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【獣医師監修】猫をベランダに出す危険性は?ベランダに出す際の注意点や勝手に出ないようにする方法

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はじめに

室内飼いの猫も、天気が良い日に窓の近くで日向ぼっこなどをしていると、外に出してあげたくなることはありませんか。

そう考えてベランダで猫を遊ばせていることがあるかもしれません。

しかし、ベランダは猫にとって安全な場所ではありません。場合によっては脱走や、転落してしまいケガの危険性も考えられます。

また、ベランダに出して遊ばせるつもりがなくても、窓を空けた隙に外に飛び出してしまうこともあります。

今回は、猫をベランダに出す危険性や注意点、危険を回避するための方法について、くわしく解説いたします。

猫をベランダに出す危険性は?

ベランダには、猫にとって危険な要素が数多く存在します。場合によっては大ケガや命にかかわることにもなりかねません。

仮に、ベランダに出すことがあっても、大切な猫に万が一のことがないよう危険性について知っておかなければなりません。

猫をベランダに出すことで考えられる危険性について、ご紹介していきます。

脱走する危険

猫をベランダに出してしまうことで、もっとも懸念されることは脱走ではないでしょうか。

猫は大変身軽なため、ベランダで簡単に手すりに登ってそのまま脱走してしまうことがあります。一度脱走してしまうとなかなか見つけることは難しくなるので注意しなければなりません。

家を飛び出して脱走してしまうと、事故やほかの猫との喧嘩によるケガや病気の可能性などさまざまなリスクが考えられます。

また、避妊手術をしていない猫ならば、望まれない妊娠をしてしまうこともあります。

室内で生活している猫が、外に出て環境に適応できる可能性は低く、さまざまなリスクもあるためしっかりと対策を講じる必要があります。

落下によってケガをする危険

ベランダに出た猫が、柵や手すりに飛び乗ってそのまま落下してしまい、ケガをしてしまう事故が実際に起きています。

マンションのような高いところから落ちることが危険なのは当然ですが、それほど高くないところから落ちてしまっても、落ちる場所によっては危険なことがあります。

猫は一般的に、ある程度高いところから落ちても着地が得意なため大丈夫だといわれています。その理由は優れたバランス感覚にあります。

バランス感覚が発達していることで、落下しているあいだに体勢を入れ替えて着地に備えることができるので、多少の高さであれば問題ないこともあります。

しかし、自ら飛び降りるのと落下するのでは着地に備えるタイミングが違うことに加え、体調や年齢、運動能力の個体差もあり、それほど高くないところでもケガをする猫は少なくありません。

落ちた衝撃によっては骨折や内臓へのダメージにより、場合によっては命に関わるようなことも十分考えられるので、高い場所が得意だからと油断してはいけません。

ベランダに閉じ込められる可能性

ベランダにいた猫が部屋に戻ったと勘違いしたり、ベランダに出ていたことに気付かなかったりして、窓を閉めてしまい猫をベランダに閉じ込めてしまう可能性もあります。

閉じ込められてしまった猫は、気付かれないことでパニックになって、ベランダから飛び降りてケガをしてしまう危険や、そのまま外に出てしまう危険などがあるため、飼い主さんがベランダに出るときや窓を開けるときには猫がどこにいるのか確認しましょう。

虫などと接触するリスク

ベランダにはあらゆる虫が存在しています。ベランダで繁殖してしまったノミやダニなどの寄生虫に感染してしまうリスクがあります。

そのまま、室内に戻れば部屋の中に寄生虫が侵入してしまい、寄生虫感染のリスクを高めてしまいます。

また、蚊に刺されることでフィラリアになることもあります。こちらは薬で予防することができますが、念のため注意しておきましょう。

接触のリスクとは異なりますが、虫を見つけて追いかけているうちにベランダから落下してしまう事故も起きないとは限りません。

あらゆる虫によるリスクを考えてベランダに出すのは避けてください。

暑さや寒さによる健康への影響

ベランダで外の空気を吸わせてあげようとベランダに猫を出したら、猫が調子が悪そうにしていたことはありませんか。

実際に、暑さや寒さで体調を崩してしまう猫は存在します。

特に近年では、夏の暑さがかなり厳しくなっています。そのためベランダで直射日光を浴びてしまうと、熱中症や脱水症状になり、重症化するとかなり危険です。

もう1つ危険なのが、飼い主さんの目を盗んでベランダに出てしまい、そのまま気付かないうちに夏の日差しや、冬の寒さにさらされてしまうことです。

飼い主さんが、気付かないまま窓を閉めてしまって、強い日差しのなか長時間放置されてしまったら、命に関わるほど危険です。

騒音や風が強い日は猫のストレスになることも

安全に注意して飼い主さんの目の届く範囲でベランダに猫を連れて行ったからといって、必ずしも猫がリラックスできるとは限りません。

猫は静かで落ち着いた環境で過ごすことを好みます。そのため、ベランダが通りに面するなどして、つねに生活騒音の大きな場所や、警戒心の強い猫が「ビクッ」としてしまうような突発的な物音がするような場所では安心して過ごすことができません。

ほかにも、マンションなどのベランダで風が強い日などは、猫が風を避けるために身を隠そうにもどこにも隠れる場所がないときなども同様にリラックスして過ごせません。

ほかにも、猫の神経を刺激するようなことがあると、リラックスどころかむしろ強いストレスを抱えてしまうかもしれません。

猫がベランダに勝手に出ないようにするには?

飼い主さんが猫と一緒にベランダに出たり、目の届く範囲で遊ばせたりする場合でしたらあまり心配はいりませんが、やはり気をつけなければならないのは、勝手に出てしまうケースでしょう。

猫が勝手にベランダに出てしまうと、脱走や落下事故などあらゆる危険にさらされる可能性があります。

事故を防ぐためにも、猫が勝手にベランダに出ないよう日頃から飼い主さんの注意が必要です。

窓やドアの施錠を徹底する

ベランダに限らず、家中の窓や、玄関なども含め外に出ることができるドアの施錠は徹底してください。

ごく当たり前のことだと思いますが、ついうっかりと閉め忘れてしまうこともあります。部屋の換気のために窓やドアを開けたままにしておくと、隙間から猫が外に出てしまうことは十分に可能です。

ベランダの窓には網戸がついているため、一見すると安全なように感じますが、網戸はとても軽いため猫が通り抜けるくらいの隙間ならば、猫でも開けることは不可能ではありません。

また、鋭い爪をもつ猫ならば網戸を破ることもできるので、毎日引っ掻いているうちに網戸が破けてしまうこともあります。

すべての猫に当てはまるわけではありませんが、窓を開けているときに窓の近くでこのような動きをしているのを見かけたら、飼い主さんが見てあげられない時間は、窓を閉めて施錠しておくのが確実です。

ドアの場合には、近年ではセキュリティ意識が高まっており、開けたままにしているご家庭は少なくなっていますが、それでもほんの少しの時間だからと油断してしまうことはあります。

ベランダにドアのついているご家庭などであれば、窓と違い網戸もないので、ほんの少しの隙間でも猫ならば簡単に外に出ることができてしまいます。

ドアや窓を少しでも開けっ放しにすると、外に出てしまうリスクがあることを頭に入れておき、猫から目を離す際には施錠も含め、窓やドアは閉めるようにしておいた方がよいでしょう。

猫が室内でもたっぷり遊べる環境を作る

猫がベランダに出たくなる理由は、好奇心によるものだけではないかもしれません。運動不足や遊び足りないなどの理由でストレスからくる可能性も考えられます。

完全室内飼いが多くなっている現在は、家の中でもしっかりと遊ぶことができる環境を作る必要があります。

猫は犬のように、走り回って遊ぶようなことはあまりしません。

猫の場合、走り回ることよりも高いところへよじ登ったりする、上下運動をして遊ぶ子が多くみられます。

そこでおすすめなのがキャットタワーです。キャットタワーならば上下運動で遊ぶだけでなく、高いところで敵から身を守る習性があるので、タワーの頂上を安心できるパーソナルスペースとしても使用できます。

高さもさまざまなものがあるので、お部屋の環境や猫の年齢などにより選ぶとよいでしょう。

キャットタワーのほかにも、猫じゃらしなどを使って飼い主さんが遊んであげることも猫がストレスを溜めないためには大切です。

短い時間でも構わないので、毎日遊んであげることで運動不足の解消になります。

家の中でたっぷりと遊ぶことができるようになれば、ストレスの解消になり、外への関心が薄れることが期待できるので、ぜひ実践してみてください。

猫をベランダに出す際の注意点

飼い主さんの管理の下で猫をベランダに出す際にも、危険やトラブルを回避するために注意すべきことや対策が必要です。

おもな注意点について解説します。

ベランダの掃除をしておく

猫が遊んだり、寝転がったりするベランダは、掃除をしてできるだけ清潔な環境を保っておきましょう。

体が汚れてしまうだけでなく、ゴミや虫の死骸などを口にしてしまい体調を崩さないようにするためです。

また、ベランダでついブラッシングをしたくなるかもしれませんが、マンションなどのベランダですと隣のベランダが近いため、風で抜け毛が飛んでしまい迷惑をかけてしまうことがあるので、ブラッシングは避けてください。

脱走しないように対策を徹底する

飼い主さんが近くにいても、ほんの少し目を離しただけで猫は脱走できてしまいます。あらかじめ脱走防止のための対策を徹底しておきましょう。

ベランダにネットやフェンスを張る

万が一、猫が脱走しようとしても、ベランダの外に出られないように転落防止用のネットを天井から手すりにかけて張ることで、その先に猫が行けないようにしてしまうことができます。

ただし、マンションなどは景観などの理由でネットが禁止されていることがあるので、事前に確認してください。また、猫をベランダに出す前に必ずネットの破損を確認して、破れや穴が開いていないか確認するのを忘れないでください。

また、飼い主さんが見ていないところで勝手にベランダに出られないよう、ベランダに通じている窓にフェンスやペットゲートを設置する方法もあります。

突っ張り棒で固定するタイプのものもあるので、取付けも簡単なうえ、猫が登れないようになっているので脱走対策におすすめです。

猫用ハーネスやリードを活用する

ネットやフェンスの取付けが難しい場合には、猫用ハーネスを装着し、リードにつないでベランダに出す方法もあります。

ただし、猫は繋がれて散歩する習慣もありませんし、固定されることを嫌うため、装着には慣れが必要で、場合によってはどうしてもつけさせてくれない子もいるかもしれません。

装着できたとしても、気にするそぶりを頻繁に見せるようならば、かえってストレスになってしまうので外してあげましょう。

ハーネスを嫌がることがなければ、飼い主さんが猫の動きをある程度コントロールすることができるので、事故や脱走の予防に活用してみるのもよいかもしれません。

猫のストレスになる騒音などがないか確認

ベランダが日常的に騒音などがする場所だと、猫もくつろぐことができずにかえってストレスの原因となってしまいます。

あまりに大きな音がするような場合には、ベランダで過ごすことはあまりおすすめしません。

また、急な物音や犬や鳥などの鳴き声がするところでは、猫が驚いたり、動物の声に反応したりして、突然飛び出してしまうことがあるので、このような場合も静かになるまでベランダに出すことはやめておいてください。

長時間外に出したままにしない

あくまで気分転換にベランダに出すのは良いですが、長時間出したままにするのはやめましょう。

夏のベランダに長時間いると、直射日光によって体温が上昇し、熱中症になってしまいます。近年の異常な暑さでは脱水症状を引き起こし、最悪の場合、命に関わるような事態にもなりかねません。

猫は寒さにも弱い動物なので、冬も長時間ベランダに出したままにすることはやめてください。気分転換にベランダに出て、体調を崩すようなことがあれば本末転倒です。

飼い主さんが様子を見てあげることができる短い時間にとどめ、暑さや寒さの厳しいときは無理にベランダに出さずにお部屋で遊ぶようにしてください。

状況によって応じて日除けや風よけを設置する

お住まいの環境によっては、ベランダの日差しが強いことや、風が強いことがあると思います。

日差しが強い場所で長時間紫外線に当たりすぎるのは、特に色の薄い猫には病気の原因となることがあるので日陰ができる空間を作っておきましょう。

ベランダを強風が横切るような場合には、猫が過ごしにくいことや、ほこりを避けるためにもついたてのようなもので風よけを設置してあげてください。

それでも過ごしにくそうにしているならば、無理にベランダに出すことはかえってストレスの原因となるのでやめておきましょう。

ベランダに置いても大丈夫な猫にも安全な植物

ベランダに猫を出す際に、注意しなければならないこととして、置いてはいけない植物があるということです。

ユリ科などの植物は摂取すると中毒症状を引き起こし、命に関わることもあるので絶対に置かないでください。

もし、ベランダに植物を置く場合、以下のような植物でしたら猫がいても安全な植物なので参考にしてください。

ガジュマル

独特の幹の形が特徴的なガジュマルは、葉にも毒性がなく、猫がいるご家庭でも安心して育てることができます。

観葉植物用のサイズは、テーブルに置けるくらいの大きさのものもあり、日光が少ないところでも育つことができるほど生命力が強いため、初心者でも育てやすい植物です。

パキラ

パキラは尖った葉が特徴的な植物で、オフィスやご家庭でもよく見かけることのある人気の観葉植物です。

葉にも幹にも毒性はなく、全体的に大きいので、猫がかじる心配もありません。

それほど強い日光を必要としないため、ベランダや室内でも問題なく育てることができます。

アレカヤシ

アレカヤシは、羽のような細く長い葉が特徴的な観葉植物です。南国を連想させるトロピカルなイメージで、大きさも小さいものから大きなサイズまで選べるため、人気の高い観葉植物を代表する存在です。

猫に悪影響を与える成分もないため、安心して育てることができます。

注意点として、直射日光や寒さに弱いので、半日陰のような場所で育てて、冬の間は室内に置いてあげましょう。

カラテア

しま模様の葉が特徴的な植物で、夏になると白く小さな花を咲かせる特徴があります。

葉の形も楕円形で大きく、猫がかじってしまう心配もなく毒性もないため、猫を飼っていても安心して育てられます。

難点は、寒さに弱いので秋から冬にかけては、暖かい場所への移動が必要となり、寒い地域では温度管理が必要になります。

ベゴニア

多様な植物として知られるベゴニアですが、そのなかでも木立ち性ベゴニアや根茎性ベゴニアはともに猫に安全な植物です。

水玉や渦巻きといった独特な模様の葉を持ち、品種によっては多くの花を咲かせます。

寒さに強くないため、適切な温度管理が必要ですが、比較的育てやすいため、人気も高くおすすめです。

まとめ

猫をベランダに出す危険性についてご紹介しました。

結論として、落下事故や脱走のリスクを考えると、自由にベランダに出入りできる環境は避けるべきです。

ネットやフェンスなどしっかりとした対策ができるのならば、飼い主さんが見てあげられる時間だけ気分転換にベランダに出してあげる程度にとどめておくのがよいでしょう。

それぞれのご家庭の環境に合わせて、安全対策を施したうえで事故の危険性がないことが確認できてから目の届く範囲でベランダに出してあげてください。

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