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はじめに
丸々とした猫は可愛らしいですが、同時に猫の健康が気になる方は多いと思います。肥満で病気を発症してしまうケースも少なくありません。
猫に安全に痩せてもらうためには、肥満かどうか日頃からチェックし、適切なダイエット方法を取り入れることが大切です。
今回は、猫にとって無理のないダイエット方法を紹介します。
肥満の基準やダイエットの注意点も紹介しますので、効率的にダイエットをして猫の健康を維持しましょう。
猫が太ってしまうのはなぜ?
まず、猫が太ってしまう理由を紹介します。
- 摂取カロリーよりも消費カロリーが少ない
- 避妊手術や去勢手術の影響
- 筋肉太りの場合はダイエットは不要
それぞれの理由を詳しく紹介するので、愛猫が太ってしまう原因に当てはまるものがないかチェックしましょう。
摂取カロリーよりも消費カロリーが少ない
まず、猫が太ってしまう原因は、摂取カロリーよりも消費カロリーが少ないからです。猫の消費カロリーは、活動量や代謝の速さによって変わります。
飼い主が与える食事量やカロリーをコントロールせずに放置すると、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されるのです。
特に室内飼いの猫は、外で遊ぶ機会が少なく、運動量が不足しています。カロリー消費が低いため、過剰なカロリーが脂肪に変わりやすくなる状況です。
また、フードの選び方も重要であり、市販されている高カロリーなキャットフードを与えすぎると肥満のリスクが増します。
避妊手術や去勢手術の影響
次に、猫が太ってしまう原因は避妊手術や去勢手術の影響です。避妊手術や去勢手術を受けた猫は、ホルモンバランスの変化により、代謝が低下しがちになります。
そのため、手術後は消費カロリーが低下し、太りやすくなるのです。また、避妊や去勢によって活動量が減少したり、食欲が増加したりします。
結果として、手術前と同じ食事量を続けると摂取カロリーが過剰となり、体重が増加してしまい肥満になりやすいです。
手術後の猫に対しては、カロリーコントロールがしやすいダイエット用のフードや、栄養バランスを保ちながらカロリーを抑えた食事が推奨されます。
筋肉太りの場合はダイエットは不要
最後に、猫が太ってしまう原因は筋肉量が多いからです。猫が太っていると感じても、実は脂肪ではなく筋肉量が多いために体重が増えている場合もあります。
筋肉太りのケースでは、通常のダイエットは必要ありません。筋肉は脂肪よりも密度が高いため、同じ体積であっても筋肉量が多い猫は重く感じます。
特に活発な猫や運動が好きな猫、あるいは大型の猫種は、筋肉質で体重が重いことが一般的です。筋肉が多い猫は、適度な運動を続けることが健康維持に繋がります。
筋肉太りの猫に対して無理に食事量を減らすと、筋肉が落ち、逆に体力が低下してしまうので注意が必要です。
肥満かどうかを確認する方法
次に、肥満かどうかを確認する方法を紹介します。体重から判断する方法と体格による評価方法があるので特徴を理解しましょう。
猫の体重の目安
まず、猫の体重の目安を紹介します。愛猫が標準体重に当てはまっているかチェックしてください。
成猫の標準体重は3~5㎏程度
成猫の標準体重は、約3〜5kgとされています。多くの家庭で飼われている猫種、例えばアメリカンショートヘアなどの中型猫に適用される基準です。
標準体重の範囲に入っている場合、多くの猫が健康的な体重を維持していると考えられます。
ただ、体重が標準範囲内であっても脂肪が多い猫もいれば、筋肉質で体重が重く見える猫もいます。そのため、体重と同時に総合的に健康状態を確認することが大切です。
大型猫のオスは7~8㎏位程度
大型猫の中でも、特にオス猫は標準的な成猫よりもかなり体重が重いです。
例えば、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャットのような大型猫種のオスは、7〜8kg前後が通常の範囲とされています。
これらの猫種は、骨格や筋肉の発達が良く、標準的な猫よりも体ががっしりとして大きいです。そのため、体重が7kg以上でも猫にとっての適正体重である場合があります。
ただし、大型猫の場合も筋肉と脂肪のバランスを見極めることが重要です。
個体差があるため体重だけで評価するのは難しい
猫の健康状態を評価する際、体重は重要な指標の一つですが、個体差があるため体重だけで肥満かどうかを判断するのは難しいです。
同じ猫種であっても、骨格や筋肉量、脂肪のつき方には個体差があり、標準体重内に収まっていても太っている猫や、逆にやせすぎている猫が存在します。
特に、筋肉質な猫は体重が重いですが、脂肪が少ないため見た目では痩せて見えやすいです。また、猫の年齢や性別、去勢や避妊の有無によっても体重の変動があります。
体格による評価方法
次に、猫の体格による評価方法を詳しく紹介します。体格の評価にはBCSを使用するので、詳しく見ていきましょう。
体格の評価はBCSで行う
猫の体格を評価する際に用いられるのが、BCS(ボディコンディションスコア)です。BCSは、猫の体型を視覚的かつ触覚的に判断し、脂肪の蓄積具合や筋肉量を評価します。
評価するのは、主に猫の肋骨や腰回り、背骨の触りやすさ、腹部のたるみなどです。BCSによって体重だけでは判断しづらい肥満や痩せの状態を、より正確に把握できます。
BCSを使って猫の健康状態を総合的に捉え、適切な食事管理や運動計画を立てましょう。
5段階に分けて評価
BCSの評価は、5段階に分けて行われます。1が最も痩せすぎた状態、5が最も太りすぎた状態を示し、3が理想的な体重です。
BCSでは視覚的な観察だけでなく、猫の体を実際に触って脂肪のつき方や筋肉の発達具合を確認します。
BCSの評価は、体重だけでは見えにくい健康状態をより正確に理解するために非常に便利です。
特に、猫の健康維持や肥満防止に役立つため、定期的にBCSを行って猫の健康管理を行いましょう。
BCS1:やせすぎ
BCS1は、猫が極端に痩せている状態を示します。BCS1の猫は、視覚的にも明らかに肋骨や背骨が浮き出て見え、触ると骨がすぐに感じられるほど脂肪がついていない状態です。
腰回りも非常に引き締まっており、腹部の脂肪もほとんど感じられません。やせすぎの猫は、栄養不良や慢性的な病気の可能性があるため、適切な食事と栄養補給が必要です。
また、ストレスや寄生虫感染なども体重減少の原因となるため注意しましょう。
BCS2:やせ気味
BCS2は、やせ気味の状態を示します。BCS2の段階では、肋骨や背骨が容易に触れるものの、視覚的に骨が浮き出ているわけではありません。
猫の腹部は引き締まっており、ウエストのくびれもはっきりとしていますが、脂肪が少ないため、筋肉量の不足やエネルギー不足の場合があります。
やせ気味の猫には栄養価の高い食材を使用することが大切です。また、健康チェックを行い、病気やストレスなどが原因で体重が減少していないか確認しましょう。
BCS3:理想体重
BCS3は、猫の理想的な体重を示し、健康な体型とされます。BCS3の段階では、肋骨や背骨は軽く触れると感じられますが、過剰に浮き出ていません。
また、猫のウエストが明確に見え、腹部に軽い脂肪がついている状態です。理想体重を維持するためには、適切な食事管理と運動が必要になります。
飼い主は、バランスの取れた食事を提供し、定期的に運動を促し、猫が理想体重を保てるようにサポートしましょう。
BCS4:太り気味
BCS4は、猫がやや太り気味である状態を示します。BCS4の段階では、肋骨や背骨を触って感じることが難しくなり、腰回りや腹部に脂肪が蓄積されていることが確認できます。
特に、腹部にたるみが見られたり、ウエストのくびれが不明瞭になるケースが多いです。太り気味の猫は肥満の兆候が見られるため、早めに対処しましょう。
食事量の調整や、低カロリーのフードへの切り替え、運動量を増やすための遊びや活動を取り入れることが推奨されます。
BCS5:太りすぎ
BCS5は、猫が肥満の状態にあることを示します。BCS5の段階では、肋骨や背骨にほぼ触れることができず、全身に脂肪が過剰に蓄積されている状態です。
特に腹部のたるみが顕著で、ウエストのくびれが全く見られません。肥満の猫は、糖尿病や心臓病、関節の問題など、深刻な健康リスクにさらされています。
そのため、肥満が確認された場合は、獣医師に相談して適切なダイエットプランを作成し、食事制限や運動の習慣を取り入れることが必要です。
猫のダイエット方法:食事編
次に、食事でできる猫のダイエット方法を紹介します。
- フードの量を急に減らすのはNG
- ダイエットフードを活用
- おやつをやめる
それぞれ効果が期待できる方法ですので、愛猫の肥満で悩んでいる場合はぜひ実践してみてください。
フードの量を急に減らすのはNG
まず、食事で猫の体重減少を促す場合は、フードの量を急に減らしてはいけません。食事量を減らすと起こるリスクについて詳しく見ていきましょう。
極端に食事量が減ると肝リピドーシスを発症
猫のダイエットにおいて、フードの量を急激に減らすのは非常に危険です。特に猫は食事の量が極端に減ると肝リピドーシスと呼ばれる病気を発症するリスクがあります。
肝リピドーシスは肝臓に脂肪が過剰に蓄積されて肝機能が低下し、最悪の場合命に関わる状態に至るのです。
肝リピドーシスは、特に肥満の猫が急に食事を減らされたり、絶食状態になったりすると発症しやすくなります。
肝リピドーシスになると食欲不振や嘔吐などの症状が見られ、進行すると深刻な肝障害を引き起こします。
そのため、猫のダイエットは慎重に行うべきであり、食事量の調整は段階的に行いましょう。
ダイエットフードを活用
次に、食事で猫の体重減少を促す場合は、ダイエットフードを活用することがおすすめです。ダイエットフードがなぜ肥満の猫に良いのか詳しく見ていきましょう。
低カロリーでも必要な栄養素が含まれている
通常のキャットフードと比べて、ダイエットフードは低カロリーですが、猫に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
低カロリーのフードを選ぶ際には、タンパク質やビタミン、ミネラルといった猫の健康に必要な成分が十分に含まれているかを確認することが大切です。
また、食物繊維が多く含まれているダイエットフードを選ぶと、猫が満腹感を得やすく、過食を防ぐ効果を期待できます。
市販のダイエットフードをカロリーの表示を確認して選び、適切な量を与えましょう。
おやつをやめる
最後に、食事で猫の体重減少を促す場合は、おやつをやめることがおすすめです。おやつが猫の健康に与える影響や対処法について詳しく見ていきましょう。
おやつをやめるだけで体重が減る猫もいる
多くの猫が好むおやつですが、おやつが肥満の原因となる場合がよくあります。おやつは高カロリーなものが多く、食事のバランスを崩してしまうのです。
もし猫が肥満気味であれば、まずおやつをやめてみましょう。日常的に与えているおやつをやめるだけでも、驚くほど体重が減少する猫もいます。
おやつは、猫の食事全体に占めるカロリーの割合を増やしがちですし、猫はおやつが習慣化してしまうため、無意識にカロリーを摂取してしまうのです。
おやつを楽しみにしているなら低カロリーのおやつを選ぶ
猫がおやつを楽しみにしている場合は、完全におやつをやめることが難しい場合もあります。
おやつをやめるのが難しい場合には、低カロリーのおやつに切り替えることが効果的です。
低カロリーのおやつは市販でも多く販売されており、カロリーを抑えながらも満足感を与えられます。
例えば、脂肪分が少なく、タンパク質が豊富なおやつや、食物繊維が多く含まれているものを選びましょう。
また、自然素材を使用した低カロリーのフリーズドライおやつや、無添加の魚や鶏肉を使ったおやつも猫にとっておすすめです。
おやつの回数を減らす
猫の体重管理を効果的に行うためには、おやつの回数を減らすことが重要です。おやつを与える回数が多いと、肥満の原因となる恐れがあります。
おやつを与える際は、1日の食事全体のカロリー量を考慮に入れ、適切な量を心がけましょう。
例えば、1日3回以上おやつを与えている場合は、まず2回、さらには1回と徐々に回数を減らしていくのが良いです。
また、特定の時間におやつを与える習慣ができている場合、その時間に他の活動や遊びを取り入れると、猫がおやつを欲しがらなくなる場合があります。
猫のダイエット方法:運動編
次に、運動でできる猫のダイエット方法を紹介します。
- 上下運動をたくさんできるように工夫する
- キャットタワーやキャットウォークを設置する
- 猫じゃらしで遊ぶ
それぞれ詳しく紹介するので、食事のダイエット方法を合わせて猫の肥満を改善しましょう。
上下運動をたくさんできるように工夫する
まず、運動で猫の体重減少を促す場合は、上下運動をたくさんできるように工夫しましょう。
猫は本来、木に登ったり獲物を追いかけたりする習性があるため、上下運動は猫の自然な行動を再現し、健康的な体重維持に役立ちます。
上下運動を促すためには、家の中で高低差のある環境を作ることが大切です。例えば、家具や棚の配置を工夫して、猫が飛び乗ったり、ジャンプしたりできる場所を作りましょう。
さらに、猫が自主的に上下運動を楽しむように、おもちゃやおやつを使って誘導する方法もあります。
キャットタワーやキャットウォークを設置する
次に、運動で猫の体重減少を促す場合は、キャットタワーやキャットウォークを設置しましょう。
キャットタワーは、高さがあり、猫が上下運動を楽しめる構造を持つため、自然な運動を促進します。
特に室内飼いの猫にとって、運動不足は肥満の大きな原因となりやすいため、キャットタワーを活用すると日常的なエクササイズが可能です。
また、キャットウォークは壁沿いに設置された細い通路で、猫が歩いたりジャンプしたりするためのスペースを作れます。
キャットウォークにより、家全体に運動の機会が広がり、猫が様々な場所で遊びながら体を動かせる環境を整えられるのです。
猫じゃらしで遊ぶ
最後に、運動で猫の体重減少を促す場合は、猫じゃらしで遊びましょう。猫じゃらしは、猫の運動を促進し、ダイエットにおいて重要な役割を果たすアイテムです。
猫じゃらしを使った遊びは、猫の狩猟本能を刺激し、飛びついたり追いかけたりする動作を引き出します。
そのため、猫は短時間で集中的にエネルギーを消費し、運動不足を解消できるのです。
特に、普段運動量が少ない室内飼いの猫は、猫じゃらしはストレス発散と体力づくりの両方に役立ちます。遊ぶ際には、猫が興味を持ち続けるように、動きに変化をつけましょう。
まとめ
今回は、猫の肥満とダイエット方法について紹介しました。猫は摂取カロリーが多かったり、避妊・去勢手術を受けたりすると肥満になりやすくなります。
猫の肥満は体重や体格で判断できるので、標準体重から外れすぎていないか、BCSで太り過ぎと評価できるか定期的にチェックすることが大切です。
愛猫が肥満の場合は、おやつをやめたりダイエットフードを活用したりして食事を見直しましょう。また、運動できる環境を整え、猫の健康管理に努めてください。