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【獣医師監修】猫に健康診断は必要?通院の頻度や健康診断でする検査について詳しく解説

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はじめに

大切な家族の一員である愛猫と1日でも長く過ごすために、健康管理は欠かせません。

しかし、日々の食事や運動に気を付けていても、体調の異変や、病気など専門的なことはなかなかわかりません。

そのため猫にも人間同様に定期的な健康診断をおすすめします。

定期的な健康チェックは、愛猫が高齢になっても元気でいるために欠かせません。

でもいざ健康診断を受けるとなると、どれくらいの頻度で、どのような検査をするのか不安に思われる飼い主さんも多いでしょう。

そこで、今回は猫に健康診断が必要な理由や、通院の頻度、検査の内容までくわしく解説していきますので、大切な愛猫のためにぜひ参考にしてください。

猫に健康診断は必要?

結論からいえば、猫に健康診断は必要です。

愛猫の健康状態を把握しておくことは飼い主の大切な役割です。

猫は自分でつらいと伝えることもできなければ、治療をおこなうこともできません。

愛猫の健康を考えれば目に見えない部分の健康のためにも健康管理は重要です。

健康診断は成猫になってからではなく、まずは子猫のうちに受けた方がよいでしょう。

迎え入れたばかりの子猫は、環境の変化により体調を崩していることもありますし、筋肉や内臓が未発達のためどこかに不調を抱えているかもしれません。

また、先天性の病気がないか確認するためにも、子猫のうちに健康診断を受けるべきです。

ほかにも、健康診断をするべき理由を解説します。

病気の早期発見や予防ができる

猫が具合悪そうにしてから病院にいけば、猫にとってつらい治療が必要になることもあります。

しかし、定期的に健康診断を受けていれば、愛猫が健康なのか、気をつけるべきことがあるのか、確認することができます。

もし、どこか悪いところがあっても、早めの健康診断は早期発見につながりますし、病気ではなくても注意すべき点がはっきりとわかれば、病気の予防にもつながります。

かかりつけの病院を持って、定期的に健康診断を受けることで継続的な健康管理が可能になります。

猫は弱みを隠そうとする性質がある

猫は体の不調などの弱みを隠そうとする性質があります。

病気や痛みを抱えていても、なかなかつらそうなそぶりを見せないため、飼い主さんがみて、明らかに体調が悪そうに感じたときには症状が進行しているおそれがあります。

痛みを表に出さないからこそ、飼い主が異常を発見してあげる必要があります。

そのためにも、健康で元気にしているときこそ健康診断はきちんと受けておきましょう。

どうしても連れて行けない場合は自宅で尿や便を採取する方法も

猫は犬に比べてケージなどに簡単に入ってくれない子が多いので、病院へ連れて行くのが難しいこともあります。

対策として、可能であれば家に迎え入れてから、子猫のうちにすぐに健康診断を受ける習慣を身に付けさせることがありますが、どうしても嫌がって連れていけないこともあると思います。

そのようなときに、健康診断をあきらめてしまうのではなく、自宅で尿や便を採取して病院に持ち込んで検査してもらえるよう相談することもできます。

尿や便はあらゆる病気の手がかりになることが多く、特に尿検査では、猫がなりやすい、尿路結石や、腎臓疾患、膀胱炎の早期発見が可能なため、どうしても病院へ行けなくても尿・便検査だけでも定期的に実施しておきましょう。

また、往診で診察や血液検査を行える動物病院もあるため、見つけておくと猫の負担軽減につながります。

健康診断を受ける頻度はどのくらい?

猫の健康診断の頻度は、ライフステージにより異なります。

子猫からシニアまで、標準的に推奨されている健康診断の頻度についてみていきましょう。

子猫

子猫の場合には、ワクチン接種などが必要なので、そのタイミングで受けておくとよいでしょう。

先天的な異常がないか、早めに確認しておくことは大切です。

生後6ヵ月くらいになると、歯の生え変わりの確認や、避妊、去勢手術に適した時期でもあるので、あわせて健康状態にも変化がないか確認しておきましょう。

健康状態に問題がなければ、次の健康診断は1歳を迎える頃になります。

心配なことがあればこまめに受診

子猫を家に迎え入れて間もない頃は、慣れない環境で体調を崩しやすくなります。

また、食事なども離乳食から、キャットフードへ移行して、吐いたり下痢をしたりすることも考えられます。

まだ体力が万全ではない子猫は、急に体に異変を起こすことがあるので、些細なことでも心配なことがあれば、迷わずこまめに病院を受診しましょう。

子猫の時から病院に慣れてもらう

猫のほとんどが病院が嫌いなのではないでしょうか。

成猫になってから病院へ行っても、警戒して、なかなか診察をさせない子もいます。

体に触れられることや、診察台に乗せられることなど、病院を必要以上に怖がらせないようにするためにも、子猫のうちにかかりつけの病院を見つけておけば、慣れているスタッフもおり、比較的スムーズに診察させてくれる場合があります。

年齢を重ねれば病気のリスクも高くなりますが、そのときに病院に行くことでストレスになり、かえって体に負担をかけないためにも子猫のうちに病院に慣れさせておくことはとても大切なことです。

成猫

成猫になると、体も成長し元気な子が多いので、つい病院に行くことが少なくなりますが、少なくとも年1回は健康診断を受けることをおすすめします。

健康ならば、病院にいく必要がないと思われるかもしれませんが、健康診断を定期的に受けて健康なときのデータを残しておくことで、何か異常があったときの早期発見につながります。

目に見えない部分の異常を見落とさないためにも、成猫になっても定期的に病院へ通う習慣はつけておきましょう。

シニア猫

7歳を過ぎるとシニア期に入ります。

人間同様に猫も中・高齢期に入れば、健康状態に変化がみられることも増えてきます。

そのため、半年に一度は健康診断を受けて、数値の違いをチェックしておくことがとても大切になります。

半年に一度というと一見あまり変化がないように感じるかもしれませんが、猫は人間の4倍のスピードで歳をとります。

そのためシニア猫にとっての半年は決して短くはないことを飼い主さんは知っていなければなりません。

年齢を重ねていくごとに体力や免疫力なども徐々に低下してくるので、年2回の健康診断で少しの変化も見落とさないことが、病気の早期発見、早期治療につながります。

成猫の時よりも多めの健康診断が安心

もし、健康診断で心配な点が見つかった場合には、見た目は元気であっても数値が落ち着くまでは半年といわずこまめに病院を受診してください。

いずれにしろ、7歳を過ぎてシニア期に入ったら、これまでよりも健康診断の回数を増やすことで飼い主さんも安心できるのではないでしょうか。

猫の健康診断ではどんなことをするの?

実際に健康診断を受ける場合には、どのようなことをするのか不安に思う方も多いでしょう。

年齢に応じて変わることもありますが、代表的な検査項目をご紹介します。

問診

普段の様子を飼い主さんに質問しながら、現在の状況を確認します。

日頃から気になることがあれば、伝え忘れることのないようメモなどに残しておき、このタイミングで聞いてみましょう。

また、体重や体温もこのときに測定します。

視診・触診・聴診

ここから獣医師による実際の診察が始まります。

視診では、体型や被毛の状態、目、耳、口腔内検査をおこない、異常がないか確認していきます。

猫に多い歯石や歯周病のチェックは、猫が嫌がって飼い主さんになかなか見せてくれないことが多いので、この機会にしっかりとみてもらいましょう。

触診では、実際に触れることで視診ではわからないところまでチェックしていきます。

おもに体型のチェックや、腫れやしこり、お腹の張り、骨や関節の異常や痛がる場所がないかなどを確認します。

聴診は聴診器をあてて体内の音を聴く検査です。

心臓や肺、腸の音を聴いて雑音や気になる音がしていないか確認していきます。

尿検査

尿検査では、尿に含まれるpH、尿比重、尿タンパクや潜血まで調べることができ、猫に多い腎臓の疾患や結石をはじめとするさまざまな病気を見つけることができます。

尿の採取を自宅でおこなう場合には、できるだけ時間を置かず、病院に行く直前のものが望ましいです。

猫のトイレの時間が予測できるようでしたら、尿を吸収してしまわないようトイレシートを使用しない方法や、裏返してシートに尿を溜めて採取する方法などがあるので、お使いのトイレに合わせて吸収されない方法で採取してください。

どうしても尿が採れなければ病院での採尿も可能なので、健康診断を受ける前に相談しておきましょう。

便検査

便検査では、便の硬さ、形状、におい、色の状態や顕微鏡を用いての観察により、腸内の細菌のバランスや寄生虫の有無、出血などがないか検査していきます。

便もあらかじめ用意して持っていくことが一般的ですが、時間の経っていない便が必要であるため、なるべく直前の便を持っていきましょう。

血液検査

血液を採取し、検査をおこなうことで内臓機能の異常や赤血球、白血球数などを測定します。

また、猫がシニア期に入ると発症しやすくなるといわれている、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)も血液検査により発見することができます。

通常の血液検査と別でオプションになることが多いですが、シニア猫の血液検査には甲状腺ホルモン値の検査項目も入れてもらうと安心です。

レントゲン検査

レントゲン検査では、骨や関節に変形などの異常の有無、心臓の大きさや、内臓の形状や位置の確認、結石など視診や触診ではわからない部分の異常を発見するためにおこないます。

腹部の撮影を正確におこなうために、当日は絶食での撮影が望ましいです。

超音波検査

超音波検査は胸部や腹部にエコーをあてて、心臓の動きや、心臓病になっていないか、各臓器の形状や動きのほか、腫瘍や結石まであらゆる病気の発見に役立ちます。

体内に食べ物があると検査の邪魔をしてしまうことがあるので、レントゲン同様に絶食状態での検査が一般的です。

麻酔も不要で、体への負担も少なく、あらゆる疾患の早期発見に役立つ有効な検査といえます。

猫の健康診断にかかる費用

定期的に健康診断を受けるうえで費用もとても気になります。

年齢や持病によって必要な検査は変わるので、一般的な費用についてご紹介します。

一般的な健康診断は15,000円~20,000円程度が目安

視診、触診、聴診などの身体検査に加え、血液検査や尿、便検査が一般的な健康診断の検査項目となり、費用は病院によって異なりますが、おおむね15,000円〜20,000円が目安となっています。

年齢も若く、とくに健康状態に問題がなさそうであれば、こちらの項目で問題ないでしょう。

レントゲン検査・超音波検査などは別料金

一般的な検査に加えて、高齢の猫や、気になる箇所があれば追加でレントゲンや超音波検査などをおこなうことがあります。

この場合には、オプションでの追加項目となり一般検査料金とは別料金になります。

また、シニア猫になると血液検査の際に、甲状腺機能亢進症の検査などをすることがありますが、これもオプションでの検査です。

年齢も若く健康ならば、必ずしも必要な検査ではないので、やみくもに検査を受けて猫に負担をかけてしまうことのないよう必要な検査だけを選択して受けるようにしましょう。

検査内容によって料金が大きく変わるため事前に確認

健康診断の内容は、病院によって検査項目が異なることもあり、それによって設定されている料金が異なることがあります。

また、追加で検査が必要になった場合にも、受けたあとに高額な料金だったということがないよう、事前に確認してください。

健康診断に行く前に必要な準備は?

猫の健康診断日を決めるときに、当日までに必要な準備を病院に確認しておきましょう。

ほとんどの検査が、前日までに必要な準備は必要ないことが多いですが、当日すべきことをしっかりと確認しておいてください。

尿検査や便検査をする場合は自宅で採尿・採便

尿検査や便検査をおこなう場合には、自宅での採尿・採便を依頼されることが多いので、採取して検査日に提出してください。

時間が経過してしまった尿や便では、正確な検査結果を得ることができないことがあるので、可能な限り検査当日に採取したものを持参しましょう。

どうしても、当日採取できなかったときは病院で採取する方法もあるので、予約時に確認しておいてください。

血液検査をする場合は採血前の絶食が必要

血液検査の数値をより正確なものにするために、当日の食事は検査終了まで与えないでください。

検査を受ける時間によっては、前日の何時以降は絶食すること、などの指示が出るので、予約の際に確認しておきましょう。

事前に獣医師に伝えたいことや聞きたいことをまとめておく

健康診断で最初におこなわれる問診の際に、気になることを伝える必要があります。

せっかくの機会なので、日常的に心配なことや気になることを簡潔に伝えてください。

内容によっては、その日の検査が変更になることもあるので、愛猫の健康診断が決まったら当日までに内容をまとめておくとスムーズに診察が進みます。

必要であれば写真や動画も用意しておく

限られた時間の中で、できるだけくわしく伝えるためにも、普段から愛猫の様子がおかしいときにはメモや写真、動画に記録しておく習慣をつけておけば伝え忘れてしまうこともありませんし、獣医師も診察しやすくなるのでおすすめです。

まとめ

猫の健康診断について、解説してきました。

年齢によって受診する回数は違うものの、愛猫の健康状態を把握するためにも、毎年の健康診断は必要です。

どのような検査をおこなう必要があるか、獣医師が適切に判断するためにも、日頃の猫の様子を飼い主さんが記録しておき、気になることを当日に詳しく説明できるようにしておくことが重要です。

成猫は、通常年1回の健康診断で構いませんが、子猫やシニアは健康状態が突然変わることもあるので、基本は半年に1回、様子がおかしければ、その都度動物病院を受診して、かかりつけの獣医師と愛猫の状況を共有しておくことが大切になります。

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