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【獣医師監修】猫の出産が多い時期はいつ? 発情期や妊娠の兆候についても解説

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はじめに

猫を飼っている方で猫の妊娠・出産についてわからない方は多くいると思います。

新しい命が生まれるのはとても喜ばしいことですが、適切に準備していないと猫に負担をかけたり、想像以上に子猫が増えてしまったりして問題になるケースが多いです。

今回は、猫の発情・妊娠・出産について詳しく紹介します。

それぞれが起きやすい時期や兆候、妊娠・出産で準備しておくものなども紹介するので、今後愛猫の出産を考えている方はぜひ参考にしてください。

猫はいつから発情する?

まず、猫の発情する時期について詳しく解説します。

妊娠できる時期や発情している時の猫の様子もまとめているので、愛猫が発情している時にすぐ気づけるようにしましょう。

メス猫は生後6ヶ月〜1歳以降

メス猫は性成熟期に入る生後6ヶ月から1歳以降に発情するのが一般的です。

性成熟期に達したメス猫は発情周期が始まりますが、迎える月齢には個体差があります。

発情期にメス猫は性行動を示し、交尾を求める場合が多いです。

そして、この期間中にメス猫がオス猫と交尾すると、妊娠する可能性が高くなります。

また、発情期のメス猫は今までみられない行動を取るのが特徴的です。

例えば、普段と違う大きな声で鳴いたり、背中を床につけて何度もくねくねしたりします。

他にも、オス猫のようにスプレー状にオシッコをまいたり、お尻を高く持ち上げる姿勢をとったりする場合も多いです。

さらに、周囲の猫に対して攻撃的になる場合もあります。

しばしば家の中を歩き回ったり、窓から外を眺めたりするなど落ち着きがないです。

発情中のメス猫は妊娠する可能性があるため、飼い主は注意深く観察し、適切な処置をとってください。

具体的には、避妊手術を行うと望まない妊娠や出産を防ぎ、メス猫の健康と安全を確保できます。

オス猫は生後8ヶ月~1歳以降

オス猫もメス猫同様に、性成熟期に達すると発情したメス猫に反応して発情します。

一般的に、オス猫は生後8ヶ月から1歳以降に発情する場合が多いですが、オス猫単独で発情するわけではなく、特定の発情期というものもありません。

オス猫は生後3ヶ月頃から性成熟が始まり、生後5〜6ヶ月頃には精巣が発達します。

そして生後8〜12ヶ月には交尾ができる体への準備が整い、発情するのです。

ただし、オス猫も個体によって性成熟するまでの時間には変動があります。

発情中のオス猫は、周囲にいるメス猫に興味を示し、交尾を求める場合が多いです。

また、オス猫は発情期にしかみられない行動を取ります。

具体的には、メス猫の鳴き声を聞いたり匂いをかいだりすると、その方向に向かおうとする傾向が強いです。

他にも、尿スプレーをするオス猫が多くみられます。

さらに、多頭飼育の場合はほかの猫に対して攻撃的になり、他のオス猫との競争が激しくなるのです。

鳴き声を上げ、周囲を歩き回るなど、落ち着きがなくなる傾向もみられます。

オス猫が発情した場合、飼い主は行動に注意を払いましょう。

発情中のオス猫は交尾を行う可能性があるため、望まない妊娠を防ぐために必要であれば去勢手術を検討してください。

猫は周期的に発情する

猫は性成熟期に達すると、周期的に発情する動物です。

猫の発情周期は、日照時間と関係していると言われており、14時間を超えると発情周期を迎えます。

14時間を超えるのは、主に春から夏にかけての期間です。

そのため、メス猫が生後6ヶ月から1歳以降に性成熟を迎えた際に、春から夏の期間だとメス猫は発情します。

発情周期は、発情前期・発情期・発情休止期の3つです。

発情前期は約1〜2日、発情期が約7〜10日、発情休止期は約14~21日であり、発情休止期が終わるとまた発情期が繰り返されるのです。

一方で、オス猫には発情周期はありません。

メス猫が発情すると、鳴き声やフェロモンなどでアピールするので、オス猫はそれに反応して発情します。

そのため、結果的にはオス猫もメス猫が発情する期間と同じ場合が多いです。

猫はいつから妊娠できる?

猫は性成熟期に入ると、妊娠できます。

一般的に、猫の性成熟期は生後6ヶ月から1歳以降に始まります。

ただし、個体によって性成熟するまでの時間には差があるので注意しましょう。

一部の猫は6ヶ月未満で性成熟することがありますが、他の猫は1歳以上かかる場合もあります。

妊娠には、メス猫が発情している時期にオス猫との交尾が必要です。

交尾が成功すると、受精卵がメス猫の子宮に移動し、妊娠が始まります。

飼い主は、個体差がある猫の性成熟と妊娠に関する情報を適切に理解しましょう。

そして、必要な場合は早めに手術などをして、望まない妊娠を防いでください。

発情している時の猫の様子

猫が発情しているとき、猫の様子にはいくつかの特徴があります。

例えば、発情中の猫は非常に興奮している場合が多いです。

メス猫はオス猫や周囲の環境に対して強い興味を示し、周囲を探索したり、他の猫との接触を求めたりする場合があります。

また、 発情中の猫は鳴き声が通常よりも大きいです。

鳴き声は高く、時には叫び声のように聞こえる場合もあります。

これは、性的興奮や交尾を求めるためのサインです。

さらに、発情中の猫は通常よりも活発になります。

具体的には、家の中を歩き回ったり、走り回ったりするのです。

他にも、 発情中の猫は他の猫や飼い主に対して攻撃的になる場合があります。

特にオス猫は、他の猫とのメスをめぐって競争が激しくなるのです。

そして、 発情中の猫は性行動を求めます。

メス猫はオス猫に対して親しく接近し、交尾を求めるのです。

猫同士は自分の体を擦り付けたり、他の猫の匂いを嗅いだりします。

発情期の猫の様子を理解して、飼い主は猫が発情しているかどうかを認識し、適切に対処しましょう。

猫の出産が多い時期はいつ?

次に、猫の出産が多い時期について紹介します。

出産までの期間や出産する確率、一度に産む子猫の数なども紹介しているので、愛猫がどのタイミングで妊娠・出産しやすいか理解して準備しましょう。

猫の繁殖期は1月~9月頃

猫の繁殖期は一般的に1月から9月頃にかけてピークに達します。

発情期と同様に、日照時間が増えて14時間以上になると、気温が上昇して猫の生殖活動に影響を与えるのです。

子猫の生存率が高まるので、春から夏にかけての暖かい季節を本能的に選んでいると考えられます。

この期間は、猫の発情が増加するので交尾と妊娠の確率が高いです。

そして、繁殖期には野外で猫の活動が活発化し、野良猫の増加や産まれる子猫の数が増える傾向もあります。

猫の妊娠を避けたい場合は繁殖期に入る前に注意しましょう。

妊娠から出産までの期間は2ヶ月程度

猫の妊娠期間は一般的に約2ヶ月です。

妊娠から出産までの期間は、約63〜65日間で、これは猫の種類や個体によってわずかに異なる場合があります。

そのため、猫は繁殖期である1〜9月の間に妊娠から出産まで可能です。

猫が妊娠した際の兆候は後述しますが、出産までの期間が非常に短いので、妊娠中の猫を定期的に観察し、すぐに適切なサポートができるように準備しましょう。

また、出産後は母猫と子猫の健康状態を定期的に確認してください。

猫が妊娠する確率は高い

猫は妊娠する確率が高く、性成熟期に入ると比較的容易に妊娠できます。

なぜなら、猫は交尾した刺激で排卵する交尾排卵動物だからです。

運よく受精卵が着床すれば妊娠する自然排卵動物の犬や人と比べると、猫は交尾で卵子と精子が出会いやすく、妊娠する確率が高くなっています。

猫は単独行動を好む動物なので、交尾の機会が少なくても繁殖できるようになっているのです。

また、猫が妊娠する確率は、発情中にオス猫との接触があれば高くなります。

猫は通常、発情中に数回交尾を行う場合があり、そのたびに受精の可能性が高まるのです。

つまり、飼い主が猫の発情や性行動を管理しない限り、猫が妊娠する確率は高いと言えます。

適切な対処をしていないと、猫は次から次へと妊娠し繁殖してしまうのです。

猫が一度に産む子猫は何匹?

猫が一度に生む子猫の数は、一般的に平均5匹ですが、個体差や環境によって異なります。

一部の猫は一度に1匹しか生まない場合もありますし、時には8匹以上の子猫を産む場合もあるのです。

子猫の数は母猫の年齢や体調・遺伝子によっても影響を受けます。

また、猫が一度に産む子猫の数が多いのは、猫が一度に複数の卵子を排卵する多排卵動物だからです。

メス猫は複数のオス猫と交尾をおこなった場合、異なる父親の子どもを同時に妊娠する場合があります。

多くの場合、妊娠中の母猫は超音波検査を受けると子猫の数を確認できるので、愛猫が妊娠した場合は事前に確認してください。

また、一度に生まれる子猫の数が多い場合、母猫が適切な世話をすることが難しくなる場合があります。

そのため、出産前に獣医と相談し、必要に応じて出産の手助けを求めるのが非常に重要です。

妊娠の兆候から妊娠期間の状態

次に、猫が妊娠をしたときの兆候や妊娠期間の状態を紹介します。

愛猫にどんな兆候がみられたら妊娠しているかを理解し、すぐに気づいて支えられる状態にしてください。

猫が妊娠したらどんな変化がある?

まず、猫が妊娠した時の変化について紹介します。

  • 乳首や乳房の変化
  • お腹の膨らみ

それぞれ具体的に紹介するので、変化がみられた際に妊娠したか判別できるようになりましょう。

乳首や乳房の変化

猫が妊娠したときの兆候として、乳首や乳房の変化があります。

例えば、妊娠初期に起こるのが乳首の色素沈着です。

通常は、妊娠20日頃に猫の乳首の周りがピンク色に変化します。

この色素沈着は、妊娠ホルモンの影響が原因です。

また、猫は妊娠30日頃に乳房が腫れる場合があります。

これは乳房の準備として起こる自然な反応であり、出産後に授乳する準備を行っているのです。

腫れた乳房は触れると柔らかく、膨らんでいるように感じられる場合もあります。

他にも、猫が妊娠しているときは、乳首が通常よりも大きいです。

これらの変化は妊娠の兆候として一般的ですが、すべての母猫で同じように現れるわけではありません。

また、病気など他の健康上の問題によるものかどうかを判断するためには、獣医の診断が必要です。

妊娠の兆候がみられた場合は、病院に連れて行き、健康状態を確認しましょう。

お腹の膨らみ

次に、猫が妊娠すると、妊娠初期からお腹の膨らみが見られる場合があります。

妊娠中は猫のお腹が徐々に膨らみ始め、特に妊娠が進行すると顕著になるのです。

妊娠初期の膨らみは目立たない場合もありますが、妊娠中期から後期にかけて、お腹が徐々に大きくなります。

これは子猫が成長し、母猫のお腹にスペースを取るのが要因です。

妊娠が進むにつれてお腹はより膨らみ、触れると柔らかく膨らんでいるように感じられるでしょう。

妊娠中の母猫のお腹の膨らみは、妊娠の明確な兆候の一つですが、すべての母猫で同じように現れるわけではありません。

お腹の膨らみが健康上の問題によるものかは獣医の診断が必要なので、少しでも気になった場合は病院に連れていきましょう。

お産の数日前の様子

次に、猫が出産する数日前の様子について紹介します。

  • 食欲が低下する
  • 攻撃的になったりソワソワしたりする

それぞれ具体的に紹介しますので、出産が近いかを判別できるようになりましょう。

食欲が低下する

猫が出産する数日前には、食欲の低下が見られる場合があります。

これは、出産に向けて体が準備をしているため、母猫の食欲が減退するのです。

出産直前の猫は体内のエネルギーを蓄え、子猫を出産して授乳するための準備を整えています。

妊娠がわかった後に、猫の食欲が低下した場合は、出産が近いと理解しましょう。

ただ、飼い主は猫の食欲の低下がみられたときに心配する必要はありません。

出産前の食欲低下は自然な現象であり、出産に向けての身体の準備の一部です。

ただし、猫が極端に食べない場合や嘔吐など異常な症状が見られる場合は、獣医に連絡して確認してください。

出産前の食欲低下の場合、飼い主は猫に安全で静かな場所を提供し、ストレスを最小限に抑えましょう。

攻撃的になったりソワソワしたりする

次に、猫が出産する数日前には、攻撃的になったりソワソワしたりする様子が見られます。

これは、母猫が出産に向けて緊張し、不安を感じているのが原因です。

出産直前の母猫は、体内のホルモンが変化するため、不安や興奮を感じます。

そして、通常よりも攻撃的になったり他のペットや飼い主に不機嫌な態度を示したりするのです。

また同様に、ソワソワしたり、落ち着きを失ったりする場合もよくみられます。

出産前の猫が攻撃的になったりソワソワしたりするのは自然な現象ですが、異常性がみられた場合は獣医に相談しましょう。

また、飼い主は猫にとってストレスのかからない環境を作るのが大切です。

猫の妊娠・出産で準備しておくもの

次に、猫の妊娠と出産に備えるために、飼い主が準備しておくべきものを紹介します。

まず、母猫が安心して出産できる場所を用意するのが重要です。

静かで暖かく、プライバシーが確保された部屋が理想的であり、猫が子猫を育てるための十分なスペースを用意しましょう。

また、母猫がストレスなく出産するための箱を準備してください。

産箱は十分な大きさであり、暖かく清潔なのが大切です。

そして、産箱には柔らかいベッドやタオルを敷き詰め、母猫が子猫を産むための適切なスペースを用意しましょう。

他にも、猫の出産に備えて、緊急時用の救急キットを準備するのが重要です。

具体的には、清潔なタオル・消毒液・ハサミ・木綿糸を用意してください。

さらに、妊娠中の母猫には、栄養バランスの良い食事を与えるのが非常に重要です。

特に妊娠と授乳期間中は、タンパク質やカルシウムなどの栄養素が豊富なキャットフードを与えましょう。

獣医に相談して、適切な栄養補助食品を与えることも検討してください。

最後に、出産後の生活を考えてミルクや哺乳瓶・子猫用のキャットフードなども揃えましょう。

まとめ

猫は春から夏にかけて発情する場合が多く、1〜9月が猫の繁殖期です。

生後6ヶ月から1年たつと性成熟を迎えて妊娠できるようになります。

猫が妊娠する確率は高く、妊娠から出産する期間は約2ヶ月と短いです。

また、一度に出産する子猫も平均5匹と多いので、妊娠を望まない場合は早い段階から避妊や去勢手術を行う必要があります。

猫が妊娠する兆候は乳首の色素沈着や乳房とお腹の膨らみなどがあるので、少しでも気になった場合は獣医に相談してください。

また、出産が近づいた場合は食欲が低下したり落ち着きがなくなったりするので、出産できる環境やケア用品の準備が必要です。

猫の発情・妊娠・出産の流れを理解し、愛猫に適切な対処をとってあげましょう。

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