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- はじめに
- オス猫の去勢手術は必要?
- 去勢手術をするメリット
- 去勢手術をするデメリット
- 去勢手術をすると性格が変わる?
- 性格の変化には個体差が大きい
- 去勢手術をするタイミング
- 去勢手術にかかる費用
- 去勢手術前後の流れ
- まとめ
はじめに
オス猫を飼い始めた飼い主さんならば、成長していく段階で、去勢について考える方が多いのではないでしょうか。
もし愛猫の子供を増やす予定がないのであれば、去勢手術を検討した方がよいでしょう。
ただし、手術を受ける前に、なぜ去勢手術は必要なのかきちんと理解しておかなければなりません。
当記事では、去勢手術によるメリット・デメリットをも理解したうえで、飼い主さんが判断できるよう猫の去勢手術についてくわしく解説いたします。
オス猫の去勢手術は必要?
もし、愛猫の繁殖を考えていなければ、去勢手術をおすすめします。
オス猫は生後6ヵ月〜12ヵ月で繁殖が可能になります。
猫は交尾をおこなうとほぼ確実に妊娠してしまう動物のため、外に出る猫や、避妊手術をしていない猫との多頭飼いなどは特に気を付けなければなりません。
また、発情する時期になると、メス猫へのアピールのためにマーキングや大きな声で鳴くなどさまざまな問題が発生します。
去勢手術を受ければ発情行動の抑制や、感染症などの病気の予防、望まない繁殖の回避などの効果が期待できます。
当然、メリット・デメリットがあるので、飼い主さんはきちんと理解したうえで検討する必要があります。
去勢手術をするメリット
去勢手術には数々のメリットがありますが、代表的なものをご紹介します。
マーキング行動を減らせる
猫の発情行動のなかでも、飼い主さんをもっとも困らせるのは、家中に尿を吹きかけてまわるマーキング行動ではないでしょうか。
自分の尿をスプレーのように吹きかけることで、オスとしての自分の強さをアピールするために、家具や壁などいたるところにマーキングをされてしまいます。
去勢していないオス猫の尿は性ホルモンが多く含まれているため、強いにおいを放ち、一度においが付いてしまうと取れなくなってしまうことがあり、賃貸住宅にお住まいの方は特に注意が必要です。
去勢手術を受けることで、マーキング行動を減らすことができるので、発情前の去勢手術を検討するとよいでしょう。
ただし、年齢を重ねてから去勢手術を受けてもマーキングの癖が抜けない子もいるようなので、どうしてもマーキングされたくないとお考えの飼い主さんは、マーキング行動を覚えてしまう前に去勢手術を計画するとよいでしょう。
発情期のストレスを減らせる
発情しているオス猫は、発情期のメス猫のところに行きたくて仕方がありません。
しかし、家の中で生活している猫は外に出てメス猫を探すことができません。
メス猫を探しにいけないことは、オス猫にとってはかなりのストレスとなります。
そのため、発情や縄張り意識、ストレスによって、同居猫や飼い主さんに対しても攻撃的になることがあります。
あまりのストレスで脱走を試みることも考えられるので、発情中はいつも以上に気を付けなければなりません。
去勢手術を受けると、発情をかなり抑えることができるので、問題行動がなくなり、猫のストレスを軽減できます。
前立腺の病気や精巣腫瘍などの病気を予防できる
去勢手術を受けることで、前立腺の病気や精巣腫瘍の予防になります。
どちらも高齢猫に多くみられる病気のため、治療には体への負担がともなう手術が必要になります。
若いうちに、去勢手術を受けることで、将来的な病気の予防につながります。
また、外に出る猫の場合でも、交尾やケンカなどによる猫エイズなどの感染症にかかるリスクを減少させることもできます。
望まない妊娠を予防できる
去勢手術を受けた猫は、交尾をしないので、外に出ても知らないメス猫を妊娠させることがなくなります。
去勢せずに発情期に外へ出ると、飼い主さんの知らないうちにメス猫がどこかで出産しているかもしれません。
野良猫を増やさないための対策としても、去勢手術は効果的です。
去勢手術をするデメリット
去勢手術にはデメリットもいくつか存在するので、手術を受ける前に確認しておきましょう。
飼い猫の赤ちゃんができなくなる
去勢をするということは、当然ですが飼い猫の赤ちゃんはできなくなります。
もしどうしても悩んでいるならば、子猫を迎え入れる前からじっくりと考えて結論を出しましょう。
去勢をするのか、しないのか、どのタイミングでするのかなど、しっかりと検討してください。
また、去勢をせずに繁殖している方にアドバイスをもらうのも1つの方法です。
実際に繁殖や発情期を迎えた猫の対処法などいろいろな側面から話を聞いたうえでご自分にもできるのか考えてからでも遅くはありません。
去勢してから「やっぱりこの子の子供が見たい」と後悔することのないようにしてください。
ホルモンバランスの影響で体重が増えやすい
去勢手術を受けると、ホルモンバランスの影響で太りやすくなります。
繁殖に使っていたエネルギーを消費しなくなる代わりに、食欲が増して肥満のリスクが高まります。
そのうえ、子猫の頃のように活発に動くこともなくなることで代謝が落ちるため、去勢前と同じキャットフードを同量食べても体重が増えてしまうのです。
対策として、食事量を減らすこともありますが、あまり減らし過ぎると必要な栄養素が足りず、常に空腹状態の猫はストレスになってしまうため、極端に量を減らすことはおすすめしません。
もし、去勢後に体重が増えるようならば、これを機に肥満猫用の低カロリーフードに変えてみるのもよいでしょう。
低カロリーであれば、それほど量を減らさずとも、摂取カロリーが少なくなるので、去勢により代謝が落ちた場合でも、肥満を予防することができます。
全身麻酔をするリスク
去勢手術は、手術時間も短く、手術自体には大きなリスクはないのであまり過度に心配する必要はありません。
ただし、全身麻酔による手術のため、麻酔に関しての万が一のリスクがあることは認識していなければなりません。
とはいえ、術前にきちんと検査をおこない、問題ないと判断されてからの手術となるので大きなリスクとはいえませんが、麻酔に関する過敏反応が出る確率がゼロではないというリスクは理解しておく必要があります。
全身麻酔のリスクに関しては、術前検査の際に、不安な点があれば、担当医に遠慮せずに質問し安心して手術を受けられるようにしておきましょう。
去勢手術をすると性格が変わる?
発情行動がなくなるため、すべての猫ではありませんが、攻撃的な部分が減ることで穏やかな性格になる子が多くなります。
攻撃性がなくなると、ほかの猫とのケンカもなくなり、家でも問題行動が少なくなると言われています。
穏やかな性格に加え、甘えん坊になる子が増えるのも、去勢手術を受けた猫の特徴でもあります。
その一方で、発情期を迎える前に去勢手術を受けた猫に比べ、遅いタイミングで受けた猫の場合、それほど性格に変化が見られないこともあるそうです。
去勢手術をすると男性ホルモンの分泌量が減少する
もともと発情行動は、男性ホルモンによる本能的な欲求なので、発情を抑えるために去勢手術をおこなえば男性ホルモンの分泌量が減少します。
性格が穏やかになったり、問題行動やマーキングが減ったりするのは男性ホルモンの分泌量減少が大きく影響しています。
性格の変化には個体差が大きい
去勢手術をしても必ず性格が変化するわけではありません。
攻撃性はおさまることが多いですが、もともとの性格が好奇心旺盛で遊び好きな子ならば、いたずらをすることもありますし、警戒心の強い子ならば、ときにはほかの猫に対して威嚇行動をみせることもあるでしょう。
去勢手術後の性格の変化には個体差があるので、その点は術後の愛猫の様子を見て判断してください。
去勢手術をするタイミング
去勢手術のタイミングは愛猫の成長度合いによって考えておかなければなりません。
できるだけ早いタイミングがよいといわれていますが、早すぎては手術ができないこともあります。
去勢手術のタイミングについてみていきましょう。
発情時のマーキング行動が出る前に行うのが理想
猫が成長して大人の体になってくると、本能的にマーキングを始めます。
あらゆるところににおいの強い尿をかけてしまうため、マーキングを覚える前に手術を受けるとマーキングに困らされることはありません。
一度マーキングを覚えてしまうと、去勢後もその癖が抜けないことがあるため、マーキング開始前がおすすめとされています。
生後6~7ヵ月に去勢手術を行うのが一般的
生後6〜7ヵ月頃になると、健康であれば体も骨格もしっかりとした大人の体に近づき、手術に耐えうる体力もついてきます。
また、ちょうどこの頃からマーキング行動を始めることも多いため、多くの動物病院では生後6〜7ヵ月あたりでの去勢手術を推奨しています。
成長スピードは猫によって異なるため獣医師に相談
人間同様に猫も成長スピードには個体差があるため、6ヵ月を迎えたからといって無条件で手術を受けさせるのではなく、事前に病院で術前検査をおこなってください。
生後6ヵ月頃におこなう健康診断とあわせて相談しておくとよいでしょう。
もし、病気などになっていたら、そちらの治療を優先する必要があるかもしれません。
愛猫の成長度合いや健康面に不安があったら、獣医師の判断を仰いだうえで手術のタイミングを決めるようにしましょう。
去勢手術にかかる費用
去勢手術を受ける際に、飼い主として気になるものの1つが手術費用だと思います。
去勢手術費用に限らず、動物病院の診療費はそれぞれ異なるので、ここでは一般的な費用について解説します。
費用の目安は16,000円~30,000円程度
一般的な費用の相場は16,000円〜30,000程度とされています。
この違いは、各動物病院の料金の違いのほかに、どこまでが含まれたものかにもよります。
おもに、術前検査代、抜糸代、傷舐め防止用のエリザベスカラーのレンタル代、薬代、術後の診察代などがあります。
こちらの費用を含めた総額の場合や、手術費用とは別にこれらの費用がかかる場合があるので、手術を終えてから高額な費用がかかってしまったということがないよう事前にかかりつけの動物病院で確認しておきましょう。
自治体によっては助成金がでることも
自治体によっては、無計画な繁殖による飼育環境の崩壊や、捨て猫や野良猫を減らす目的で助成金や補助金が支給されることがあります。
各自治体により、対象となる猫は異なり、飼い主のいない猫の去勢手術に対して支給している地域もあれば、飼い猫も対象となっている地域もあるので、去勢手術を受ける際に、お住まいの地域の助成金、補助金について調べてみることをおすすめします。
去勢手術前後の流れ
去勢手術を受けると決まったら、手術に向けて準備を始めましょう。
去勢手術は比較的簡単な手術といわれていますが、大切な愛猫がどのような手術をおこなうか流れを理解していなければ不安な飼い主さんも多いと思います。
特に手術前後のケアについては飼い主さんが気を配って観察してあげる必要があるので、術前から術後までの一連の流れをくわしく解説いたします。
動物病院で診察を受けて手術の予約をする
手術を受けることを決めたら、まずは動物病院で予約を済ませましょう。
このときに身体検査をおこない、手術を受けることができるか確認します。
去勢手術は、短時間で難易度もそれほど高くない手術ですが、全身麻酔を用いておこなわれるため、麻酔によるリスクはほかの手術と同様にゼロではありません。
そのため、血液検査やレントゲン、体重などをあらかじめ確認して、問題ないようでしたら手術の予約が可能になります。
注意点として、血液検査の結果が出るまでに時間がかかることがあるので、希望の手術日があれば、日程に少し余裕をもって身体検査を受けてください。
予約時には、担当医から手術に関する説明や、当日までの注意事項などに関する説明がされるので、不安なことや不明点はこの場できちんと確認しておきましょう。
手術前の検査を受ける
手術当日に指定された時間に病院へ連れていき、まずは術前検査をおこないます。
手術当日の体調をあらためて調べ、当日までになにか変わったことがなかったかなどの問診をおこないます。
去勢手術は全身麻酔になるため、胃の中に食べ物が残っていると、手術中に吐き出して誤嚥してしまうことがあります。
そのため、前日より絶食が必要で、お水も当日の朝までとなることが多く、最後の食事の時間などを確認されることがあります。
術前検査で問題がなければ同意書に記入して手術に進みます。
手術を受ける
手術は全身麻酔をかけて、精巣付近の皮膚を1〜1.5cmほど切開し、精巣を摘出します。
時間にしておよそ30分程度で終了します。
手術の最後に縫合処置をおこないますが、病院によっては傷口を気にする子が多いため、縫合をおこなわない方法を選択している病院もあります。
日帰り手術が多い
手術終了後、麻酔が切れたのを確認し、数時間様子をみて問題がないようであれば、担当医から注意点などの説明を受け、日帰りになる病院が一般的です。
1日程度入院する場合も
日帰り手術の多い去勢手術ですが、猫の年齢や、術後の体調、病院の方針によっては1日程度入院する場合があります。
また、飼い主さんがどうしても不安な場合や、猫を安静にさせることがどうしても難しい場合にはあらかじめ相談しておけば、入院対応してくれることもあるので、必要に応じて確認しておきましょう。
7日から10日ほどで抜糸する
家に帰ってきてからは、傷口を気にする子のために、首に巻き付けるエリザベスカラーや洋服タイプのエリザベスウェアを着用して過ごします。
自由にできない分、猫にとってストレスになることも多いですが、傷口を舐めたり気にしたりしすぎて傷口の縫合が外れたり、化膿して感染したりすることを防ぐためにも、抜糸までは外さないようにしてください。
手術を終えて帰宅する際に、病院から抜糸のための来院日を指定されますが、ほとんどの病院が術後7日〜10日ほどで抜糸をおこないます。
まとめ
猫の去勢手術について解説してきました。
もし、繁殖を考えていないのならば、生後6ヵ月を過ぎた頃に去勢手術をすることをおすすめします。
飼い主さんの知らないところでの望まれない妊娠を防ぐことや、発情期の問題行動、将来的な病気の予防などさまざまなメリットがあります。
性格も穏やかになり、飼いやすくなる子も多く多頭飼いのご家庭などでは、ケンカなども少なくなるでしょう。
去勢手術を受けるかお悩みの方も、当記事でご紹介しているメリット・デメリットを参考に検討してみてはいかがでしょうか。