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- はじめに
- 猫がプラスチックを誤飲した時に確認すること
- 猫がプラスチックを誤飲した時の対処法
- 猫が誤飲・誤食した時に見られる症状
- 猫の誤飲はすぐに症状がでない場合もあるので要注意
- 猫がプラスチック製品を食べる・噛む理由
- 猫の誤飲による治療の流れや治療費
- 猫がプラスチックを誤飲しないために取るべき対策
- まとめ
はじめに
猫を飼っていると、つい目を離していた隙に食べてはいけないものを口にしてしまい、慌てて取り出したということはありませんか。
飲み込んでしまう前に発見できればよいですが、もし異物を飲み込んでしまったらなんらかの対処をする必要があります。
消化のできるものや、とても小さいものでしたら、自然排出も可能なことがありますが、大きいものや、消化されることのないプラスチックのような素材の場合には、ほとんどが自然には排出されません。
とはいえ、長期的に体内にとどめておくことは危険なので、一刻も早く治療をしなければなりません。
今回は、猫がプラスチックを誤飲してしまった場合の、おもな症状や対処法について詳しく解説いたします。
猫を飼っている飼い主さんにとって、とても身近で重要な問題なので、この機会にしっかりと確認しておきましょう。
猫がプラスチックを誤飲した時に確認すること
もし、猫がプラスチックを誤飲したら、慌てずに落ち着いて状況を把握するようにしましょう。
慌ててしまって、あたふたしているあいだに時間が経過してしまい、猫の症状が悪化してしまうこともあります。
誤飲してしまったときの状況や、猫の様子などをしっかりと記録しておいてください。
本当に誤飲したのか家の中を確認する
まず、プラスチックを本当に誤飲したのか、確認しましょう。
あるはずのものがなくなっていたり、破片が散らばっていたりするなど、本当に誤飲していればなにかなくなっているはずです。
探しても見当たらずに、猫の状態も普段と明らかに違うようでしたら、本当に誤飲してしまったのかもしれません。
しかし、誤飲したと思って病院へ連れて行ったものの、治療を始めてみたら実際には誤飲しておらず猫に体力的な負担だけをかけてしまったケースもあります。
プラスチックを誤飲した可能性があった場合には、家の中を見渡してなくなっているものがないか確認するようにしましょう。
どのくらい大きさの物を飲み込んだのか確認する
誤飲してしまったものの大きさはとても重要な情報です。どれくらいの大きさで、どのような形状をしていたのか、病院を受診した際にも、大きさによって治療の方針も変わってくるからです。
また、飲み込んだものが1つなのか、複数なのか、誤飲してしまったプラスチックの形状など、考えられる情報はメモして控えておきましょう。
もしプラスチック製品の一部を飲み込んでしまっていたら、残りの部分は持参しましょう。病院に持っていくと問診や治療の参考になります。
誤飲した時間をメモしておく
猫の状態を把握するのに、誤飲した時間はたいへん重要な情報です。というのも、飲み込んでしまったものが胃の中に残っているようでしたら、大きさにもよりますが、吐き出させる治療によって取り出すことができる可能性があります。
しかし、すでに時間が経過しており、腸に移動してしまった場合には、内視鏡や開腹手術などの治療が必要になるためです。
飼い主さんが家にいるときに、誤飲してしまった場合には、正確な時間を記録することができますが、猫だけで留守番をしていたときに誤飲したときはいつ頃飲み込んでしまったのかわからないため、「何時から何時のあいだ家を空けていた」など考えられる情報はすべてメモして少しでも治療の参考になるようにしてください。
猫に変わった様子がないか観察する
猫がプラスチックを誤飲してしまった際に、もっとも注意しておかなければならないのが猫の状態です。
あきらかにぐったりとしているケースや、吐きたそうにしているもしくは何度も嘔吐を繰り返すなど、すでに症状が出ている場合もありますが、飲み込んでしまったものが食道などに引っかかることなく、胃内にとどまっている場合には、無症状なこともあります。
しかし、飲み込んだものの大きさがある程度大きいものだと、腸に落ちたときに痛みが発生することがあるので、誤飲が疑われる場合には、猫から目を離さないようにしてください。
誤飲の場合は、時間が経過して異物が腸にまで達すると、入院しての手術が必要になることがあります。
そのため、間違いなく誤飲したことが確認できたら、猫の様子に変化がなくてもそのまま放置せず、すみやかに病院へ連れて行ってあげてください。
猫がプラスチックを誤飲した時の対処法
猫がプラスチックを誤飲したのを発見したら、動揺して何をすべきかわからなくなってしまうこともあると思います。
誤飲の場合、飼い主さんがおこなうべきことは一刻も早く動物病院へ連れていくことです。
獣医師にくわしく説明するために、状況などをメモするなどしたら、経過観察はせずにすみやかに病院を受診してください。
無理に吐き出させない
猫が誤飲したものを、自分で吐き出させることはしてはいけません。
無理に吐き出させようとすると、猫の体調がさらに悪化する可能性があるほか、適切な処置をおこなわず吐き出させることで、窒息の原因になったり、胃や食道を傷付けてしまうおそれがあります。
そのため、無理に吐き出させようとはせずに病院で治療を受けましょう。
すぐに動物病院に相談する
誤飲を確認したら、どれくらいのものをいつ飲み込んだのか、状況を確認したら、自分で吐き出させようとせずに、すぐに動物病院へ相談してください。
誤飲の場合、異物を飲み込んでからの時間が長くなると、異物の大きさにもよりますが、治療が困難になってしまうことがあります。
異物を誤飲したらまず動物病院に相談しましょう。
猫が誤飲・誤食した時に見られる症状
猫が誤飲・誤食したときに、多くみられる代表的な症状をご紹介します。
えずく・よだれを出す
体内のどこかに異物が詰まることによる違和感で、何度もえずくことがあります。異物が大きいと、えずくだけで何もでてこないことがほとんどです。
また、症状が進行すると、えずきながらよだれを垂らしてぐったりとするようになります。
嘔吐や下痢
胃の中に異物があるときは大きな症状が出ないことが多いのですが、腸にたどり着くと通過していく過程のなかで炎症を起こし下痢を起こすことがあります。
異物が腸に詰まってしまうと、嘔吐を繰り返すようになります。
腸に達してしまい、長時間放置することでこのような症状がみられるようになります。
食欲がない
異物が体内に残っている違和感や、腸に達してしまうことによる痛みや不快感で、食欲がなくなります。
場合によっては、吐き気を催さずに食欲だけがないケースもあるので、猫の様子がいつもと違っているようなら早めに病院へ連れていきましょう。
元気がない
異物を飲み込んでしまい、食道やお腹に強い違和感がある場合、動くこともつらくなり、いつもよりも元気がなくなることがあります。
ほとんど動かずに、つらそうな声を出していたり、ぐったりとしていたら異物が完全に腸に詰まってしまい、粘膜を傷付けてしまっている可能性があるので、大変危険です。
猫の誤飲はすぐに症状がでない場合もあるので要注意
猫が誤飲してしまっても必ずしもすぐ症状が出ないことがあります。
飲み込んでしまったものが、食道を通り抜けて、胃内に達してしまうと、嘔吐などを起こすことはあっても、苦しむような症状が出ないといったことも珍しくはありません。
体外に排出されるまで最大数週間かかる場合も
誤飲した異物は胃に到達すると、胃粘膜が傷付くことにより胃を荒したり、嘔吐を繰り返したりすることはありますが、胃内に異物がとどまっているあいだはそれほど強い症状が出ないことがあります。
胃を通過して、腸にたどり着くと腸の入口に詰まって激しい嘔吐や痛みが出てくることがあります。
その際に、腸に炎症が起き、下痢などを起こすことがあります。
また、腸内は大変デリケートなため、長時間通過せずに同じ場所に詰まったままだと粘膜が壊死してしまい大変危険です。
本来、食べ物は数時間で胃から腸に移動してきますが、異物の場合はさらに時間がかかってしまうことがあり、場合によっては数週間経って排出されることがあります。
それでも排出されない場合には、元気がなくなり、食欲もなく嘔吐を繰り返して腸閉塞を発症し、命に関わることもあるので、誤飲が疑われたら症状が出ていなくても病院を受診してください。
猫がプラスチック製品を食べる・噛む理由
猫がプラスチック製品を食べたり噛んだりする理由は、人間が片付け忘れてしまったものに興味を持ってつい口にしてしまうケースがほとんどです。
部屋に放置しないことはもちろんですが、なぜプラスチック製品に反応するのでしょうか。
好奇心や遊びの一環
人間が片付け忘れてしまったものを見つけて、好奇心旺盛な猫は口に入れたり噛んだりしながら遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまうことがあります。
異物誤飲の原因としてよくあるのがこのケースなので、猫の行動スペースに誤飲のおそれがあるものは置かないようにしましょう。
歯や口の不快感
歯周病などの歯や口の違和感を解消するために、何かを噛んで気を紛らわせたいところにプラスチック製品をみつけて噛んでいるうちに誤飲してしまうケースがあります。
プラスチック製品に付着している匂い
プラスチック製品は、製造過程で獣脂が使用されており、そのにおいに反応しているといわれています。
肉食の猫にとって、動物性の油脂のにおいは大変魅力的であり、ほんの少しでも発達した嗅覚で嗅ぎつけて舐めたり噛んだりしているうちに飲み込んでしまいます。
不安やストレス
猫や犬は不安やストレスから問題行動を起こすことがありますが、いろいろな物を噛んで傷付ける行為もそのひとつです。
ほかにも、食べ物以外のものを自ら好んで食べてしまう異常行動でプラスチックを食べてしまう猫もいます。人でもこの異常行動がみられる場合は、精神障害や栄養障害が原因といわれており、猫も同様にこのような障害が原因ではないかといわれています。
くりかえし異物を誤飲するようならば、この行動も含めて動物病院への受診をおすすめします。
猫の誤飲による治療の流れや治療費
猫の誤飲では、経過した時間と、体内のどこに異物がとどまっているのかによって治療方法が変わってきます。
誤飲での治療方法や一連の流れについて解説します。
また、治療にはどれくらいの費用がかかるのかみていきましょう。
誤飲した際の治療法
プラスチックを誤飲した際の治療法は、飲み込んでしまった異物の大きさや、経過した時間によって異なりますが、一般的に食道で詰まってしまった場合や、胃を通り抜けて腸にたどり着くと治療が困難になり、手術などが必要となることが多くなります。
動物病院へ連れていくとまず問診がおこなわれます。
現在の健康状態や、いつ頃、何を、どれくらい飲み込んだのか確認されるため、誤飲が疑われた際には必ず必要な情報は記録しておきましょう。
飼い主さんの情報を参考に、今現在起こっている症状の緩和処置や、見落としがないかレントゲン撮影などをおこない、診断を確定させます。
すぐに排出されそうな場合には、経過観察によって様子を見ることもあります。
異物の大きさが小さいもので、食道を傷付けるおそれのないものであれば、嘔吐物や便に混ざって排出される可能性があるため、薬剤を使用した催吐処置が選択されます。
次に、異物の形状が食道を傷付けることはないが、自然排出が困難な大きさのものは内視鏡による除去がおこなわれます。
内視鏡は、全身麻酔下で、開腹することなく誤飲した異物を取り出すことができるので、腸にまで達していなければ、異物を摘出できます。ただし、異物の大きさや形状によっては内視鏡による摘出が難しく、開腹手術に切り替えられる場合があります。
誤飲した異物が、時間が経過して胃を通り過ぎて腸に達してしまうと、内視鏡での除去は難しくなるため、開腹手術を選択します。
体力的に負担も大きく、時間が経過しているため、重症化している危険性もあるため、慎重な判断が必要となります。
それぞれの治療について、くわしくみていきましょう。
異物が排出するまで経過観察
異物が小さいビーズのようなものであれば、嘔吐の際に一緒に出てきたり、便と一緒に排出されたりする可能性があるので、経過観察をおこなうことがあります。
しかし、どこかに詰まっている可能性もあるため、飼い主さんの判断ではなく、かかりつけの動物病院へ相談して指示を仰いでください。
催吐処置
プラスチックが小さく、形状が食道を傷付けるものでないと医師が判断した場合には、催吐処置によって嘔吐を促します。
薬剤を投与し、効果があれば数分~10分程度で嘔吐が生じ、嘔吐物に異物が含まれていれば、処置は完了です。
ただし、誤飲したプラスチックが必ずしも1個とは限らないので、あらためてレントゲン検査などをおこない異物がなくなっていることを確認しましょう。
内視鏡処置
自然排出が困難な異物は、大きさや形状にもよりますが、内視鏡処置で除去できることがあります。
全身麻酔で猫を眠らせているあいだに、先端に鉗子を付けた内視鏡を口から挿入して、カメラで異物を確認しながら取り出します。
映像で直接異物を確認できるため、見落としていた異物があっても見つけ出すことができます。
また、開腹手術に比べ、身体への負担が少なく術後1日〜3日程度で退院できるメリットがあります。
開腹手術
異物の数が大量の場合や、食道を傷付けてしまうおそれのある形状、すでに腸に移動してしまい内視鏡での除去が困難なケースでは開腹手術による除去が選択されます。
腸に達してしまっている異物を除去するためには、腸切開をしますが、異物が腸に詰まったためにその部分が壊死していることがあり、その際には、部分的に壊死している部分の腸を切除する必要があります。
猫にとっても開腹手術は身体への負担も大きく、入院期間も長くなります。
誤飲した時にかかる治療費一覧
誤飲治療の費用は、選択する治療によって異なります。
一般的な検査にかかる費用は以下になります。
- レントゲン検査 3,000円~10,000円
- エコー検査 3,000円~7000円
- 血液検査(項目により変動あり)7,000円~12000円
そこで催吐処置が選択されるとおよそ8,000円前後となります。
また、内視鏡での摘出をおこなうと30,000円〜50,000円となり、胃洗浄もおこなった場合にはさらに15,000円前後の費用がかかります。
内視鏡手術は1〜3日程度の入院が必要となり、入院費として1日およそ3,000円〜5,000円が別途かかります。
開腹手術になると状態や、入院期間により大きく異なりますが、平均値として125,000円と算出されています。
あくまで目安となり、各病院で費用は異なるため参考としてご覧ください。
猫がプラスチックを誤飲しないために取るべき対策
猫がプラスチックを誤飲しないための対策は、猫が口にしそうなプラスチック製品を、猫の届くところには置かないことが一番の対策となります。
特に小さいものは、丸飲みできてしまうので、より一層注意しておく必要があります。
まとめ
猫がプラスチックを誤飲してしまった場合の症状や、対処法について解説いたしました。
猫の誤飲は多く発生しており、その原因の多くが人間が片付けていなかったものを、猫が興味本位で口にしてしまったためといわれています。
当記事でもご紹介したとおり、排出されない異物は猫にとって大変つらく、場合によっては命の危険もあります。
まず大切なことは、愛猫の届くところに誤飲してしまうようなものを置かないことを徹底しましょう。