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【獣医師監修】猫が走り回るのはストレスが原因?理由と対処法をくわしく解説

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はじめに

猫が家の中で急に走り回り出す行動は、元気がよくて嬉しい反面、なぜ急に走り出したのかと驚くこともあるかと思います。

この動きは、一見ただの元気な証拠の可能性もありますが、実はストレスや健康問題のサインが隠れている場合があります。この記事では獣医師監修のもと、なぜ猫が走り回るのか、理由や背景にある可能性、そして効果的な対処法について詳しく解説します。

猫の健康と幸せを守るために、行動の理由をしっかり理解していきましょう。

猫が突然走り回るのはなぜ?理由7つ

猫が突然走り回る姿は、見ている側からしたら不思議なものです。しかし、この行動には猫なりの理由が隠されています。ストレスから遊び心まで、予想外の理由がある場合も考えられます。この章では、猫が走り回る7つの理由に焦点を置いて解説します。

猫の行動を理解することで、お互いにとってより良い関係性を目指していきましょう。

猫の狩猟本能によるもの

猫が家の中を突然走り回る行動の一つに「狩猟本能」が深く関わっています。猫は本来、狩りをする動物で、その本能は今でも猫の行動に大きな影響を与えています。室内飼いの猫であっても、この本能は失われることはありません。

そのため、家の中で見えない獲物を追いかけるように走り回るのは、野生の名残があるからです。特に、明け方や夕方、夜中の時間帯などの獲物が捕まえやすい時間帯に猫が活動することは、習性の名残で本能のままの行動といえるでしょう。

猫が走り回ることは、ただのヤンチャな行動ではなく、本能的に健康や心理状態を保つために大切な行動といえます。

体力があり余っているから

猫が突然家の中を走り回るもう一つの大きな理由は、単純に「体力があり余っているから」です。特に若い猫や活動量の多い猫種などは、エネルギーがたくさんあり、それをどこかで発散させる必要があります。室内飼いの猫は、外で生活している猫に比べると運動不足になりやすいです。

日常的な運動や活動が不足している場合、このような行動がより頻繁に見られるようになることがあります。この行動をとった時に猫の運動量が少ないと思ったならば、適切な遊びや運動ができるようにサポートしてあげましょう。

おもちゃを使って遊んであげることはもちろん、キャットタワーやキャットウォーク、背の高い家具をうまく配置して、猫が自ら運動できるストレスフリーな環境に整えてあげる必要があります。

ストレスを抱えているから

猫が家の中を突然走り回る行動が見られる理由に「ストレス」が考えられます。

猫はとても繊細な動物で、環境の変化、飼い主の生活リズムの変化、ほかのペットとの関係など、さまざまなことが原因でストレスを感じます。

このような状態の場合には、飼い主は猫が安心してリラックスできる環境を整えてあげましょう。適切な遊びや安全な隠れ場所を与えることで猫のストレスを軽減できます。

なにかに刺激されたから

猫はなにか興味のあるものを見つけたり、刺激されたりしたときに、捕まえようと突然走りだす行動に出ることがあります。刺激というのは、突然の音や動き、視界に入ってきた物など、猫の感覚を急に刺激する物です。

窓の外を飛ぶ虫や、部屋の中の影、テレビに映る動き、壁に止まった虫などに反応して、急に走り出します。

このような行動は心配する物ではなく、逆に猫が健康で活動的である証拠です。しかし、このような刺激が多すぎるとストレスにつながることもあるため、少し注意が必要です。

猫同士で遊んでいるから

家で複数猫を飼っている場合、猫同士の遊びの延長で、急に走り回る行動に出ることがあります。

猫はほかの猫と一緒にいると、追いかけっこやじゃれあいが元気に走り回ることにつながります。飼い主の立場から見ると、急に走り出してびっくりしてしまいますが、猫にとっては、ただのじゃれあいの延長にすぎません。特に若い猫や運動量の多い猫にとって、遊びは日常生活の大切な部分であり、とても重要な物です。

また、猫同士の遊びはお互いの信頼関係を築くのにも役立ちます。猫が安全に楽しく遊べるように、適切な環境を整えてあげましょう。

トイレハイになっているから

猫は「トイレハイ」になっている場合、突然走り回る行動に出ます。

この行動は、猫にとって排泄時の無防備な危険な状態から脱したという高揚感からの行動です。

トイレハイは猫が健康である証拠の一つで、通常は心配する必要はありません。しかし、トイレハイを減らすのはなかなか難しいことです。

猫が過剰に興奮していて、飼い主が困っているのであれば、トイレの場所をもっと静かな場所や、飼い主が気にならない場所に移動させると良いでしょう。環境面も工夫して、猫がリラックスしてトイレを済ませられるようにしてあげることが大切です。

身体に異変を感じたから

猫が突然走り出したりする行動が見られる時には、猫が体調不良や不快感を抱えているサインかもしれません。皮膚のかゆみや痛みなど、猫が直面している体の問題がある場合にその行動が見られます。

また、外耳炎や寄生虫の感染など、見た目にはわかりづらい健康問題が原因の可能性もあります。このため、猫が突然走り回るような行動を見せた場合、あまりに頻繁であったり、酷かったりする場合、ただの遊びや元気のあらわれと決めつけず、何かおかしなところはないか気をつけて見てあげましょう。様子が少しでもおかしいようなら獣医師に相談して猫の健康状態をチェックしてもらうことが重要です。チェックを受けることで、猫が何らかの健康問題を抱えている場合には、早期に適切な治療を受けられます。

もしかしたら病気の可能性もある?

猫が突然走り回る行動は、もしかしたら健康問題に異常があるサインかもしれません。この章では、このような行動が示すかもしれない病気について詳しく解説します。

異常な行動が見られた時、何を見逃してはいけないのか頭に入れておきましょう。

泌尿器の病気

猫が落ち着きがなくなってしまうのは「泌尿器の病気」が隠れている場合が考えられます。

膀胱炎や尿路結石など、泌尿器系の問題は猫にとって痛みを伴うものです。これらの病気が原因で、猫は不快感や痛みを感じて、トイレに何度も行ったり、おしっこする時に痛くて鳴いたりする行動が見られます。

猫が何度もトイレに行くようになったり、トイレ以外の場所でおしっこをしたりする行動が見られた場合、泌尿器系の病気を疑いましょう。

獣医師は、尿検査や血液検査を行い正確な判断ができます。早期発見と適切な治療が猫の苦痛を軽減してくれるため、このような症状が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

認知症

猫が落ち着きのない行動を示したり、目的もなく徘徊したりすることは「認知症」を疑わなくてはいけません。

猫も人間と同じように歳を取るにつれて、認知機能が低下することがあります。これは認知症という診断ではなく、あくまで認知機能の低下を示す症状が見られることがわかった段階です。15歳以上の猫の半数に、認知機能の低下が見られることが明らかになっています。発信元:ユニ・チャームペット

認知機能の低下をあらわす行動の変化として、猫がいつもと違う時間に活動するようになったり、家具や壁に向かって目的なく走り回ったり、夜になると不安そうに鳴いたり、行きたい場所がわからなくなったりする症状があります。トイレの失敗が増えることも、一つのポイントです。

猫の認知機能の低下の症状は、飼い主も気づきにくいため、動物病院でも相談が少ないのが現状です。

猫は認知症にならないと思い込むのはやめて、少しでも今までと違うことがあれば、早めに動物病院に相談しましょう。

甲状腺機能亢進症

「甲状腺機能亢進症」は猫の甲状腺が過剰にホルモンを分泌する病気です。特に10歳以上に見られます。

この状態になると、甲状腺ホルモンが異常に多く分泌されて、猫の体の代謝が高まります。食欲が増えても体重が減少する、落ち着きがなくなる、攻撃性が増す、被毛の乱れ、目がぎらつくなどの症状が特徴です。

甲状腺機能亢進症は、徐々に明らかになることが多い病気で、健康そうに見えても病気は進行しています。

甲状腺機能亢進症は治療可能なため、猫が上記のような症状を示した場合は、早めに獣医師の診察を受けましょう。

猫が走り回る時の対処法は?

猫が突然走り回る時、どのように対処すれば良いのでしょうか。この章では猫の安全を守りつつ、エネルギーを発散できるようにするために対処法を詳しくご紹介します。

これらの方法を試して、猫も飼い主も快適に過ごせるようにしましょう。

無理に止めようとしない

猫が急に走り回るとき、直感的に止めようと感じるかもしれませんが、実はそれはいい方法ではありません。

猫が走り回る行動は多くの場合、エネルギーの発散やストレス解消のための本能的なものです。

無理に止めようとすると、猫を不安にさせたり、ストレスを増やすことにつながるおそれがあります。また、飼い主も猫の爪で引っ掻かれたり、蹴られたりして怪我をする可能性も考えられます。もちろん猫自身の怪我にもつながるかもしれません。そのため、猫がこのような行動をとった際には、自然に落ち着くのを待つことで、猫も安心してストレスなく過ごせます。

部屋の中の危険なものは片付ける

猫が家の中を走り回る時、安全を最優先に考えることが重要です。そのために、部屋の中の危険なものを片付けましょう。

壊れやすいガラス製のものや、角が鋭利なものなどは猫が活発に動き回る際に怪我の原因になってしまいます。また、小さなものを床に置いておくと、猫が誤って飲み込んでしまうことも考えられます。

これらを防ぐために、危険なものや壊されたら困るものはあらかじめ片付けておくことが大切です。また、急に走り出して脱走につながる場合も考えられます。普段からしっかり対策しておきましょう。

一緒に遊んであげる

猫が急に走り回る前に、一緒に遊んであげることはとても効果的です。急に走り回る行動は、エネルギーを持て余しているサインかもしれません。

夜行性の猫は、夜から朝方にかけて走り出すことが多いです。飼い主としては一番ゆっくりしたい時間だと思います。

夜寝る前にしっかり遊んであげて疲れさせてから夜寝ることで、朝方の大運動会の頻度を下げられるでしょう。

猫じゃらしやボールなどを使った遊びは、猫の狩猟本能を刺激します。これにより、猫の運動不足が解消され、心身ともに健康を保てます。また、猫と一緒に遊ぶことは、飼い主と猫の絆を深めるためにも大切です。一緒に過ごす時間が増えることで、猫はより幸せを感じて、安心して暮らせるようになります。

猫が走り回らないように日頃からできる対策

猫が家の中で走り回るのを防ぐために、日頃からどのような対策ができるのでしょうか。この章では、猫の健康的な運動を促し、エネルギーを上手に発散させる方法をご紹介します。

運動不足にならないように昼間に運動をさせる

猫が突然家の中を走り回る主な原因の一つは運動不足です。特に室内で生活する猫は外で生活する猫と比べて、運動不足になりやすい傾向にあります。

運動不足にならないように、昼間猫がしっかり運動できるようにしてあげましょう。

猫じゃらしやボールなどを使った遊びを取り入れることで、猫の運動不足を解消できます。適切な運動は、猫の健康を保つだけでなく、夜間の過剰な活動を防ぐ役割もあります。

このように一緒に遊ぶことや運動を心がけることで、猫が穏やかで健康的な生活を送れるようになります。

キャットタワーや猫用ルームランナーを置く

猫が家の中で走り回るのを防ぐためには、エネルギーを発散できるものを用意することが簡単な方法です。

特にキャットタワーや猫用ルームランナーは、室内での活動を促すのに最適なアイテムといえます。キャットタワーに登ることで、猫の本能を満たし、体を動かせます。

猫用ルームランナーは、ハムスターの回し車のような形で、猫が適切に運動できるように作られています。これで毎日遊べば、運動不足を防ぎ、健康的にエネルギーを消費させられます。

ひとり遊びで体を動かせるおもちゃを用意する

猫がひとりで過ごす時間が長い場合、ひとり遊びができるおもちゃを用意しておきましょう。おもちゃは、飼い主が忙しくて遊んであげられない時でも、自ら体を動かし、エネルギーを発散するのに役立ちます。

好みが違うので、猫の注意を引くようなそれぞれに合った好みのものを用意しておきましょう。おもちゃを利用することで、猫は飽きることなく楽しみながら適度な運動ができ、運動不足によるストレスや問題行動を防ぐことが可能です。

いつでも走り回れる空間を作っておく

猫が健康的に生活するためには、いつでも自由に走り回れる空間を家の中に確保しておくことが大切です。

家具を配置する際には、猫が安全に駆け回れるような通路を作ったり、障害物がない広いスペースを確保したりしましょう。

まとめ

この記事では、猫が走り回る行動の背景にあるさまざまな理由と、それに対する効果的な対処法を、獣医師監修のもと詳しく解説しました。

ストレス、運動不足、健康問題などさまざまな原因が猫の行動に影響を与えます。これらを理解することが、猫が安全で幸せな生活を送るためのポイントです。

適切な運動ができるようにサポートしたり、安心できる遊び場の環境を整えたり、時には早めに異変に気付き獣医師のチェックを受ける必要も出てきます。どのような理由で走り回る行動に出るのかしっかり観察して、猫の生活をサポートしていきましょう。

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