健康

【獣医師監修】猫につく寄生虫の種類と予防・治療方法について詳しく解説

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はじめに

猫を飼うにあたって寄生虫について気になる方は多いと思います。

寄生虫は猫の健康に影響を及ぼすので治療が必要です。

しかし、寄生虫にはどんな予防・治療が必要なのか理解している方は多くありません。

そして、対処がわからず遅くなってしまうと症状が悪化する恐れがあるのです。

今回は、猫の寄生虫について詳しく紹介します。

寄生虫の種類や治療方法、予防するためのポイントをまとめているので、寄生虫を予防して愛猫の健康を維持したい方はぜひ参考にしてください。

猫につく寄生虫には2種類ある

まず、猫には外部寄生虫と内部寄生虫の2種類が存在します。

それぞれの特徴をまとめたので、どのように猫に寄生するのかまず理解しましょう。

外部寄生虫

外部寄生虫とは、猫の体表面や毛皮に生息する寄生虫です。

外部寄生虫に感染した猫は、定期的な駆除剤の投与が必要になります。

また、猫の環境の清潔さを保つのも重要です。

寝床や周囲の環境を清潔に保つと、外部寄生虫の感染リスクを軽減できます。

内部寄生虫

内部寄生虫とは、腸などの猫の体内で生息する寄生虫です。

内部寄生虫は、種類がとても多く、様々な感染経路があります。

また、内部寄生虫に感染した猫は、定期的な駆虫薬の投与が必要です。

一般的に、獣医師が推奨する駆虫薬を定期的に投与することで、内部寄生虫の感染を予防できます。

外部寄生虫の種類と症状

次に、外部寄生虫の種類と症状を紹介します。

  • シラミ
  • ノミ
  • ツメダニ
  • ミミダニ
  • マダニ
  • 疥癬

それぞれの症状を具体的に紹介しますので、症状が当てはまった場合は寄生虫の感染を疑いましょう。

シラミ

まず、猫が感染する外部寄生虫の1つはシラミです。

シラミは毛に卵を生み、徐々に感染が広がっていきます。

シラミに感染すると、猫の皮膚には白い粒がつくのが特徴的です。

また、猫はかゆみを感じ皮膚を掻くので、皮膚が損傷して炎症が生じる場合があります。

さらに、猫はシラミによるかゆみを和らげるため、過度に舐めたり噛んだりする場合も多いです。

他にも、猫の皮膚の赤みがシラミの感染時にみられる場合があります。

そして、シラミの感染が進行すると、猫の毛並みは艶を失い、毛が抜けやすくなるのです。

ノミ

次に、猫が感染する外部寄生虫はノミです。

ノミは猫の体に寄生してすぐに吸血を始めます。

そして、すぐに産卵を始め、あっという間に広がってしまうのです。

ノミが寄生するとかゆみを引き起こします。

そして、猫はかゆみを和らげようとして、激しく体を掻いたり噛んだりするのです。

その後、皮膚が損傷し、炎症や細菌感染が起こる場合があります。

また、ノミの唾液に含まれる成分が皮膚に刺激を与え、赤みや腫れを引き起こす場合が多いです。

さらに、ノミの寄生により、猫の毛並みは乱れが生じ、抜け毛が増加します。

他にも大量のノミによる血液吸引は貧血を引き起こす可能性もあるのです。

ツメダニ

3つ目の猫が感染する外部寄生虫はツメダニです。

ツメダニは「歩くフケ」とも呼ばれており、大量のフケのように見える猫の寄生虫が体の上を徘徊しています。

ツメダニは自然でも生きられますが、過ごすのは卵から成虫まで基本宿主の体の上です。

ツメダニは、主に猫の背中や体幹部に感染します。

感染した猫はかゆみを感じる場合が多いです。

さらに、ツメダニに感染すると、湿疹やカサブタ・丘疹・水疱などがみられる場合があります。

ミミダニ

4つ目の猫が感染する外部寄生虫はミミダニです。

猫の耳道の表皮部分に寄生し、耳の分泌液や耳垢などをエサにします。

そして、耳の中に卵を産みつけて繁殖してしまうのです。

ミミダニに感染した猫は、耳の内部にかゆみを感じます。

このかゆみにより、猫は激しく耳を掻いたり、耳を振ったりするのです。

また、ミミダニの感染により、黒い耳垢の増加、耳内の赤みや腫れ、悪臭などの症状が現れます。

マダニ

5つ目の猫が感染する外部寄生虫はマダニです。

マダニは公園や河原に生息しており、猫に寄生する機会を伺っています。

そして、猫の耳や頭に生息して吸血した後は、地上で産卵を行うのです。

マダニに寄生されると、刺された場所が赤く腫れ、その部位を激しく掻いたり舐めたりします。

また、マダニが媒介する病原体によって発熱が生じる恐れもあるのです。

さらに、大量のマダニによる吸血によって貧血が引き起こされる場合もあります。

無理に引き剥がそうとすると、マダニの口先の一部が皮膚に残る恐れもあるので注意が必要です。

疥癬

6つ目の猫が感染する外部寄生虫は疥癬(かいせん)です。

疥癬はヒゼンダニによる皮膚病であり、ヒゼンダニは皮膚にトンネルを掘って寄生します。

そして、体内で生活をするので、分泌物が溜まっていくのです。

そのため、猫はアレルギー反応を引き起こし、激しいかゆみを感じます。

かゆみは特に耳の周囲や顔、首などの毛の薄い部位に集中し、猫は激しく掻いたり舐めたりするのです。

また、ヒゼンダニによる刺激で、猫の皮膚に発疹やフケが現れる場合もあります。

さらに、猫が激しくかいたり舐めたりすることで、毛並みが乱れたり抜け毛が増えたりする場合もあるのです。

他にも、進行した疥癬により、皮膚が厚みを増し、硬くなる場合もあります。

内部寄生虫の種類と症状

次に、内部寄生虫の種類と症状を紹介します。

  • 猫回虫
  • 猫鉤虫
  • 瓜実条虫
  • コクシジウム
  • トリコモナス
  • フィラリア症

それぞれ紹介しますので、猫の健康が悪化している場合は、内部寄生虫も原因として疑いましょう。

猫回虫

まず、猫が感染する内部寄生虫の1つは猫回虫です。

猫回虫は、寄生された小動物や虫を猫が食べたり、寄生された母猫の母乳を飲んだりすると発症します。

猫回虫に感染すると、下痢になったり嘔吐したりする場合が多いです。

下痢は軽度から重度までさまざまであり、便に血液や粘液が混じるケースもあります。

また、猫回虫は腸内に寄生するため、腹部が不快に感じたり膨れたりする可能性があります。

さらに、猫は食欲不振を起こし、体重が減少する場合も多いです。

猫鉤虫

2つ目に、猫が感染する内部寄生虫は猫鉤虫です。

猫鉤虫は口からの感染や皮膚からの感染が考えられ、消化器官に寄生します。

猫鉤虫の感染により、猫は下痢になる場合が多いです。

下痢は軽度から重度までさまざまであり、血便の場合もあります。

また、 猫鉤虫は吸血によって貧血を引き起こす場合も多いです。

さらに、猫鉤虫が小腸に寄生するので、腸内での虫の移動や吸血による刺激が原因で、猫は腹痛を感じる場合もあります。

他にも、猫鉤虫の感染により、猫は食欲不振で体重が減少する場合もあるのです。

瓜実条虫

3つ目に、猫が感染する内部寄生虫は瓜実条虫です。

猫が、瓜実条虫の寄生したノミを飲み込むとこの寄生虫に感染します。

瓜実条虫は、ノミの体の中で猫に感染できる状態まで成長しているのです。

猫が瓜実条虫に感染すると、下痢や血便がみられます。

便には虫の一部が混ざっている場合も多いです。

また、瓜実条虫の感染で、猫は食欲不振になり、体重が減少する場合があります。

さらに、かなりの数が感染しているとけいれんなどもみられる症状の1つです。

コクシジウム

4つ目に、猫が感染する内部寄生虫はコクシジウムです。

猫は感染した他の猫の便を口にしたり、感染した小動物を捕食したりしてコクシジウムに感染します。

コクシジウムに感染すると、下痢や嘔吐がみられる場合が多いです。

また、子猫の場合は、発熱や下痢がみられるケースもあります。

さらに、コクシジウムの感染により、猫は食欲が低下する場合も多いです。

トリコモナス

4つ目に、猫が感染する内部寄生虫はトリコモナスです。

トリコモナスは猫の体の表面に付着し、猫が体を舐めて口から感染すると考えられています。

そして、猫の小腸や大腸で増殖し、便で排出されるのです。

トリコモナスの症状は、若年層の猫に多くみられ、成猫にはあまりみられません。

トリコモナスに感染すると、猫は下痢の症状がみられます。

下痢には粘液や血液が混じり、持続的な下痢が見られる場合も多いです。

また、猫がトリコモナスに感染すると、下痢から悪臭がするケースもあります。

他にも、体重減少や食欲不振もトリコモナスの症状の1つです。

フィラリア症

最後に、内部寄生虫による猫の病気はフィラリア症です。

フィラリア症は、蚊を媒介してフィラリアが体内に入ることで発症します。

蚊が生息している場所は感染の危険性があるので、室内でも安心はできません。

フィラリアが心臓や肺動脈に寄生すると、猫は咳や呼吸困難になる場合があります。

また、フィラリアが心臓に寄生すると、心臓のリズムが乱れる不整脈の恐れもあるのです。

さらに、感染が進行すると、猫は食欲不振により体重が減少する場合があります。

突然死が引き起こされる恐れもあり、危険な感染症の1つです。

猫の寄生虫の治療方法

次に、猫の寄生虫の治療方法を紹介します。

寄生されてしまった場合にどのような治療が基本となるのか流れをみていきましょう。

飲み薬や注射、外用薬での治療が基本

猫の寄生虫の治療には、主に飲み薬や注射、外用薬が使用されます。

まず、寄生虫に感染した猫の治療方法は、飲み薬の投与です。

駆虫薬が一般的に使用され、口から摂取して猫の体内で内部寄生虫を駆除する効果を発揮します。

次に、寄生虫に感染した猫への治療方法は皮下注射や筋肉注射です。

注射によって薬物が直接血流に送られ、内部寄生虫の駆除への効果が期待できます。

また、外用薬も寄生虫に感染した猫に効果的な治療方法です。

スプレーやスポットオンタイプがあり、猫の体表面に直接塗布します。

外用薬は、ノミやダニなどの外部寄生虫を駆除するのが目的です。

実際に、動物病院で診断を受けるとこれらの治療方法を伝えられるので、獣医師の指示にしたがって投与を行いましょう。

ノミとマダニは定期的に投与する予防薬がある

ノミとマダニは定期的に投与する予防薬があります。

ノミやマダニの予防薬は、獣医師から処方された外用薬が一般的です。

外用薬は、月に1回定期的に使用しましょう。

定期的な投与によってノミの卵や幼虫の発育を阻害し、成虫の寄生を防ぎます。

定期的なノミとマダニの予防薬の投与は、猫の健康を維持するための重要な手段なので、獣医の指示に従い、正しい薬剤と投与頻度で実施しましょう。

寄生虫を予防するには?

次に、猫の寄生虫を予防するためのポイントを紹介します。

  • ノミやシラミは定期的な投薬で予防できる
  • 家の中で飼う方が感染リスクが低い
  • 新たな猫を迎える時は事前に動物病院でチェック

それぞれ詳しく紹介するので、愛猫を寄生虫から守るためにぜひ実践してください。

ノミやシラミは定期的な投薬で予防できる

まず、寄生虫を予防するには、猫に定期的な投薬を行いましょう。

幸いにも、ノミやシラミは定期的な投薬によって予防が可能です。

ノミやシラミの予防薬は、通常、獣医から処方された外用薬が使われます。

外用薬は、基本的に1ヶ月に1回使用してください。

これらの薬の定期的な投与により、ノミやシラミの成長を妨げ繁殖を防げるのです。

ただし、一度やめてしまうと効果が持続しないので、継続的に行いましょう。

また、複数の猫を飼育している場合、すべての猫に投与しないと効果は発揮されません。

定期的な投薬を行い、寄生虫の被害を最小限に抑えましょう。

家の中で飼う方が感染リスクが低い

次に、寄生虫を予防するためのポイントは、家の中で飼う方が感染リスクが低い点です。

室内飼いの猫は、野生動物や他の野良猫との接触が制限されるため、外部からの感染リスクが大幅に低減します。

屋外を自由に行動する猫は、野生動物や他の動物からノミやマダニを持ち込む可能性が高いです。

しかし、室内飼いの猫はこれらの寄生虫に晒されるリスクが少なくなります。

感染リスクが少ないところに利点が多い室内飼いの猫ですが、外部環境の刺激が制限されるため、適切な運動をさせるのが大切です。

また、室内飼いの猫は、屋外での狩りや自然なエサ探しができません。

そのため、適切な栄養バランスのある食事を提供することが重要です。

室内飼いは感染予防に効果的ですが、運動量が少ない分積極的に猫を遊びに誘いましょう。

新たな猫を迎える時は事前に動物病院でチェック

最後に、寄生虫を予防するためのポイントは、新しい猫を迎える際に動物病院での健康チェックを行う点です。

新しい猫は感染症や寄生虫に感染している可能性があります。

動物病院での検査により、早期に感染症や寄生虫の兆候を検出してくれるのです。

また、獣医師は新しい猫に必要な予防接種を行い、重篤な病気から猫を守ってくれます。

動物病院で診察を受けた後は、獣医師からの検査結果やアドバイスをしっかりと理解し、飼い主同士で共有しましょう。

また、新しい猫を迎えた後も、定期的な健康管理と予防措置を行うことが重要です。

新しい猫を家族に迎える前に、動物病院での健康チェックを受けることが飼い主の責任なので、猫の健康を保つために必ず実施しましょう。

まとめ

猫が感染する寄生虫は、体の表面につく外部寄生虫と体内に入り込む内部寄生虫の2種類があります。

感染すると、下痢や嘔吐・かゆみ・貧血・炎症・食欲不振などの症状がみられるので、気になる場合はすぐに病院に連れていきましょう。

病院では、飲み薬や注射、外用薬での治療を行っていきます。

寄生虫を予防するためには、ノミやマダニには予防薬があるので1ヶ月に1回定期的に投薬するのがおすすめです。

また、家の中で飼う方が感染リスクが低いので、運動量を確保しつつ室内で飼うと良いでしょう。

また、新たな猫を迎える時は事前に寄生虫がいないかチェックが必要です。

寄生虫の予防と治療を徹底し、猫にとって過ごしやすい環境を作りましょう。

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