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はじめに
ベンガルはベンガルヤマネコとイエネコの血を引く猫種で、ヒョウ柄模様が特徴です。
野生味あふれるワイルドな見た目と寛容で甘えん坊な性格にギャップがあることから人気があります。ベンガルの健康を守るためには適正体重を理解して飼育しなければいけません。
この記事では、ベンガルの理想的な体重から、適切なフード選び、痩せすぎや太り過ぎを防ぐ方法を、獣医師監修のもと詳しく解説します。この記事を通じて、ベンガルがより健康的に成長できれば幸いです。
ベンガルの標準体重
一般的な猫より一回り大きいロング&サブスタンシャルタイプ(とても大きい猫)に分けられるベンガルは、体格の割に頭部は小さめの個体が多いといわれています。
ベンガルの成猫時の標準体重は約3kg~8kgです。
ベンガルのオスの標準体重
オスのベンガルの平均的な体重は約5kg〜8kgで、それ以上大きくなる個体も少なくありません。
一般的な猫の標準体重は約3.6kg〜4.5kgといわれているので、体重だけみてもひとまわり大きい猫だとわかります。
ベンガルのメスの標準体重
ベンガルのメスの標準体重は約3kg〜5kgほどで、オスより少し軽めです。
ベンガルの子猫の標準体重・体長
ベンガルの子猫の頃は標準体長が約20cmで、標準体重約1kg〜1.5kgです。
市場で出回り始める一般的な子猫は生後3ヶ月くらいで約1kg〜1.5kgなため、子猫の段階では一般的な猫とさほど変わらない大きさです。
ベンガルはこの1年からそれ以上の月日をかけて、一般的な猫より少し大きく成長します。
ベンガルの成猫の標準体重・体長
一般的な猫は1歳で成猫の体重になり、それ以上は成長が止まる猫種がほとんどです。しかし大型のベンガルは、1歳をすぎてもゆるやかに成長して一般的な猫より一回り大きな体が作り上げられます。
ベンガルの標準体長は約55cm〜80cmで、標準体重は約3kg〜8kgです。
ただし、この数字は平均的な目安であり、個体差もあることを覚えておきましょう。
ベンガルの老猫の標準体重・体長
どの猫種も7歳を超えると「シニア期」、15歳を超えると「ハイシニア期」といわれます。
猫はシニア期に入ると徐々に代謝も落ち、太りやすくなってきます。それに伴い筋力も落ちてくるため、活動量が減り、生活面でも落ち着きが増してきたと感じられそうです。
シニア期に入ると、体重は徐々に落ち着いてきます。一般的な猫が8歳〜9歳で4kg前後まで体重が落ちてくるため、少し大きめのベンガルはそれよりも体重が重たいくらいと考えてよさそうです。
ベンガルの肥満の目安となる体重はどれくらい?
肥満の目安となる体重は、平均体重より重たいかどうかなどが判断基準となりますが、体重の数字だけでなく、体の脂肪のつき方や量を評価する、ボディコンディションスコア(BCS)も判断基準として役立ちます。
BCSは1から5のスケールで表されます。1が極端に痩せている状態で、5が極端に肥満な状態です。理想的なBCSは3で、肋骨は触れられるが見えなかったり、上から見た時に肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見えたり、横から見たら腹部の吊り上がりや脇腹にひだがある状態を指します。
肥満の目安となるのはBCSが4以上です。このスコアは、肋骨が触りにくかったり、触られなかったりする状態をいいます。BCSが5になってくると、肋骨は厚い脂肪に覆われており、簡単に触れられなかったり、横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない状態です。腹部のひだも目立ち、歩くと揺れるようになっています。
猫も人間と同じで、肥満になると健康リスクが高まります。そのため初期段階での対策が必要です。
ベンガルのオスでみてみると、標準とされる約5kg〜8kgが範囲内と考えられますが、体重や大きさは個体差もあります。
体重と共にBCSも参考にしつつ、適切な運動、適切な食事量、質の高いフード選びを心掛け、肥満を防ぎましょう。
ベンガルのフード選びのポイント
ベンガルの適切なフード選びは、健康と活力を維持するためには不可欠です。
活発な性格と、体質を考慮し、栄養バランスが整ったフードを選びましょう。
ドライフードとウェットフードをバランス良く与える
猫のエサは、ドライフードとウェットフードにわかれます。両方のバランスを考え組み合わせて与えることは、ベンガルの健康を維持するために重要です。
ドライフードは栄養がしっかり計算されて作られていたり、保存が利いたりととても便利なフードです。ウェットフードより比較的価格も抑えられて購入できます。
ウェットフードはタンパク質や脂肪酸が豊富で、自然な形の栄養素を与えてくれます。両方をバランスよく組み合わせて、より健全な食生活をサポートしましょう。
また、あまり水分を取らない猫にとって、ウェットフードを食べることで食事からも水分が補給できます。
水分の補給は、腎臓病や尿路結石といった一般的な健康問題の予防に役立ちます。
成長段階に合わせたフードを選ぶ
猫は成長段階で異なる栄養を必要とします。そのため、ライフステージに合わせたフード選びが重要です。
子猫期から成猫期、さらには老猫期に至るまで、その時々の健康を支えるために最適な栄養バランスを提供していきましょう。
子猫期のおすすめのフード
子猫期は成長がとても著しい時期です。この時期には適切な栄養が必要となります。
栄養バランスの取れた食事は、健康維持と美しい被毛を維持するのに効果的です。フードにはそれぞれ、何が含まれているか、どれくらいの年齢の猫に適しているかなどが記載されています。
子猫期には、子猫用のタンパク質が豊富でカロリーや栄養価が高いものを選んであげましょう。
1歳になるまでは、タンパク質が多く栄養価の高いフードを選び、1歳を超える成猫期に入るころから、成猫用に切り替えましょう。
また、どの猫種も子猫のうちは一回にたくさんのフードが食べられません。そのため、最初は1日3回〜、生後半年をすぎたら1日2回のペースで与えるのがおすすめです。
成猫期のおすすめのフード
成長期は大体1歳〜7歳くらいまでの猫を指します。
運動量の多いベンガルには、タンパク質と脂質がしっかりとれるフードがおすすめで、栄養素がしっかりコントロールされている「総合栄養食」を選びましょう。
猫は1日に必要なエネルギー量が決められています。その量を超えてしまうような食生活ばかり送っていると、肥満のリスクが高まります。
飼い主はおやつも1日のエネルギー量の計算に入れ、与えすぎないように注意が必要です。
また、肥満にならないようしっかり遊んだり、家の中を動き回れるように工夫してあげたりして、適度な運動をさせることが肥満の対策になります。
老猫期のおすすめのフード
老猫期は成猫期と比べて1日のうち寝ている時間が増えてきます。
代謝も落ち活動量も減り、1日に必要とするカロリーも減ってくるため、老猫期に合ったフードに変えていかなければいけません。
高齢期用のものは、脂肪の割合が抑えられており、低カロリーでありながら、必要な栄養をしっかり摂取できるよう作られています。また、消化を助ける成分が含まれたものもあるため、老猫期には適したフードへ早めに移行した方がいいでしょう。
また、水分量の多いウェットフードを取り入れることで、水分摂取が不足しがちな高齢猫にとって、脱水状態の予防と腎臓の健康に役立ちます。
栄養素に注意する
ベンガルは筋肉質でスリムな体型を維持するために、高タンパク質の食事が必要です。
そのため、毎日の食事からタンパク質がしっかり摂取できるものを選ばなければいけません。タンパク質と同じようにエネルギー源となる脂質や、一定の炭水化物も重要です。
また、ビタミンやミネラルを一緒に摂取することで、栄養バランスの乱れも防げます。
もちろん骨を作るためのカルシウムやリンもバランスよく必要です。
成猫になってからももちろん大切ですが、1歳までにどのような食事をとってきたかにより、大きくガッシリした体型に成長できるかが決まってきます。
痩せすぎの原因と対処方法
痩せすぎの原因はさまざまな要因があります。
それぞれに合った適切な対処法を見つけるために、まずは原因を正確に特定しましょう。この章では、痩せすぎの一般的な原因とそれぞれの対処方法について詳しく解説します。
痩せすぎの原因
痩せすぎには、病気やストレスなどの原因が隠れています。それらを理解し、適切な対応が求められます。
病気
猫が痩せすぎている場合、まずは病気を疑う必要があります。
病気にも2つのパターンがあり、食欲はあるのに痩せていく病気と、食欲も元気もなく痩せていく病気にわかれます。様子を見る程度で問題ない場合もありますが、早めの対処が求められる怖い病気が隠れている場合があるため注意して観察しましょう。
糖尿病の場合食欲はありますが、体が糖をうまく利用できないようになる病気なので、さまざまな代謝異常が生じます。そのため、初期の段階では多食や多飲多尿の症状があらわれます。
呼吸器疾患は、感染症や歯周病、異物などの口や鼻のトラブルを患っている場合におこります。猫は嗅覚が低下すると食欲が減少することが原因です。
ストレス
環境の変化や身体的ストレスによって、普段より消費カロリーが増えることで、一時的に食事量が増える場合があります。増えるだけで徐々に落ち着いてくれば問題ありませんが、ストレスが胃腸に影響してくると、吐き気や下痢、食欲不振などに発展しかねません。
フードが合っていない
単純に、フードを与える量が少なく栄養やカロリーが足りていない場合が考えられます。
また、成長により体が求める栄養をバランスよく摂取できていないのかもしれません。
対処方法
痩せすぎの原因にはさまざまな病気や要因が考えられます。適切な対処をして、健康を取り戻しましょう。
与えるフードの種類や量を見直す
まずは普段どれくらいの量を与えているか計算してみましょう。それぞれのフードのパッケージには、月齢にあった1回の量が示されています。確認して規定量を与えてみましょう。
フードが好みではない可能性も考えられます。種類を変えてみると、食べてくれるようになるかもしれません。
食事に興味を示してくれない場合は、香りが高く、食べやすいウェットフードを加えてみると食欲を促進する効果があります。ウェットフードは同時に水分摂取もできるためおすすめです。香りが立つように少し温めて与えるのもよい方法です。
1回の量をいっきに食べられない個体もいるため、1回に与える量を少なくし回数を増やして与えるなどの工夫をしてみると良いでしょう。
何らかの病気の可能性
猫が痩せてくると病気の可能性も考えなくてはいけないものです。
発情期など、原因がわかっているものはそのまま様子をみましょう。食事量が元に戻ってきたり、体重が戻ってきたりする場合は問題ありません。
しかし、嘔吐や下痢をしていて食欲が減っていたり、水の飲む量が増えてきたりしている場合や、おしっこの量が増えたり極端に少なくなったりする場合には、早めに動物病院を受診してください。
猫の異変に1番に気付けるのは、普段から一緒に生活している飼い主だけです。
太り過ぎの原因と対処方法
太り過ぎにも個体差はありますが、標準体重と比べて明らかに増えていたり、BCSを参考にしたときにあきらかにスコアが高い場合は、健康のためにも原因を探り、対処方法を考えなくてはいけません。
太り過ぎの原因
太り過ぎは、健康問題のリスクが高まります。
さまざまな原因があり、それらを理解することが対処の一歩です。
カロリーオーバー
太り過ぎの最も一般的な原因はカロリーオーバーです。み
消費するエネルギーよりも多くのカロリーを摂取している状況ではカロリーオーバーになって当然です。またおやつの与えすぎも原因の一つといえます。
おやつは日々の食事の全体カロリー摂取量に含めなければいけません。過剰なおやつは肥満のリスクを高める可能性があるため、総カロリー数の10%未満に抑えましょう。
運動不足
野生味溢れるベンガルは、運動量が一般的な猫と比べて圧倒的に多い猫種です。室内でも、本能的に走り回り、高いところに登ったりジャンプしたりします。
そのため活動量が少ない室内飼いの場合には運動不足の可能性が考えられるでしょう。
運動量が不足すると、消費カロリーが減りエネルギーが脂肪として体に溜まりやすくなり、徐々に体重増加へとつながります。
避妊・去勢手術
避妊や去勢手術は、ベンガルに限らず全ての猫種に太り過ぎの影響を与える要因です。
手術を行うと、猫のホルモンバランスが変化して、代謝率が低下することがあります。また、手術後は運動量が自然と減少する傾向にあることも、体重増加の一因です。
体重増加を防ぐために、積極的に運動する機会を与えましょう。
ストレス
ストレスが高まると、人間と同じような「ストレス食い」が原因で体重が増えることがあります。猫のストレスは、引っ越しや同居ペットとの関係など、飼育環境から来ることがあります。また、ほかの猫種と比べると視覚、聴覚、嗅覚が発達しているといわれているベンガルは音に敏感です。一緒に生活する上で、生活音があまりにも気になる環境はストレスに繋がる場合があります。
まずはストレスの原因を特定し、それを取り除くことが重要です。急に大きな声を出したり、大きな足音を立てたりすることや、ドライヤーや掃除機の音もうるさく感じる場合もあります。
ベンガルが安心してリラックスできる環境を整え、定期的な遊びや運動でストレスを軽減してあげましょう。
猫の肥満対策
室内飼いの場合、運動不足になりがちです。遊んであげる時間を増やしたり、自然と運動ができる環境を整えたりする必要があります。
ベンガルの場合、一般的な猫より圧倒的な運動量を必要とします。キャットタワーのような上下運動ができるものを増やしたり、広い飼育スペースで思い切り走り回れるようにしてあげるのも肥満の対策となります。
対処方法
対処方法を実際に試して、太りすぎを解消してあげましょう。
フードは決まった量を与える
まずは1日の総摂取カロリーを管理することから始めます。
置きエサなど多めに与えることは避けましょう。また、人の食べ物には猫にとって有毒となるものや、塩分や糖分、カロリーが高すぎるものがほとんどなので、与えないようにしましょう。
運動量が増えるようにたくさん遊んであげる
ベンガルを飼育するためには、広いスペースとキャットタワーやキャットウォークなどを設置して、室内でしっかり運動できる環境を整えてあげることから始まります。
食事を見直す以外に、適度な運動をさせることも肥満の対処法の一つです。普段から適度な運動をさせていると感じているかもしれませんが、運動量の多いベンガルにとっては足りていないのかもしれません。
ベンガルは人とのコミュニケーションを好む猫種です。おもちゃを使ってたくさん遊んであげましょう。1日最低でも10分以上は相手をして、刺激することが大切です。
しかし、猫は長い時間運動することは苦手といわれています。太りすぎている場合には、短い時間の運動を1日に複数回に分けてするように促すと良いでしょう。
まとめ
この記事では、ベンガルの適正体重とそれを維持する重要性について詳しくまとめました。
健康的な体重を保つためには、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動、普段からの体の状態を観察することが不可欠です。
愛猫の健康を守るために、これらをぜひ参考にしてみてください。