健康

【獣医師監修】生まれてから1歳までの育て方をご紹介|食事やしつけ方もあわせて解説

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はじめに

猫の育て方の基礎1

子猫を家族の一員として迎え入れる場合、誰もが楽しみと不安の両方をお持ちだと思います。この1年間で猫がどのような成長をとげるかということは、猫を初めて飼う人には未知の世界です。

この記事では獣医師監修のもと、生まれてから1歳になるまでの猫の育て方について、食事やしつけを含めアドバイスします。この記事を通して健康で幸せな猫の育て方の基礎を理解していただければ幸いです。

生まれてから1歳までの育て方をご紹介

猫の育て方の基礎2

猫の子育ては、生まれてから1歳になるまでが特に重要な期間です。この時期には、健康的な成長をサポートするための適切な食事、基本的なしつけ、安全な暮らしが必要になります。

月齢ごとに必要なことは変化するため、それに合わせて飼い主がケアの仕方を変えていきましょう。

生後0ヶ月齢(0〜4週齢)

生後0ヶ月齢は猫の初期の成長段階です。この時期の子猫はとても小さく、慎重にお世話をする必要があります。

食事

この時期の子猫の食事は全てミルクです。母猫がそばにいる場合は母乳を与え、いない場合は子猫専用に調合されたミルクを与えます。

この時期の猫はまだ胃が小さく未発達です。一度にたくさん飲めないだけでなく、口に入る量も少ないため注意する必要があります。哺乳瓶で与える時には、飲んでいる時に口から漏れていないか、鼻から逆流していないかなど注意して与えましょう。

身体の変化

この時期は体重が100g程度と手のひらサイズの大きさをしています。

この頃の子猫は、毎日体重が増えることが重要で、1日に10〜15gずつ大きくなっていきます。

1週間すると、目が開いてきますがまだほとんど見えていません。2週間後には、少しずつ目が見え始め耳も聞こえ始めます。

まだ性別ははっきり分かりません。4週ごろになると判断できるようになります。

しつけ方

この頃にしつけといってもまだ何もできません。まずは子猫が健やかに成長できるように愛情を持って接することが大切です。

暮らし

生後0ヶ月齢の子猫のために、安全で暖かく、静かな環境を整えてあげましょう。まだ体温調節ができないため、保温に特に注意を払いましょう。暖かい毛布や湯たんぽなどを使い、快適な温度を保つことが大切です。

また、安全な場所を用意することも大切です。視力も聴力も弱いこの時期は、移動してしまうと危険なものばかりになります。

衣装ケースや箱などで、子猫用のスペースを作り、その中を暖かく保ってあげましょう。

3〜4ヶ月齢になるまでは排泄の介助も必要です。母猫がいる場合、陰部肛門あたりを母猫が舐めて刺激し排泄をさせますが、いない場合は、同じようなことを人間がしてあげる必要があります。お湯で湿らせたガーゼなどで優しく介助をしてあげましょう。

生後1ヶ月齢(4〜7週齢)

生後1ヶ月齢は、自分で歩いたり興味を示したりし始めます。兄弟とも遊び始めます。

食事

この時期になると自分で食事ができるようになります。徐々に離乳食をあげ始めましょう。基本的には子猫用のフードをお湯やミルクにふやかしてあげます。成長とともに、徐々にふやかさなくても食べられるようになってくるでしょう。

身体の変化

この頃になると体重が400g〜600gほどになります。ここから1ヶ月で2倍ほどに成長していくといわれています。

視力や聴力もしっかりしてきて、自ら体温調節も維持できるようになってきます。

だいたいの体温は38℃程度です。

この時期に乳歯が生え揃ってきます。しっかり歩けるようにもなってくるので、小さな隙間などに勝手に入っていってしまいます。成長したとはいえ、まだまだ小さい子猫のために危ない場所には行けないようにしておきましょう。

しつけ方

この頃になるとよちよち歩きだった子猫がしっかり歩けるようになってきます。好奇心旺盛なため、探索心がでてきて色々な場所に行ってしまいます。

狭いスペースに入ってしまったり、高いところから落ちたりする危険があるため、ケージなどの子猫用のスペースを用意しておきましょう。

自分で排泄もできるようになってきます。トイレの用意もしておきましょう。

暮らし

社会化が始まるこの時期は、可能ならば母猫や兄弟と過ごすことが望まれています。母猫や兄弟、人間と過ごすことで関係性を学べます。

兄弟などがいない場合は飼い主がしっかりコミュニケーションをとり、関係性を深めていきましょう。

この頃から狩りのような遊びを始めます。少しずつ遊ぶ時間を作ってあげましょう。

成猫になっても猫はたくさん眠って過ごす動物ですが、この頃の子猫は1日の9割近くも眠ります。

生後2ヶ月齢(8〜11週齢)

8週以降になると、里親や飼い主への引き渡しが法律上認められます。

子猫らしくとにかく可愛らしい時期です。

食事

生後2ヶ月齢の子猫は完全に離乳するため、高品質の子猫用フードを選びましょう。

生後6ヶ月頃になるまでは欲しがるだけしっかり食べさせあげることが大切です。成長と遊びで多くのカロリーを消費するため、肥満になる心配もありません。

1回の食事で食べられる量が少ないため、1日4回〜8回ほどに分けてあげましょう。

身体の変化

個体差や性別により差がでますが、体重が500g〜1.2kgほどと一気に成長する時期です。

食べ盛りでどんどん大きく成長していきます。この1ヶ月で1.5倍ほどにもなります。

乳歯も全て生え揃い、運動能力も向上していく時期です。ジャンプ力がつき、走ることも上手くなるため、成猫と変わらないほどになります。

しつけ方

子猫の行動範囲が広くなります。危険がないように飼い主が配慮しなければいけません。

トイレも覚えるようになってくるため、まずは子猫用の小さいサイズを用意しましょう。しっかりトイレを覚えさせるためには、子猫のサイズにあったトイレ選びが重要です。

暮らし

新しい環境に入る子猫が多いこの時期は、ゆっくりする時間をたくさん設けてあげましょう。この時期はたくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん寝る時期です。

環境に慣れてくると、なんでも噛んで遊び始めます。誤飲誤食には十分に注意し、子猫が噛んで遊んでも問題ないおもちゃを与えてあげましょう。ヒモなどは誤飲で一番多いものです。子猫の安全のために、片付けておきましょう。

生後3ヶ月齢(12〜15週齢)

生後3ヶ月の子猫は、身体的にもまだまだ大きく成長するときです。800g〜1.8kgほどの体重になります。

食事

1ヶ月齢から引き続きしっかり食べて大きくなる時期です。子猫用のフードを回数を分けて与えましょう。肥満の心配がいらない時期なので、欲しがればあげるという形で問題ありません。

身体の変化

体の成長が顕著に見られます。この時期はまだ成長が止まる時期ではないため、体重がしっかり増えているか確認しましょう。

爪とぎを始めるのもこの時期です。自ら爪とぎができるように、用意しておきましょう。

歯は、そろそろ乳歯が抜け始める時期です。徐々に抜け始め、8ヶ月齢までには永久歯に生え変わります。

しつけ方

この時期は、爪とぎを用意して決められた場所で爪とぎをするように促さなければいけません。

爪とぎがない場合、ソファーや壁紙など、猫が好きなところで爪とぎをしてしまうようになり、癖がついてしまいます。癖がつく前に、爪とぎの場所をしっかり教え込みましょう。

暮らし

探索と遊びにあてる時間が多くなり、環境への好奇心がピークに達します。社会化期であるこの時期に社会性を身につける必要があります。兄弟猫がいる場合は、しっかりコミュニケーションを取らせましょう。いない場合は家族を通して社会性を身につけさせましょう。

この時期には、子猫が安全に遊べるように環境を整え、適切な遊び道具を与えてあげましょう。

生後4ヶ月齢(16〜19週齢)

生後4ヶ月齢の子猫は、急速な成長が続き行動も活発になります。

食事

この頃の食事は、引き続き高エネルギーで栄養価の高い子猫用フードをしっかり与えてもいい時期です。毎日たくさん食べさせてあげましょう。

身体の変化

この時期はまだまだ大きく成長する時期です。体重は1.2kg〜2.4kgほどに成長し、この1ヶ月で1.3倍ほどになります。

メスは早い場合、性成熟が訪れ発情する個体もいます。多くは6ヶ月以降ですが、普段とは違う鳴き声で鳴いていたり、擦り寄ってくる頻度が増えてくる場合には発情と考えても良さそうです。

しつけ方

少しずつ歯磨きのトレーニングを始めてもいい時期です。歯磨きが苦手な猫が多いので、小さいうちから慣らしていきましょう。

暮らし

この時期は探索欲がさらに高まります。安全に探索できる環境、適切な遊び道具、猫がゆっくりできるスペースを確保してあげましょう。

また、この時期になってくると人見知りが始まります。社会化期でもあるため、猫のストレスにならない程度に、色々な人とコミュニケーションを取らせてあげましょう。

生後5ヶ月齢(20〜23週齢)

生後5ヶ月の子猫は、急速な成長期を抜け成長が緩やかになってきます。

食事

成長が緩やかになりますが、引き続き子猫用フードをしっかり与えても問題ありません。6ヶ月ごろまでは子猫用のものを与えるようにしてください。

身体の変化

これまでの成長に比べると、少し成長がゆるやかになってくる時期です。体重は1.5kg〜2.5kgほどになります。緩やかになったとはいえ、この1ヶ月で1.2倍ほどに成長します。

オスは精巣が発達してきます。

しつけ方

力が強くなって噛む力もついてくる時期です。噛み癖がある場合は早めにやめさせましょう。噛まれたら、叩いたり怒鳴ったりするのではなく、無視するなどして噛んでも楽しくないと覚えさせることが大切です。

暮らし

この時期は、安全な探索と遊びのための空間、適切なおもちゃを使って運動させてあげることが大切になります。小さいながらも家の中を走り回って元気に遊ぶ姿が見られます。

オスの場合はマーキングであるスプレー行動をする個体があらわれ始めます。その場合は去勢手術を検討しましょう。

生後6ヶ月齢(24〜27週齢)

生後6ヶ月の子猫は、成猫への移行期に差し掛かり、身体的、行動的成熟が進みます。

食事

この時期はまだ子猫用フードを与えましょう。来月頃から成長期用のフードに変えてもいいので、早めに用意をしておいても良いでしょう。

身体の変化

身体的にほぼ成猫のサイズに近づき、体重と筋肉量が増加します。成猫への移行期なので、全体的な健康状態をサポートするための食事とケアが必要です。

しつけ方

去勢、避妊手術を検討する時期です。それぞれにメリットやデメリットがあるので獣医師に相談しましょう。

暮らし

成猫と変わらない生活になりますが、まだまだ活発な子猫で、やんちゃな時期です。

たくさん遊んでたくさん寝て過ごします。

生後7ヶ月齢(28〜31週齢)

生後7ヶ月齢の子猫は、成猫に近づき、身体的や行動的成熟がほぼ完了する時期です。

食事

フードは子猫用から成長期用のフードに変更していきましょう。フードのパッケージに書かれている時期を参考にしてください。

去勢、避妊手術が終わっている場合には成猫用のフードに切り替えましょう。

しっかり食べていた時期は卒業し、体重や体格にあった量を与えましょう。

回数も1日2回ほどに減らしても問題ありません。

1日の総摂取量を守れば、回数は増やしても構いません。フードのパッケージに書かれているものを参考にしてください。

身体の変化

成猫としての体型に近づき、体重の増加は緩やかになります。体の大きさや筋肉の発達も成猫に近い状態になります。体重は2.0kg〜4.0kgほどに成長し、この1ヶ月で約1.1倍に成長します。

去勢、避妊手術をしている場合、太りやすくなってきます。ただし体重は個体や性別により差があります。

しつけ方

基本的なしつけが身についている時期です。

しかし、最初の発情を迎えるにあたり、オスにも発情期の行動がみられます。家の中でスプレー行動をされても本能なので辞めさせることができません。しかし、家の中でおしっこをする行為は飼い主としては困りものです。獣医師としっかり話し合い、去勢、避妊手術を行いましょう。

暮らし

引き続きより独立した行動をします。

この時期には適切な運動と探索をさせることによって、心身の発達を促すことが大切になってきます。

体格も大きくなり、今まで使用していたトイレが小さくなる頃です。トイレは広い方が猫も気持ちよく使用できるため、成猫用の大きなトイレに変えてあげましょう。

生後8ヶ月齢(32〜35週齢)

生後8ヶ月齢の子猫は、身体的成長が安定し、成猫の特徴が顕著になる時期です。

食事

引き続き成長期用〜成猫用のフードを与えましょう。この頃になると、肥満傾向がみられる猫もいるかもしれません。1日の総摂取カロリーを守って与えるようにしてください。

身体の変化

大型の猫種などは、まだまだ成長する猫もいますが、一般的な大きさの猫はここからは緩やかに成長していきます。

歯もこの時期までに永久歯に生え変わります。

しつけ方

体格が大きくなったこの時期、活発に動く猫に対して、今まで使用していたものが小さく感じる場合があります。

トイレはもちろん、おもちゃも小さすぎるものを与えている場合、誤飲などの問題も出てきます。

体格に合わせておもちゃやキャットタワーなど、猫にあったものを与えましょう。

暮らし

去勢、避妊手術を行っていない場合、さまざまな発情行動がみられるようになります。

スプレー行動の解決策は、手術を行うことです。スプレー行動防止のグッズも販売されています。

手術は獣医師と相談して決めましょう。

生後9ヶ月齢(36〜39週齢)

ほぼ成猫と同じ大きさです。

食事

成長期用〜成猫用のフードを1日2回を目安に与えましょう。

この時期になってくると食べたいだけ食べると肥満の原因となります。肥満は病気のリスクも高まります。容量を守って与えるようにしてください。

身体の変化

見た目も体重も成猫と変わらない大きさです。

去勢、避妊手術が終わっている場合、太りやすくなっています。定期的に体重を計り、肥満になっていないか管理してあげましょう。

しつけ方

あまり変化はない時期です。しかし、気になることがある場合は早めに獣医師に相談しましょう。

暮らし

特に大きな変化はありませんが、今一度猫がストレスなく過ごせる空間になっているかチェックしましょう。

生後10ヶ月齢(40〜43週齢)

前月と変わらず、大きさは成猫と変わりません。

食事

成長期用〜成猫用のフードを容量を守って与えましょう。おやつも与えるかもしれませんが、おやつはあくまで主食に対する補助食の役割です。1日の総摂取カロリーの中に、おやつのカロリーも含めて計算しましょう。

身体の変化

去勢、避妊手術の後は太りやすい状態です。食事量を守り、たくさん運動させましょう。

しつけ方

ほとんど変化はありません。

活発に遊ぶ時期なのでしっかりコミュニケーションの時間もとり、飼い主との深い絆を築いていきましょう。

暮らし

ほどんど変化はありません。

部屋の環境を整え、たくさん運動できるようにしてあげましょう。

生後11ヶ月齢(44〜47週齢)

前月と変わらず元気に過ごす時期です。

食事

前月と変わらず成長期用〜成猫用のフードを与え、量を守りましょう。体重管理は病気のリスクを減らすために重要です。

身体の変化

あまり知られていませんが、この頃になると猫が声変わりをすると言われています。気にして生活してみましょう。

しつけ方

前月と変わらず、成猫と同じように生活します。適度な運動は健康のために大切です。一緒に遊ぶ時間を作りましょう。

暮らし

猫を飼育するのにあまり広いスペースは必要としません。そのかわり上下運動ができるようにしてあげましょう。キャットタワーを置いたり、背の高い家具を置いたりして猫が自由に高いところに登れるようにしてあげましょう。

生後12ヶ月齢(48〜51週齢)

まだまだ子猫のような性格ですが、体格は成猫です。

食事

この時期には成猫用フードに変更しましょう。フードの変更の際は、少しずつ今までのフードに混ぜていき、徐々に新しいフードの割合を増やしていきましょう。

身体の変化

成長が止まる時期です。しかし大型猫はまだまだ大きく成長します。

一般的な猫の体重が増え続けている場合は、肥満の兆候かもしれません。

しつけ方

前月と変わらずしつけていきましょう。手を噛んだり、適切でない場所で爪とぎをした場合は、今一度普段どのような対応をしているか家族で話し合いましょう。

一貫して同じようにしつけていかなければ、猫も同じことを繰り返します。

暮らし

特に変わった変更はありません。今一度猫がしっかり遊べる環境は整っているか、ゆっくりできるスペースは確保してあるかを確認しましょう。

まとめ

猫の育て方の基礎3

子猫の最初の1年は、その後の健康と幸せに大きく影響する大切な時期です。社会化が始まりどのように周りと関わっていくかが決まります。

健康面も、適切な栄養を与え適切なフードへの以降を経て元気に成長していきます。

この記事を通して、一般的なことを適切に行っていきましょう。あとは愛情をたくさん与えるだけです。愛情をもって接すれば猫からもたくさんの愛情をもらえます。

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