【獣医師監修】猫にサバを与えても良いの!?注意点や懸念点をご紹介

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はじめに

猫にサバを与えても大丈夫か1

一般的に猫は魚が好きなイメージがあるので、猫にサバを与えてよいか迷っている方も多いと思います。

猫にサバを与えても問題はありませんが、与える際は注意が必要です。

正しい与え方をしないと、猫の健康上に問題が起きてしまう可能性があるのです。

この記事では、猫へのサバの与え方を紹介します。

サバを与えるときの注意点や懸念点、サバを与える量についてもくわしくまとめているので参考にしてください。

猫にサバを与えても大丈夫なのか

猫にサバを与えても大丈夫か2

まず、猫にサバを与えることは特に健康上問題ありません。

むしろ、サバはビタミン類やカルシウム・DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの栄養素が豊富に含まれているので、健康に良いです。

ただ、猫に与えるときには与え方・与える量に注意しましょう。

具体的なポイントは後述しますので、ぜひ最後までチェックしてださい。

猫がサバを食べたときに得られる効果

猫にサバを与えても大丈夫か3

次に、猫がサバを食べたときに得られる効果を紹介します。

まず、猫がサバを食べるとDHAやEPAが血液をサラサラにし、血液の循環を良くすることが可能です。

血液の循環を良くすると、高血圧や動脈硬化などの病気を予防できます。

また、サバを食べるとビタミンB12の働きによって貧血の予防が可能です。

他にも、骨の成長促進・皮膚や粘膜の保護・免疫力アップなどの効果も期待できるので、猫の健康を改善したい方は、猫にサバを与えることを検討しましょう。

サバを与えるときの注意点

猫にサバを与えても大丈夫か4

次にサバを与えるときの注意点を紹介します。

  • 骨を抜いてあげる
  • 鮮度のいいものにする

それぞれ詳しく解説するので、実際に猫にサバを与える前に必ずチェックしましょう。

骨を抜いてあげる

1つ目の猫にサバを与えるときの注意点は、骨を抜いてあげる点です。

猫はご飯を食べるときによく噛むことができません。

そのため、噛み切れなかった骨が猫の喉や消化器官に刺さってしまう可能性があるのです。

骨が猫の喉に刺さると、口を閉じられなかったり、よだれを垂らしたり、口のまわりを引っかいたりします。

もし、魚の骨が刺さってしまった場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

骨が刺さる確率を減らすためにも、猫にサバを与える際は可能な限り骨を抜いてください。

鮮度が良いものにする

2つ目の猫にサバを与えるときの注意点は、鮮度が良いものにする点です。

鮮度が落ちたサバを与えてしまうと、菌やウィルスが繁殖してしまいます。

菌やウィルスの増加は、ヒスタミン中毒が起こる可能性を高めてしまうのです。

また、鮮度が落ちたサバだとアニサキスによる感染症の恐れがあります。

猫にサバを与える際は常温で放置し続けないよう注意しましょう。

購入してから数日経ったサバを与えるのはおすすめしません。

感染症や中毒のリスクを減らしたい方は、加熱処理をしたサバを与えるとよいです。

サバを食べた際に起こる懸念点

猫にサバを与えても大丈夫か5

次に、猫がサバを食べた際に起こる懸念点を紹介します。

  • ヒスタミン食中毒
  • アニサキス寄生虫
  • チアミン (ビタミンB1) 欠乏症
  • 食べ過ぎによる「イエローファット」 

それぞれ詳しく解説しますので、猫がサバを食べた際は異変が起きていないか注意深く観察しましょう。

ヒスタミン食中毒

1つ目の猫がサバを食べた際に起こる懸念点は、ヒスタミン食中毒です。

ヒスタミンは、食品に含まれるアミノ酸であるヒスチジンが、細菌の持つ脱炭酸酵素の働きによって生成されます。

そして、ヒスタミンが多量に含まれる魚を食べるとヒスタミン中毒を発症するのです。

細菌は常温で放置すると増殖し、ヒスタミンの生成を促進します。

ヒスタミンは熱にとても強いため、一度生成されると加熱処理をしても分解できません。

そのため、常温で放置したサバを加熱処理して与えようとするのは効果がないのでやめましょう。

ヒスタミン食中毒になると、下痢・嘔吐・蕁麻疹・めまい・舌や顔の腫れなどの症状が2~3時間以内に表れます。

猫に下痢や嘔吐などの症状が表れた場合は、糞や嘔吐物を動物病院に持参して病院で検査を受けましょう。

また、食事内容や食事量・症状が表れた時間をメモに取り、医師に伝えられると良いです。

アニサキス寄生虫

2つ目の猫がサバを食べた際に起こる懸念点は、アニサキス寄生虫です。

アニサキス寄生虫は線虫の一種で、サバだけでなく、イワシ・カツオ・サンマ・アジなどの内臓に寄生します。

アニサキスは鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動するので、生のサバを食べると感染症を引き起こす可能性があるのです。

アニサキスは熱に弱いので、加熱処理すれば安心して食べられます。

また、食べる際にアニサキスはよく噛むと、体内への侵入を防ぐことが可能です。

しかし、猫はよく噛むのが難しいので、小さく切ってサバを与えましょう。

アニサキス症になると、激しい腹痛や嘔吐などの症状が食後数時間で現れます。

アニサキス症が疑われる場合は、症状を詳しく説明して医師に診てもらいましょう。

チアミン (ビタミンB1) 欠乏症

3つ目の猫がサバを食べた際に起こる懸念点は、チアミン (ビタミンB1) 欠乏症です。

チアミン欠乏症とは、チアミンが不足して起こる病気であり、痙攣・麻痺・食欲不振・筋力の衰弱が見られます。

サバを含む生魚や貝にはチアミナーゼという分解酵素がチアミンを破壊するので、サバを食べすぎるとチアミン欠乏症になってしまうのです。

猫は大量のビタミンを体内に蓄えられないので、犬と比較するとチアミン欠乏症が多く見られます。

チアミン欠乏症は、チアミンを投与し、餌を改善して治療します。

チアミン欠乏症が疑われる場合は、医師に症状を詳しく相談しチアミン欠乏症かチェックしてください。

また、ドライフードは保存期間が長いとチアミンが分解されやすいので、なるべく新しいものに変えましょう。

食べ過ぎによる「イエローファット」 

4つ目の猫がサバを食べた際に起こる懸念点は、食べ過ぎによる「イエローファット」です。

イエローファットは黄色脂肪症と呼ばれており、不飽和脂肪酸を過剰に摂取すると発症します。

不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにするので過剰な量でなければ摂取は問題ありません。

しかし、不飽和脂肪酸は青魚(まぐろ、カツオ、ぶり、サンマ等)に多く含まれているので、食べ過ぎるとイエローファットの原因となるのです。

そのため、1度食べたからといって猫が発症するのではなく、慢性的にサバを食べている猫がイエローファットになります。

イエローファットの症状は、お腹の下の方にしこりができる、毛つやがなくなる、お腹や背中を触られるのを嫌がる、ぎこちない歩き方をするなどです。

イエローファットを予防するためには、サバなどの魚だけではなく、バランスの取れたキャットフードを与えましょう。

愛猫の症状がイエローファットと考えられる場合は、症状を細かくメモし、病院で診てもらってください。

痛みがある場合は、ステロイドなどの抗炎症剤を投与して対症療法を行います。

また、脂肪の酸化を抑えるビタミンE製剤などの抗酸化剤を投与する場合もあるので、治療方法を医師と細かく相談しましょう。

猫にサバを与えていい量

猫にサバを与えても大丈夫か6

次に、猫にサバを与えてもいい量を紹介します。

猫へのサバの与え方が問題なくても、サバの与えていい量を間違えると、猫の健康に悪影響を及ぼすのです。

具体的には、サバを与え過ぎると猫はイエローファットになる可能性が高まります。

猫の健康管理を維持するためにも適正量を理解したうえで猫にサバを与えましょう。

1日のカロリーの1割未満にする

猫にサバを与える場合は、1日のカロリーの1割未満にするのが重要です。

目安ですが、体重1kgの成猫は50〜70カロリー、体重3kgの成猫は110〜160カロリー、体重5kgの成猫は150〜220カロリーが1日に必要となります。

そのため1割未満で考えると、与えて良いサバのカロリーは、体重1kgの成猫は5〜7カロリー、体重3kgの成猫は11〜16カロリー、体重5kgの成猫は15〜22カロリーです。

そのままのサバのカロリーは、100グラムあたり202カロリーですので、2〜10グラム与えると考えましょう。

また、猫にサバを与える量は猫のライフステージでも考えるのが重要です。

例えば、子猫の場合は消化器官が発達していないので、サバを与えるのはおすすめしません。

サバにはたくさんの栄養素が含まれているので、与え過ぎると子猫の体に負担がかかってしまうのです。

成猫の場合は、体重に応じた必要カロリーの1割未満を計算してサバを与えてください。

老猫の場合は、消化器官機能が低下して運動量も減るため、サバの量はより注意が必要です。

老猫がサバを大量に食べると、内蔵への負担がかかるだけでなく、肥満のリスクを高めます。

老猫はサバを食べてイエローファットになる可能性が高いのです。

そのため、老猫は成猫よりも少量のサバを与える必要があります。

サバを与えるときは、猫のライフステージから考えて、1日に必要なカロリーの1割未満の量のサバを与えましょう。

サバの成分

猫にサバを与えても大丈夫か7

次に、サバの成分を紹介します。

  • ビタミンB2
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12
  • ビタミンD
  • ナイアシン

それぞれの成分と効能を詳しく紹介しますので、自分が求めている成分や効能はないか確認しましょう。

ビタミンB2

1つ目のサバの成分は、ビタミンB2です。

ビタミンB2は、脂質・糖質・タンパク質をエネルギーに変える働きをします。

そのため、猫の発育や成長に欠かせない成分です。

また、ビタミンB2は口の中の粘膜を保護する働きや、皮膚や爪の細胞を再生する働きもあります。

サバ1匹あたり、ビタミンB2の含有量は0.31ミリグラムです。

それに対し、キャットフード1キログラムで考えた場合、猫にビタミンB2は4グラム必要になります。

ビタミンB2が不足していると、成長不良・運動機能障害・皮膚病・嘔吐・結膜炎になる恐れがあるので注意しましょう。

ビタミンB6

2つ目のサバの成分は、ビタミンB6です。

ビタミンB6は、タンパク質の代謝の働きをします。

また、他のビタミンB6の働きは、免疫機能の維持・皮膚の抵抗力強化・ヘモグロビンの合成・神経伝達物質の合成などです。

サバ1匹あたり、ビタミンB6は0.59ミリグラム含まれています。

それに対し、キャットフード1キログラムで考えた場合、猫にビタミンB2は4グラム必要です。

ビタミンB6を過剰摂取すると、食欲不振や運動障害になる可能性があるので注意しましょう。

一方で、ビタミンB6が不足していると、食欲不振・成長不良・体重減少・貧血・痙攣の症状が出る場合があります。

ビタミンB12

3つ目のサバの成分は、ビタミンB12です。

ビタミンB12には、ヘモグロビンの生成や、神経機能の正常化・睡眠リズムの正常化・貧血の予防などの働きがあります。

サバ1匹あたり、ビタミンB12の含有量は13マイクログラムです。

それに対し、キャットフード1キログラムで考えた場合、ビタミンB12は20マイクログラム必要になります。

一方で、ビタミンB12が不足していると、成長が止まったり、メチルマロン酸尿症になったり、貧血になったりします。

ビタミンD

4つ目のサバの成分は、ビタミンDです。

ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を促進し、骨や歯を成長させる働きがあります。

そのため、ビタミンDは猫の成長期に必要な成分なのです。

また、ビタミンDには神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがあります。

サバ1匹あたり、ビタミンDの含有量は5.1マイクログラムです。

それに対し、キャットフード1キログラムで考えた場合、猫にビタミンDは7マイクログラム必要になります。

ビタミンDを過剰摂取すると、高カルシウム血症・食欲不振・歩行障害になるので注意しましょう。

一方で、ビタミンDが不足していると、骨軟化症や骨粗しょう症のリスクを高めてしまいます。

ナイアシン

5つ目のサバの成分は、ナイアシンです。

ナイアシンは、全身の酵素を助ける働きをしており、皮膚や粘膜の炎症・神経症状を防ぎます。

サバ1匹あたり、ナイアシンの含有量は12ミリグラムです。

それに対し、キャットフード1キログラムで考えた場合、猫にナイアシンは60ミリグラム必要になります。

一方で、ナイアシンが不足していると、食欲不振・下痢・成長不良・舌の壊死・ヨダレを垂れ流すなどの可能性があります。

まとめ

猫にサバを与えても大丈夫か8

猫にサバを与えることは問題ありません。

サバは栄養素を豊富に含んでいるので、健康に良い食べ物です。

しかし、猫にサバを与えるときは、与え方や与える量に注意しましょう。

まず、サバの与え方では、猫はよく噛むことができないので、骨を抜いてあげる必要があります。

また、常温で放置し続けると菌やウィルスが繁殖してしまうので、生では与えないようにしましょう。

病気を防ぐためにも加熱処理をするのがおすすめです。

さらに、サバを与える量は猫の1日のカロリーの1割未満に抑えましょう。

猫の大きさやライフステージによって必要なカロリーが異なるので、それに合わせて量を変えるのが重要です。

サバの与え方を誤ると、ヒスタミン食中毒やアニサキス症を引き起こす可能性があります。

そして、サバの与える量を間違えて猫が食べすぎると、チアミン欠乏症やイエローファットになるリスクを高めるので注意しましょう。

サバはビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンD・ナイアシンが豊富に含まれているので、おやつ感覚で猫に与えて、猫の健康を維持しましょう。

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