健康

【獣医師監修】猫のGGTが高いときはどうする?肝酵素上昇の原因や対処法を解説

ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。

はじめに

血液検査などで猫のGGTが高いと判明したものの、どのような影響が出ているのかわからない方も多いと思います。

猫のGGTが高い場合は、病気や食事、薬などが原因の可能性があるので、原因に照らし合わせた対処が必要です。

今回は、猫のGGTについて紹介します。肝酵素上昇の原因や対処法を解説するので、猫の健康を維持するためにもぜひチェックしてください。

肝酵素とは?

まず、猫の肝酵素について紹介します。

  • GGT
  • ALT(GPT)
  • AST
  • AKLP(ALP)

それぞれ詳しく紹介するので、違いや役割について詳しく理解しましょう。

GGT

GGTは、肝臓や胆道系の健康状態を示す重要な肝酵素です。特に肝臓の胆管に関与しており、胆汁の流れが正常に機能しているかどうかを確認するために使用されます。

GGTが高値を示す場合、胆汁の流れに問題があることが示唆され、胆道疾患、胆石などが原因の可能性があるのです。

また、肝細胞の損傷が進行している場合にもGGTが上昇します。猫において、GGTの上昇は肝臓の健康に異常があることを示す重要な指標です。

GGTは他の肝酵素と組み合わせて測定される場合が多く、特にALTやALKPとともにチェックされます。

単独のGGTの変動は疾患の特定に限界があるため、他の数値との関連性を考慮することが大切です。

早期発見が重要なため、定期的な血液検査を行い、肝機能の状態をモニタリングしましょう。

ALT(GPT)

ALTも、肝臓の健康状態を直接反映する酵素で、特に肝細胞の損傷や炎症がある際に高値を示すことが特徴です。

ALTは猫の肝臓の細胞に高濃度で存在しており、肝臓の機能が低下したり細胞が破壊されたりすると血中に放出され、ALTが上昇します。

ALTが上昇する原因は肝疾患や薬剤性の肝障害、感染症、脂肪肝などさまざまです。ALTの基準値を超える場合、肝臓の精密検査が必要になります。

ただし、ALTの上昇が必ずしも深刻な病気を示すわけではなく、一時的なストレスや軽度の肝臓ダメージによって上昇する場合も多いです。

ALTは肝臓に特異的な酵素であるため、肝臓以外の要因で大きく変動するケースは少なく、特に肝疾患の早期発見に効果的です。

AST

ASTは肝臓を含むさまざまな臓器に存在する酵素で、特に肝臓や心臓、筋肉に高濃度で分布しています。

ASTが血中で上昇する場合、肝臓だけでなく他の臓器にも問題がある可能性が高いです。

肝臓に限定されないため、ASTの上昇だけでは肝疾患かどうかの判断が難しく、他の酵素と併用して評価されます。

特にALTと一緒に測定すると、肝臓への影響を特定しやすいです。猫においてASTの上昇は、肝細胞の破壊や筋肉の損傷、心疾患などが原因として考えられます。

また、ASTは急性肝炎や肝臓腫瘍、外傷性筋肉損傷、重度の感染症などの状況で上昇する場合が多いです。

ASTが異常に高い場合は、肝臓や他の臓器に深刻なダメージが生じている可能性があるため、速やかな診断と治療を受けましょう。

ALKP(ALP)

ALKPは、肝臓や胆道、骨、腸など複数の組織に存在する酵素です。ALKPは主に胆管や肝細胞に関連しており、特に胆汁の流れが障害されると血中に放出されます。

また、肝臓や胆道の病気、骨疾患によってもALKPが高くなりやすいです。

ALKPが高い場合は、肝臓内の胆管に炎症や閉塞があるか、肝細胞がダメージを受けている可能性があり、猫における胆管炎や脂肪肝が原因で上昇する場合がよくあります。

他にも、ALKPは肝臓だけでなく、骨に関連する疾患やホルモン異常でも上昇するため、他の検査値と照らし合わせて評価することが大切です。

特に成長期の若い猫では、骨の成長が活発なためALKPが自然に高くなる場合がありますが、成猫での上昇は肝臓や胆道の異常が疑われます。

猫のGGTの基準値はどれくらい?

猫のGGTの基準値は、約10mg/dl未満とされています。ただし、基準値は検査を行う施設や機器によって多少の差異があることが一般的です。

GGTは肝臓の胆管や胆道系の健康を示す指標であり、肝臓内の胆汁の流れが正常かどうかを把握できます。

通常、猫のGGTが基準値内にある場合、胆管や肝臓の機能は正常で、特に異常は見られません。

しかし、GGTが基準値を大きく上回る場合は、肝臓や胆道系に問題が発生している可能性があります。具体的には胆管閉塞、胆管炎、肝臓の腫瘍や脂肪肝などが考えられるのです。

また、一部の薬剤や毒性物質の摂取によってもGGTが上昇する場合があります。そのため、GGTが上昇している猫は、他の肝酵素と合わせて総合的に診断しましょう。

猫のGGTが高くなる原因

次に、猫のGGTが高くなる原因を紹介します。

  • 食事やおやつ
  • 肝臓の疾患
  • 腫瘍・炎症
  • 内分泌疾患
  • 先天性の疾患

それぞれ詳しく紹介するので、愛猫のGGTが高い場合は当てはまるものがないかチェックしましょう。

餌やおやつ

まず、猫のGGTが高くなる原因は、与えている食事やおやつです。特に、市販のキャットフードやおやつの中には、猫にとって有害な成分が含まれている場合があります。

例えば、保存料や添加物、過剰な脂肪分や塩分が含まれた食品は、猫の肝臓にとって負担が大きいです。

また、人間用の食品を与えると、猫の消化器系に合わない成分を摂取してしまい、肝臓に悪影響を及ぼします。

さらに、肥満も肝臓に負担をかける原因となり、脂肪肝などの肝疾患を引き起こす可能性が高いです。

脂肪肝はGGTの上昇と密接に関連しており、高カロリーの食事やおやつを与えすぎると発症する恐れがあります。

そのため、良質な食べ物を選んで適切な量を与え、猫の肝臓機能を正常に保ちましょう。

次に、猫のGGTが高くなる原因は服用している薬です。特に、長期間にわたって強い薬を服用している場合、肝臓の酵素であるGGTの上昇を引き起こす場合があります。

抗生物質やステロイド、抗てんかん薬、抗がん剤などは、猫の体内で代謝される際に肝臓に影響を与え、GGTを含む肝酵素の数値を変動させる可能性があるのです。

また、過剰な薬の投与や猫の体質に合わない薬を使用した場合も、肝臓へのダメージを加速させる場合があります。

猫のGGTが薬によって上昇した場合、代替薬や薬の量を調整し、肝臓への負担を軽減して酵素値を正常に戻しましょう。

猫の体質や健康状態に合った薬を選び、定期的に肝機能をモニタリングすることが大切です。

薬の副作用によってGGTが上昇する可能性があるため、薬の処方を受ける際には、獣医師から十分に説明を受けてください。

肝臓の疾患

3つ目に、猫のGGTが高くなる原因は、肝臓の疾患です。GGTは特に肝臓や胆道に関連する酵素であるため、肝臓に炎症や損傷が生じると、GGTが上昇します。

猫に多い肝臓の疾患は、脂肪肝や肝炎、胆管炎、肝硬変などです。脂肪肝は特に肥満や栄養不良が原因で発生しやすく、GGTをはじめとする肝酵素の異常が見られます。

肝臓疾患が進行すると、食欲不振や体重減少、嘔吐、黄疸などの症状が現れる場合が多く、早期発見と治療が重要です。

猫のGGTが高い場合、他の肝酵素とともに、肝臓の状態を総合的に評価しましょう。

肝臓は再生能力が高い臓器であるため、適切な治療を行えば回復が可能な場合もありますが、放置すると深刻な健康問題に発展する恐れもあるため、早めの対応が大切です。

腫瘍・炎症

4つ目に、猫のGGTが高くなる原因は腫瘍や炎症です。肝臓にできる腫瘍には、良性と悪性のものがあり、悪性の場合は特に早期発見が必要になります。

腫瘍が肝臓や胆管を圧迫すると、胆汁の流れが妨げられ、GGTが上昇するのです。また、肝臓や胆管に炎症が起こると、GGTが急激に上がる場合があります。

炎症は感染症や自己免疫疾患、外傷などさまざまな原因で発生しやすいです。特に、肝炎や胆管炎は猫において比較的よく見られる疾患で、GGTや他の肝酵素の異常を伴います。

腫瘍や炎症が原因でGGTが上昇した場合、腫瘍の摘出や抗炎症剤の投与、抗生物質治療など適切な治療が必要です。

腫瘍や炎症の兆候がある場合、すぐに獣医師に相談し、精密検査を受けましょう。

内分泌疾患

5つ目に、猫のGGTが高くなる原因は内分泌疾患です。内分泌疾患はホルモンバランスの乱れによって引き起こされる病気で、甲状腺機能亢進症や糖尿病などが多くみられます。

これらの病気によって代謝や肝臓の機能に影響を及ぼし、肝臓の負担が増してGGTが上昇するのです。

甲状腺機能亢進症では、代謝が異常に活発になるため、肝臓に過剰な負荷がかかり、肝酵素の異常が見られる場合があります。

糖尿病も肝臓に関連する合併症を引き起こすので、肝酵素の値が変動する原因です。内分泌疾患は猫の全身に影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療を受けましょう。

内分泌疾患が原因でGGTが上昇している場合は、ホルモン治療や食事療法が必要になる場合があります。

定期的な血液検査や尿検査を行い、内分泌系の健康状態をモニタリングすることが大切です。

先天性の疾患

6つ目に、猫のGGTが高くなる原因は先天性の疾患です。

先天性疾患は、肝臓や胆道系の構造的な異常や機能不全が原因で発症し、生まれつき肝臓に負担がかかりやすい状態になっています。

例えば、門脈シャントは、血液が肝臓を通過せずに体内を循環するため、肝臓の正常な機能が阻害され、結果的に肝酵素の異常が見られるのです。

先天性の異常は子猫のうちに診断される場合が多く、早期治療が求められます。先天性の肝疾患がある猫は、日常生活で肝臓に負担がかからない食事管理や適切なケアが必要です。

治療方法には外科手術や内科的な治療が含まれ、早期の診断と対応がその後の健康状態に大きく影響します。先天性疾患が疑われる場合は、専門的な診断と治療を受けましょう。

軽度であれば問題ないケースも

猫のGGTが基準値をわずかに上回っている場合、必ずしも深刻な疾患が原因とは限りません。

軽度のGGTの上昇は、ストレスや一時的な食事の影響、脱水など、比較的軽微な要因によっても引き起こされる場合があります。

軽度のケースでは、他の肝酵素値や猫の全体的な健康状態を総合的に評価することが重要です。

例えば、食欲や元気がある場合は、GGTのわずかな上昇は一時的なものであり、時間とともに正常範囲に戻る場合もあります。

ただし、軽度の上昇であっても、定期的に検査を行い、GGTの動向を確認することが重要です。

もしGGTの上昇が継続している場合や、他の症状が見られる場合は、早めに獣医師の診察を受けましょう。

軽度であっても長期間にわたる異常は潜在的な問題を示している可能性があるため、慎重に対応してください。

猫のGGTが高いときの対処法

次に、猫のGGTが高いときの対処法を紹介します。

  • フードやおやつを変える
  • サプリメントで補う
  • 定期的に血液検査で確認する
  • 病院で治療を受ける

それぞれ詳しく紹介するので、GGTが高いのに気づいた場合はすぐに実践してみてください。

フードやおやつを変える

まず、猫のGGTが高い場合、フードやおやつを変えましょう。

市販のキャットフードやおやつには、添加物や過剰な脂肪分、塩分などが含まれている場合が多く、肝臓に負担をかけてGGTを上昇させる要因となる場合があります。

まずは、猫に与えているフードの成分表を確認し、肝臓に優しい成分が含まれているかをチェックすることが重要です。

低脂肪・低塩分で、保存料や人工添加物が少ないナチュラルなフードが推奨されます。また、肝臓機能をサポートするために、特別な療法食を取り入れるのも一つの手段です。

肝臓ケア用に調整されたキャットフードには、肝機能をサポートする成分が豊富に含まれており、日常的な食事に切り替えるとGGTの改善が期待できます。

また、塩分や脂肪が多い食べ物は、猫の肝臓に大きな負担をかけるため、慎重に食事を管理しましょう。

サプリメントで補う

次に、猫のGGTが高い場合、食事の改善に加えて、肝臓の健康をサポートするためのサプリメントを活用しましょう。

サプリメントは、肝臓の解毒作用をサポートし、肝細胞の再生を促進する効果があるため、GGTの改善に役立つとされています。

サプリメントは、猫の肝臓に負担をかけずに必要な栄養素を補えるため、獣医師と相談しながら適切に使用することが重要です。

ただし、サプリメントは万能ではなく、過度に依存することは避けましょう。サプリメントはあくまで補助的な役割のため、食事や生活環境の改善と併せて取り入れてください。

また、猫に適した量や成分をしっかり確認し、過剰摂取を避けるようにしましょう。

定期的に血液検査で確認する

3つ目に、猫のGGTが高い場合、定期的に血液検査を行い、数値の推移を確認しましょう。

GGTの上昇は、肝臓や胆道の機能に何らかの問題が生じているサインであり、早期に問題を発見し、対処するためには定期的なモニタリングが不可欠です。

血液検査は、GGTだけでなく他の肝酵素も同時にチェックして、総合的に肝臓の健康状態を評価できます。

特に、GGTの上昇が軽度であったり一時的なものであったりする場合でも、定期的な検査を行うと問題の進行を防ぎ、早めの治療が可能です。

獣医師は検査結果をもとに、治療方針や食事内容の調整、サプリメントの導入など、適切なアドバイスをくれます。

また、急激な変化が見られた場合や、他の異常が同時に発見された場合には、追加の検査や治療が必要です。

病院で治療を受ける

最後に、猫のGGTが異常に高い場合、早急に獣医師の診察を受け、適切な治療を受けましょう。

GGTの上昇が肝疾患や胆管閉塞、腫瘍などに関連している場合、治療には薬物療法、外科手術、さらには食事療法などが行われます。

治療の種類は原因に応じて異なりますが、早期に治療を開始すると、肝臓のダメージを最小限に抑え、猫の健康の維持が可能です。

肝炎や胆管炎などの場合、抗生物質や抗炎症薬が処方される場合があります。また、肝臓の再生能力をサポートするために、肝臓保護剤が投与される場合も多いです。

場合によっては、腫瘍の摘出手術や胆管の通過を促すための処置が必要になることも考えられます。

さらに、点滴治療によって肝臓の負担を軽減し、解毒作用を助けることも一般的な治療法です。治療後は、定期的に健康状態を確認し、再発を防ぐための管理が欠かせません。

猫の肝酵素に関するよくある質問

最後に、猫の肝酵素に関するよくある質問を紹介します。

  • 猫のALTが高いときに考えられる原因は?
  • 猫の肝臓の数値が高いけど、治るの?

それぞれ詳しく回答しているので、今後の猫の健康のためにもぜひチェックしてください。

猫のALTが高いときに考えられる原因は?

猫のALTが高い場合、主に肝臓の異常が疑われます。ALTは肝臓に多い酵素であり、肝細胞がダメージを受けたときに血中に放出されるため、肝臓の何らかの問題を示しています。

ALTが上昇する原因は、肝炎や脂肪肝、肝硬変などの肝疾患です。特に、肥満の猫は脂肪肝のリスクが高く、ALTが上昇しやすくなっています。

他にも、感染症や中毒がALTの値を引き上げる原因となる場合もあるため注意が必要です。

例えば、誤って有毒な植物や薬を摂取した場合、急性の肝臓ダメージが起こり、ALTが急激に上昇する恐れがあります。

さらに、胆管閉塞や膵炎といった胆道系や他の臓器に問題がある場合もALTが高くなりやすいです。

疾患が肝臓に二次的な影響を与え、ALTが上昇するケースがあるため、総合的な検査を受けましょう。

猫の肝臓の数値が高いけど、治るの?

猫の肝臓の数値が高い場合、原因や重症度によって治療の予後は異なります。一般的に、肝臓は再生能力が高い臓器であり、適切な治療を行うと回復が可能です。

肝臓の数値が高い原因が一時的なものであったり、早期に発見されたりした場合は、治療によって肝機能が正常に戻ることが期待できます。

例えば、軽度の脂肪肝や一過性の肝炎であれば、食事療法や薬物療法で改善する場合が多いです。

しかし、肝硬変や進行した肝臓腫瘍など、重篤な病気が原因である場合は、完全な回復が難しい場合もあります。

これらの病気では、肝臓の機能が著しく低下しているため、治療によって症状を管理しつつ、猫の生活の質を保つことが目的となるケースも多いです。

また、慢性的な肝臓疾患に対しては、療法食やサプリメントを使用して肝臓の負担を減らし、進行を遅らせます。

まとめ

今回は、猫のGGTが高い原因について紹介しました。猫のGGTは食事や薬、疾患などの影響を受けて上昇します。

猫のGGTが高い場合は、食事を見直し栄養をサプリメントで補うことが大切です。また、定期的に血液検査を受け、少しでも疑われる場合は病院で治療を受けてください。

猫のGGTに着目して、猫の健康を維持できるように努めましょう。

RANKING
人気記事ランキング