ペットスタートマガジンでは「ペットとの暮らしを始めるすべての人に」をコンセプトに、ペットにまつわる様々なお役立ち情報を、これからペットとの暮らしをスタートする方へ向けて提供しています。ペットにまつわる全ての情報をペットスタートマガジンで御覧頂けるように日々コンテンツを発信していきます。
はじめに
猫に快適に過ごしてもらうためには、歯の健康が欠かせません。
猫は虫歯を心配する必要はほとんどないのですが、そのままにしておくと歯の健康を維持できず、歯周病になる可能性があるのです。
今回は、猫の歯の病気について詳しく紹介します。
歯周病の原因や予防法を詳しく解説するので、歯の病気を予防して健康をサポートしたい方はぜひ参考にしてください。
猫に虫歯はないって本当?
猫は虫歯にはまずなりません。猫が虫歯にならない理由は食生活や歯の構造が関係しているので、詳しくみていきましょう。
猫は虫歯にならない
猫が虫歯になることがほとんどないのは、人間と食生活や口腔環境が大きく異なるからです。
人間は甘いものや炭水化物を多く摂取し、歯の表面に付着して虫歯菌が繁殖しやすい環境になっています。
しかし、猫の主食は基本的に肉類であり、糖分を多く含む食品を摂ることはほとんどありません。糖分が少ないため、虫歯菌が繁殖しにくい環境が保たれるのです。
また、猫の口腔内のpH値も虫歯菌が活動しにくいレベルに保たれています。そのため、猫は虫歯のリスクが非常に低く、歯の健康を長く保つことができるのです。
猫が虫歯にならない理由
猫が虫歯にならない理由は下記の2点です。
- 猫の口の中では虫歯菌が生息しにくい
- 歯の形がはさみ型のため汚れや細菌が残りにくい
それぞれの理由を詳しく紹介するので、猫が虫歯になる仕組みを理解しましょう。
猫の口の中は虫歯菌が生息しにくい
猫の口の中は虫歯菌が生息しにくい環境が整っています。
まず、猫の唾液は抗菌作用が強く、口腔内の細菌の増殖を抑えることが可能です。
また、猫の食事は虫歯の原因となる糖質が少ないので虫歯になりにくくなっています。
さらに、猫の口腔内のpH値は中性から弱アルカリ性で、虫歯菌が酸を生成して歯を侵食するのを防ぐ効果があるのです。
歯の形がはさみ型のため汚れや細菌が残りにくい
猫の歯の形状も虫歯が発生しにくい理由の1つです。猫の歯は基本的にはさみ型をしており、食べ物を切り裂くのに適しています。
はさみ型の歯は、食べ物が歯の表面に残りにくいです。人間の歯は平らで咀嚼するための臼歯が密集しているため、食物のカスが歯の溝や隙間に残りやすく、細菌の温床となります。
しかし、猫の歯は食べ物を切断する形をしていて歯の表面に留まることが少なく、細菌が付着しにくいのです。
さらに、猫の歯と歯の間にはあまり隙間がなく、食べ物のカスが挟まることがほとんどありません。
猫の歯の病気で注意したいのは歯周病
猫の歯の病気で注意したいのは歯周病です。歯周病がどのような病気か、また症状はどのようなものがあるのか詳しくみていきましょう。
歯周病はどんな病気?
歯周病は猫の歯の健康に深刻な影響を与える病気であり、歯を支える組織が細菌感染により炎症を起こし、最終的には破壊される病気です。
初期段階では歯肉炎として現れ、歯茎の腫れや赤みが見られますが、放置すると炎症が進行して歯周炎になります。
歯周炎になると、歯を支える骨や歯周靭帯が破壊され、歯が揺れたり抜け落ちたりする危険性があるのです。
さらに、細菌が血流に乗って体内を巡り、心臓、腎臓、肝臓などの他の臓器に悪影響を及ぼす恐れもあります。
歯周病の症状
次に、猫の歯周病の症状を紹介します。
- 歯茎が腫れる
- 歯がグラグラする
- 歯が抜ける
- 歯茎が赤く腫れる
- 歯茎から血や膿が出る
- 口臭がきつくなる
- よだれが多くなる
- 食欲があまりない
それぞれ詳しく紹介するので、愛猫に症状がみられないかチェックしましょう。
歯茎が腫れる
まず、歯周病で見られるのは歯茎の腫れです。歯茎の腫れは歯周病の初期症状としてよく見られます。歯茎が腫れるのは、細菌に感染して炎症を起こすためです。
猫の口腔内を観察すると、通常はピンク色の歯茎が赤く腫れているのが確認できます。
炎症は痛みを伴うことが多く、猫が食事を避けたり、食べる速度が遅くなったりする原因の1つです。
歯茎の腫れを放置すると、炎症が進行し、歯周病が悪化する可能性が高まります。
歯がグラグラする
次に、歯周病で見られるのは歯のグラグラです。歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯周靭帯が破壊され、歯がグラグラするようになります。
歯のグラグラは歯周病の中期から後期に見られる症状であり、歯を支える構造が弱くなっている状態です。
グラグラする歯は、猫が食事をする際に痛みや不快感を感じる原因となり、食欲不振や体重減少につながる場合もあります。
さらに、歯が不安定な状態で放置されると、口腔内での感染が広がり、他の歯や組織にも影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
歯が抜ける
3つ目に、歯周病で見られるのは歯が抜ける症状です。歯周病が重度になると、歯を支える骨が大きく破壊され、最終的には歯が抜ける恐れがあります。
歯が抜けるのは歯周病の最も深刻な段階であり、歯が完全に保持できなくなる状態です。
歯が抜けても、猫が食事を採ることに大きな支障はあまりありませんが、抜けた歯の部分から細菌が侵入し、さらなる感染や炎症を引き起こす可能性もあります。
歯茎が赤く腫れる
4つ目に、歯周病で見られるのは歯茎が赤く腫れる状態です。正常な歯茎は薄いピンク色ですが、炎症が起こると赤く腫れ上がります。
歯茎が赤く腫れるのは、歯茎の血管が拡張し、血流が増えるためです。赤く腫れた歯茎は非常に敏感で、触れると痛みを感じるようになります。
腫れた状態を放置すると、炎症が広がり、他の歯や歯周組織にも影響を及ぼす可能性が高いです。
歯茎から血や膿が出る
5つ目に、歯周病で見られるのは歯茎から血や膿が出る状態です。この状態では、歯茎の組織が細菌に感染し、炎症が進行しています。
歯茎からの出血は、歯磨きや食事の際に見られる場合が多く、膿が出る場合は歯周ポケットに感染が広がっているのです。
また、膿は体が細菌と戦うために作り出す白血球の集まりであり、口腔内の感染が深刻であることを示しています。
口臭がきつくなる
6つ目に、歯周病で見られるのは口臭がきつくなる状態です。口臭の症状は、歯周病の初期から中期にかけて現れます。
口腔内の細菌が歯茎や歯の周囲に増殖すると、ガスが発生して悪臭を放つのです。
正常な猫の口の中は比較的無臭ですが、歯周病が進行すると、腐敗臭や強い不快な臭いが感じられるようになります。
口臭が強い場合、猫が痛みを感じている可能性も高く、食事の際に食欲が減退したり、食事を避けたりする行動を取る場合も多いです。
よだれが多くなる
7つ目に、歯周病で見られるのは猫のよだれの増加です。よだれの増加は、口腔内の痛みや不快感を軽減しようとする体の反応を示しています。
歯茎や歯の周りに炎症があると、猫は口を頻繁に開けたり閉じたりし、唾液を多く分泌して痛みを和らげようとするのです。
特に歯周病が進行している場合に顕著に見られます。
よだれが増えると、猫の顎や口周りが常に濡れている状態になり、皮膚炎や毛の絡まりなどの二次的な問題を引き起こす場合もあるので注意が必要です。
食欲があまりない
最後に、歯周病で見られるのは食欲の減退です。歯周病によって歯茎や歯の周りに痛みや不快感が生じるため、猫は食事をするのが難しくなり、食事量が減少します。
特に硬い食べ物を避ける傾向が強くなり、柔らかい食べ物や液状の食べ物を好むようになりやすいです。
食欲が低下すると、猫の体重が減少し、全体的な健康状態が悪化する可能性があります。さらに、食欲不振が長期間続くと、栄養不足になり、免疫力が低下する場合も多いです。
歯周病の原因は?
次に、猫の歯周病の原因を解説します。歯周病は猫の口の中の環境や猫の健康状態が影響しているので詳しくみていきましょう。
歯石の付着による細菌感染
歯周病の主な原因は、歯石の付着による細菌感染です。猫の口腔内では、食べ物のカスや細菌が歯の表面に付着し、歯垢が形成されます。
そして、歯垢が唾液中のミネラルと結合して硬化して歯石となるのです。歯石は非常に硬く、歯ブラシで取り除くことができません。
歯石が歯と歯茎の間に蓄積すると、その下に細菌が繁殖しやすい環境ができあがります。最終的に歯茎が炎症を起こし、歯肉炎や歯周病が進行するのです。
高齢の猫や免疫力が低下している猫は歯周病にかかりやすい
高齢の猫や免疫力が低下している猫は、歯周病にかかりやすい傾向があります。年齢を重ねると、猫の免疫機能が低下し、細菌に対する抵抗力が弱まるのです。
そして、口腔内の細菌が繁殖し、歯茎の炎症や歯周病が進行しやすくなります。
また、高齢になると、唾液の分泌量も減少し、口腔内の自浄作用が低下するため、歯垢や歯石が蓄積しやすいです。
さらに、慢性疾患を持つ猫やストレスが多い環境で生活している猫も、歯周病のリスクが高まります。
特に糖尿病や腎臓病などを持つ猫は、歯周病が進行しやすく、全身の健康に悪影響を及ぼすリスクが高いので注意が必要です。
歯の表面につく汚れの種類と原因
次に、歯の表面につく汚れの種類と原因を紹介します。
- 黄色や暗褐色の汚れ
- 白や灰色の汚れ
- 赤色の汚れ
色によって症状や進行度が変わってくるので詳しくみていきましょう。
黄色や暗褐色の汚れ
猫の歯の表面に付く黄色や暗褐色の汚れは、主に歯垢と歯石の蓄積によるものです。歯垢は、食べ物のカスや唾液中の細菌が歯の表面に付着して形成されます。
歯垢は時間とともに硬化して歯石となります。歯石は非常に硬く、歯ブラシで取り除くことができません。
歯石は細菌の温床となり、歯周病の原因ともなるため、早期に取り除くことが重要です。
白や灰色の汚れ
白や灰色の汚れは、歯の表面に付着した食べカスや初期の歯石である場合が多いです。
食べカスや唾液中の細菌は結びついてプラークとなり、柔らかくて白っぽい色になります。
白や灰色の汚れであれば、歯磨きで簡単に取り除くことが可能です。しかし、放置するとミネラルが沈着して硬化し、歯石となります。
灰色の汚れは歯石が形成され始めた初期段階を示しているケースが多く、適切なケアを行うことで、歯石の形成を防ぐことが可能です。
白や灰色の汚れを見つけた場合は、早めに対処し、定期的な歯磨きを習慣づけることが大切です。
赤い汚れ
最後に赤い汚れが猫の歯に見られる場合、病気の可能性があります。考えられる病気の特徴や原因を詳しくみていきましょう。
破歯細胞性吸収病巣の可能性
猫の歯に赤色の汚れがある場合、破歯細胞性吸収病巣の可能性を疑いましょう。
破歯細胞性吸収病巣は痛みを伴う病気であり、歯の表面から歯の内部に向かって進行し、最終的には歯が完全に溶けてしまう場合もあります。
赤い汚れは、炎症を起こした歯肉や出血の跡であるケースが多く、歯周組織が破壊されていることを示しているのです。
歯に小さな傷や穴があいて徐々に歯が溶けていく病気
破歯細胞性吸収病巣は、歯に小さな傷や穴が開き、徐々に拡大していく病気です。病気が進行していく中で、歯の硬いエナメル質や象牙質が破壊され、歯がもろくなっていきます。
初期段階では、歯の表面に小さな傷が見られるだけですが、進行するにつれて歯の表面が崩れ、穴が広がっていくのです。
穴が広がっていくと、猫は非常に強い痛みを感じるようになり、食事を摂るのが困難になります。
歯周組織に存在する破歯細胞が原因
破歯細胞性吸収病巣の原因は、歯周組織に存在する破歯細胞によるものです。
破歯細胞は、通常は歯の形成や修復に関与する細胞ですが、破歯細胞性吸収病巣の場合は細胞が異常に活性化しています。
そして、異常な細胞活動が原因で、歯の表面に傷や穴ができ、進行して歯全体が破壊されてしまうのです。
破歯細胞性吸収病巣は、遺伝的要因や栄養不足、口腔内の環境などが影響していると考えられていますが、明確な原因は不明です。
破歯細胞性吸収病巣の治療は進行度によって異なりますが、治療の第一選択は影響を受けた歯を抜歯することが一般的です。
歯周病を予防するためにできること
次に、歯周病を予防するためにできることを紹介します。
- 毎日の歯磨きを習慣化する
- デンタルガムやデンタルトリーツなどを活用する
それぞれ詳しく紹介しますので、愛猫の健康を守るためにぜひ実践してください。
毎日の歯磨きを習慣化する
まず、猫の歯周病を予防するためには、毎日の歯磨きを行いましょう。
歯磨きは、歯垢の形成を抑えて歯石の蓄積を防ぐ最も効果的な方法です。猫の歯は人間と形状が異なり、特に後ろの奥歯は磨きにくいですが、丁寧に磨くと口腔内の健康を維持できます。
初めての歯磨きは、猫が抵抗を示す可能性もありますが、少しずつ慣れさせることが重要です。
まずは、猫がリラックスしているときに、指に少量の猫用歯磨きジェルを付け、歯や歯茎に軽く触れることから始めましょう。
その後、専用の歯ブラシを使って、歯の外側と内側を優しく磨くことが大切です。ブラシを使うと、歯垢や食べかすを効果的に除去できます。
デンタルガムやデンタルトリーツなどを活用する
次に、猫の歯周病を予防するためにはデンタルガムやデンタルトリーツなどを活用しましょう。
デンタルガムやデンタルトリーツは、特別な成分や形状によって、歯垢や歯石の形成を抑える働きがあります。
例えば、デンタルガムは噛むと自然に歯の表面を磨く効果があり、歯垢や食べカスの除去が可能です。
また、デンタルトリーツは、歯磨き効果が期待できる成分を含んでいるだけでなく、猫の味覚にも配慮されています。
猫は好奇心が強く、新しい食べ物には興味を示すケースが多いため、デンタルトリーツをおやつとして与えると、歯磨きの習慣を取り入れやすいです。
まとめ
今回は、猫の歯の病気について紹介しました。
猫は虫歯にはほとんどなりませんが、歯石の付着による細菌感染が原因で起こる歯周病に注意が必要です。
歯周病になると、歯茎の腫れや口臭、食欲減退が見られ、進行すると歯が抜け落ちる可能性があります。
飼い主は、歯周病を予防するために、毎日の歯磨きを習慣化し、デンタルガムやデンタルトリーツを活用しましょう。
また、歯の表面につく汚れを日頃からチェックし、猫の歯の健康をサポートしてください。