健康

【獣医師監修】猫の脱水症状の見分け方は?自宅でできる水分補給の方法や予防のためにできることを解説

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はじめに

人間だけでなく猫にとっても水分補給は欠かせません。ただ、猫はさまざまな要因で脱水症状になる恐れがあります。

猫の脱水症状は体の状態から判断し、水分を摂取できるようすぐに対処することが大切です。

今回は、猫の脱水症状の見分け方を紹介します。

自宅でできる水分補給の方法や予防のためにできることを解説するので、猫の健康を維持したい方はぜひチェックしてください。

猫の脱水症状とは

まず、猫の脱水症状とはどのようなものか紹介します。脱水が猫に与える影響を詳しく見ていきましょう。

脱水が猫の健康に与える影響

猫にとって水分は、健康維持のために不可欠な要素です。体内の水分が不足する脱水症状は、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。

脱水が進行でまずみられるのは、体内の水分バランスの崩れによる血液の循環や酸素の供給の低下です。

そして、猫の体はエネルギーを効率的に使用できなくなり、疲労感や元気の喪失が見られるようになります。また、腎臓などの臓器の働きが鈍くなりやすいです。

猫はもともと腎臓病にかかりやすいため、脱水によって腎臓がダメージを受けると、慢性腎不全などの深刻な病気に進行する危険性が高まります。

さらに、脱水は消化器系にも影響を及ぼし、便秘や消化不良の原因にもなりやすいです。

脱水を引き起こす主な原因

次に、脱水を引き起こす主な原因を紹介します。

  • 熱中症
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 利尿剤の使用

それぞれ詳しく紹介するので、愛猫が脱水症状になった場合はどれが原因か判断できるようになりましょう。

熱中症

まず、猫が脱水を引き起こす主な原因は熱中症です。特に夏の暑い季節や室内の換気が不十分な場合、猫は体温調節が難しくなり、熱中症になるリスクが高まります。

猫は汗をかいて体温を調整する機能が弱いため、体内の水分が急速に失われやすいのです。

その結果、脱水症状が引き起こされ、気力の喪失や呼吸が荒くなるなどの症状が現れます。

重度の熱中症の場合、意識障害やけいれんを引き起こす場合もあり、早急な対処が必要です。

下痢

次に、猫が脱水を引き起こす主な原因は下痢です。下痢になると、体内の水分と電解質が急速に失われるため、猫は短期間で脱水状態に陥る可能性があります。

特に、子猫や高齢の猫、持病を持つ猫では、下痢による脱水が深刻な問題となりやすいです。下痢の原因は食事の変更やストレス、感染症、アレルギーなどが考えられます。

下痢による脱水を防ぐためには、水分を多く含む食事を与えたり、経口補水液を使って水分補給を行ったりしましょう。

食欲不振

3つ目に、猫が脱水を引き起こす主な原因は食欲不振です。食事からの水分摂取は、猫の水分補給の重要な部分を占めています。

特にウェットフードを与えている場合、食欲不振によって食事から得られる水分が大幅に減少するため、脱水症状を引き起こす可能性が高いです。

食欲不振は、ストレス、体調不良、環境の変化、病気などが原因で発生し、長期的には栄養不足とともに脱水も進行します。猫が食事を摂らない期間が続く場合は注意が必要です。

利尿剤の使用

最後に、猫が脱水を引き起こす主な原因は利尿剤の使用です。利尿剤は、体内の余分な水分や塩分を排出する薬ですが、猫の体内の水分が過剰に失われる場合があります。

特に心臓に問題を抱える猫に処方されるケースが多い利尿剤ですが、適切な水分補給が行われないと脱水のリスクが高いです。

利尿剤を使用している猫は、常に新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。また、獣医師の指示に従い、適切な投薬量を守ることも大切です。

猫の脱水症状の見分け方

次に、猫の脱水症状の見分け方を紹介します。

  • 皮膚の弾力性をチェック
  • 歯茎と目の状態を確認
  • 食欲不振や活動量の低下
  • 排尿の頻度と量の変化

それぞれ詳しく紹介するので、猫が脱水症状か判断できるようになりましょう。

皮膚の弾力性をチェック

まず、猫の脱水症状を見分けるためには皮膚の弾力性をチェックしましょう。通常、猫の皮膚は水分を十分に含んでおり、弾力性があります。

脱水が進行すると、皮膚が乾燥して弾力を失いやすいです。皮膚の弾力をチェックするには、猫の首の後ろや背中の皮膚を軽くつまみ、皮膚が元に戻るスピードを観察しましょう。

健康な猫であれば皮膚はすぐに元の位置に戻りますが、脱水症状がある場合は、皮膚が戻るのに時間がかかるのです。症状が見られた場合は、脱水の可能性が高いと考えられます。

皮膚の弾力性が低下するのは、体内の水分が不足しているサインです。特に高齢猫や腎臓病を持つ猫では、脱水が深刻化しやすいため、定期的に皮膚の弾力性をチェックしましょう。

歯茎と目の状態を確認

次に、猫の脱水症状を見分けるためには歯茎と目の状態を確認しましょう。健康な猫の歯茎はピンク色で、触るとしっとりと湿っています。

しかし、脱水が進行すると歯茎が乾燥し、色も薄くなったり白っぽくなったりするのです。

さらに、指で軽く押してみて、歯茎が元の色に戻る速度を確認します。

健康な状態なら、押した部分がすぐにピンク色に戻りますが、脱水の場合は戻るのに時間がかかることが特徴です。

また、猫の目の状態でも脱水の兆候を確認できます。通常、猫の目は輝いて潤いがありますが、脱水が進行すると目の表面が乾燥しやすいです。

特に、涙の量が少なくなり、目の周りが乾燥している場合は脱水を疑いましょう。

食欲不振や活動量の低下

3つ目に、猫の脱水症状を見分けるためには食欲不振や活動量の低下がないかチェックしましょう。

通常、健康な猫は定期的に食事を摂って活発に動きますが、脱水が進行すると猫は食欲を失いがちになります。

なぜなら、体内の水分不足により消化器系の働きが低下し、食べ物を受け付けにくくなるからです。

さらに、脱水に伴うエネルギー不足や疲労感が影響し、猫の活動量も明らかに低下します。

遊びに対する興味がなくなったり、普段のように動き回らずにじっとしている時間が増えたりすると、脱水症状の可能性が高いです。

特に、長時間寝ている日が多くなり、飼い主が呼びかけても反応が鈍い場合や、普段と比べて動きが少なくなった場合は注意してください。

排尿の頻度と量の変化

最後に、猫の脱水症状を見分けるためには排尿の頻度と量の変化もチェックしましょう。

通常、健康な猫は一定の頻度で排尿を行い、尿の色や量も変わりません。

しかし、脱水が進行すると、猫の体は水分を節約しようとするため、排尿の回数が減少することがあります。また、尿の量が少なくなり、色が濃くなることが一般的です。

濃い黄色や茶色がかった尿が見られた場合は、脱水の可能性を疑いましょう。さらに、トイレに行く頻度が少なくなったり、排尿に時間がかかったりする場合は注意が必要です。

症状が続くと腎臓に負担がかかり、腎不全などの深刻な病気につながる恐れもあります。排尿の変化を見逃さずに、日常的にトイレの使用状況をチェックすることが重要です。

猫の脱水症状への対処法

次に、猫の脱水症状への対処法を紹介します。自宅でできる対処法を紹介しているので、ぜひ行ってみてください。

自宅でできる水分補給の方法

自宅でできる水分補給の方法は下記の6つです。

  • ウェットフードを与える
  • 水分の多いおやつを与える
  • ドライフードに水分を追加する
  • 器を変えて猫の興味を引く
  • 新鮮な水に交換する
  • 経口補水塩を与える

ウェットフードを与える

まず、猫に水分を補給するには、ウェットフードを与えましょう。

ウェットフードには約75〜80%の水分が含まれており、ドライフードに比べて水分摂取量を大幅に増やすことが可能です。

特に、普段あまり水を飲まない猫や、脱水症状のリスクが高い猫にとっては、ウェットフードが非常に役立ちます。

さらに、ウェットフードは嗜好性が高く、食欲不振の猫も食べやすいため、水分補給だけでなく栄養補給も可能です。

ウェットフードを与える際には、味や食感のバリエーションを試しながら、猫の好みに合わせて与えましょう。

水分の多いおやつを与える

次に、猫に水分を補給するには、水分の多いおやつを与えましょう。普段の食事とは別に、おやつとして水分を含んだものを与えると、自然に水分補給を促すことができます。

例えば、猫用のゼリーやスープタイプのおやつ、または冷凍して食べやすいおやつなどが最適です。特に普段水を飲む量が少ない猫や、食欲が落ちている猫には効果が期待できます。

また、水分の多いおやつにはミネラルやビタミンが含まれている場合もあり、栄養補給も兼ねて与えることが可能です。

ただし、塩分や添加物が含まれていないかを確認し、猫の体に負担をかけないおやつを選びましょう。

ドライフードに水分を追加する

3つ目に、猫に水分を補給するにはドライフードに水分を追加しましょう。ドライフードにはほとんど水分が含まれていないため、水分摂取量が不足する場合があります。

そのため、ドライフードに適量の水やぬるま湯を加えると、猫が自然に水分を摂取できるのです。水を加えたドライフードは食感が柔らかくなり、猫にとっても食べやすくなります。

また、フードに水を加えると香りが引き立ち、食欲が落ちている猫にも効果的です。水分を追加する際には、フードがべちゃべちゃになりすぎないよう、少しずつ水を加えましょう。

器を変えて猫の興味を引く

4つ目に、猫に水分を補給するには器を変えて猫の興味を引きましょう。猫は環境の変化に敏感で、飲み水の器の形状や材質によって水を飲む量が変わる場合があります。

例えば、浅めで幅が広い器を使うと、ヒゲが器に当たらず飲めるので猫にとって快適です。逆に、深い器や狭い器は猫にストレスを与え、水を避ける原因になります。

また、ステンレスやセラミック、ガラスなど、異なる材質の器を試すと、猫が飲みやすいものを見つけられるかもしれません。

特にプラスチック製の器は、匂いが残りやすく、猫が嫌がる場合があるため注意が必要です。

新鮮な水に交換する

5つ目に、猫に水分を補給するには新鮮な水に交換しましょう。猫はもともと水をあまり飲まない傾向がありますが、だからこそ、飲み水の質や鮮度に対して敏感です。

水が長時間放置されると、猫は水を避けてしまう場合があります。水が空気中の汚れや埃を吸収し、器の中にバクテリアが繁殖するので、猫が飲みたがらなくなるのです。

そのため、少なくとも1日2回は水を交換し、新鮮な状態を保ちましょう。また、水を交換するだけでなく、器自体の清潔さも保つことが重要です。

器に水垢やぬめりが残っていると、猫は飲むのを嫌がる場合があります。

経口補水塩を与える

最後に、猫に水分を補給するには経口補水塩を与えましょう。経口補水塩は、水分と一緒に電解質を補給でき、脱水症状の進行を防いで体内の水分バランスを整えてくれます。

猫用の補水塩は、獣医師から処方されたものや市販の製品を使用し、人間用のものをそのまま与えるのは避けましょう。猫の体は人間とは異なるため、専用の製品を選ぶと安全です。

補水塩は強制的に飲ませるのではなく、猫が自発的に飲めるように工夫して水に溶かして与えましょう。

特に夏場や体調が優れない時期には、猫が体内の水分を失いやすいため、経口補水塩は非常に役立ちます。

脱水症状を起こした時は早めに動物病院へ

猫が脱水症状を起こした時は、猫の健康を守るために早めに動物病院へ行きましょう。

脱水は単なる水分不足にとどまらず、体内の電解質のバランスが崩れ、心臓や腎臓などの重要な臓器に負担をかけるため、放置しておくと命に関わり危険です。

脱水症状の兆候としては、皮膚の弾力が低下したり、目が落ちくぼんだり、歯茎が乾燥したりします。

さらに、猫が食欲不振や活動量の低下を示し、排尿回数や尿の量が減少している場合は、脱水のサインとして警戒が必要です。

脱水症状が見られた場合、自宅での水や経口補水塩を与えるのも一つの手段ですが、症状が改善しない、または悪化するようであれば、すぐに動物病院を受診しましょう。

猫の脱水を予防するためにできること

次に、猫の脱水を予防するためにできることを紹介します。

  • 水分を多く含む食事を与える
  • 水は常に新鮮なものを用意しておく
  • 室内の湿度を適切に管理する

それぞれ詳しく紹介するので、猫が脱水症状で苦しまないためにも日頃から実践しましょう。

水分を多く含む食事を与える

まず、猫の脱水を予防するためには水分を多く含む食事を与えましょう。猫は本来、乾燥した環境に適応した動物であり、野生では主に捕食した小動物から水分を摂取してきました。

しかし、家庭で飼われている猫は、乾燥したドライフードを食べることが多く、水分摂取量が不足しがちです。

そのため、ウェットフードなど水分を多く含む食事を取り入れ、猫が自然に水分を補給できるようにしましょう。

ウェットフードは70〜80%の水分を含んでおり、猫の水分摂取を助けてくれます。また、水分豊富なフードを与えると、腎臓への負担も軽減でき、腎臓病の予防に効果的です。

また、食事だけでなくスープ状のおやつや、水分を追加したドライフードを与えることもおすすめします。

水は常に新鮮なものを用意しておく

次に、猫の脱水を予防するためには水は常に新鮮なものを用意しておきましょう。猫は清潔な環境を好むため、古くなった水や汚れた水は飲みたがらない傾向があります。

水を頻繁に交換して清潔な状態を保つと、猫が自ら水を飲む意欲を高めることが可能です。

特に、飲み水の入れ物が汚れていたり水が濁っていたりすると、猫が水を避ける原因になるので、毎日水を交換して器をしっかり洗浄しましょう。

また、ペット用の給水器を導入すると、より興味を引き、自然と水を飲む量を増やすことが期待できます。

また、静かな環境で水を飲むのを好む猫もいるため、水を置く場所にも気を配りましょう。猫がリラックスできる場所に水を置くと効果的です。

室内の湿度を適切に管理する

最後に、猫の脱水を予防するためには室内の湿度を適切に管理しましょう。乾燥した環境では、猫の体内の水分が失われやすく、脱水症状を引き起こすリスクが高まります。

特に冬場は暖房の使用により室内の湿度が低下しやすく、夏場のエアコンの使用も同様に空気が乾燥しやすいです。そのため、季節に応じて湿度を調整しましょう。

一般的に、猫にとって快適な湿度は40〜60%とされています。この範囲内で湿度を保つと、猫の体内の水分が蒸発しにくくなり、脱水の予防に効果的です。

湿度が低い場合は、加湿器を使用したり洗濯物を室内に干したりして、自然な形で湿度を上げましょう。

まとめ

今回は、猫の脱水症状について紹介しました。猫の脱水症状は熱中症や下痢、食欲不振や利尿剤の使用で引き起こされます。

猫が脱水症状かどうかは皮膚の弾力性や歯と目の状態など体に変化がないかチェックして判断しましょう。

猫が脱水症状の場合は、ウェットフードやおやつなどを使って水分補給を促し、早めに動物病院に連れて行くことが大切です。

日頃から猫に水分量の多い食事を与えて脱水症状を予防し、猫の健康をサポートしましょう。

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