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はじめに
猫の妊娠期間は2ヶ月という短さで、人間の妊娠とはサイクルが全く違います。
ほとんどの哺乳類は自然排卵といって排卵をしたタイミングで交尾をすると妊娠しますが、猫やウサギなどの一部の哺乳類は交尾排卵という交尾をした刺激で排卵をします。
交尾する度に排卵し、ほとんどの場合は妊娠するため、交尾排卵の方が妊娠する確率が非常に高いです。
今回は猫の珍しい妊娠形態について解説するので、愛猫が妊娠する可能性のある方はぜひ参考にしてください。
猫の妊娠期間は何ヶ月?
猫の妊娠期間は2ヶ月(60〜68日)です。
一度の出産で、4〜8頭の子猫を出産します。
産後2ヶ月ほどの授乳期を終えて子猫の離乳が終わると、次の妊娠が可能な身体になります。
猫は生後4〜12ヶ月程度で妊娠できる身体になるため、繁殖サイクルがかなり速い動物です。
普段オスとメスは別々に行動しているので、交尾をする機会が少ないのが妊娠しやすい身体の理由ではないかと考えられています。
また、猫は一度で5〜6個の卵子を排卵する多排卵動物です。
多排卵動物とは複数のオス猫と同時期に交尾をした場合、別々の父親の子供を同時に妊娠する可能性があります。
猫の妊娠期間と出産までの流れ
猫の妊娠期間は、初期・中期・後期に分かれています。
2ヶ月という短い期間の中で、猫は体調や身体の変化がたくさん起こるので飼い主は愛猫の状況を理解してあげましょう。
妊娠時期による変化や出産までの流れを紹介します。
妊娠初期
妊娠初期の変化 |
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妊娠してから10日目くらいで乳首や乳房に変化が出ます。
基本的に猫はお腹を出したがらないのですぐ気付けない可能性がありますが、好きだったはずの食べ物を食べなくなったなどの異変を感じたら乳首や乳房を確認してみてください。
妊娠中期
妊娠中期の変化 |
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妊娠11日目頃からお腹の膨らみが見られます。
だんだん大きくなり40日頃にはだいぶ目立つようになるので、歩き方も変わるためこの時点で愛猫の妊娠に気付く方も多いです。
また、26日をすぎた頃には食欲の増加が見られます。
今までの量の2倍ほどの餌を食べたがるため、なぜこんなに食べるのだろう?と気になったらその他の変化がないか確認してみましょう。
妊娠後期
妊娠後期の変化 |
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45日を過ぎる頃には胎動を感じられるようになります。
触られるのが好きな子なら優しくお腹を撫でてあげると、胎動を感じられるかもしれません。
60日頃の出産間近には出産の準備に入るため、攻撃的になったり床や布を掘る営巣を始めます。
なんだか落ち着かないような、ソワソワしているそぶりが見られたら出産が近い証拠です。
飼い主も必要なものや心の準備をしておきましょう。
妊娠60日〜68日目で出産
妊娠期間を約2ヶ月過ごすと、とうとう出産です。
おしるしが見られる場合もあるので、猫の身の回りを注意深く見てあげましょう。
出産間近に見られる変化 |
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出産が始まる間近は苦しそうにしていたり、息遣いが荒くなるなど見るからに普段の様子と違う姿が見られます。
すぐにお産が始まる場合もあれば時間がかかる場合もあるので、出産準備を整えていつでも対応できるようにしてあげましょう。
猫のお産は比較的安定していることが多いですが、飼い主はうまく出来なかった時に備えて目を離さないでください。
猫が妊娠した時の兆候や見分け方は?
猫には発情期があり、1回の発情は4〜14日です。
発情中に交尾をしなければ、16〜36日の周期で発情を繰り返します。
発情中に交尾をした場合は、24〜36時間後に排卵が起こり数日後には発情は休止します。
外出をする猫や、避妊・去勢せずに多頭飼いをしている猫は妊娠する可能性が高いです。
愛猫が妊娠した場合は、普段以上に注意を払い最適なケアをする必要があります。
妊娠すると猫の身体や食事などに変化が見られるので、兆候や見分け方を確認して愛猫のためにベストを尽くしましょう。
飼い主はなるべく早く妊娠に気付いて、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
乳首がピンク色に変化
猫が妊娠した時のわかりやすい変化は、乳首がピンク色になる事です。
乳腺が張り乳房もだんだん膨らんでくるので、お腹が出てくる前でも乳首が目立つため妊娠を見分けやすいポイントになります。
早く気付けるように、普段からコミュニケーションを取る時に乳首の色や乳房の様子を確認しておきましょう。
食事の好みが変化
猫は人間のようにつわりがある訳ではありませんが、妊娠すると食の好みに変化があります。
普段食べてるフードを食べなくなったり、好きなおやつを欲しがらなくなるなど、元気があるのに食の好みに変化がある場合は妊娠を疑いましょう。
食欲が増進する
猫は妊娠すると食欲旺盛になります。
赤ちゃんの分まで栄養を摂らなければいけないので、普段の約2倍のカロリーが必要です。
妊娠してから1ヶ月後には、どんどん食欲が増していき食べたがる量も倍になります。
しかし、妊娠中とはいえ食べ過ぎるのは身体に負担がかかるので、栄養価の高いキャットフードを与えるようにしましょう。
妊娠中は赤ちゃんの成長のために子猫用のキャットフードや栄養価の高いフードに切り替えるのがおすすめです。
猫が妊娠した時に行うべき事と妊娠期間中のケア
猫が妊娠をしたら、飼い主は様々な健康管理やケアをしてあげる必要があります。
どのようなケアをするべきなのか、それぞれ詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。
健康管理
猫が妊娠したら、普段以上に健康管理に気を付ける必要があります。
安全に出産まで過ごすには、健康な身体を保つことが重要です。
定期的な受診
妊娠に気付いたら、動物病院へ連れて行きましょう。
動物病院で行われる検査 | 内容 |
超音波検査 | 妊娠の確認のために行う検査です。 妊娠30日を過ぎた頃には、胎児の姿が確認できます。 出産間近になると胎児の頭数・位置・心拍数を確認します。 |
レントゲン検査 | 頭数の確認や胎児の大きさと産道の広さを比較するために行う検査です。 妊娠50日を過ぎた頃には、胎児の骨格がしっかりしてくるのでレントゲンで頭数を確認できるようになります。 また、事前に胎児の大きさと産道の広さを比較し、難産になる可能性やトラブルが起きないかなどを予測するのにも役立ちます。 |
動物病院では様々な検査をして健康状態や胎児の状態・頭数を把握します。
頭数を確認しておけば、お腹の中に胎児が残ってしまうトラブルが防げるので必ず把握しておきましょう。
難産になる可能性や、出産時に起こるトラブルなどを事前に予測するためにも定期検診は必要不可欠です。
獣医の指示に従って、定期的に母猫と胎児の状態を診てもらいましょう。
体重管理
猫は妊娠すると、胎児が育ち始める2週間後くらいから体重が増えていきます。
必要なエネルギー量が週ごとに10%ずつ増加し、妊娠後期には70%まで増えるので、段階を踏んで少しずつ食事の量を増やしてください。
妊娠後期には、通常時の1.5倍ほどの食事量を与えるのが目安です。
また、母猫は出産後の授乳に備えて脂肪を体内に蓄えてエネルギーに変換できます。
食事量の増加・脂肪の蓄えの結果、体重が増えてしまうので注意しましょう。
体重の増え過ぎは出産時に合併症を引き起こすリスクやその他の病気を誘発する確率を高めるので、体重増加は通常時の1.3倍程度に抑えてください。
普段の体重がわからないと体重管理ができないので、通常時の体重は常に測るようにしておきましょう。
栄養管理
猫が妊娠したら、通常時よりも栄養価の高い食事に切り替えることが大切です。
正しい食事を与えていないと母猫が栄養不良になり、出産時に子猫が低体重になるリスクが高まります。
理想の食事は、母猫・子猫のどちらにも最適な栄養を与えることです。
栄養価の高いキャットフードを与える
猫の妊娠がわかったら、栄養価の高いキャットフードに切り替えましょう。
子猫用のフードは、成長する時に必要な栄養素が多く含まれており、カロリーも高いのでおすすめです。
切り替える際に、急に普段の食事から栄養価の高い食事に切り替えると消化不良を起こしたり、食べるのを嫌がる可能性があります。
最初は普段の食事を7割程度にして、栄養価の高い食事を3割程度混ぜていき、ゆっくり切り替えていきましょう。
十分な水分を摂取させる
妊娠中の猫にとって、健康と胎児の発育のためにも水分補給がとても重要です。
妊娠中・授乳中は水分要求量が増加するため、普段よりもお皿に入っている水の減りが早い可能性があります。
お皿の水を確認し、母猫が常に新鮮なお水を飲める状況にしておいてください。
また、水分が足りないと脱水症状を引き起こす可能性があります。
水分をとってない様子が見られる時は、対処法を試してみてください。
水分補給をしない時の対処法 |
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対処法を試してみても水分を摂らないときは、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
環境管理
猫が妊娠したら、ストレスなく過ごせる環境を整えてあげましょう。
自宅の環境によって難しい場合もありますが、できる限り猫が好む場所を用意してください。
リラックスできる静かな場所を用意する
猫は妊娠中、穏やかになる子もいれば、保護本能から普段よりも攻撃的になる子もいます。
ストレスを与える状況を避けるためにも、リラックスできる静かな場所を用意してあげましょう。
できればマイペースに過ごせるように、猫用に部屋を用意してあげるのが理想的です。
難しい場合は、なるべく家の中でも静かに過ごせて、干渉されないスペースを用意してあげてください。
ストレスを与えないように注意する
妊娠中の猫は、身体の状況も精神的な部分も普段とは全く違う状況のため常にストレスを感じています。
そんな中、周りの環境からさらにストレスを与えてしまうと体調不良を引き起こす可能性があるので注意してください。
猫がストレスに感じること |
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猫が特にストレスを感じるのが環境の変化です。
妊娠中は引っ越し・友達などを招かない・大きな音を立てないなど、愛猫の気持ちを1番に考えて気を付けてあげましょう。
また、なるべく身の回りは清潔に保ち、落ち着けるスペースを作ってあげるようにしてください。。
猫の出産に向けて事前に準備しておきたいこと
猫が妊娠したら、たったの2ヶ月で赤ちゃんが生まれます。
2ヶ月という短い期間で生まれてくるので、出産の準備はなるべく早めにしておきましょう。
妊娠や出産は、無事に生まれてくるまで何が起きるかわかりません。
いつ何が起こっても対応できるように、飼い主の方は必要なものの準備と心の準備をしておきましょう。
出産に向けて準備しておいた方が良いポイントを紹介します。
出産の兆候や進行状況を把握しておく
愛猫が出産する際、飼い主は兆候や進行情報を常に把握し、問題が起こったらすぐに対応できるようにしておく必要があります。
出産がうまく進んでいない時や、産後すぐに母猫が対応できない時は、飼い主がサポートしてあげましょう。
飼い主ができるサポート |
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人間の場合、臍の緒や羊膜は医師が切ってくれますが、猫は自分で切ります。
本能的に猫が出産時にやりますが、稀にうまくできない子もいるので、そんな時は飼い主の方が代わりに切ってあげてください。
また、母猫に子猫へ愛着を持たせるために出産してすぐはそばにいさせるのが望ましいです。
愛着が湧かないとおっぱいをあげなくなったり、子猫のお世話をしなくなります。
踏まないように様子を見ながら、一緒の産箱の中で過ごせるようにサポートしてあげましょう。
獣医と連携を取っておく
自宅で飼い主が主猫の出産をサポートするのなら、動物病院で担当の獣医と連携を取っておく必要があります。
破水や陣痛はあるのに出産が進まない時や途中で娩出が止まってしまったなど、出産中に問題が起きた時はすぐに動物病院に連絡しましょう。
難産の場合は帝王切開に切り替える必要があるため、事前に問題が起きた時の対応を話し合っておくことも大事です。
どんなに健康体な猫でも出産はリスクを伴うので、出産時に何が起こるかわかりません。
事前にしっかり担当の獣医と意思疎通をしておきましょう。
妊娠後期に入ったら出産場所を確保する
猫が妊娠後期に入ったら出産場所を用意してあげましょう。
妊娠後期に入ると猫は攻撃的になるため、子供や子猫から隔離した方が良いです。
できれば猫専用の部屋やスペースがあると、母猫がリラックスして出産に臨めます。
出産時の低体温症を防ぐために、部屋の温度は21〜28度に設定し湿度も65〜70%に保っておきましょう。
出産キットを準備する
出産する場所が決まったら、出産キットを用意して産箱を作ってあげるのがおすすめです。
猫の産箱の作り方 |
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段ボールやカゴの大きさは、母猫が横になるのに十分な大きさにしてください。
側面は生まれてきた子猫が落ちたり、出てしまわないような高さが理想です。
必要な材料も少なく、作り方も難しいところはありません。
余裕があれば部屋のように、狭くて囲われてる居心地の良い空間を作ってあげましょう。
猫は狭い場所で落ち着く性質を持っており、薄暗い場所を好みます。
産後数日間は子猫が脆弱な状態なので、冷えることのないように巣箱の中を30℃程に保っておくと良いです。
まとめ
今回は猫の妊娠や出産について紹介しました。
猫は短いスパンで妊娠することができ、一度の交尾での妊娠率もかなり高いです。
もしも愛猫の妊娠に気付いた時は、必ず動物病院へ連れて行き獣医の指示に従いましょう。
猫が安心して出産をするためには、飼い主のサポートが必要不可欠です。
栄養管理や出産に向けた準備など、ぜひこの記事を参考に猫がリラックスして出産に臨める環境を整えてあげましょう。