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- はじめに
- 猫にラベンダーは危険!
- 猫のラベンダーによる中毒症状は?
- 中毒症状が見られた時の対処法は?
- 中毒になった時の病院での治療方法
- 猫が中毒を防ぐためにできることは?
- 猫が中毒になる危険があるラベンダーの種類
- まとめ
はじめに
ラベンダーは鮮やかな花や、心地よい香りで人間にとってはリラックス効果や、安眠効果が高く大変人気のある植物です。
みなさんのご家庭でも、ラベンダーの香りのする製品を使用していることも多いのではないでしょうか。
しかし、このラベンダーは猫を飼っている方は注意しなければなりません。
というのも猫はラベンダーが癒しではなく、体に害を与える毒になってしまう可能性があるからです。
「それならば、猫が誤ってラベンダーを食べてしまわないように届かないところに置いておけばよいのでは?」と考えるかもしれませんが、実は猫はラベンダーの香りを嗅ぐだけでも場合によっては中毒症状を引き起こし、体に悪影響を起こしてしまうことがあります。
子猫や、老猫など体力のない猫だと重篤な状態になり、死に至ることもあるほどです。
人間にとって、心地よいものがなぜ猫にはこれほど危険とされているのか、万が一中毒症状がみられたらどうすればよいのか、対処法や予防についてもくわしく解説いたします。
猫にラベンダーは危険!
なぜ人間と違い、猫にとってラベンダーは危険といわれているのでしょうか。
誤って食べてしまった場合だけでなく、香りも危険といわれているのはなぜでしょうか。
1つずつみていきましょう。
ラベンダーには猫が中毒になる成分が含まれている
ラベンダーが猫にとって危険な理由は、猫の体の仕組みにあります。
雑食動物である人間と異なり、猫は完全な肉食動物です。そのため植物の有害な成分を体内で分解する機能が体に備わっていません。
分解できない有害成分は体内に蓄積されていき、中毒症状を起こすケースや、ときには死に至ってしまうことがあります。
猫にとって有害な成分がラベンダーに含まれており、その成分を分解することができないため、猫にとってラベンダーは危険といわれているのです。
ラベンダーは香りだけでも危険
猫にとってラベンダーは口にしなければ安全とはいえません。ラベンダーの香りだけでも猫にとっては危険になる場合があると考えられています。
ラベンダーの香りに含まれる「リナロール」や「酢酸リナリル」は鎮静作用があり、人間にはリラックス効果やストレスの緩和などをもたらしてくれるものといわれています。
しかし猫にとっては有害となる可能性があるため、猫のいるご家庭ではラベンダーだけでなく、ラベンダーの香りのするアロマオイルや消臭剤も置くべきではありません。
ラベンダーの成分は皮膚からも吸収される
猫の皮膚は人間の半分程度の厚さしかないため、ラベンダーの成分を塗布した場合に容易に皮膚からも吸収してしまいます。吸収されたラベンダーの成分は、体内で分解されません。
感受性には個体差がありますが早ければ数時間で中毒症状を起こし、重症化すると数日から1週間程度で内臓機能を破壊し、場合によっては死に至ってしまうこともあります。
また、皮膚に付着したラベンダー成分を、毛づくろいで舐めてしまい、中毒になることもあるので大変危険です。
猫のラベンダーによる中毒症状は?
ラベンダーによって中毒症状を引き起こすと、さまざまな症状がみられます。具体的な症状についてみていきましょう。
嘔吐
中毒症状で多くみられるのが嘔吐です。もともと猫は体内の異物を吐き出そうとする習性があるので、嘔吐自体はあまり珍しいことではなく、つい見落としがちになってしまいます。
しかし、中毒症状の場合も消化器症状から始まることが多いため、吐いたあとの様子が明らかにつらそうでいつもと違うようなら中毒を疑ってください。
また、直接ラベンダーを食べてしまっていなくても、体内に吸収されたラベンダーの成分により胃腸の状態が悪くなってしまい、吐き気を催すこともあります。
猫がみずから嘔吐を促すときは、何か気になる異物を吐こうとする場合であり、何も吐かず泡だけを吐いているようなときは、体調に異変が出ていると考えたほうがよいでしょう。
猫が嘔吐しているときは、周りになにか原因となるものはないか、猫の状態が明らかにおかしくないか確認することが大切です。
筋肉のけいれん
症状が進行すると、筋肉をけいれんさせて体を震わせて泡を吹いてしまうこともあります。
生まれつきのてんかんなどでけいれんを起こすこともありますが、中毒でけいれんを起こしている場合は嘔吐などと同時に症状が出ることもあります。
健康な猫ならば、何もない状態でいきなりけいれんを起こすことは、まず考えられないことなので、中毒の可能性を考えておいたほうがよいでしょう。
すでに筋肉にけいれんが起きている場合には、自分でコントロールすることが難しくなっており、症状が進んでいる可能性が高く、呼吸するのもつらくなり、大変危険な状態なので、そのまま様子をみることはせず病院へ連れていってください。
異常行動
中毒症状による体の異変のため、いつもと違う異常行動をみせることがあります。
つらそうな声を出して鳴いたり、部屋の中を徘徊したりするなど様子がおかしい場合には中毒症状によるものかもしれません。
また、猫自身もわからないうちに体がおかしくなっている恐怖から、慣れている飼い主さんに対しても攻撃的になることがあります。
異常行動は、何らかの異常を示す重要なサインになりますから、原因がわからないときにはすみやかに動物病院で医師の指示を仰いでください。
元気がなくなる
異常行動のひとつとして、動き回るだけでなく、あきらかに元気がなく無気力な様子がみられたら、体に異変を起こしている可能性があります。
嘔吐などの症状とあわせてぐったりとしていたら注意が必要です。
老猫ですと、普段からあまり動かないため、気付きにくいことがありますが、呼吸の状態などを確認して、あきらかに眠っている状態と違うような様子ならば、対処が必要になります。
めまい
めまいによるふらつきも中毒を起こした猫によくみられます。めまいは突然起こることがほとんどで、いつどこでめまいを起こすかわかりません。
そのため、キャットタワーなど高いところでめまいを起こして、落ちてしまいけがをしてしまうことないよう、もし、ふらふらしていたら飼い主さんの目の届かないところに猫がいかないようにケージなどで静かに過ごさせてあげましょう。
めまいだけでは中毒と判断することは難しいですが、嘔吐などと並行してめまいを起こすことがあるので、同時にいろいろな症状がみられるようであれば、中毒などの異常を疑いましょう。
食欲不振
内臓器官の異常で、食欲不振になり、食事を摂れなくなることがあります。中毒でない場合にも体調不良で食欲不振になることがあるので、ほかの症状とあわせて判断するようにしてください。
腎不全
中毒により急激に腎機能が低下することで、急性腎不全になることがあります。腎不全は緊急性が高く、処置が遅れると死に至ってしまうケースもあり大変危険な状態です。
腎機能が低下すると体内の毒素や、老廃物の排出ができなくなってしまいます。摂取してしまった分量が多ければ多いほど、腎臓に負担がかかるため、すみやかに動物病院を受診してください。
中毒症状が見られた時の対処法は?
もし愛猫がラベンダーを食べてしまったり、香りを強く嗅いでしまったりして中毒症状を起こした際には、誤った判断で症状が悪化してしまわないよう適切な対処が必要となります。
中毒症状かもしれないと思ったら、すべき対処法について解説します。
すぐに動物病院に連れて行く
嘔吐や元気がないといった症状は、中毒以外でもみられることはありますが、中毒症状からくる嘔吐などはあきらかにいつもとは様子が違ってみえることが多いです。
少しでも「おかしいな」と思ったら、すぐに動物病院に連れて行ってください。飼い主さんが中毒かどうかを判断するのではなく、きちんとした診察を受けて獣医師の判断を仰ぎましょう。
緊急性を要する場合には、まず動物病院へ連絡をして状況を伝え、獣医師の指示のもとで病院へ運んだ方がよいでしょう。
迅速に適切な処置を受ければ重症化を防げる
すみやかに動物病院へ連れていくことができれば、診断結果をもとに適切な治療を受けることができ、重症化を防ぐことができる確率が高くなります。
正しい診察を受けるためにも、飼い主さんは落ち着いて、症状が出始めた時間や、どのような状態だったのかメモなどをしておくことで適切な治療を受けることができるので、きちんと問診ができるよう準備しておいてください。
中毒になった時の病院での治療方法
実際に、病院で中毒と診断された場合に主におこなわれている治療について解説いたします。
皮膚の洗浄
これ以上の毒物の吸収を防ぐためにも、皮膚に付着した成分を取り除くための皮膚洗浄をおこないます。
ラベンダーを食べた様子もないのに中毒症状が出ていた場合、目に見えない状態でラベンダー成分が体内に吸収されていることが原因として考えられるため、皮膚洗浄をおこないます。
注射・点滴
もし、ラベンダーを食べてしまい、そのまま胃の中に留まってしまっていたら、吐き出させるための催吐剤を注射や点滴で投与します。
投与後は、きちんと吐き出せるかどうか確認するために、必要に応じて入院して経過観察をおこないます。
ほかにも、中毒症状を緩和させるための薬剤などを投薬するために用いられることもあります。
猫が中毒を防ぐためにできることは?
ラベンダーが猫にとって危険な植物だということは、おわかりいただけたかと思います。中毒にならないためには、飼い主さんが日頃から注意をしてあげなければなりません。
ほんの少しの心がけで、猫のラベンダー中毒を防ぐことができるので、猫のいるご家庭では常に頭に入れておきましょう。
ラベンダーを部屋に持ち込まない
猫は、高いところや狭いところにも簡単に入ることができます。そのため、猫が生活している部屋にラベンダーを持ち込むことは避けましょう。
たとえ、絶対に届かない場所に置いたとしても、その香り成分を体内に吸収することでも中毒になることがあるので、そもそも猫の生活スペースに置くべきではありません。
すべてのリスクを排除するために、猫を飼っているご家庭にはラベンダーを極力置かないようにしてあげましょう。
また、庭でラベンダーを栽培していて、その香りが部屋に入ってくることでも中毒になる可能性はゼロではありませんので、庭に置いてはいけません。
ラベンダーの成分が含まれたアロマや芳香剤を使わない
アロマや芳香剤は、開封するととても強い香りが漂ってくることがありますが、これは成分が濃縮されているためです。
濃縮されたラベンダーの成分を、猫が嗅いでしまったり、皮膚に付着してしまったりすると、ラベンダー自体の香りよりも強い成分が含まれているため、体内に吸収される量も多くなりとても危険です。
また、お部屋のにおい用の芳香剤だけでなく、洗濯用洗剤や、消臭剤、掃除用品などあらゆるものにラベンダー成分が含まれている可能性があるので、万が一の事態を防ぐためにも微量であってもおすすめしません。
ラベンダーの成分を含むハンドクリームなどは避ける
人間にとって心地よい香りであるラベンダーは、普段使用するハンドクリームや化粧水などのスキンケア商品にもよく含まれています。
つい、手に付けたまま猫に触れてしまうと、ラベンダーの香り成分が皮膚に付着してしまい吸収されてしまいます。
さらに注意したいのが、猫が飼い主さんの手を舐めてクリームなどを直接体内に取り込んでしまうことです。
これは、濃縮されたラベンダーの成分を食べてしまったのと同じことなので、大変危険です。
可能であればラベンダー成分の入っているものを使用しないか、猫に触れるときには手を洗ってから触れるようにしましょう。
外にいる時はラベンダーに近づかないように気をつける
外を行き来できる環境で猫を飼っている場合、人間の目の届かないところでラベンダーを食べてしまうことも考えられます。この場合、対策を取ることは難しいので、できるだけ目の届かない外には出られないようにしておくことをおすすめします。
また、ご自宅のお庭だけ行き来できる場合でも、中毒予防のためにラベンダーの栽培は推奨されません。
猫が中毒になる危険があるラベンダーの種類
ラベンダーといっても、1種類ではなく、たくさんの種類のものが存在します。
ここでは代表的なラベンダーの種類についてご紹介します。
ラバンディン系
香りが強く、香料や精油も多く含まれており、柔軟剤や入浴剤の原料などに用いられています。
アングスティフォリア系
ラベンダーの代名詞といわれており、香水、ハーブティーや入浴剤など幅広く使用されています。
デンタータ系
デンタータとは「歯のような」という意味で歯がギザギザで歯のように見えることからこのような名前が付いています。
ストエカス系
日本でも栽培しやすい品種で、花色もラベンダーの特徴でもある紫以外に、ピンク、ブルー、白など多岐に渡ります。
ラベンダーとしては、比較的香りが弱い品種になります。
プテロストエカス系
このラベンダーは観賞用として開発されており、ラベンダーの香りがしないことが特徴です。
とはいえ、ラベンダーの一種であることには変わりなく、猫のいるご家庭には置いてはいけません。
種間交配種系
2種のラベンダーの交配種で、両方の性質を大きく受け継いでいることが特徴。非常に生育旺盛で、比較的容易に大きく育つ特徴がある。
上記のようにラベンダーにもさまざまな特徴があり、一般的なイメージと異なるものもあるため注意が必要です。
まとめ
今回は猫にとってラベンダーはリスクがあるということをご紹介いたしました。
人間にとって、とても身近な植物で、花以外にも香料などで、1つはご家庭にあるといった方が多いのではないかと思います。
ラベンダーに限らず、人間にとって何の問題もなく、むしろ心地よく感じるものでも、猫にとって危険なものは意外と多く潜んでいることを当記事によって知っていただけますと幸いです。