【獣医師監修】猫と電車で移動する時のルールは?事前準備と注意点を解説

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はじめに

猫を飼っている飼い主さんのなかには、動物病院への往復や、旅行や帰省に猫を連れていこうとお考えの方も多いでしょう。

しかし、どのように乗せたらよいかわからないことも多いのではないでしょうか。

公共の交通機関なので、他の乗客の方に迷惑をかけないためにも決められたルールを事前にチェックしておかなければなりません。

そこで今回は、猫と電車で移動する際のルールや、事前準備、実際に電車に乗せる際の注意点などについてくわしく解説いたします。

猫を電車に乗せてもいいの?

猫は電車に乗せることができます。

ただし、猫を乗せるためには各鉄道会社で定められたルールや、他の乗客に迷惑をかけないためのマナーを守らなければなりません。

猫を電車に乗せて、乗車中にケージを開けたり、顔を出したりすることは禁止されています。

また、むやみに覗いたり、キャリーに手を入れたりして、猫が興奮しないようにしましょう。

公共の場所には、猫など動物が苦手な人や、体質的にアレルギーを持っている乗客もいる前提で乗らなければばりません。

猫を電車に乗せる時のルール

猫を電車に乗せるには、各鉄道会社で定められているルールに従わなければなりません。

基本的なルールとして、動物の種類、ケージのサイズ、総重量などが定められています。

このルールに従い、人間の乗車賃とは別に決められた料金を支払うことで電車に乗せることができます。

猫は「手回り品」扱いになる

猫などの動物を電車に乗せる際には、猫は生き物として扱われるのではなく、人間が持ち込む所有物として扱われます。

猫を電車に乗せる際には、動物の運賃ではなく、「手回り品」運賃が必要になります。

そのため、電車に乗る際に、ご自身の乗車切符と別に手回り品切符を買って乗らなければなりません。

手回り品切符は通常の自動券売機で買うことはできず、まず改札で駅員さんに実際にケージを見せて、規定内であることが確認できたら、手回り品切符を発行してもらう流れになります。

ペットを電車に乗せる際に、手回り品扱いになるのは、どの鉄道会社でも共通となっているので、覚えておくとよいでしょう。

定められたサイズのケージに入れる

手回り品として、猫を電車に乗せる際には、ケージの大きさが定められており、既定のケージより大きなものは乗せることができません。

この基準は各鉄道会社により定められていますが、JRだとタテ・ヨコ・高さの3辺の合計が120cm以内の動物専用ケースでかつ、猫の体重とケースを合わせた重量が10kg以内のものと定められています。

ケージのサイズを含めた基準は各鉄道会社により定められているので、利用する鉄道会社にあらかじめ確認する必要がありますが、おおむね上記のサイズが一般的となっています。

また、やわらかい素材のものや猫の形状がわかるものなども対象外となります。

動物が苦手な方やアレルギーの方への配慮から、しっかりとしたケージに収納されている動物のみが許可されています。

この規定から考えると、ノルウェージャンフォレストキャットなどの大型猫は重量超過の可能性があるので、注意しなければなりません。

料金は鉄道会社によって違う

料金に関しては、鉄道会社により異なり、有料と無料の鉄道会社があります。

JRでは、有人の改札でケージを見せ、問題なければ手回り品切符を290円で購入します。

東京近郊を走る私鉄などは、サイズや重量の規定はJRに準じている会社が多くなっていますが、手回り品の運賃が無料となっている鉄道会社もあり、乗車前に確認しておくことをおすすめします。

また、東京メトロや、大阪メトロなどの地下鉄は無料のところが多くなっています。

注意したいのが、無料の路線から有料の路線に乗り換えが発生する場合などです。

このような場合には、有料の路線では料金を支払わなくてはなりませんが、もしわからなかったときは、手回り品切符を購入しないまま乗車してしまわないよう乗り換えごとに、改札で駅員さんに確認してください。

電車でお出かけの際には、目的地までのルートでどの鉄道会社を利用して、どこが有料でどこが無料なのか事前に調べることが重要です。

猫を電車に乗せる前にやっておきたい準備

猫にとって、電車に乗ることは決して気分のよいものではなく、大きなストレスになってしまう子もいるでしょう。

不安でケージの中で暴れだしたり、声をあげて鳴きだしてしまうと、他の乗客の迷惑になってしまいます。

また、慣れないことで体調を崩してしまうことも十分に考えられるので、電車に乗せる予定が決まったらあらかじめやっておきたい準備について解説します。

ケージに慣れさせる

猫を運ぶためのケージやキャリーバックは普段から使い慣れているものを使用しましょう。

可能ならば、知らない人が目に入って不安にならないよう、外があまり見えないものがおすすめです。

猫を電車に乗せるためには、まずはケージに慣れてもらう必要があります。

そのためには、日頃から家にいるときでも、お出かけ用のケージやキャリーバックにおやつなどを置いて、入る習慣をつけておくとよいです。

猫にとって安心できる空間だと感じてもらえれば、ケージに対する抵抗が少なくなります。

また、運ぶケースは猫のサイズよりも大きすぎるものは避けてください。

猫は体よりも少し大きいくらいのほうが安心するので、できるだけ体のサイズに近いもので、安定感のある底のしっかりとしたものを選んでください。

底のしっかりしていないものだと、不安定で猫は落ち着きません。

しっかりと安定したつくりのものであれば、猫は中でくつろぐことができますし、床に置いた時でも、怖がらずに過ごすことができます。

猫が安心して過ごすために、普段使用しているタオルなど匂いのついているものがあれば、入れてあげるのも有効です。

興奮して暴れると、他の乗客の迷惑にもなりますし、猫自身も大きなストレスや、乗り物酔いで体調を崩してしまうことがあるので、可能な限りリラックスできる空間を作ってあげましょう。

電車に乗る2〜3時間前に食事を済ませておく

乗り物酔いを防ぐためにも、お出かけの2〜3時間前までには食事を済ませておいてください。

電車に乗る直前に食事を与えるのは乗り物酔いしやすいため、避けるべきですが、あまりにも早くあげすぎてしまうと空腹状態で、胃液を吐いてしまうことがあります。

いつもの食事の時間と多少ずれてしまっても、電車に乗る時間から逆算して2〜3時間前を目安に食事を与えてください。

猫と電車で移動するときにあると役立つグッズ

猫を電車に乗せる際に、さまざまな問題やトラブルが起きることも考えられます。

そのために、電車に乗る際に準備しておきたいグッズをご紹介します。

ハーネスとリード

室内で飼われている猫の場合、外に出ることはほとんどありません。

そのため、ケージに入って、どこかに連れていかれて、知らない人の声やあらゆる音などを感じることで猫はとても不安な状態にあります。

そのため、ケージを開けたタイミングで突然逃げ出してしまうことも考えられます。

猫が逃げ出してしまうと、なかなか見つけることも難しいですし、駅のホームなどで逃げ出した場合には、事故の可能性も十分にあります。

万が一に備えて、あらかじめハーネスやリードを用意しておきましょう。

ハーネスは、家を出るときから装着しておき、すぐに取り出せるところにリードを入れておけば、ちょっと様子を見るためにケージを開けて覗いたときも、脱走防止になるので、電車でお出かけの際に準備しておくと、いざというときに役立ちます。

また、首輪は猫の場合にはすぐに抜けてしまうのでおすすめしません。

ハーネスとリードを用意してください。

ペットシーツ

ペットシーツはケージの中に敷いておくと、おしっこを漏らしてしまったときや、乗り物酔いで吐いてしまった場合に、すぐに片付けができるので、用意しておきましょう。

もし、ペットシーツを汚してしまったら、そのままにせずにすぐに取り替えましょう。

汚れたシーツをそのままにしておくのは猫にとってストレスです。

お出かけする際には、替えも含めて数枚は用意してください。

エチケット袋

エチケット袋は、汚れたトイレシーツを入れておくために用意しておきます。

電車内に匂いが充満しないように、密封できるタイプのものがおすすめです。

ペットシーツ同様、こちらも複数枚用意しておくとよいでしょう。

ウェットティッシュ

ウェットティッシュも、乗り物酔いや体調不良でケージや猫自身が汚れてしまった際の片づけに必要になります。

ケージなどを拭くにはアルコールのもので構いませんが、猫を拭いてあげるときはアルコールの入っていないペット用のウェットティッシュを使用してください。

普段と違う環境で、緊張状態にある猫はいつもよりも喉が渇いていることがあるので水はいつでも飲めるよう準備してください。

特に夏場は、外の気温やケージに入っていることで、家にいるよりも暑くなることがあるので、熱中症や脱水症状を引き起こすことのないよう定期的に水を飲ませるようにしてください。

電車の中で与えるならばスポイトなどを用意しておくとよいですが、飲まない場合があるので、手荷物に余裕があるなら、普段使用している食器があると猫も安心できるので用意しておくとよいかもしれません。

電車を降りたタイミングで水分補給をしてあげてください。

おやつ・キャットフード

長時間のおでかけや、車内で猫が興奮して鳴いてしまっている場合などに、気分転換におやつやキャットフードを与えると収まることがあります。

注意しなければならないのは、せっかく乗り物酔い防止のために食事を事前に済ませているので、あくまで気分転換程度にとどめて、たくさん与えるのは避けてください。

また、乗り物酔いで嘔吐している場合には、少量でも与えるのはやめておきましょう。

お気に入りのおもちゃやタオル

猫は自分の匂いのついているものが近くにあると安心します。

環境が変わる不安な状態でも、いつも使い慣れているおもちゃや、タオルがあるとリラックスしやすくなるので、いつも使用しているものをケージの中にいれておくことをおすすめします。

ポータブルトイレ

長時間の外出ならば、トイレの不安もあると思います。

愛猫にお出かけのストレス以外にトイレまで我慢させたくはないでしょう。

そんなときは、ポータブルトイレを持参すれば安心です。

ポータブルトイレは、折り畳み式のコンパクトなトイレですが、広げると一般的な猫のトイレくらいのサイズがあるのでお出かけにはとても便利です。

電車移動に限らず、お出かけ先でもとても便利なグッズなので、猫を連れてお出かけをお考えの飼い主さんはポータブルトイレを1つ持っておくとよいでしょう。

猫用の酔い止め

はじめて電車に乗る場合や、前回乗り物酔いになってしまった子には、乗り物酔いの薬を持参しましょう。

前回酔っているならば、お出かけ前にあらかじめ飲ませておけば辛い思いをさせなくて済みます。

短時間ならば必要ないかもしれませんが、長時間乗る予定があるときなどは事前に動物病院で処方してもらっておくと安心です。

猫と電車で移動する時の注意点

猫と電車で移動するときは、思いがけないトラブルや、急に体調を崩してしまうことも想定しておかなければなりません。

電車に乗って移動する際に注意しておきたい点をまとめました。

頻繁に鳴く時は一度電車から降りる

電車に乗ってすぐは、猫もびっくりして多少鳴くこともあるかもしれません。

しかし、時間が経ってもずっと鳴いている場合には、一度電車を降りた方がよいでしょう。

他の乗客の迷惑になりますし、猫になにかトラブルがあったかもしれません。

一度降りて、脱走されないよう慎重にケージの中を確認してください。

おしっこや嘔吐などをしているようであれば、ケージ内をきれいに片づけてから少し時間をおいて出発しましょう。

特に嘔吐をしているときは乗り物酔いで体調が悪くなっていることがあるので、しっかりと様子を見て少し落ち着くまではそっとしておきます。

体調も悪くなく、ただ鳴いている場合には、電車に乗るのを嫌がって抵抗していることがあるので、使い慣れているおもちゃをケージに入れたり、少量のおやつで気を紛らわせたりして静かになるかよく観察してあげてください。

周りの人への配慮を忘れずに

猫を電車に乗せる際に、周りの人への配慮を忘れてはいけません。

当たり前のことですが、乗車中は猫を絶対にケージから出さないでください。

基本的に動物は手荷物扱いのため、きちんとケースに入れておくことが定められています。

また、脱走の危険性もあり、猫が逃げ出してしまえば車内が大混乱になってしまいます。

これは、駅のホームでも同様です。

万が一、駅のホームで脱走してしまえば、事故の危険性が高まるだけでなく、電車をストップしてしまうことにもなりかねません。

次に猫が鳴くからといって、ケージを頻繁に開けるのもよくありません。

猫に触れていると、毛が舞うことがあります。

乗客の中には猫アレルギーの人が乗っているかもしれません。

車内で発作をおこしてしまうことがあるので、できるだけ車内で猫に触れるのは避けましょう。

乗る時間帯にも配慮が必要です。

朝や夕方の通勤ラッシュにケージを持って猫を電車に乗せるのは、他の乗客とトラブルになる可能性もありますし、猫にとっても人がぶつかってくるなど静かに過ごすことができないので、可能な限りラッシュ時間は避けた方がよいでしょう。

もし、電車に乗せて猫が鳴いたり暴れたりするようでしたら、一度電車を降りて猫を落ち着かせてください。

まとめ

猫を電車に乗せるときのルールや注意点について解説いたしました。

猫は環境の変化にとても敏感な動物で、いつもと違うことに強いストレスを抱えます。

猫を連れて電車に乗る際には、慣れていない場所へ行くだけでなく、いろいろな人の声や物音によって猫がパニックになることも考慮しておかなければなりません。

乗客の人がみなさん猫好きとは限らないため、周囲への配慮が必要となります。

ケージは膝の上や、他の乗客の邪魔にならない場所に置く、毛が舞わないようケージは閉めておく、もし鳴き声が止まないようなら一度電車を降りる、などの対応が必要です。

また、猫にとっても慣れない電車で、体調を崩してしまうこともあるので、電車に乗せる際には時間に余裕をもってお出かけすることをおすすめします。

猫も人間もストレスなく電車に乗れるよう、当記事を参考にしていただけると幸いです。

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