ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
猫は歯の状態によって抜歯が必要になりますが、猫の今後の生活が心配になりますよね。
猫は抜歯しても食事など普段の生活を送れますが、飼い主は日頃から猫の歯の健康を守るために予防することが大切です。
今回は、猫の抜歯にかかる費用はどれくらいか紹介します。
抜歯の必要があるケースや猫の歯を守る方法を解説するので、猫が抜歯しなくても大丈夫なようにサポートしましょう。
猫の抜歯にかかる費用はどれくらい?
まず、猫の抜歯にかかる費用について紹介します。費用は治療法や抜歯する場所によっても変わってくるので詳しくみていきましょう。
1本当たり3,000円〜12,000円程度
猫の抜歯にかかる費用は、1本あたりおおよそ3,000円から12,000円程度が相場です。抜歯の費用は、歯の状態や通う動物病院の場所や設備によって大きな幅があります。
乳歯の抜歯の場合は比較的安価で、3,000円程度で済む場合が多いですが、重度な歯周病などの場合は費用が12,000円以上になるケースもあります。
特に歯の状態が深刻であり、感染症や歯根の処理が必要となる場合、手術自体が複雑化するため、コストが上がる可能性が高いです。
また、抜歯の対象が複数の歯にわたる場合や、抜歯後に追加の処置が必要な場合も費用は増加します。
レントゲンや全身麻酔の費用も別途必要
猫の抜歯手術では、抜歯そのものの費用に加えて、レントゲン検査や全身麻酔の費用が別途必要です。
レントゲンは、歯の状態を詳細に確認し、どの歯を抜くべきかや歯根の状態を判断するために欠かせません。
レントゲン検査の費用は、一般的には5,000円から10,000円程度が相場です。
また、猫は人間と違い、部分麻酔ではじっとしていられないため、全身麻酔をかけると痛みを感じず、動かない状態で安全に手術できます。
全身麻酔の費用も、病院によって異なりますが、10,000円から30,000円程度が一般的です。
抜歯をする場所によっては高額になる場合も
猫の抜歯にかかる費用は、抜歯する歯の場所や状態によっても費用が変動します。
奥歯や歯根が深い部分にある歯を抜く場合は、技術的に難しいため、手術時間も長くなり費用がかかることが多いです。
そのため、事前に動物病院でしっかりと治療内容や費用についての説明を受けましょう。
また、手術を行う場所や病院によっても大きく異なります。一般の動物病院では通常の抜歯手術は対応可能であり、費用がおさえやすいです。
専門施設では、通常の抜歯よりも精密な技術や特殊な機器を使用するため、その分費用も高額になりやすくなっています。
猫の抜歯手術を行う方法
次に、猫の抜歯手術を行う方法を紹介します。順番に行う内容を紹介しますので、猫に抜歯が必要になった場合にどのような流れで行うのかチェックしましょう。
術前の検査
まず、猫の抜歯手術を行う際には、術前の検査が欠かせません。検査の目的は、全身麻酔や手術に耐えられるかどうかを確認することです。
一般的に行われる術前検査には、血液検査やレントゲン検査、場合によっては心電図検査などが含まれます。
術前の検査により、猫の全体的な健康状態、特に心臓や腎臓、肝臓の機能を把握することが可能です。
もしも臓器に問題がある場合、手術中のリスクが高まるため、麻酔の方法を調整する必要があります。
検査の結果によっては手術の延期や別の治療方針が必要になるので、安心して手術に臨むために必ず実施しましょう。
手術前に絶水・絶食する
次に、猫が抜歯手術を受ける際、手術前に必ず絶水・絶食を行いましょう。絶水や絶食は全身麻酔を使用する際の安全性を確保するために必要になります。
絶食・絶水が必要な理由は、麻酔中に嘔吐が起こった場合、胃の内容物が気管に流れ込むと窒息や誤嚥性肺炎などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあるためです。
具体的には、手術の前日の夜から食事を与えないようにし、通常は手術の6〜8時間前から水も飲ませないようにしましょう。
絶食時間については、動物病院の指示に従うことが重要です。猫によっては絶食や絶水に対して強いストレスを感じる場合もあります。
全身麻酔をする
3つ目に、猫の抜歯手術では、全身麻酔を行います。
猫は非常に敏感な動物で手術中にじっとしていられないため、全身麻酔で痛みを感じず安全に手術が行える環境を整えることが可能です。
麻酔は、猫の体重や健康状態、手術の内容に合わせて慎重に選ばれ、適切な量が投与されます。
全身麻酔を行う際には、術前の検査結果を基に、猫の心臓や肝臓、腎臓の状態に問題がないか確認することが重要です。
麻酔の投与は通常、静脈内に注射する方法や吸入麻酔を使用しますが、猫が呼吸を確保できるように気管チューブが挿入されます。
状態によっては入院が必要
猫の抜歯手術後、状態によっては入院が必要です。
抜歯手術後の猫は麻酔が完全に覚めてから帰宅できますが、猫の体調や手術の内容によっては、入院して経過観察を行うことが推奨される場合もあります。
特に、複数の歯を一度に抜歯したり、重度の歯周病や感染症があったりする場合には、術後のケアが重要です。
入院の理由としては、麻酔からの回復が遅れている場合や、術後の痛みや出血がコントロールされていない場合が挙げられます。
入院が必要な場合は、費用や期間についても事前に相談し、猫の回復を見守るための準備をしておきましょう。
猫は虫歯になるの?
猫は虫歯になるのか気になる方は多いと思いますが、基本的には虫歯になりません。理由について詳しくみていきましょう。
猫は基本的に虫歯にならない
猫は人間のように虫歯になりにくい動物です。主な理由は、猫の食生活と口腔内の構造にあります。
まず、猫は基本的に肉食動物であり、糖分の多い食べ物を摂取しません。
人間の場合、糖分が口内の細菌と反応し、酸を生成して歯のエナメル質を溶かし虫歯を引き起こしますが、猫の食事は糖分が少ないため、リスクがほとんどないのです。
さらに、猫の唾液のpH値も虫歯予防に貢献しています。猫の唾液はアルカリ性に近く、口内の環境が虫歯を引き起こしにくい状態に保っているのです。
また、猫の歯は尖っており、食べ物が歯に詰まりにくい形状になっています。
歯の黒い点は汚れの場合も
猫の歯に黒い点やシミのようなものが見られた場合、必ずしも深刻な問題を意味するわけではありません。
多くの場合、黒い点は汚れや歯石が蓄積した結果である場合が多いです。特に、猫の歯に歯垢がたまって歯石になると、歯の表面に黒や茶色の点や線が現れる場合があります。
歯の黒い点は自然な現象ですが、定期的な歯磨きやクリーニングを怠ると、歯石がどんどん積み重なり、口内環境に悪影響を及ぼすので注意が必要です。
飼い主は猫の歯に黒い点が見つかった場合、まずは歯磨きやデンタルケアを行い、汚れを取り除くことから始めましょう。
猫が抜歯を必要とするケース
次に、猫が抜歯を必要とするケースを紹介します。
- 重度の歯周病
- 歯の損傷
- 歯頚部吸収病変
- 根尖膿瘍
- がん
- 過剰歯
- 歯並びや噛み合わせの問題
それぞれ詳しく紹介するので、愛猫が当てはまるかチェックしましょう。
重度の歯周病
まず、猫に抜歯が必要なのは重度の歯周病の場合です。歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が蓄積し、歯茎に炎症を引き起こします。
初期段階では歯茎の赤みや腫れが見られる程度ですが、進行すると歯を支える骨が侵され、歯が揺れ始め、最終的には抜歯が必要になるのです。
特に、高齢の猫は免疫力が低下しているため、歯周病が進行しやすく、抜歯を避けられないケースが増加します。
歯周病は放置すると、痛みや不快感だけでなく、食事がしにくくなる、体重が減少するなど、全身の健康にも影響を与える可能性があるので注意が必要です。
さらに、炎症が慢性化すると、細菌が血流に乗り、心臓や腎臓などの重要な臓器に悪影響を及ぼす場合もあります。
歯の損傷
次に、猫に抜歯が必要なのは歯を損傷しているケースです。猫が歯を損傷する原因として、硬いものをかじる、事故、あるいは加齢による弱化が挙げられます。
特に硬いおもちゃや乾燥した骨、硬いキャットフードなどは、歯が割れたり欠けたりしやすいです。その中でも奥歯に負担がかかりやすく、歯の破損が起きやすくなっています。
損傷した歯は、痛みや不快感を引き起こし、猫の食欲や生活の質に大きな影響を与えるため、迅速な対応が必要です。
損傷が軽度の場合は、抜歯せずに治療できますが、歯科専門病院での治療が必要になる場合が多いです。損傷が重度の場合は抜歯が必要になります。
放置すると感染症や炎症が広がり、痛みが悪化するため、早期に動物病院での診察をうけましょう。
歯頚部吸収病変
3つ目に、猫に抜歯が必要なのは歯頚部吸収病変を発症しているケースです。歯頚部吸収病変は、猫に特有の歯の疾患で、歯の根元が溶けていきます。
歯頚部吸収病変は、初期に発見が遅れる場合がありますが、進行すると歯がもろくなって痛みを伴い、最終的には抜歯が必要になるので注意が必要です。
歯頚部吸収病変は、歯の表面が溶けて穴が開き、内部の神経が露出して強い痛みを引き起こします。猫が痛みを感じると、食欲が低下し、食べ物を避けるケースが多いです。
歯頚部吸収病変は原因がはっきりしておらず、予防が難しいため、定期的な歯科検診を受けましょう。
歯頚部吸収病変はレントゲン撮影で診断される場合が多く、進行が進んだ場合は抜歯が必要になります。
根尖膿瘍
4つ目に、猫に抜歯が必要なのは根尖膿瘍を発症しているケースです。根尖膿瘍は歯の根元に膿が溜まる感染症で、歯の抜歯が必要になります。
通常、根尖膿瘍は歯周病や歯の損傷が原因で細菌が歯の根に入り、感染を引き起こす場合が多いです。
膿が溜まった状態は、猫にとって非常に痛みを伴うものであり、顔の腫れや食欲不振、体重減少といった症状が見られます。
根尖膿瘍は早期に治療しないと、膿が歯の周囲の骨にまで広がり、より深刻な状態になるので注意が必要です。
膿瘍の治療には抗生物質の投与が行われます。飼い主は、猫が突然顔を腫らしたり、食事を避けるようになったりした場合は、すぐに動物病院での診察を受けましょう。
がん
5つ目に、猫に抜歯が必要なのはがんを患っているケースです。特に、扁平上皮がんなどの口腔がんが発生すると、歯や歯茎に影響を与え、抜歯が必要になる場合があります。
がんは猫の口腔内に腫瘍として現れるケースが多く、症状は痛みや腫れ、出血などです。
初期の段階では気づきにくい場合が多いですが、進行すると食事が困難になり、体重減少や口臭が強くなるといった症状が見られます。
口腔内のがんの治療には、外科手術や放射線治療、化学療法が行われますが、がんが周囲の組織に影響を及ぼしている場合、抜歯が避けられない場合があります。
猫が口元を痛がる様子や、異常な腫れが見られた場合は、すぐに動物病院での検査を受けましょう。
過剰歯
6つ目に、猫に抜歯が必要なのは過剰歯です。過剰歯とは、通常よりも多くの歯が生える状態を指します。
猫の口の中に本来の数以上の歯が生えると、噛み合わせが悪くなったり、隣接する歯に圧力がかかったりするのです。
その結果、歯周病や歯の損傷が引き起こされる場合があり、痛みや不快感を伴います。
また、過剰歯だと歯石や歯垢がたまりやすくなり、口内環境が悪化する原因にもなりやすいです。過剰歯が猫に不調を引き起こしている場合には、抜歯が治療法として適しています。
過剰歯は見た目では判断しにくいこともあるため、定期的な歯科検診が不可欠です。
歯並びや噛み合わせの問題
最後に、猫に抜歯が必要なのは歯並びや噛み合わせに問題がある時です。
特に、上下の歯が正しく噛み合わない状態は、食事をしにくくしたり、歯や歯茎に過剰な負担をかける原因になったりします。
噛み合わせが悪いと、歯がすり減ったり、歯周病を引き起こしたりするリスクが高いです。
こうした状態を放置すると、猫の生活の質が低下し、さらなる健康問題を引き起こす可能性があります。
噛み合わせの問題を解消するためには、歯の一部を抜いて、口内全体のバランスを改善することが効果的です。
飼い主は、日常的に猫の食事の仕方や口の中の異常を観察し、問題があれば早めに獣医に相談しましょう。
猫の歯の健康を守るためにできるホームケア
次に、猫の歯の健康を守るためにできるホームケアを紹介します。
- 定期的に歯磨きする
- デンタルケア用おやつやフードを取り入れる
- 定期的に歯科検診を受ける
- 水分をしっかり取らせる
それぞれ詳しく紹介するので、猫の歯のために日頃から実践してみてください。
定期的に歯磨きをする
まず、猫の歯の健康を保つためには、定期的に歯磨きをしましょう。歯磨きによって歯垢や歯石の形成を防げて、歯周病の予防にもつながります。
ただ、猫が歯磨きを嫌がる場合もあるので、対処法を詳しくみていきましょう。
歯磨きを嫌がる場合はデンタルジェルが便利
歯磨きに慣れていない猫や、どうしても歯ブラシを嫌がる猫には、デンタルジェルを使うのがおすすめです。
デンタルジェルは、歯磨きの代わりに猫の口の中に塗布すると、口内の細菌を減少させ、歯垢の形成を防ぐ効果があります。
猫の好む味がついたものも多く、抵抗なく使える場合が多いです。また、歯ブラシと違い、直接口の中をこすらないため、猫がストレスを感じにくくなっています。
使い方は簡単で、歯に直接塗るか、指やガーゼにデンタルジェルをつけて猫の歯茎に優しく塗り込むだけです。
定期的に使用すると口内環境を改善し、歯の健康を保つことができます。
デンタルケア用おやつやフードを取り入れる
次に、猫の歯の健康を守るためにはデンタルケア用のおやつやフードを取り入れましょう。
デンタル用おやつやフードは、硬さや形状が歯に適度な刺激を与え、噛むと歯垢を取り除く働きがあります。
また、特定の成分が歯石の形成を抑える効果を持つものもあり、日常的に食事やおやつとして与えると、猫の歯の健康を維持することが可能です。
ただし、デンタルケア用のおやつやフードはあくまで補助的な役割で、歯磨きや定期的な検診と併せて行いましょう。
デンタルケアをしながらも、猫の食生活がバランスよく健康的であるか確認し、適切な量を与えることが大切です。
定期的に歯科検診を受ける
3つ目に、猫の歯の健康を守るためには、定期的に歯科検診を受けましょう。
猫は口の中の痛みや不調を隠す傾向があるため、飼い主が気づく頃には歯周病や歯の損傷が進行している場合が多いです。
定期的な歯科検診では、歯石の除去や歯の損傷の有無、歯茎の炎症などを早期に発見してくれます。
特に、高齢の猫や歯磨きを嫌がる猫は、歯科検診がさらに重要です。歯科検診は年に1回程度を目安に受け、歯の状態が悪い場合はさらに頻繁に受けましょう。
早期に問題を発見すると、重篤な歯の病気や抜歯を避けられて、猫の健康を長く維持することが可能です。
水分をしっかり取らせる
最後に、猫の歯の健康を守るためには水分をしっかり取らせましょう。水分が不足すると、唾液の分泌が減り、口の中の細菌が繁殖しやすくなります。
唾液は、口内の自浄作用を促し、食べ物のカスや細菌を洗い流す役割を持っているため、十分な水分摂取が歯の健康にとって重要です。
特に、ドライフードを主食としている猫は、食後に水を飲むと口内の汚れを洗い流しやすくなります。
水を飲む量が少ない猫の場合、ウェットフードを混ぜたり、水飲みの場所を増やしたりして水分摂取を促す工夫が必要です。
また、給水器を設置すると猫の興味を引き、水を飲む量を増やすことができます。
まとめ
今回は、猫の抜歯について詳しく紹介しました。猫の抜歯は1本当たり3,000円〜12,000円程度かかり、治療法や施術場所によっては費用がさらに高額になります。
猫が虫歯になるケースは少なく、抜歯は口腔内の疾患や歯の形成状況によって必要となるケースが多いです。
飼い主は定期的に歯磨きやデンタルケア用品を活用し、猫の歯の健康を守ることが大切です。また、定期的な歯科検診や水分補給で抜歯するケースを予防しましょう。