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- はじめに
- 黒豹のような猫!ボンベイとは?
- 猫のボンベイの性格の特徴は?
- 猫のボンベイの平均寿命
- 猫のボンベイがなりやすい病気
- ボンベイの子猫の価格相場
- 猫のボンベイの飼い方のポイント
- ボンベイと黒猫の違いは?
- 猫のボンベイを迎える方法
- まとめ
はじめに
猫好きな方ならば、ボンベイという名前を聞いたことがあるかもしれません。しかし、実際にどのような猫なのか知っている方は少ないのではないでしょうか。
黒い被毛と筋肉質な体型で見た目も美しく、実は性格も含めてとても飼いやすい猫なので、新しい家族を迎え入れようとしているご家庭で検討してみるのもおすすめです。
今回は、そんなボンベイについて特徴や性格、飼い方のポイントまでくわしく解説いたします。
黒豹のような猫!ボンベイとは?
まるで黒豹のような姿に惹かれてボンベイを飼ってみたいと思っても、より詳しい特徴がわからなければ不安だと思います。
そこで、ボンベイが気になる方のために、より詳しく深掘りしてご紹介していきます。
原産国はアメリカ
ボンベイの歴史は1950年代にアメリカで始まりました。ケンタッキー州ルイビルでアメリカンショートヘアのブリーダーをしていたニッキー・ホーナーという女性によって作出されました。
ホーナーはアメリカンショートヘアをはじめ、バーミーズ、シャム猫、ヒマラヤンなどで何度も受賞歴のあるブリーダーでした。
優秀なブリーダーであったホーナーは「いつか自分の集大成として、小さな黒豹のような猫を作りたい」と考え新しい猫種の開発に着手しました。
そこで、自分で繁殖していたアメリカンショートヘアとバーミーズを交配させましたが、最初の子猫はとても貧弱なアメリカンショートヘアにしか見えなかったそうです。
さらにバーミーズを繁殖するブリーダーからなかなか協力を得ることができずに、賛同してくれるブリーダー探しにも苦労しました。
しかし、あきらめることなく熟慮して選んだアメリカンショートヘアのメスとバーミーズのオスを交配させ1972年、ようやく理想とする猫を誕生させることに成功します。
このとき繁殖した猫の姿が、インドに生息する黒豹に似ていることから、その生息地の地名にちなんで「ボンベイ」と名付けました。
その後、さらに改良を繰り返しながら、ボンベイ愛好家クラブを設立し、1976年にアメリカの登録団体である「CFA」で新しい猫種として登録され、1980年代以降にはその他の団体でも公認され、アメリカのキャットショーで賞を獲得するまでになったのです。
日本では珍しい品種
アメリカ原産のボンベイは、日本ではまだまだ珍しい猫種であり、希少な存在であるため日本のペットショップなどで見かけることは少ないでしょう。
ボンベイの毛色
ボンベイの最大の特徴ともいえる毛色は黒で、根元から毛先まですべて真っ黒なのが特徴です
しかし同じ黒でも単なる黒猫とは違います。漆黒と表現できるほどの美しい黒で、被毛には光沢があります。
その被毛は短毛で密度も高く、触り心地はサテンのようです。
短毛種なので、お手入れも定期的なブラッシングのみで問題ありません。ブラッシングを欠かさずおこなっていれば、美しい漆黒の被毛を維持することができます。
ボンベイの平均的な体重や大きさ
ボンベイのボディタイプはセミコビータイプに該当します。
猫のボディタイプのなかには筋肉質で、胴や四肢が短めで肩幅などが広いがっしりとした体型と、丸みのある頭部に短い尻尾が特徴の「コビー」がありますが、セミコビーはコビーに比べ四肢や胴、尻尾がやや長めで、顔が若干大きめな特徴があります。
ボンベイの平均体重はオスで3.5〜5.5kg、メスで2.5〜5kgとされており、個体差はありますがメスの方が小さい傾向があります。
体高が50cm以上の個体を「スタンダード」、35cm以下の個体を「ミニチュア」と呼ぶこともありますが、猫種として明確な基準が存在しているわけではなく、あくまで個体の大きさによる違いになります。
猫のボンベイの性格の特徴は?
美しい外見に惹かれてボンベイを迎え入れようとしている方にとって、性格もたいへん重要なポイントになると思います。
ボンベイの特徴的な性格についてみていきましょう。
人懐っこい
ボンベイは、アメリカンショートヘアの好奇心旺盛さや明るさ、バーミーズの愛情深さや優しさを受け継いでおり、穏やかで家族に対して愛情が深く社交的な性格をしています。
飼い主さんが大好きで、甘えん坊でもあり、猫としては珍しく抱っこをされるととても喜びます。
また、飼い主さん以外の家族の輪の中に入ることも好み、忍耐強く怒ることも少ないので、子供や同居するほかのペットとも仲良くできます。
初対面の人に対しても興味を持って、積極的に構ってほしいとアピールするほど社交的です。
オスの方が比較的活発で、メスは落ち着いている傾向があります。
活発で高い場所が好き
普段はのんびりと過ごしていても、活発な一面を持っており、運動が大好きです。
高い場所を好むので、生活スペースにキャットタワーを置いて、運動ができるような環境作りをしてあげるとよいでしょう。
社交的な性格なので、キャットタワーでの1人遊びのほかにも、おもちゃを使って飼い主さんと遊びながら運動させると大変喜びます。
知性が高い
ボンベイは知性が高く、自分の名前を覚えることはもちろんのこと、犬のように投げたボールを取ってくる遊びも好みます。
教えたこともある程度のことはしっかりと覚えてくれるので、猫を飼うのが初めての方でもとても飼いやすい猫種です。
適応力がある
ボンベイの賢さは適応力の高さにも表れ、環境の変化にも柔軟に対応します。
本来猫は警戒心が強く、慎重な性格のため、生活の変化があると慣れるまでに時間を要することが多くあります。
しかし、ボンベイは警戒心を持ちながらも、持ち前の好奇心とコミュニケーション力であらゆる変化に対応します。
引越しなどで、生活するスペースが変わっても、新しいものに興味津々で、うろうろしながらすぐに自分の居場所を見つけます。
また、子供が増えるなど家族構成が変わっても、大きなトラブルにはなりにくいでしょう。
多頭飼いにもすぐに適応できるので、先住ペットがいる場合も、新しいペットを迎え入れる場合にもそれほど時間を置かずに慣れてくれることが多いので、飼い主さんは環境作りに必要以上に神経質にならずに済みます。
ただし、人間同様に性格には個体差があり、ボンベイのなかにもおとなしく適応するまでに時間がかかる子もいます。
「ボンベイはすべての子が環境の変化にも問題なく適応できる」と放置してしまうと、場合によってはストレスで体調を崩してしまうこともあります。
そのため、最初のうちは飼い主さんが近くで様子をみてあげて、問題なく適応できそうな子か、少し時間がかかりそうか、性格を見極めてあげて適切な対応を取ってあげてください。
猫のボンベイの平均寿命
ボンベイの平均寿命は13〜15歳といわれており、猫の平均寿命が15歳前後であることから、ボンベイは平均的な寿命だといえるでしょう。
最近では、猫の寿命も長くなる傾向があり、平均寿命を大きく上回るケースもあります。
大切な愛猫に長生きしてもらうために大切なことは、バランスの取れた食事による日々の健康管理や、適度な運動、定期的に動物病院で健康診断を受けて、健康状態を把握しておくことなどを心がけてください。
猫のボンベイがなりやすい病気
ボンベイは、ほかの純血種の猫に比べ、遺伝性疾患になりにくいといわれていますが、いくつか注意したい病気があります。
肥大型心筋症(HCM)
心臓の筋肉が肥大することによって、心臓のポンプ内が狭くなり血液を十分に送り出すことができなくなり心不全を起こしてしまう病気です。
おもに遺伝や加齢が原因といわれており、ボンベイ特有ではなく、猫全体にみられることがあります。
ただし、ボンベイの祖先猫のアメリカンショートヘアは肥大型心筋症の好発種であることがわかっており、ボンベイも注意が必要です。
発症すると、血流の悪化により血栓ができて血管に詰まることで、後ろ脚の麻痺や肺水腫を起こし、重篤な症状を引き起こすこともあります。
肥大型心筋症を治す治療法はなく、進行を抑える治療をおこなうことになりますが、早期発見できれば、症状が軽いうちに治療を開始できるため、定期的な健康診断をおこないましょう。
歯周病
人間だけでなく猫も歯周病になることがあります。
おもな原因は、食べかすからできる歯垢が歯周ポケットに溜まり、細菌が繁殖して炎症を起こすことで発症します。
初期段階の症状では、歯肉炎の症状が起きて、歯茎の痛みや、出血、食欲不振などがあり、進行すると口臭の悪化やよだれが増えて舌なめずりを頻繁にするようになります。
さらに進行すると、出血や痛みが増し、膿が出ることもあります。また、歯がぐらつきだして抜け落ちてしまうことがあります。
予防策としては日頃のデンタルケアを小さい頃から定期的におこない、歯石ができたら除去するようにしてください。
猫は食事の際に歯がなくても大きな支障はないことが多いのですが、歯周病を放置すると強い痛みと内臓に悪影響を及ぼすことがあるので、積極的なデンタルケアをおすすめします。
尿路結石
猫は水分の摂取量が少ない動物のため、腎臓から尿管、膀胱にかけて結石ができることがあります。
結石ができると、尿路が傷つき出血や炎症を起こします。大きな結石になると、尿路に詰まってしまい、強い痛みがともないます。
そのまま放置してしまうと、オシッコが出にくくなり、尿毒症を引き起こし、腎不全で死に至ることもあります。
小さい結石は自然に排出される可能性もあるので、病院を受診しながら経過観察をすることが多いですが、大きい結石の場合には手術で取り出すこともあります。
予防法としては、日々の食事や健康管理と、水分摂取です。
水を飲める場所を増やし、いつでも飲める状態にしておくことで、飲水量が増えることもあります。
また、食事の際に、ドライフードだけを与えている場合には、ウェットフードを混ぜてあげると、水分摂取することができます。
もし、猫がトイレでいつも以上に力んでいる場合や、痛みで鳴いているときには尿路結石が疑われるので、病院を受診してください。
ボンベイの子猫の価格相場
ボンベイを子猫で迎え入れる際の価格相場は30〜50万円で、ほかの猫よりも高めの相場となっています。
理由は、ボンベイがアメリカ以外ではまだそれほど流通しておらず、日本で繁殖している頭数が少なく希少なためです。
成猫のボンベイの場合は、若干価格が下がりますが、それでも頭数が少なく、ほかの成猫の価格より高くなる傾向があります。
猫のボンベイの飼い方のポイント
実際にボンベイを迎え入れることになったときのために、飼い方のポイントをご紹介します。
ボンベイは飼いやすい?
ボンベイは、賢く、環境適応力も高いので、とても飼いやすい猫種といえるでしょう。
被毛のケアも週2〜3回のブラッシングで事足ります。
飼育環境をそれほど選ぶことはありませんが、スキンシップが大好きな猫なので、あまり1匹での留守番が得意ではありません。
よくボンベイは性格的に「犬に似ている」といわれていますが、あまりかまってやらない時間が長いと、注意を引くために家を散らかすなど、犬のようなストレス行動を見せることがあります。
しかし、子供のいるご家庭でも、多頭飼いでも問題なく飼うことができるので、家族の誰かがかまってあげる時間を確保できるなら、とても飼いやすい猫といえるでしょう。
運動ができる環境にする
運動がとても大好きなので、家の中で上下運動ができるキャットタワーを設置してあげると喜びます。
活発な性格なので、時間のあるときはおもちゃを利用して遊んであげると、スキンシップを兼ねてストレスを溜めこまずに過ごせるでしょう。
また、犬のようにリードをつけて外に出して気分転換する子もいるようなので、たまに外の空気を感じさせるために、キャリーバックなどで連れ出してあげてもよいかもしれません。
その際は逃走しないよう十分に注意しましょう。
いたずらをされないように対策しておく
生まれつき活発な性格のボンベイは、飼い主の気を引くために激しく走り回ったり、タンスなどの上のものを落としたりするようないたずらをすることがあるので、部屋の中を片付けておきましょう。
また、いたずらをするのは気を引くためだけでなく、ストレスが溜まりすぎてしまっている可能性もあるので、そうなる前に可能な限りたくさん遊んで日々のストレスを発散させてあげてください。
ボンベイと黒猫の違いは?
ここでボンベイと黒猫の違いについて解説いたします。
そもそもボンベイは全身が黒なので、黒猫ではありますが、ボンベイ=黒猫というのは正解でもあり、間違いでもあります。
ボンベイは猫種の1つですが、黒猫とは「黒い猫」であるため、ボンベイに限らず黒色をしている猫は黒猫になります
同じ黒猫でも、ボンベイとほかの黒猫との見分け方について解説します。
体の特徴の違い
体の特徴で違いを説明すると、ボンベイは全身が黒でなければいけません。黒猫を見て体に黒以外の部分があればボンベイではなく、黒猫です。
例えば、ボンベイは鼻も肉球も黒一色なのに対し、黒猫はほかの色が混じっていることがあります。
また、ボンベイは目の色がゴールドに限られており、グリーンなど別の色をしている猫はボンベイではない黒猫になります。
また、ボンベイの尻尾はまっすぐで長いのに対し、短い尻尾やかぎ尻尾などはボンベイではみられません。
性格の違い
ボンベイの性格は、活発で好奇心旺盛かつ人懐っこさを持ち合わせていますが、黒猫の場合には、性格は猫種によってさまざまであり、黒猫の性格はこれだ、というものはありません。
猫のボンベイを迎える方法
ボンベイを家族として迎え入れる方法をご紹介します。
基本的には、他の猫と同じように「ペットショップ」「ブリーダー」「里親」の3つがおもな方法となります。
ペットショップ
ペットショップは、猫を迎え入れるために必要な物を同時に一通り揃えることができるので、特に飼育初心者にはおすすめです。
しかし、専門店ではないため、希少な猫種であるボンベイに必ず出会えるわけではありません。
ブリーダー
ボンベイに出会うには、ブリーダーを探すのが一番可能性として高く、現実的な方法です。ブリーダーの特徴は繁殖している猫種に対しての専門性と、子猫の親がどのような猫で、迎え入れる子猫がどのような性格か、などひとつひとつ確認できることや、購入後もボンベイについてアドバイスをもらいやすい点があります。
里親
里親になる方法も、猫を迎え入れるための方法として最近では珍しいことではありません。
しかし、販売を目的にしているというよりも、事情があった猫を保護して、引き取ってもらうことが目的なので、必ずしもお目当ての猫種がいるとは限りません。
特に、ボンベイのような希少な猫に出会える可能性は低いといえるでしょう。
まとめ
ボンベイはまだ日本では希少な猫種で、あまり知られていないかもしれませんが、漆黒の被毛が美しく、見た目は本当に小さな黒豹を思わせるようなかっこよさがあります。
そのうえ、性格も活発で賢く、社交的なため、飼育環境をあまり選びません。
とても飼いやすいボンベイは、これからさらに人気が高まることが考えられるので、当記事をご覧になってボンベイに興味を持たれた方は、希少な存在である今のうちに探してみるのもよいかもしれません。