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はじめに
愛猫が突然震えだしたら、とても心配になりますよね。
寒くて震えているのであれば、暖かくすることで治まりますが、それがもし病気や痛みによる震えだとしたら病院へ連れていくなどの適切な処置をとらなければなりません。
そのためには、飼い主が正しい判断をする必要があります。
そこで、今回は猫が震える原因にはどのようなものがあるのか、考えられる原因や病気の可能性などについてくわしくご紹介します。
猫が震える原因は?
人間が震える際にも、気温が低く寒さを感じる場合や、体調が悪くて悪寒が走って震える場合など、生理的なものから病気によるものなどさまざまな理由があります。
猫も同様に、寒さや緊張状態、体調不良など震える原因はいろいろ考えられるので、くわしくみていきましょう。
ストレスがある
われわれ人間も、極度の緊張を感じるシーンでは、手が震えてしまった経験がありますよね。
猫も同じように、緊張状態で震えてしまうことがあります。
特に猫は警戒心が強いため、安心できる場所以外では、ストレスを感じることが多くなり、危険や恐怖により震えを起こしてしまいます。
また、過去にいやな思いをした記憶があれば、同じような状況になったときにも震えることがあります。
例えば動物病院などを極端に嫌がる猫は、診察台に乗せられただけですでに震えている子などもおり、過去の治療の記憶で、恐怖やストレスを感じていると思われます。
この場合には、ストレスの原因となるものを取り除いてあげて、その状況から解放されれば自然と治まるので心配はいりません。
寒さを感じている
もし愛猫が震えていたら、真っ先に「寒いのかな?」と考える方がほとんどではないでしょうか。
猫も人間も寒くなると、無意識に震えてしまうことがあります。
これは、脳が寒さを感じると全身の筋肉に震えるよう指令を出しているためです。
その理由は、全身の筋肉を使って震えることで、体に熱を発生させて体温を維持するために震えているのです。
体が温まり、寒さが消えてくると震えも治まるようになっています。
成猫は震えるほど寒ければ自分で暖かい場所を見つけて移動できますが、子猫の場合には、まだ体温調整も苦手なうえ、自分で安全な暖かい場所を見つけることができません。
低体温症になってしまわないよう、寒くて震えていたら毛布などを使用して、温めてあげなければいけません。
加齢による筋肉の衰え
猫も高齢になると筋力が衰え、特にうしろ足の筋力に衰えが顕著にみられます。
うしろ足の筋力が弱くなると、立ち上がるときや立ち止まっているときに自分をうまく支えきれずに震えてしまうことがあります。
加齢による筋力の衰えは、特にけがなどではありませんが、自分を支えることが困難になってくる状況ですと、いつケガをしてもおかしくありません。
そのため、加齢による震えが起き始めたらケガをさせないよう行動範囲に物を置かないなど注意を払う必要があります。
また、筋力以外にも、関節に異常が起きていることもあるので、その場合には病院を受診した方がよいでしょう。
病気やケガによる痛み
猫は痛みがあってもその姿をあまり見せない動物です。
我慢強いはずの猫が、何らかの病気やケガによって震えているようだと、症状が悪化している可能性があります。
外傷や口腔内の疾患など明らかにわかるものはすぐに気付くことができますが、そうでない場合には、体内に異常があり、強い痛みを感じていると考えられます。
いずれにせよ、痛みの原因を突き止め、治療する必要があるので、すみやかに動物病院を受診してください。
猫が震えている時に考えられる病気
猫が明らかに寒さやストレスとは違う様子で辛そうに震えていたら、病気の可能性を考えなければなりません。
猫は我慢強く、痛がる姿をあまり見せることがない動物なので、震えるほどの痛みを感じているときにはすでに病気が進行している可能性があります。
このような状況に遭遇した際に適切な対応がとれるよう、猫がなりやすい病気について解説いたします。
水頭症
脳や脊髄神経の周辺には液体が流れており、この液体を脳脊髄液といいます。
脳の内部には、脳脊髄液が流れる脳室という場所があり、この脳室に脳脊髄液が過剰に溜まってしまうことで脳を圧迫し、脳が正常に機能しなくなり、神経症状を起こします。
これが水頭症です。
おもな症状は、頭部がドーム型に大きくなり、寝ている時間が増え元気がなくなります。
また、歩いているときに急に物にぶつかる事があれば、視覚障害を起こしている可能性が高く注意が必要です。
さらに症状が進行すると、四肢に麻痺が見られ歩行障害を起こし、震えやけいれんを起こすことがあります。
水頭症の原因として、遺伝による先天的なものが多く、後天性の場合には、脳腫瘍などの疾患が原因で脳脊髄液の流れをせき止めてしまうことなどがあります。
治療法として、MRI、CT検査を経て、脳脊髄液を減らすために内科療法で治療をおこない、改善がみられない場合や、すでに神経症状が重度の場合には手術の必要があるため、水頭症の疑いがあった場合にはすみやかに病院を受診してください。
脳腫瘍
脳腫瘍には脳に腫瘍ができる「原発性脳腫瘍」とほかの部位から転移して発症する「転移性脳腫瘍」があります。
脳腫瘍は高齢の猫に多いといわれていますが、腫瘍の種類によっては若い猫でも発症することがあります。
腫瘍の数や大きさ、進行のスピードなどは腫瘍の種類により異なるため、発症の状態はさまざまです。
症状として、初期段階では元気がなくなり、寝ている時間が増え、じっとしていることが多くなり、さらに悪化すると、視覚障害や、ふらつき、同じ方向への回転運動を繰り返すなどの症状があらわれます。
重度の脳腫瘍では、震えやけいれんを起こすことがあり、長時間繰り返す場合には救急処置が必要です。
脳腫瘍は、初期段階ではそれほど大きな症状が出ないため、気付かないことが多く、症状が出たときにはすでに進行している可能性があるので、異常を見逃さず発見が遅れないようにしましょう。
脳腫瘍の原因は遺伝などが関与するといわれていますが、はっきりとしたことはわかっていません。
脳腫瘍と診断されたら、おもに外科手術と、症状を緩和させる投薬治療がおこなわれます。
てんかん
てんかんとは、脳から神経に送られる電気信号が急激に発生することで異常が生じ、全身や体の一部に発作を起こす病気のことです。
突然、全身を激しく震わせたり、けいれんを起こしたりするため、つい体に触れてしまいたくなりますが、多くの発作はすぐに収まることが多いので、周囲の安全を確認し、落ち着いて少し様子をみてください。
すぐに発作がおさまらない場合には「てんかん重積」という危険な状態の可能性があり、緊急処置が必要です。
また、すぐに発作がおさまっても、脳の異常が考えられるので、てんかん症状が出た場合には症状が落ち着いたあとに病院に連れていきましょう。
てんかんは発作がおさまるまでの時間がとても重要です。
適切な治療を受けるためにも、発作を確認したら落ち着いて時間を計っておくとよいでしょう。また、もし動画が撮影できそうであれば、しておくと診断の際に役立ちます。
てんかんは完治が難しく、おもな治療方法として発作の回数を減らすための投薬治療がおこなわれます。
脳炎
猫の脳炎は、細菌やウイルスや寄生虫などの感染症で脳に炎症が起きる病気です。
初期症状として元気がなく、食欲が低下し発熱などがみられます。
神経症状が出ると、麻痺や歩行が困難になることに加え、震えやけいれんを起こします。
震えやけいれんのみを起こしている場合に、てんかんと間違われることが多いため注意しなければなりません。
原因の多くは感染症によるものですが、特に猫伝染性腹膜炎や猫エイズウイルスなどのウイルス感染での発症が多くなっています。
治療法は病原体によって異なりますが、一般的に投薬治療がおこなわれます。
抗生物質や駆虫薬など病原体に効果のある薬剤や、炎症を抑えるものまで適切な治療を受ける必要があるので、初期の軽い症状であってもまずは病院を受診するようにしましょう。
中毒
猫は誤食による中毒症状を起こすことがあります。
誤食の原因はさまざまですが、あきらかな有害物質以外にも人間が普段口にしているもののなかにも猫にとって有害なものがあるので注意が必要です。
医薬品や殺虫剤をはじめ、植物も中毒を起こすものが大変多いため、猫のいる部屋に植物を置くのは避けたほうがよいでしょう。
特に、ユリ科の植物を誤食すると命に関わることがあるので、置いてはいけません。
すべての植物で中毒になるわけではありませんが、かなりの種類の植物が猫にとって有害なので、どうしても部屋に植物を置く場合にはあらかじめ調べておくことをおすすめします。
食品ではネギ類全般、チョコレート、コーヒー、アボカド、ニンニク、レーズンなどがあります。
中毒症状は、口にしたものによって異なりますが、主に震えやけいれん、呼吸困難、嘔吐、大量のよだれ、腎機能障害などがみられます。
もし猫が中毒症状を起こし、様子がおかしいと感じたら、まずは動物病院に連絡しましょう。
無理に吐き出させようとしても、かえって危険なことがあるので、まず医師の指示を仰ぐようにしてください。
低血糖
低血糖とは、血糖値の低下により神経障害や意識障害を起こす病気です。
おもな症状として、体の震えやけいれん、ふらつき、意識がもうろうとするなどがあります。
主な原因として、絶食状態にあることが挙げられます。
特に子猫は糖を肝臓に貯蔵しておく機能が未発達なので、食事から糖の元となる栄養を摂取するしかありません。
そのため、長時間の絶食をさせないために、決められた時間に食事を与える必要があります。
成猫は子猫ほど絶食による低血糖を起こすことはありませんが、絶食状態が続いた状況で、過度な運動などをすると、低血糖になることがあります。
ほかに、糖尿病の治療をしている場合も、インスリンの投与量が違っていたり、食事を摂れなかったりすると、低血糖症になることがあるので、治療中の飼い主さんは注意しましょう。
治療法として、絶食によるもので意識がはっきりとしていれば、少量の食事を与えてみてもよいでしょう。
しかし、意識が朦朧としているケースや、糖尿病によるものならば、医師の診察を受ける必要があります。
腎機能不全
腎機能不全とは、腎臓の機能低下により本来排出されるべき老廃物や毒素が体から排出されずに溜まることで、さまざまな臓器の働きに影響を及ぼす病気です。
猫は飲水量が少なく、高度に濃縮された尿を排泄するため、ほかの動物に比べ腎機能不全を起こしやすいといわれています。
腎機能不全には急性腎不全と慢性腎不全があり、どちらも震えや、下痢、嘔吐、けいれんなどがみられます。
急性腎不全の場合は、進行も早く適切な治療が必要となりますが、早期の受診により腎機能が回復することもあります。
慢性腎不全の場合は、高齢の猫の発症が多く、若いうちに急性腎不全にかかり、機能が回復しないまま慢性腎不全になることがあります。
発症すると、多飲多尿になり、体重の減少などの症状がみられ、食事療法や薬物療法などで腎臓の負担を軽減させることができますが、一度失われてしまった機能は回復しません。
肝機能不全
肝機能不全とは、肝臓に起きるさまざまな疾患により、肝臓が本来の働きができない状態をいいます。
肝不全になると、老廃物や毒素の分解や、たんぱく質の合成ができなくなるため、肝機能低下が進行すると命に関わることもあります。
症状として、震えやけいれん、嘔吐などがあり、進行すると黄疸が出て危険な状態になるので、すみやかに病院を受診してください。
肝不全は、初期の段階では治療により症状のコントロールが可能になることがありますが、悪化すると、治療が大変難しくなるので、早期発見が重要です。
病院に連れて行ったほうが良い症状は?
猫が震えている原因を飼い主さんが簡単に判断することは難しいでしょう。
寒さや、加齢によるものなど理由が明らかなものならば、経過観察をしてもよいですが、なかにはすぐに病院へ連れていくべき症状もあります。
以下のような症状がみられた場合には、すみやかに受診することを強くおすすめします。
くり返し震えている
明らかに寒さを感じていないのに、繰り返し震えている場合には、病気による震えの確率が高いでしょう。
猫は、寒ければ暖かい場所を探して移動する習性がありますが、繰り返し震えているようならば、体になんらかの痛みが継続的に生じている可能性があるので病院へ連れていき、適切な処置を受けたほうがよいでしょう。
激しく震えている
激しく震えている場合には、そのまま放置するとけいれんを起こす可能性があります。
このような状況は、緊急性が高く、すぐにでも治療が必要と考えられるので、いきなりむやみに動かすことはせず、まず動物病院へ連絡し指示を仰いでから、すみやかに動物病院へ連れていく必要があります。
元気がない
愛猫の元気がないときは、さまざまな理由が考えられますが、元気がなくなる以前に嘔吐や下痢をしていないか、どこか痛がるそぶりなどみせていないかなど、状態によって原因は異なります。
元気がなくつらそうな状況が、続くようであれば、かかりつけの病院に連絡して、医師の判断を仰いで必要に応じて、病院へ連れていってください。
意識がはっきりしない
意識が朦朧としてはっきりしていない状況の場合は、緊急性が高く、一刻を争う状況です。
同時に嘔吐やけいれんなどを起こしていることもあるので、無理に動かそうとせず、すみやかに動物病院へ連絡し、医師の指示のもと対応してください。
体重が減った
体重の減少もなんらかの病気の可能性が考えられます。
決まった量の食事を摂って、健康を維持できていれば、体重が減ることはあまり考えられないのですが、食欲がなく、食べても嘔吐や下痢を起こして体重が減っている場合には、病院に相談するのがよいでしょう。
高齢の猫は筋力が衰えて、体重が減ることがありますが、それまで問題なかったものが急に元気をなくして体重が減った場合には、異常のサインである可能性が高くなります。
病気の可能性がある場合は早めに病院へ
愛猫が普段と違う様子をみせていたら、できるだけ早い段階で動物病院へ連れていくことをおすすめします。
少しでも猫の様子がおかしいと感じたときに、心がけておきたいポイントを2点ご紹介します。
震えている時の様子を動画で撮影しておく
猫が震えていたら、そのときの様子を動画で撮影しておきましょう。
病院での診察の際に、口頭ではなかなかうまく伝えられないこともありますし、症状によって治療の方針が変わってくるため、実際の映像を確認してもらうことは適切な処置のためには大変有効です。
早く気付けば病気の重症化を防げる可能性
慢性的な疾患や、中毒のような緊急性の高いものでも早期の治療が重症化を防ぐことは間違いありません。
そのためには飼い主さんが異変を見逃さないことが重要です。
毎日、愛猫の様子をしっかりとチェックして、少しでもおかしいことがあれば早めに受診することで苦しい思いをさせなくてすみます。
まとめ
猫の震えについて解説いたしました。
震えといってもさまざまな種類があり、寒さやストレスならば原因を取り除きながら解決していくことができますが、病気で震えている場合には、すでに症状が進行している可能性があります。
人間同様に、少しの痛みや体調不良では震えるようなことはありません。
もし、愛猫が震えているようならば、かなりつらい状況であることが考えられるため、早めの対応が必要です。
明らかに様子がおかしいときは、放置せずに動物病院へ連絡して医師の指示を仰いでください。
その際には、ご紹介したように状況を動画で撮影しておくとスムーズに治療がおこなえます。
愛猫に万が一のことがあっても、落ち着いて対処するために、当記事を参考にしていただければ幸いです。