫は遊びを通じてストレスを解消し、エネルギーを発散させます。また、遊びは猫とのコミュニケーションの手段でもあります。

猫の狩猟本能を刺激するように、猫じゃらしやおもちゃを使って遊んであげましょう。

毎日少しの時間でも遊ぶ時間を確保することで、猫は飼い主との絆を深め、より親しみを感じるようになります。

猫が撫でて欲しい場所を撫でる

猫に懐いてもらうためには、撫でてほしいと感じる喜ぶ場所を撫でることが大切です。

特に背骨沿いや首と肩の付け根は、猫が撫でられることを好みます。ゆっくりと呼吸に合わせて撫でることで、リラックス効果が高まります。

耳の後ろなど自分では届かない部分も、猫にとってはとても心地よい刺激となり、喜んで反応するでしょう。

しかし、お腹や足、お尻の周辺は触られることを嫌がる猫も多いので、避けて触るか、様子を見ながら撫でるようにしましょう。

まとめ

この記事では、猫が飼い主に逃げる行動をとる理由とその対処法、さらに猫に懐いてもらう方法を詳しく解説しました。

距離感の保ち方や、適切な声のトーン、猫が求めるコミュニケーションのタイミングを理解することが猫との距離を縮める近道です。

ニオイを覚えてもらい、ふれあいや遊びを通して猫との信頼関係を築いていきましょう。

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